V系シーンの“異端”SuG 涙の別離を超え、最高値更新

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ＳｕＧ

　5月1日 Zepp Tokyoより【SuG TOUR 2012「The Lollipop Kingdom Show」】をスタートしたSuG。アジア各地で熱狂の渦を生み、6月17日中野サンプラザにてツアーファイナル公演を開催した。

06.17（日）中野サンプラザ｜セットリスト

アルバム完全再現～人の不完全さを全肯定

　ヴィジュアル系シーンにおいては“異端”と捉えられる音楽性と、アートワークやPV監督まで自ら手掛けるセルフプロデュース力。オリコンウィークリーランキングで1位を獲ったらホッペにチューというマニフェストを掲げてしまえるユーモア、唯一無二のスタンスのまま天下獲りを狙う姿勢など、様々な魅力を併せ持っているSuG。今回のツアーでは、最新アルバム『Lollipop Kingdom』の曲順通りに演奏を進めるコンセプチュアルなアクトを繰り広げた。

　結ばれてはいけない国同士の2人が恋に落ちてしまい、それがきっかけで戦争が始まる。でも実はその戦争は2人を結ばせる為の八百長だった……というアルバムのストーリー/世界観にリンクした映像やセット、ダンスパフォーマンス等を駆使しながら、彼らは序盤より再現難易度の高い収録曲たちを全身全霊で披露。人気シングル曲『☆Gimme×Gimme☆』『Toy Soldier』などではもちろん、よりアート性の高いアルバム曲でも大いに踊らせていく。

　本編終盤では「ツラいって思うってことは、自分の人生と向き合っているってことだと思うんで、すごく素晴らしい。だから、めちゃくちゃ溜めた負の感情を、ムカつく、イライラ、ツラいを、拳と声に換えて思いっきりぶつけ合って、お互いもっともっと格好良くなって帰ろうぜ！」と武瑠（vo）がメッセージし、そんな“不完全”さを全肯定した『不完全Beautyfool Days』で大暴れ。その後も、無数のハートが頭上を飛び交う演出など飛び出し、会場中を笑顔で埋め尽くした。

人の前で泣くとかダサいかもしれないんだけど……

　アルバムの世界観を再現することで、人間の不完全さを肯定する。そんな緻密で有意義なライブを繰り広げたSuGだが、アンコールではキラーチューンをなりふり構わず連発。ファンは一丸となって激しすぎるヘッドバンギング＆ジャンプを繰り広げ、中野サンプラザは揺れに揺れる。また、yuji（g）による手書きでのグッズ紹介＆変顔コーナー等もあり、会場は常に多幸感に溢れていたのだが、武瑠（vo）は『dot.0』を歌う前に涙を流した。

　彼は、2009年のMITSURU（dr）脱退後、苦悩していたSuGを支えてくれた大切なスタッフと、最新アルバムの制作途中に別離したことについて言及。その別れがとてもツラかったこと、仕方がないことと目を逸らして乗り越えようとしたら感情に薄い膜がかかってしまったこと等、隠さずに話していく。そして、もう一度自分を見つめ直して辿り着いた答え、「痛い痛い思い出もつれて、過去もつれて、今を大切に、未来へ行くぞ」という自らの生き様を口にする。

　「人の前で泣くとかダサいかもしれないんだけど、大切な人がいなくなって泣けなくなる自分よりも、こうやって泣いて、本気で心から感動して、人に届けられるアーティストでありたいなって思いました。だから、感情的になって傷付けてしまったり、不安にさせてしまったりすると思います。だけど、ひとつだけ約束できるのは、本当に自分が格好良いと思ったものしか届けたくないです。この先も、思いっきり思いっきり自分が“この一瞬が最高に格好良い”と思えるものを作っていくし、ライブやっていくんで、ついてきて下さい！」

次会ったときは、もっと大切な場所になってんぞ！

　この言葉に共鳴した観客は、本編15曲＆アンコール7曲を全力で受け止めていたにも関わらず、悲鳴に近い凄まじいコールを5人へと送り続けていた。そんな中、SuGはスクリーンにて今夏に熱い対バンを実現すること、9月19日ニューシングル『sweeToxic』をリリースすること、その新作を引っ提げた全国ツアーも開催することを発表し、2012年後半も全力で駆け抜けていくことを宣言した。

　そして「ここにいる俺たちと、今いるおまえらのSuGが最高だってことを証明していこうぜ、いいか！」と、ライブはダブルアンコールへ。最後は定番のラストナンバー『39GalaxyZ』、「ひとりひとりいびつなこころで支えあう此の場所が失くせない失くしたくはないたったひとつの居場所なんだ」の合唱で、SuGの最高値を更新したツアーに幕を閉じた。「次会ったときは、もっと大事な、もっと大切な場所になってんぞ、ここが！」