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<インタビュー>Da-iCE 新たな代表曲「スターマイン」と最新曲「Answers」、そして来年への希望を語る
Interview & Text: 黒田隆憲
Photo: 興梠真穂
今年8月にデジタル・シングル『イマ』をリリースした男性5人組アーティストDa-iCE。その収録曲「スターマイン」では、人気クリエイター集団・ローカルカンピオーネによる「スターマイン」の振り付けを、自身の楽曲であることを伏せリリース前に公開するなどユニークな試みにも果敢に挑戦し、今なおBillboard JAPANの総合ソング・チャート“HOT 100”やTikTokチャート“TikTok Weekly Top 20”を賑わせている。さらに現在放送中のドラマ『キス×kiss×キス~メルティングナイト~』では、エンディングテーマ「Answers」を書き下ろし、“恋の方程式”をテーマにした歌詞が話題となった。その一挙一動に注目が集まる彼らの“ヒットの方程式”は、一体どのように導き出されてきたのだろうか。5人全員に話を聞いた。
「スターマイン」で得た手応え
――今年8月にシングル『イマ』をリリースされてから、およそ3か月が経ちました。その後、手応えをどのように感じていますか?
大野雄大:『イマ』収録曲の中でも特に「スターマイン」は、いろんな人から「この曲、知ってる!」「めっちゃ流行ってるよ」と言ってもらうことが多くて。TikTokでの反響やYouTubeの再生回数にも驚いています。この曲のデモを(工藤)大輝くんから聴かせてもらった時、パンチのあるサビのメロディがとても印象的で僕ら自身もとてもテンションが上がったことを覚えていて。それをこうやってしっかり届けられたことを嬉しく感じています。
花村想太:この曲、大輝くん本人がいつになく強めにプッシュしていたのも鮮明に覚えていて。実はもう1曲、僕が書いたシングル候補の曲があったんですけど、こっちを選んで本当に良かったと思っていますね。ヒット曲って、狙って当てるのは非常に難しいと思うんですけど、「バズらせる」をテーマに締め切りギリギリで書き上げてくれた楽曲をここまでのクオリティに仕上げて、ヒットを達成できたことは、自分たちの自信にもつながりました。
岩岡徹:みんなのデモテープを持ち寄っての試聴会のとき、それまで聴いていた曲がいったん全部リセットされるくらいのインパクトがあったのを覚えています。「CITRUS」のような、しっとりとしたバラードをヒットさせた僕らだからこそのギャップというか、同じグループの曲とは思えないくらいの振り幅を持たせることができたのではないかと。きっとそこも含めてリーダー(工藤)の狙い通りだったと思うし、パフォーマンス的にもDa-iCEの新たな一面を打ち出せてよかったですね。
和田颯:明らかに他の候補曲と毛色が違ったので、採用された時は正直「え、どういうこと?」とびっくりしたんですけど。蓋を開けてみればいろんな人がTikTokで踊ってくれて、本当に嬉しく思っています。
工藤大輝:作った時はもちろんヒットを狙っていたし、「そうなったらいいな」と思っていました。が、まさかここまでヒットするとは正直思ってなかったです。今回“夏曲”という大きなお題が与えられた時に、「お祭りみたいな曲を作って、みんなでワイワイ踊って歌えたら楽しいだろうな」って思いついたのがきっかけで。それと“バズらせる”をテーマにしてみようという気持ちがうまく合わさったんじゃないかと思っていますね。
――ちょっとラテン風味が入っているのも、僕ら日本人の琴線を揺さぶったのかなと思いました。
工藤:確かに。昔の歌謡曲やJ-POPには、ラテンの要素をうまく足してヒットさせているものが多いんですよ。コード進行やメロディはちょっと寂しかったり切なかったりするんですけど、リズムはすごく躍動感があって、思わず踊り出したくなるような……たとえば、ポルノグラフィティさんの「サウダージ」とか。日本人とも相性がいいんだろうなと以前から思っていたので、そこを追求してみたんですよね。
――歌詞を読むと、〈本当の意味での祭りはこれからさ〉〈釘付けになるド派手さで/スタンバイ さぁ打ち上げろ〉と、ノリに乗っているグループの状態を歌っているように感じました。
工藤:僕らのことを知らない人が聴いたら、ただただ楽しくてノリのいい曲だなと思うだろうし、ファンの方は「きっとこういうことが言いたいんだろうな」って分かってくれるだろうなと。解釈が色々あったり余白があったりしたほうが、曲に厚みが出ると思ったんです。
――花村さんと工藤さんは、歌う時にどんなことにこだわりましたか?
花村:僕は最初の「あぁー!」っていうシャウトの部分をいかに嫌らしくなく、自然に歌えるかどうかが重要だと思っていました。やり過ぎると野暮ったくなっちゃうし、抑え過ぎてしまうと曲のテーマが活きてこない。そこのバランスを考えながら歌入れをしましたね。
大野:ちなみにそこは、「はぁー!」じゃなくて「あぁー!」ですからね(笑)。〈四の五の言うなよ/ロクデモナイ〉の部分は、音源で聴くとすぐにでも歌えそうな気がすると思うんですけど、実はすごく難しくて。全部しゃくり上げていって、最後の最後に落とすっていう。それをあのテンポとキーで歌うのはかなりハードルが高くて、OKテイクが出るまで何度もやり直しました。
花村:てか、自分たちでキーを高めにしちゃったんだよね?
工藤:知らない間に、デモよりも3音上がってました(笑)。
大野:「やめとこう」って言ったんですけどね(笑)。レコーディングの時って、しっかりコンディションを整えて、少しテンションも高い状態でマイクの前に立つので、「あ、このキーで歌うのは物足りないな」と感じちゃうんですよ。で、いざライブで歌うとなると「たっか!」って後悔するんです。
花村:あははは。でも、きっと3音上げたからこその大ヒットだと思うので、結果オーライですね。
大野:それと、〈寄ってらっしゃい/見てらっしゃい〉の部分は、ちょっと前に流行ったイルマニアさんっていうパーティピーポーの「アーイ!」っていう掛け声を、以前からよく真似していて……。
工藤:知らない方がいたら、ぜひググってみてください(笑)。
大野:それをちょっと意識しながら、いちばんふざけて歌ったテイクが採用されました(笑)。ワチャワチャした感じがうまく出たと思いますね。
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「スターマイン」のダンス
――数字のハンドサインを用いたローカルカンピオーネのダンスも話題になりました。彼らとのコラボはいかがでしたか?
工藤:面白い試みでした。まず、僕らの曲だということを公表せずローカルさんに踊っていただいたのは、なるべく先入観なしに、楽曲の良さだけでみんなに聴いてもらおうと思ったから。結果的にはすぐバレたんですけど、ちょっとした話題作りとしてはうまくいきましたね。
――実際のパフォーマンスは、おなじみs**t kingzのshoji(持田将史)さんが手掛けています。
和田:shoji節満載!という感じですね。もともと彼のルーツはレゲエにあって、今回の楽曲はレゲエとの相性も良さそうだったので取り入れてもらったところ、とんでもないことになりました(笑)。
岩岡:ローカルさんとはまた違った感じで、“祭り感”や数え歌の要素をうまくダンスに組み込んでくれていて。『Official Dance Practice』動画もめちゃめちゃ面白いので、ぜひ見てほしいです。
「スターマイン」Official Dance Practice
「Answers」の歌詞に込めた想い
――さて、現在放送中のドラマ『キス×kiss×キス~メルティングナイト~』の書き下ろしエンディング主題歌「Answers」も大きな話題となっています。こちらは花村さん、大野さんが歌詞を担当していますよね?
大野:久しぶりにバラードを書かせてもらうことになって、まず骨子の部分をどうしようか考えました。最近これといって甘酸っぱい恋愛も体験していないですし、これまでの自分の恋愛経験を考えてみたんです。恋愛って「こうすれば、ああなる」みたいな、いわゆる“方程式”みたいなものはないじゃないですか。相手と自分との関係性の中で、自分なりの方程式を作ってみたところで、“答え”なんてものはひとつじゃない。そんなことを考えていた時、ちょうど円周率についての記事を見つけたんです。円周率って、無限に数字が続いていく「無理数」といわれる定数のこと。でも、それを用いた方程式は存在しているのって、恋愛みたいだなと。それをモチーフに歌詞を書いてみたら面白そうだなと思ったのが、そもそものきっかけでした。
花村:雄大くんが考えてくれたテーマがすごく面白かったので、それを肉付けしながらブラッシュアップをしていく作業はとても楽しかったし、やりやすかったですね。
――歌詞の中に〈願い願われ 高まる理想の愛に/当たり前が幸せと 気付けたんだ〉というラインがありますが、皆さんはどんな時に「当たり前が幸せ」と感じますか?
工藤:僕は最近、美味しいご飯を食べている時に幸せを感じます。
大野:僕もそう。白米とお漬物と焼き魚が並ぶ食卓を見ると「幸せだなあ」って。
和田:僕は猫と暮らしているんですけど、一緒に寝ている時とか、ふとした時に寄り添ってくれたりした時に幸せを感じますね。
岩岡:何か特別なことがなくても、僕は常日頃から幸せを感じています。朝起きて天気がよかっただけで幸せだなって思うし、寝る前も常に幸せなんですよね。コロナ禍になったことで、よりそれは強く感じるようになりました。みんなが健康でいてくれること、それが“当たり前”でいちばんの幸せです。
花村:僕は今ミュージカルをやっているんですけど、やっぱり「はじめまして」の人も多い現場って気を張っているんです。そのぶんDa-iCEのメンバーといる時は、めちゃめちゃ素でいられることの幸せを噛みしめますね。今日も久々にみんなと会ったんですけど、「やっぱりいいな、ここがホームなんだな」って思います。
初のファンミーティングツアー、その後への希望
――さて、来年のツアーはDa-iCE史上初めて【FUN MEETING TOUR】と銘打ち、いつものライブとは打って変わってトークバラエティで魅せる90分間の内容です。9都市18公演を巡るそうですが、こちらの意気込みも聞かせてください。
花村:『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』のプロデューサーとして有名な、柳岡秀一さんがプロデュースをしてくださるんですよ。
工藤:長年Da-iCEを見てくださっている方なので、僕らそれぞれのキャラも分かってくださっているし、絶対に面白くしてくれると思うので。大船に乗ったつもりでいますね。
大野:ウケなくても俺らのせいじゃないしね。
花村:おい!(笑)
岩岡:来年はまたアルバムを作って、春ごろにはファンミとは別にツアーで全国をまわりたいと思っていて。
花村:ツアーのテーマはもうすでに決まっているので、それに沿ったセットリストをこれから考えていくのが楽しみです。
大野:ツアーの先には、俺たちの長年の夢であるドーム公演が待っているので、早くそこへ近づけるように、一つひとつに全力で取り組んでいきたいです。
工藤:いちばん楽しみにしているのは、ようやくみんなが声を出せるようになるかもしれないってこと。マスク越しであっても、その可能性が高くなってきているのがすごく嬉しくて。今はまだ希望的観測のところもありますが、引き続き経過を鑑みながら、最良の形でライブができることを願っています。
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