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<インタビュー>INTO1 SANTA 家族、仲間、ファンへの感謝を込めた新曲「I’m from...」を語る「自らの人生そのものを込めたかった」

インタビューバナー

Interview & Text:岡本貴之


 INTO1 SANTAが新曲「I’m from…」を2022年11月25日にデジタル・リリースした。SANTAは、日中混合男性ボーイズグループ・WARPs UP(ワープス・アップ)のメンバーとして2020年にデビュー後、2021年に中国の番組『創造営2021』を機に期間限定ボーイズグループ・INTO1(イントゥーワン)に加入。その後は、中国で活動を行っている。幼少期からダンススキルを磨き、史上最年少で世界最高峰のダンスバトル大会【STREET DANCE KEMP EUROPE】で優勝するなど、数々のダンス大会で優勝経験を持つダンサーでもある彼。「I’m from…」には、夢を追い続けて辿り着いた現在の心境が、自身による作詞で余すことなく綴られている。新曲について、中国での活動について、そして家族や仲間について、これからの活動について。思う存分語ってもらった。

周りの人たちへの“感謝”

――新曲「I’m from…」発売、おめでとうございます。リリースを迎えるにあたっての率直なお気持ちを訊かせてください。

INTO1 SANTA:ありがとうございます! 「I’m from…」は、自分が昔どういう形で生活してきて、そこから学んだものは何かということをテーマにしています。タイトルの「I’m from…」は「自分はどこから来たか」という意味なんですけど、そこには支えてもらった家族だったり、仲間だったり、いろんな人の協力があって今の自分があると思っているんです。その感謝を曲に込めているんですけど、曲を作るにあたっても、作詞やトラック、撮影とか、いろんなことがひとりでは絶対できない中で進んでいくということを、制作しながらまたさらに感じることができて。本当に、「みなさんありがとうございます」という気持ちでいっぱいです。


――そういった周囲の方への感謝の気持ちというのは、ご自分が活動していく中で気づいた部分だったんですか?

INTO1 SANTA:みなさんが僕に思う印象というのは、今だったら“海外から中国に来た人”だと思うし、ダンスでもともと世界一になったこともあって、“ダンス世界チャンピオンの人”みたいな、表の部分を見られると思うんです。でも、そういう結果を獲ったからこそ「自分は、まわりの人たちを喜ばせたいがために頑張っていたんだ」ということに気づいたところもあったんです。そういう思いをテーマにした曲なので、歌詞にも友だちや家族との思い出とかを色々入れながら、作詞家さんと一緒に作っていきました。


――歌詞には、ご両親への気持ちもそれぞれ綴られていますね。

INTO1 SANTA:僕は家族、友だちに恵まれて今までやってこれたと思っていて。自分の夢は最初、“日本一のダンサーになること”で、日本一を獲れたから次は世界一を獲りたいと思うようになったんです。17歳の時に、チェコで行われたダンス大会(【STREET DANCE KEMP EUROPE】2015)で優勝して世界一を獲ることができたんですけど、優勝したのにそこまで嬉しくなかったんですよね。そのときに、一番僕の頭の中にあったのは、「早く日本に帰って、これを家族に伝えたい」ということだったんです。家族に伝えれば絶対泣いて喜んでくれるし、友だちに伝えて、僕のことを自慢してくれている姿を見たいっていう感情になって。そのときに、「自分がどうしてこれまで頑張ってこれたのか?」ということに気づけたんです。今こうして海外に来て、もっと大きな存在になりたいと思ったきっかけも、自分が大きくなれば家族や仲間、応援してくれる人たちも喜んでくれるし、次の作品に期待してくれるということなんです。それが自分の動力になっている部分がありますね。


――なるほど。そういう意味も込めて、1か所だけ日本語で「ありがとう」と歌っているわけですね。

INTO1 SANTA:そうです。応援してくれている人たちへの母国語での「ありがとう」でもあるし、家族は生まれたときから、友だちは出会ったときからずっと今も支えてくれている仲間なので、その人たちへの「ありがとう」です。


――歌詞を書く上で、結構時間はかかりましたか? 制作にまつわるエピソードがあれば教えてください。

INTO1 SANTA:詞を書くという部分では、自分のメモに感謝している気持ちとかを常に書いているんですけど、この曲は自分の人生そのものを歌いたかったからこそ、どのエピソードをピックアップするかを選ぶのが難しかったです。それと、日本の言葉をそのまま中国語に訳するとちょっと変になったりもするから、どの言葉を使おうかな、ということは考えました。


――〈夢を追いかけるのは決して容易ではない〉という意味のフレーズが印象的でした。今おっしゃったように、言葉の壁をはじめ海外で活動する上で大変なことは多いと思うのですが、そういったことをどのように乗り越えてきたのでしょうか。

INTO1 SANTA:中国語はめちゃくちゃ難しくて。すごく苦戦していて、今も勉強中なんですけど(笑)。ただ、それに対してネガティブには思っていないんですよ。これはたぶん、言語を学んだことがある人はわかると思うんですけど、その人の言ってる意味がわかるようになればなるほど、その人のことを好きになるし、この国のことを理解できるようになるので、そこは自分にとってそんなに難しいポイントではないですね。〈夢を追いかけるのは決して容易ではない〉という歌詞の意味は、自分のダンサー時代もそうなんですけど、夢ってほんの一握りの人が手に入れられるものだし、そんなに簡単じゃないというか……。努力しないといけないし、努力しても報われる確率なんてほんの少しだから。でも、その簡単じゃない夢を掴みに行く時間が好きだから、続けられると思うんです。


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ダンサー時代の苦労を乗り越えて

――幼少期からダンサーとしてスキルを磨いてきた中で、常にそういう簡単じゃないことにチャレンジしてきたわけですか。

INTO1 SANTA:そうですね、僕は負けず嫌いなので(笑)。たとえば、僕がテレビ番組に出るときも「世界一のダンサーです!」って紹介していただいたりするんですけど、実は“世界一のダンサー”イコール“世界一負けているダンサー”というぐらい、負けている数も多いんですよね。大会に出るときは、優勝することの方が少なくて。


――そんな中で苦労したことってどんなことですか?

INTO1 SANTA:ダンサーのときに僕がいちばんきつかったのは、ストリートダンスは優勝しても賞金が何百万円もあるわけじゃなくて、金銭的にもすごく厳しい生活をしていたんです。そこに対する難しさは感じました。結果はあるけどお金はない、みたいな(笑)。


――輝かしい実績を紹介されがちだけど、その陰で挫折も味わっているということですね。

INTO1 SANTA:はい、そうですね。


――そういう時代を経て、ダンサーだけに留まらず今のような活動を目指したのは、どんなきっかけがあったんですか?

INTO1 SANTA:結果を求めて頑張っていた頃は、スポーツ感覚に近かったんです。「今回は負けた、悔しい。次は勝ちたい」というシンプルな気持ちだったんですけど、(ダンス大会で)結果を掴みたいという目標を越えた後に、先ほどお話したように、「自分がなんで頑張っているのか」という理由がわかったんです。今はその理由があるから、色んなことを頑張れるというか。「もっと大きくなりたい、チャンスがきたらそれを掴みたい」という気持ちで、進んできた感じです。昔は目の前にぶら下がっている結果を追いかけるだけだったんですけど、今は心の一番深いところに目的があるから、そこに対して頑張っていこうと思うようになりました。「I’m from…」は最後をわざと「…」としているんですけど、自分にとって、国籍が日本だとか、出身がダンサーだとかっていうのは“場所”とかではなくて、もっと深いところにある。そういう思いを、このスペースに込めています。


「言葉を、違うものを通して伝えるのが好き」

――ところで、Twitterを拝見したら「I’m from…」を表現したイラストを披露していましたよね。

INTO1 SANTA:ああ、イラストがどんどん広がって行くやつですか?


――そうです。あれはご自分で描いたんですか?

INTO1 SANTA:自分で描きました。すごく大変でした(笑)。


――すごいですね!「一週間かかりました。」とコメントされていますけど、逆に一週間で作れるって驚きですよ。

INTO1 SANTA:いやいや。普通に絵を描くアプリだとああはできないので、専用のアプリを使って描いてるんですけど、それを使うと背景と人物でレイヤーを分けられなくて。本当にただ筆描きしているみたいな感じだから、めちゃくちゃ大変でした(笑)。一度、寝ぼけて消しゴムでシュッと消したら、中の絵まで全部消えちゃって。「うわっやべぇ~!」みたいな(笑)。


――相当大変そうですね(笑)。曲の内容とリンクしたメッセージが込められている感じでしたけれど、どうやって制作していったんですか。

INTO1 SANTA:最初にストーリーを考えて、一度適当に黒いペンだけで描いていって、そこから広げてまた中に次のストーリーを描いていって、後から色をつけてもっと細かくしていった感じです。


――もともと、イラストは得意なんですか?

INTO1 SANTA:高校ではデザイン情報科に通っていて、Illustratorとかを勉強していて。高校生の頃、自分はダンサーで生きていくつもりだったので、ダンサーになったら自分でイベントを開いたり、レッスンの告知を自分でしたりしなきゃいけないから、自分で作れた方が安く済むと思って(笑)。それで勉強しはじめたのが最初ですね。


――自分のイメージ通りのものを、ちゃんと人に伝えたいという気持ちもありますか?

INTO1 SANTA:そうですね。自分の物語を今回は曲にしていますけど、たとえばダンスにしたり、絵にしてみたり、言葉を言葉そのもので伝えるんじゃなくて、違うものを通して伝えることが好きなんです。


――ダンスも絵も、自分を表現するもののひとつであるわけですね。それで言うと、今のINTO1 SANTAさんにとって音楽はどんな存在なんでしょう?

INTO1 SANTA:たとえば自分がやっている(ダンスの)フリースタイルバトルだと、DJの方がかけてくれた曲に対して、即興で踊らないといけないんです。そのときに、自分がもともと表現したかったものと違う曲がかかったら、それに対応しないといけないんですよね。でも、今回みたいに自分の曲を作れるということになると、やっぱりダンスでは表現できなかったものももっと細かく表現できるし。直接的に伝えられる方法がまたひとつ増えたのかなと思います。


――「I’m from…」は、とても先鋭的なトラックとリフレインするサビのメロディが耳に残る曲です。INTO1 SANTAさんは、もともとこういうジャンルの曲が好きなんですか?

INTO1 SANTA:いや、そんなこともないです(笑)。普段聴いている音楽も結構バラバラなんですよ。昭和のバラードとかもめちゃくちゃ好きですし、バンドの曲も好きだし、海外のヒップホップも好きだし。だからこれからはまた違うスタイルの曲も作っていきたいなと思っています。


――音楽も含めて、日々の暮らしの中で刺激を受けているものはどんなことがありますか?

INTO1 SANTA:海外に行くたびに色んな刺激を受けるんですけど、でもじつは、いちばん最初に刺激を受けたのは父親ですね。僕の父は、もともと芸人だったんですよ。


――そうなんですか?

INTO1 SANTA:そうなんです。だから僕が小さい頃、父が担当するラジオ番組の現場によく連れて行ってくれていたんです。そこで色々見ていて、家でぐうたらしてるのとは違う父を見て(笑)、「ああ、こういう仕事ってカッコいいな」と思ったのが、最初に受けた刺激ですね。父はお笑い芸人だったから、方法は全然違うんですけど、“人前で何か表現して誰かに伝える”っていうことに対する憧れがあったんです。それと、小さい頃から負けず嫌いだったので、父を越えたいというのもありました。そこからは、どんどん自分が色々経験して「次はこれに挑戦したい」という感じで、今に至っています。


海外での活動で大切にしていること、伝えたいこと

――なるほど。今の中国での生活面で、大切にしていることは何ですか?

INTO1 SANTA:やっぱり、中国の言葉と文化の勉強ですね。中国に来てから中国語を勉強しているんですけど、最初は難しいし意味がわからなくて。でも、意味がわかればわかるほど、街の人が何を話しているかとか、タクシーに乗ったときに運転手のおじちゃんが話しかけてきても以前は戸惑っていたことが、「今日、暑いね~」とか「最近ここらへんにカフェができたよ」とか言っているとわかるようになって。どんどん文化も人の生活もわかるようになって、楽しくなってきたんです。そういうことを、海外で生活するうえで大切にしていますし、すごく楽しいなと思っている部分です。


――そうしたことは本当に行動して経験しないとわからないことですから、インタビューを読んで、「INTO1 SANTAさんのように海外で活躍したい」と刺激を受ける10代の若者もいると思います。そういう人たちに夢を与えたいというお気持ちもあるのではないですか?

INTO1 SANTA:そうですね。海外を目指したいと思っている人もいるでしょうし、僕はもともとストリートダンサーなので、後輩とか、キッズダンサーの子たちも、僕がキッズダンサーだった頃を知っていて。そういう子たちからすると、僕が昔めちゃくちゃバトルに勝ってたというわけじゃないという部分も見ているから、「でも、今は楽しそうに活動してるな」って思ってくれていると思うんです。そういう姿が、「夢を追ってもいいんだ」っていうひとつのヒントになってくれればいいなと思います。


――「I’m from…」は『Live Show Video』も公開されましたが、どんな作品になっているのでしょうか。

INTO1 SANTA:ひとつの作品を作るうえで、僕はすごくこだわりが強いタイプなので、今回の映像もどんな内容にするか、どうやって撮るか、どんなダンサーと一緒に踊るかを考えました。背景の大道具みたいなものも、自分に関連しているものがいっぱい映像に入っています。なので、パフォーマンスはもちろんですけど、そうじゃない部分も見ていただけたらより楽しんでもらえると思います。


――今後活動していくうえでの夢や目標を教えてください。

INTO1 SANTA:僕を応援してくれている色んな方々に恩返ししたいという気持ちが強いので、恩返しを続けられるだけ続けたいですね。それと、自分が実際に学んできたものを多くの人に届けて、それによって、生活をしていくうえでの勇気や夢をひとりにでも与えられるような人間になれればいいなと思います。


――では最後に、この記事をご覧のみなさんに改めてメッセージをお願いします。

INTO1 SANTA:いつも応援してくださって、本当に感謝しています。この曲「I’m from…」はみなさんへの感謝もそうだし、一人ひとりの生活の中でみんながポジティブに、一歩進めるような曲になればいいなと思っているので、たくさん聴いてもらえたらうれしいです。よろしくお願いします!


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