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サンボマスター 『サンボマスター 究極ベスト』インタビュー

サンボマスター 『サンボマスター 究極ベスト』 インタビュー

 究極ベストリリースの真相、音楽シーン不況に対する風評への怒り、ぬくもりを感じさせるエピソードなどなど。盟友とのライブ映像を観せて頂いて舞い上がったテンションそのままに敢行したインタビュー、ぜひご覧下さい!

「世間様にも認められたんだな」って嬉しかった

※このインタビューは2月24日に行われました。

--よろしくお願いします。

山口隆:平賀さんには“10年分の「そのぬくもりに用がある」”を観てもらってからインタビューして頂きたい!

(※『サンボマスター 究極ベスト』初回限定盤付属DVD収録の“10年分の「そのぬくもりに用がある」”を鑑賞)

--こういうことだったんですね!

山口隆:こういうことだったんです。でもこれはほんの一部ですからね。DVDには120分の映像が入ってますから。未公開のライブ映像もヤバいですよ。今日これで取材最後だから、1曲目だけ観てもらっちゃおう。俺ら2004年に銀杏BOYZとツーマンやってるんですよ。そのときに1回だけ、サンボマスターと峯田和伸が一緒に『さよならベイビー』やってるんですよ。その幻のテープが見つかって、それがベストLIVEアーカイブのオープニングなんですよ。

(※『さよならベイビー』(2004年10月11日 渋谷ラママ「男どアホウサンボマスター VS 銀杏BOYZ」友情出演:峯田和伸 form 銀杏BOYZ)を鑑賞)

山口隆:どうですか? 笑っちゃうでしょ。

--俺、今日、最高の日になりました。

山口隆:これから始まるんですよ! だからもうこのベスト盤は大変なことになってる。CDとDVDで57曲入ってるんですよ! これで3675円(通常盤は3150円)ですからね。安かったなぁ~。

木内泰史:失敗したなぁ~。

山口隆:失敗じゃねぇ(笑)、逆に成功だろ?

--では、インタビューさせてください。まず今日は最新シングル『希望の道』について話を伺いたいんです。あのすげぇ良い曲がどうやって生まれたのか。

山口隆:あの曲自体はずっと前からあって、そこに「希望」と「街」っていう言葉を絶対に入れたいと思っていたんですね。30年前だと「NO FUTURE」って言ってみんなで拳を振り上げることも出来たんですけど、今「NO FUTURE」って言うとみんな「分かってるよ。じゃあ、それについてゆっくり話そうか」ってしんみりした空気になっちゃう。だからロックとしてひとつ新しいことが出来ないかなと思って。「希望」と「街」っていう言葉がバスドラとかベースの音と一緒になって響いてくる、そういう曲を作りたいなと。

--僕はこの曲を「希望という言葉に希望を見出せなくなった人々」の為の曲だと思っていて。

山口隆:なんか、変化球的なことっつーのが、あんまり曲がんなくなってきているような気がするんですよね。ロックにとって変化球って重要なものではあるんですけど、ここ2,3年は変化球を投げようと思っても上手く曲がらない。今は構えたところに真っ直ぐ伸びる球、それが一番良いかなと思うんですよね。「希望を見出せなくなった」云々のところにはそういうドバって入る曲、ライブでわぁ~っ!ってなれるような曲が。

--「変化球が曲がらない」というのはどんな瞬間に感じましたか?

山口隆:ライブ行ってたら思いますよね。僕らは元々そんなに変化球を投げるつもりが無いんですけど、変化球の球筋ってあるじゃないですか。あれがもうフォーマット化されちゃってるから「こういうロックあったよね」ってなる。ちょっとノスタルジックになってるって言うのかな。ノスタルジック初期衝動みたいな。で、他の方はどういうのでも僕はいいと思うんですけど、自分たちがそれは嫌だっていうことなんですよね。真っ直ぐビューン!と投げたい。『希望の道』もそういうことでやりました。

--その曲がドラマ「スクール!!」主題歌として世に届けられています。

山口隆:有り難いなと思ってますよ。ドラマ「スクール!!」のスタッフの方が「サンボマスターで」って指名してくれたんですけど、そういうことでもない限り僕らのようなバンドはドラマ主題歌とか決まらない。元々僕らそういうことを想定して曲を作らないので。ただ、今回は「サンボマスターらしい曲ありますか?」とか「待ちます」って言って下さったので、それは有り難かったですね。

木内泰史:前のアルバム制作過程から2年ぐらい、いろいろ自分たちで模索しながらやってきて。去年アルバム『きみのためにつよくなりたい』を出して、反響もすごく良くて、自分たちがやってきたことに対して「やっぱりこれが良かったんだな」って結構自信になって。そうした流れがあって「ドラマ主題歌をサンボマスターでお願いしたいんです」という話をもらったので「世間様にも認められたんだな」って思えてすごく嬉しかったです。

--ドラマはご覧になられてます?

山口隆:観てますよ。これがまた泣けるところで流れるんだ! 悲しく流れてくるんだ。

近藤洋一:僕なんかはもうちょっとボリュームが大きくてもいいかなって思うんですけどね。

山口隆:なるほど、なるほど。

木内泰史:いやいや、最近すごくデカくなってきてるんだよ。

近藤洋一:それでも「もう一声!」と思うときもある。

山口隆:もうふたボリューム。

近藤洋一:そこはお手元のリモコンで調整して頂いて。我が家はそうやってるので。

--(笑)。で、贅沢なことにその『希望の道』も早々に入れてしまった『サンボマスター 究極ベスト』をリリースすることが決定しました。このタイミングでベストを出すことになった経緯を教えてもらえますか?

山口隆:「10周年の最後にどうですか?」みたいな話をソニーの方がしてきて。ちょっと「お、これ、期末に合わせてきてんな」みたいなことを感じたんだけど、何かをやらかすには良いキッカケだなと思って「どのぐらいのことを考えてらっしゃいますか?」とまずは下手に出る訳です。で、シングルベストと仰ったので、1枚じゃ収まりきらない。2枚組になるなと。それがおいくらぐらいになるか聞いたら「3500円とか3600円とかじゃないですか」みたいな。でも「せっかくですから、税込み3150円ぐらいにしたいんですけど」ってまずはそれを納得してもらって、次に「ちなみに初回盤なんですけど、よくDVDに2曲ぐらい入れてるやつあるじゃないですか!それで3675円はどうでしょう?」と。「じゃあ、分かりました!それで行きましょう」とOKをもらったところから、僕らがロックロールバンドだということを相手に教えた訳ですね~。

--なるほど(笑)。

山口隆:ギリギリまで入れましたからね! DVDはギリギリで120分まで入るって聞いたから、117分入れましたよ! それで新曲も入れたし、未発表テイクも入れましたし、ライブもレア映像をガンガン惜しみなく入れましたしね。

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単純に「面白いから、やる」っていうのが一番

近藤洋一:有り物じゃないですからね。この為にイチから編集しましたし、副音声も入れました。

山口隆:で、通常盤も全曲の解説コメントが入ってるんですよ。もう隅から隅まで自分たちでやっちゃいましたから。で、さっきの“10年分の「そのぬくもりに用がある」”も入って。ジャケットも1stと同じ場所へ撮りに行って、帯まで拘って、3675円。そういうことをやりたかったんですよ。

木内泰史:通常盤だって34曲で、新曲も入ってる。未公開のライブテイク、あとは『夜が明けたら』のバージョン違い。これも超レアバージョン。1stアルバムをレコーディングする前に録ったやつなんですよ。あと、自分たちのファンにも喜んでもらいたいじゃないですか。ベストって入門書として位置付けられるけど、それでは今までのCDを持ってくれているファンにとっては意味ないから。

山口隆:本当にいろんな人が協力してくれて、最後はソニーのみんなが協力してくれたからこの値段で出せることになった。理解してくれたのか、諦めたのか、分かりませんけど(笑)。俺ね、今、普通にベスト出しても喜ばれないと思うんですよ!

近藤洋一:iTunesで曲並べたら作れますからね。しかも自分好みのベストアルバムにできる。『サンボマスター 究極ベスト』はそれに勝たないといけない訳ですから。

山口隆:ベスト出す以上は「こんなの、見たことねぇ」「なんなの?君たちのその突っ走ってる感」ってならないと。それをやりたいじゃないですか。あと「CDが売れなくなってる」って決まり文句になってるじゃないですか。プロ野球や相撲の人気がなくなった。っていうのと同じで。いやいやいや、ちょっと待てと。俺、相撲も未だに大好きだし、観たら燃えるし。野球だって観たら燃えるし、音楽だって聴いたら「すげぇ!」って思うんだから、そうなるものをもう1回目指してやればいいんですよ。メジャーもインディも関係ないんだからね。

木内泰史:音楽自体は面白くなってる訳ですし、ライブに行けば物凄いことが起きてるし、探せば幾らだって面白い音源はあるし。ただ、ビジネスモデルとして今までの売り方が通用しなくなっているのかもしれない。それでも俺たち発信する側は、良質なものを発信し続けていくべきであって。

山口隆:あと、単純に「面白いから、やる」っていうのが一番ですよ。これだけのボリュームのDVD付けて、プラス500円だったら、みんな大笑いするじゃないですか。「あいつら、バカじゃねーの?」って。俺はそれが一番やりたかった。こういう表現があったっていいじゃないですか。こういうアティチュードの示し方だってあるじゃないですか。それがやれたっていうのは嬉しくて仕方ないですよ。今まで誰かがやらなかったことをやってる嬉しさ。ちょっと大人も困らせた喜びというか。

--全11曲のベストLIVEアーカイブはどのように作っていったんですか?

近藤洋一:ここで本当に蔵出し、っていうのばっかり入れようぜって。金なんていくら掛かったって知らねぇって。宝の山がいっぱいあるだろうと。「見つからない」と言われても「あれ、絶対隠してますよ」とか言って(笑)。僕らも昔のホームページとか見て「これ、撮ってんじゃない?」って洗い出していったんだよね。それで「これはSET YOU FREEの千葉さんが持ってんじゃない?」って連絡してみたりとか、峯田くんにも直接電話したりとか。結果、11曲中7曲が初出し。本当にみんなで一丸になって掘り出しました。

山口隆:一番嫌なのは、安く初回盤を出す訳なんですけど、初回盤って1回しかプレスしないってことですから、無くなっちゃうんですよ。そしたら絶対にそれを高値でどっかで売ろうとする奴が出てくるから、欲しい人は予約してほしい! みんなが安く手に入れられるように作ったから。

近藤洋一:一回、この内容を初回限定しないようにお願いしに行ったんですよね。

山口隆:ここまで下げたのに、ですよ?

近藤洋一:初回限定だったらやれる値段設定なんですけど、僕らは「せめて期間限定に出来ないか」と。そしたら豆投げられましたね。

山口隆:「この鬼め!」と(笑)。

木内泰史:本当に利益が無いから。

山口隆:だから1人でも多くの人が予約して、いっぱい会社を苦しめればいいんですよ。オーダーが来る度に複雑な気持ちになるという、恐ろしいベスト盤ですよ。嬉しい悲鳴って言いますけど、これは本当の悲鳴が出るからね(笑)。

近藤洋一:諸刃の剣って言いますけど、刃は会社側にしかないですからね。

--(笑)。

山口隆:だからUSTでも言ったんですけど、会社にとっては0点でも、手に取る人にとっては100点のものっていうのが、ロックンロールとしては良いかなって思ったんですよね。そういうものを作りたかった。

--初回限定盤には、全11曲のビデオクリップアーカイブも収録されています。

山口隆:僕は『月に咲く花のようになるの』のビデオクリップへの思い入れが強くて。平間至さん、箭内道彦さん、ヒロ杉山さんと作ったんですけど、平間さんが「東京湾に朝のうちだけ顔を出す湿地帯、小さな島があるからそこで撮ろう。そこで濡れないようにして撮ろう」と言い出して。で、行ったら平間さんが早速ウェットスーツ着てて濡れる気満々なんですよ。結局僕らもぐしゃぐしゃに濡れながら撮って。

近藤洋一:PVって僕らはよく観ますけど、CSと契約していないと観る機会がCMぐらいしかない。なので、このDVDで楽しんでもらいたい。こちらは撮影秘話を副音声で入れていまして、大体「辛かった」「寒かった」っていう話なんですけど。

--そして先ほど観させて頂いた“10年分の「そのぬくもりに用がある」”。

木内泰史:ベスト盤でここまで金かけることって無いんじゃないですか。

山口隆:ベスト盤って金かけないから、やりたいんだからね。会社は。

木内泰史:だから多分俺たちのベスト盤は二度と作ってくれない。

--(笑)。これでみんなサンボマスターみたいなベスト盤を出し始めたら面白いですけどね。レコード会社は大変ですけど。

山口隆:やるべきですよ! やれんだから。ベスト盤、ちょっと工夫で この凄さ。まぁ最初にやっちゃったけどね!

--で、僕も『究極ベスト』で改めてサンボマスターの楽曲を聴かせてもらって、湧き上がってきた質問があるんで投げ掛けさせてください。『世界はそれを愛と呼ぶんだぜ』でサンボマスターは「悲しみで花が咲くものか!」と叫びました。どんな想いや背景が叫ばせた言葉だったと思いますか?

山口隆:「悲しみで花が咲くものか!」というのは、当時、悲観的な空気が多かったんですよ。まだあの頃のロックって「悲観的なこと言っておけば安全だろ」みたいな空気があったんですよね。それもちょっと嫌だったし、世間的にも偽悪的なものを感じていたというか。俺の記憶だと「愛と平和」とかって言うと「全然ロックじゃねぇ!」みたいな空気が凄いあったんですよね。今だとそんなことないですけど。でも当時はそれを歌ったら熱いなと思って「やってやろう」と思いましたね。

--当時、銀杏BOYZの峯田さんがブログでこの曲について、サンボはおそらく今現在とても苦しんでいると思う。かつてない程売れる。そのプレッシャーは僕なんかには計りしれないと綴っていたのを憶えているんですが、実際のところはどうだったんですか?

山口隆:ちょっと売れすぎたなとは思いましたね。「これはいかんぞ」と。3人ともそう思ったから3rdアルバム『僕と君の全てをロックンロールと呼べ』でめちゃくちゃやった。偉そうですけど「これは自分たちが楽しくできる許容量を超えてるな」と思ったんですよね。つまり良くないってことです。売れ過ぎって良くないと思いましたよ。自分たちの分かんないところで物事は動いていくし、そういう大人の世界に対して嫌な空気を感じたから、もうちょっと閉じた活動をしようと思った。まぁ楽しかったですけどね。無敵な感じがしてて、物凄いパワーでやっていたので。

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2005年にサンボマスターと銀杏BOYZがやったこと

--あと、僕はサンボマスターに初めてインタビューしたとき、“愛と平和”のコール&レスポンスに台本通りのドラマを観ている気分になったことがあると言って。山口さんは「それを乗り越えなきゃいけない。乗り越えなきゃいけないけど、決して“愛と平和”を何度も歌うことは悪いことではないと思う。何度でも言うし、歌ってやろうとは思います」と答えたんです。

山口隆:だからあの当時は「愛と平和」はロックじゃないっていう空気があったんでしょうね。「ジョン・レノンだって歌ってんだけどなぁ」とは思いましたけど。今は逆にすごくやり易い。

--最近のサンボマスターのライブを観ていると「“愛と平和”を叫ばせてくれ!」っていうオーディエンスの想いをすごく感じます。

山口隆:お客さんは前にも増して楽しみにしているというか、音楽を楽しみたがっている感じはしますけどね。僕はそれはとても歓迎すべきことだなと思っていて。サークルモッシュをやった後にみんなで仲良くしたりしてて「良いなぁ」って思うし。殺伐としているよりそっちの方がよっぽど良いなと思う。だから僕はね、とにかく「2005年と同じことをずっとやるっていうのは違うなぁ」っていうのはあったんですよね。2005年にサンボマスターと銀杏BOYZがやったことは、自分たちで言うのは偉そうですけど、2005年の素晴らしい成果になったのであって、もう時代はどんどん進んでいる訳で、僕たちは新しい扉を開かなきゃいけない。そこで『I Love You』とか『希望の道』もそうですけど、新しいことをやろうかなと思ってやりましたけどね。

--『ラブソング』もそうですよね。昨年、ライブで披露する際には必ずと言っていいほど「愛しあってるかい!?」と何度も叫んで、そして歌い終えた後はみんなを笑わせることに全力を注ぐ。最近のサンボにとって重要なポイントになっていた曲だと思うんですが、実際のところはどうですか?

山口隆:大重要な曲でしたよ。あれがあったから5thアルバム『きみのためにつよくなりたい』が作れたし、それによって新たなリスナーの人がどんどん増えた。可能性がどんどん広がりましたよね。特別な1曲。で、ライブでは前後のMCも含めて『ラブソング』の一部っていうかね。次に『光のロック』とかでうわぁっ!ってなるまでが1曲みたいな感じ。

--「愛しあってるかい!?」と叫ぶことも『ラブソング』の後に「笑え!」って叫ぶことも含め、ロックンロール代表としてやってきました!的な気概を、僕は昨年観たサンボマスターのすべてのライブから感じました。実際、それぐらいの気概はありました?

山口隆:いやぁ~、どうっすかね~? まぁあそこに立つと言っちゃうんですけどね。ロックのアレだって(笑)。あそこの場っていうのは現実と違いますからね。不思議な空間ですよね。逆に言えば、自分たちをそういう風にさせてくれるっていうか。

--では、今日のインタビュー、〆に入っていきたいんですが、個人的に『究極ベスト』からは“愛と怒り”を感じまして。まず今怒っていること、もしあったら聞かせてもらえませんか?

山口隆:「音楽が売れない」って言いますけど、バンドとかリスナーに罪は何にもないですし、システムだけの問題であって。それなのに「音楽が売れない」と声高に叫んでですね、バンドのテンション下げて、音楽家の如く語るのはちょっとよくねぇぞって。リスナーの音楽を聴くモチベーションが下がった訳でもないし。っていうところには怒ってますかね。

近藤洋一:野球のときもあったでしょ。テレビ局がダメになってるだけで、野球というスポーツは日々進化している訳で。音楽もそうですよね。

山口隆:フォーマットが崩れただけですから。で、音楽業界の偉い人たちは政治とかには好き勝手言うんだけど、いざ自分たちの業界のフォーマットが崩れたら何にも言わない訳ですよね。やるべきことは、たかだかこんなことですよ!(※『サンボマスター 究極ベスト』を手にする) ぐわぁ~!って入れてこの熱量で安く出すっていう。たかだかロックンロールの表現じゃないですか、こんなの。これをやっただけでみんなが「なんだこれ!?」ってなるということは、今がよっぽど閉鎖的なんだよね。そういう保守的な空気が良くないなって思います。怒りに関しては。

--では、3人が今愛を感じているものは?

山口隆:木内の子供が可愛いんですけど。

木内泰史:世界で一番可愛いって言われているんですけど。

山口隆:(笑)。そういうのを端から見てて「良いなぁ」って思う。あと、近ちゃんの子供はとっても凄くて、ライブに女優さんがいらしてくれると、僕ら喋りたくても緊張するじゃないですか。でも近ちゃんの子供はみんなにフレンドリーだから、その女優さんに対してもフレンドリーなんですよ。「うわぁ~!」とか言って。そのときはもう赤ん坊ではないんですよね。僕らのキャプテンなんです。

--(笑)。

山口隆:僕らの夢を背負ってくれる存在でもあるんですよね。

木内泰史:安部コウセイは完全に負けてましたからね~。

山口隆:HINTOのな。おまえ~、名前を出してやるなよ~。

木内泰史:元SPARTA LOCALSの。

山口隆:詳しく出すなよ、おまえ~。まぁTHE BACK HORNの松田(晋二)くんもいたけどな。

木内泰史:無邪気にサトエリ(佐藤江梨子)ちゃんのもとへダッシュしていく赤ちゃんを見て、俺に愚痴ってました。

近藤洋一:「俺も行きてぇわ」って(笑)。

山口隆:まぁそんな感じで2人の愛情みたいなものを見ていると、僕はまだ子供とかいないですけど「あ~、家族が出来るって良いんじゃないかなぁ」って。

木内泰史:俺も子供が生まれてそう思いました。すげぇ可愛いし、別に何か返ってくると思わないで愛情注げるじゃないですか。それって音楽と同じだなって気付かされたし。

山口隆:で、俺はそんな2人と別れて家に帰ると、ひとりでリトル・リチャードなんか聴いてるんですよ。「俺にはロックしかねぇ」って「ワンパラガドゥンワ!」ってやってんスよ(笑)。

近藤洋一:大学のサークルの後輩からやりたくねぇコピーバンドに無理やり誘われたときも、同じことやってましたよ。

一同:(爆笑)

近藤洋一:「俺にはロックしかねぇ」って。

サンボマスター「サンボマスター 究極ベスト」

サンボマスター 究極ベスト

2011/04/06 RELEASE
SRCL-7612/3 ¥ 3,300(税込)

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