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<インタビュー>原因は自分にある。は次なるフェーズへ 「7人ですべてをかけたい」
7人組ダンスボーカルグループ、原因は自分にある。(以下、げんじぶ)が1月25日に3rdアルバム『無限の終わり』をリリースした。
2019年に改名し本格的に活動を始めて以降、2021年に1stアルバム『多世界解釈』を発売。続いて2ndアルバム『虚像と実像』を同年に発表し、短期間で急成長を遂げてきた。今回リリースしたのはこれまでの活動の集大成とも言えるアルバムで、これまでの“げんじぶらしさ”を引き継ぎつつ、今後の彼らの未来も感じ取れるような内容になっている。
昨年は主要都市を巡る2度のツアーを完走し、1月28日にはついに悲願のパシフィコ横浜公演を控えた今、彼らは何を思うのか。メンバー7名のうち、ドラマ撮影のため活動制限中の杢代和人を除いた6名(大倉空人、小泉光咲、桜木雅哉、長野凌大、武藤潤、吉澤要人)に話を聞いた。
(Interview & Text:荻原梓 / Photo:Yuma Totsuka)
2022年のげんじぶを一文字で表すと……
――2022年は多数の楽曲のリリースに加えて、有観客のワンマンライブやファンクラブイベントも開催したり盛りだくさんの一年だったと思います。2022年はみなさんにとってどんな一年でしたか?
大倉:2022年は変化がたくさんあった年でした。僕たちが結成してからすぐコロナ禍になってしまいなかなか有観客ライブができなかったなか、2022年は有観客で春ツアーと秋ツアーをやったんですけど、春は三大都市で、秋は五大都市で開催させてもらいました。ファンクラブイベントも最初は東京だけだったのが、12月には大阪と東京の2会場で開催させてもらって、規模が大きくなってます。それと(杢代)和人が『仮面ライダーギーツ』に出演中のためグループ活動を制限しているので、6人での活動が増えたのも変化の一つです。
小泉:新しいことに挑戦した年でした。3Dアバターを使ったメタバース特典会など、いろいろと挑戦できましたし、曲の幅も広がりました。個人的にもサッカーを始めたりして、挑戦の一年だったと思います。
吉澤:自分は目いっぱい時間を使ってやろうという気で、動ける時は動けるだけ動いていました。特にフリーの時間がある時は、自分の興味のあることにひたすら時間を使っていました。ずっとバイクの免許を取ってみたかったので免許を取ってみたり、世界遺産の検定のための勉強をしたり、馬にも乗ってみたかったので乗馬に行ってみたり。とりあえずやってみたかったことを2022年の始めにリストにしていたので、そのリストから一つ一つひたすら消していく作業をやってました。
桜木:自分と向き合えた一年でした。ツアーでは最後まで出られなかった公演もあって。今まではライブに出られることが当たり前だったので、いざこういう状況になった時にしっかり自分と向き合わないとなと思い直しました。それと時期的にも進路を考えるタイミングでもあって、自分に足りないものは何だろうなとか、とにかく自分と向き合って考えながら日々過ごしていた一年だったと思います。
長野:僕も考える一年でしたね。高校を卒業して環境が変わったというのもありますし、和人が仮面ライダーになったというのもありますし、いろいろと自分の周りのものが変化していった一年でした。覚悟を決めてこの活動をやろうと自分の中では決めていたので、より一層げんじぶのことを考えることが自分の中でメインになりましたし、パシフィコ横浜での公演も決まって、それについて考えなかった日がなくて。振り返るとげんじぶのことをずっと考えてたと思います。
武藤:常に歌っていた一年でした。というのも、思い返してみると2022年は一か月に一回くらいのペースでシングルをリリースしてたんですよね。だからレコーディングの部屋にいながらずっと歌い続けてた年だなあと。
――歌った年、変化した年、挑戦した年。いろいろと皆さんから挙がりましたが、ずばりげんじぶの2022年を漢字一文字で表すと何でしょうか?
大倉:いろんなものが変化したという意味で「狸」かな。
大倉以外:たぬき……?
長野:微妙な空気が流れてる(笑)。
桜木:あえて「終」っていうのはどうかな。一度パシフィコで区切りをつけるという意味で。アルバムのタイトルも“無限の終わり”だし。
大倉:7人でのげんじぶということで漢字の「七」はどう?
武藤:それ言っちゃうと2022年だけじゃないよね。
桜木:じゃあ「各」。みんなそれぞれ考えたことがたくさんあったから。
小泉:「じゅん」はどう?
武藤:俺のこと?
小泉:準備の「準」ね(笑)。2022年はパシフィコのための準備の年でもあったんじゃないかなって。
大倉:たしかに。
長野:「進」はどうかな。いろいろ悩んだけど、どんな形であれ進むしかなかったし、攻撃こそ最大の防御じゃないけど、6人になっても秋ツアーやったり、何からも逃げずに全員でそれぞれの場所で頑張って、観測者(げんじぶのファンの呼称)の方もずっと応援してくれて、みんなで一歩ずつ進んできた年だったから。
一同:うんうん。
小泉:いいと思う。ってことで「終」だっけ?
一同:(笑)。
大倉:全員頑張ったという意味なら、さっき雅哉が言った「各」でいいんじゃない。それとも「輝」は?
一同:……。
大倉:えええ!
一同:(笑)。
小泉:じゃあ「作」!
武藤:曲の幅が広がったという意味で「広」!
――そろそろまとめましょう(笑)。
大倉:やっぱり「七」で。理由は7人の時間って大切だなと思ったから。
武藤:それだと今年も「七」になっちゃう。
大倉:そっか、じゃあ……「終」で!
一同:(頷く)。
『無限の終わり』ここが聴きどころ
――ありがとうございます。まさにその文字がタイトルに使われた3枚目のアルバム『無限の終わり』がリリースされました。今回はどんなアルバムになりましたか?
大倉:前回のアルバム『虚像と実像』は、モーションキャプチャーなどげんじぶが活動の幅を広げていって、2次元と3次元の狭間で僕たちは何なのかっていうのを問いかけてた部分があったんですけど、今回は今まで活動してきた3年間の集大成的なアルバムで、げんじぶとして次のフェーズへ行くために、また新たに次のステージで無限に走り続けるよ、というテーマになってます。ピアノロック調の今までのげんじぶらしさは残しつつ、第2章に進むための曲も入ってるアルバムです。
武藤:これまでのげんじぶっぽさを残しつつ、今までの僕たちを知ってる人からすればまた新たな僕たちを発見できると思いますし、初めてげんじぶを聴いた方にも、このアルバムでどういうグループかを知ってもらえると思います。
――武藤さんから先ほど「ずっと歌い続けてた年だった」という話がありましたが、そんな2022年の活動がギュッとこの一枚に詰まってるようにも思いました。収録曲の中で思い入れのある曲はありますか?
武藤:2曲目の「原因は君にもある。」ですね。2022年はこの曲を一番披露したと言ってもいいくらい歌いましたし、何回もパフォーマンスした曲なので、この曲が僕たちのアンセムというか、グループの代名詞になったと思います。やっぱり何回聴いても良いなと思いますね。
大倉:僕はやっぱり“げんじぶ三部作”(「青、その他」「結末は次のトラフィックライト」「545」)ですね。短期間でこんなにMVを撮ったことがなかったですし、今までやってきたことからガラッと変えたのがこの三部作だったので、改めてこれを聴くとげんじぶの幅を広げてくれたなと。この3曲でげんじぶの新しい一面を見せられたなと感じます。特に「青、その他」は春ツアーの一曲目でもあったので、今聴くとその頃のことを思い出したりしますね。
桜木:僕の思い入れ深い曲は「チョコループ」です。観測者の方を含めてみんなで踊るというのが今までなかったので。ライブで初めてこの曲を会場の人たちが全員で踊ってくれた光景を見た時は感動しました。
――アルバムの中で特にここを注目してほしいというポイントはありますか?
武藤:1曲目の「無限シニシズム」の“今すぐミラクル以下スルーで”は本当に好きですね。ここの韻の踏み方だったり、言葉の意味自体も気持ち良くて。聴いてくれる人もいいなと思ってもらえるんじゃないかな。
大倉:「Run away」の自分の歌ってる歌詞が特に好きで。その中でも“掛け違えてたボタンみたいに/間違えた場所からやり直せたら”がめっちゃ好きなんです。自分も過去に戻ってやり直したいこととか、気になることとかがあったりするので、共感しながら歌ってます。
小泉:僕はやっぱり「無限シニシズム」の(長野)凌大の“最後は堪え難し”の最後の余韻ですね。ここはげんじぶの独特の世界観を感じさせてくれる場所なんじゃないかな。ライブでもアレンジが利くんじゃないかなと思ってて、楽しみです。
長野:(小泉)光咲が今言ってくれたところは自分でも最初に聴いた時に歌いたいと思ってたところで。僕、椎名林檎さんのことが好きなんですけど、まさにそれだなと思ったんです。結構、林檎さんを意識して歌ったので、そこはぜひ聴いてほしいですね。あと「Q」はげんじぶの3年間を歌ってると思っていて、自分的にはこの曲はまだ完成じゃないなと。将来もっと大きなステージに立ってそこで歌った時がこの曲の完成だと思っているので、そういうところも感じながら聴いてほしいです。
桜木:僕は「Run away」の2サビの“ああ”です。感情のすべてを詰め込みました。
吉澤:今回のアルバムは(大倉)空人とラップで掛け合える場所が多くて、今までラップやってきてよかったなと改めて思いました。あと「Lion」の(武藤)潤くんのサビは本当に聴いてほしいですね。今まで潤くんにはいろんな曲のサビを歌ってもらっているけど、その中でもこれが一番潤くんに合ってると思う。
長野:たしかに。
吉澤:潤くんの歌声が今までで一番生きる曲なんじゃないかな。本当にたくさんの人に聴いてほしい。
大倉:この曲格好良いよね。
武藤:ありがとう! 「Lion」はイントロが壮大でギターソロが激しくなってから最初の歌い出しだから、めちゃくちゃ緊張するんだよね。1分半あるイントロを経ての歌い出しというのもあって、自分の歌が本当に大事だと思ってる。だからいろいろなアーティストさんの歌い方とかを研究して、できる限り技術を取り入れられるように頑張ってます。
7人でパシフィコにすべてをかけたい
――そんな様々な楽曲が収録された今回のアルバムですが、ラストを締め括る「僕らの世界・物語」はげんじぶのこれまでとこれからを歌った大切な一曲だと感じました。この曲にはどんな曲になってますか?
小泉:初めてこの曲を聴いた時は、(曲を提供してくれた)izkiさんの今までの曲からガラッと変わったなと思って。今回は僕らに対しても強く歌ってるような、げんじぶの現状から未来へ繋ぐ曲でもあるのかなって思いました。
大倉:「キミヲナクシテ」から「貴方に溺れて、僕は潤んで。」と来て、izkiさんはこれで3作目なんですけど、今回は僕たちへのメッセージでもあるのかなって。本人に聞いたわけではないので自分の勝手な解釈になっちゃうんですけど、izkiさんからみた僕らを歌ってくれてるのかなって思いました。
武藤:僕たちのことを昔から見ていたのかなっていうくらい僕らが普段生活してる上で思ったことが歌詞に書いてあって。例えば“描いてく1秒間その先も続く物語を”とか、“諦めずずっと僕はきっと/あの日見た夢の欠片を探す”とか、すごく素敵な表現だなって思いますね。izkiさんは同じ世代だからなのか、表現がすごく共感できるというか。
桜木:2番Bメロの“目の前には貴方がいて”から”あの日見た夢の欠片を探す”までが特に好きです。本当に今回のアルバムの最後を飾るのに相応しい曲だと思いました。
長野:この曲はデビューから3年経った今の僕らの決意の曲ですね。僕らが観測者に届けたいことをizkiくんがピンポイントで書いてくれたと思ってます。アウトロも自分たちの声で終わるので、これからまた再出発するタイミングに相応しい曲だなと。
吉澤:夢を追う人全員に聴いてほしい曲だなと思ってます。個人的にはスポーツの大会とかに使われてほしくて。一つの目標に向かって仲間と一緒に進んでる人たちに寄り添える歌詞だと思うので、夢を追いかけてる人たち全員に聴いてほしいなと思います。
――このアルバムはげんじぶにとってどんなアルバムになりましたか?
大倉:今の僕たちができることをすべて詰め込んだアルバムです。技術面でも気持ちの面でも、できることすべてを出し尽くしました。3年間の集大成なので、今後の自分たちにとっても大切なものになったと思いますし、いつかこのアルバムを聴き返した時に、あの時の自分たちはこうだったなと思い出せるような記憶の欠片になったんじゃないかなと思います。
――1月28日にはこれまで目標に掲げていたパシフィコ横浜公演が待ってます。ライブに向けて全員の意気込みを聞かせてください。
吉澤:会場が大きくなればなるほど客席も広がるので、同じ金額を払ってきてくれた方でも、見られる場所によって見え方が変わると思うんです。でも、どこから見ても楽しいと思えるグループでありたいし、どこから見ても7人全員と目が合ったと思って帰ってもらいたい。会場は大きくなっても当たり前のことをしっかりできるグループでありたいというのは変わらないですね。
長野:デビュー前にメンバーと先輩のライブを見に行ったというのもそうですし、個人的にも何回もパシフィコには足を運んでて、あの場所でたくさん夢を貰ってるんです。メンバーとも「いつか立とうね」なんて根拠のない自信を持って話したりしてて。でも3年やってきて、今はちゃんと理由のある自信を持ってパシフィコに立ちます。あの時の言葉を有言実行できてよかったと思いますし、これからもっともっと大きいステージに立っていくために、僕たちが逆に夢を見せる立場として、7人でその日にすべてをかけたいと思います。
桜木:会場が広がっていくにつれてもっと大きなステージに立ちたいという思いがいつも強くて。今はもうパシフィコから先のもっと上に行きたいという気持ちがあります。それでその先に行けるかは自分たち次第だと思うので、パシフィコに向けて一年頑張ってきましたけど、ここでもっと頑張れるかが重要だと思ってます。
小泉:アルバムの発売からすぐなので、げんじぶの第二章のはじまりに相応しいライブにしたいと思ってます。ちゃんと次の未来が見えるライブにしたいと思いますね。
大倉:最初に「2023年にパシフィコあるから」って言われた時は全然実感が湧かなかった。自分たちにパシフィコを埋められるほどの力がないって自覚が7人全員にあったからだと思うんです。そこから1月28日に向けて全員で一歩一歩頑張ってきました。春、秋と規模も大きくなる中でライブ後も毎回反省会して「ここはできたよね」って一つひとつできることを増やしていって。そうやって7人で手を取り合って紡いできたものがやっと結晶となって披露できるのは嬉しいことです。でも、あくまでこれは通過点なので、パシフィコで集大成を出し切ったら、また次の目標に向かっていけるように、良いスタートにできるようなライブにしたいですね。
武藤:パシフィコは今までで一番大きい会場なので、今回初めて僕たちのライブを観てくれるという方もいると思う。そういう方とも一緒に盛り上がれるようなライブにしたいと思っています。
――2023年はどんな年にしたいですか?
武藤:そしたらもう、(第二章の)序盤の「序」ですね。
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