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<インタビュー>『六本木クラス』劇中歌「Start Over」が話題のTHE BEAT GARDEN 本家Gahoの反応は



THE BEAT GARDENインタビュー

 2020年に話題を呼んだ『梨泰院クラス』をリメイクしたドラマ『六本木クラス』で、劇中歌「Start Over」を歌うTHE BEAT GARDENにインタビュー。主演のパク・ソジュンとイガ栗頭の主人公“パク・セロイ”ブームを起こしたこの韓国ドラマは、Gahoが歌うオリジナル・ナンバー「はじまり」も人気が高い。誰も予想していなかった「はじまり」の日本語訳カバーが初回放送でサプライズ解禁されると、たくさんの反響が集まった。

 THE BEAT GARDENに白羽の矢が立ったのは、今年の春頃。そこから7月7日の初回放送までの短い期間で、歌詞作りからレコーディングが急ピッチで進んだという。日本語訳詞を担当したUは「今まで経験したことのない忙しさでした。」と話す。

 バンド結成から10年。今まで以上のビッグなタイアップとともに、3人は上を目指して羽ばたく準備はできている。今回、なんとオリジナル曲を歌うGahoから3人にメッセージも届いた。(Interview & Text: Mariko Ikitake / Photo: 辰巳隆二)

左から:MASATO、REI、U

――初回放送日の皆さんの心境はいかがでしたか?

MASATO:ファンの人たちがどんな反応してくれるんだろうって考えていたのを一番覚えてます。これまでいろんな発表や嬉しいニュースをファンと共有してきたので、「喜んでくれるかな?」とか「寂しく思われるのかな?」とか、そういう想像がすごく楽しくて。ずっと「もっと大きくなって!」って言われていたので、喜んでくれることは確信してました。

U:原作やドラマのファンの反応を放送前からSNSで目にしていたので、どういうリアクションをもらえるのかが気になっていました。あと、「どこで流れるんだろう?」っていうワクワクでいっぱいでしたね。僕たちも視聴者と同じように楽しむために、どこで「Start Over」が流れるのか、わざと聞いてなかったんです。

――視聴者よりもドキドキして待っていたんですね。REIさんはどうでしたか?

REI:僕らは一歩ずつ前に進むごとに、ちゃんとファンのみんなと共有しながら歩んできたんです。今回は曲先行でしたが、この曲を聞いてすぐに僕たちだって気付いてくれたファンもいたみたいで。どういう反応をしてくれるのかっていう楽しみと、Uさんも言ったように、原作のファンの人たちがどう受け取ってくれるのかが気になっていました。


――パク・セロイの生き様を表現しつつ、足取り軽いサウンドで視聴者の背中も押す点が、「はじまり」の人気の理由のひとつだと思います。THE BEAT GARDENの「Start Over」からも諦めないことの難しさと大切さが伝わってきました。

U:韓国語の直訳バージョンと日本語のニュアンスと比喩を入れたバージョンを考えていました。日本語詞のほうを使ってもらえることになり、もともと原曲にあった夢とか絆、仲間とか、そういう大切なところは消さずに、自分たちらしさを加えました。

――<時間を駆けるあの針のように>や<逃げる理由も言い訳も全部>といった部分は、原曲に沿った内容ですね。

U:そうです。ちょっと煮詰まったときに、よくGahoさんの「はじまり」を聞いていました。韓国語で完コピしたんですよ。言葉が違っても原曲から伝わるものがありましたし、自分たちもいろいろな経験を経て、ここまで来たので、今までのTHE BEAT GARDENを言葉にしても大丈夫だと思いながら、歌詞を書きました。


――昨年SATORUさん(DJ)が脱退されてから3人で踏み出しているところも、タイトル通りですよね。

U:そうですね。SATORUの卒業と10年という節目を迎えるうえで、仕切り直すじゃないですけど、そういう気持ちはずっとありましたし、このタイミングでこの曲に出会えたので、自分たちの意思も込めてやろうと思いました。

――MASATOさんとREIさんは、歌詞の中にご自身とクロスする言葉はありましたか?

REI:六本木のmorph-Tokyoというライブハウスなくして、今のTHE BEAT GARDENはないんです。ドラマの六本木というテーマも含めて、自分たちとすごく重なる部分がありますし、ブリッジの<もう見失いたくないんだ 自分を>は、自分だから歌えるんじゃないかと思いながら、気持ちを込めてレコーディングしました。やっぱり、葛藤や自分を見失いそうになる瞬間がたくさんあったので。

――それでも続けようと思いとどまらせたものは何だったんですか?

U:それ気になる。

REI:メンバーの存在が大きかったですね。2人が頑張っている姿を見ていたら、「自分も頑張らなきゃ」って思えたし、意外と支えてもらえている感じはありましたね。

U:完全に支えてたよね。

MASATO:支えてました。

U:REIが元気ないときは分かりやすいんです。ちょっとその場から離れるというか。

REI:そうかも……

U:REIは隠してやっているつもりですけど、全然隠れてないっていう。見えないところで刀を磨いているようで、めちゃめちゃ見えてる(笑)。

MASATO:音も相当聞こえちゃって(笑)。

U:そうそう(笑)。でも、その葛藤がどこかでTHE BEAT GARDENの力になるって信じていたし、そっとしておいたらちゃんと戻ってくるって分かってました。やりたいことと進む方向の違いに一番苦しんでいたのはREIで、1年半とか2年ぐらい、そんな時期がありましたね。

――お互いに言葉はかけなくても、気付いてるものがあったんですね。

U:MASATOは静かになるタイプで、MASATOには僕は結構声をかけるんですけど、REIはかけないほうが逆にいいかなって。自分のペースでやってもらったほうが、バランスが保てている感じがありました。

――MASATOさんはUさんが書いたこの歌詞から、どんなことを感じましたか?

MASATO:カバーではあるんですけど、自分たちを代弁してくれてるようでした。脚光を浴びてるアーティストとか先輩にジェラシーを感じながら、「僕らも勝とう!」と一緒に頑張ってきたので、そんな僕たちだからこの曲を深い意味を込めて歌えるって、歌詞を読んだ瞬間に感じました。

――THE BEAT GARDENの意思を表明している曲でもあるので、ドラマが放送されている期間だけじゃなく、これからもずっと歌っていける歌ですよね。

U:本当にそう思います。まだまだステップアップしていきたいですし、すればするほど、もっといい意味を持ってくれるというか。ずっと大事にしていきたいですね。

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――ちなみに、最近、六本木には行きましたか?

U:ミュージック・ビデオを六本木で撮りまして、『六本木クラス』の曲が決まったときに、morph-Tokyoのビルに挨拶しに行きました。あとは、TikTokの動画を撮りに行ったりして、今でもよく行っています。

――ドラマを見ていると、「あそこだ!」って気づくとこがありますよね。

U:「(宮部)新が歩いてたところだ!」とか。二代目みやべのお店の前で撮ったよね。

REI:撮りましたね。あそこは普段、串かつ男 男おでんっていう居酒屋なんですよ。

――隣がタイ料理屋さんで、ブルーボトルコーヒーの前ですよね。

U:そうです! ずっと六本木で路上ライブをやってましたし、事務所に入る前に、上京してからアプローチしていた今の事務所の社長から「この曲はいい曲だと思うよ」って初めて電話をもらったのも東京ミッドタウンの辺りで、六本木には思い出があります。

――今回のタイアップをご家族や地元の友達も喜んでいるんじゃないでしょうか?

REI:僕、地元の友達から誰一人連絡がなくて……自分からLINEしました。年に1~2回動くグループLINEがあって、「『六本木クラス』が放送されたので、ぜひ見てね」って。返事はスタンプぐらいでしたけど……。でも家族は喜んでくれました。

MASATO:僕も地元の友達には自分から連絡しました。滋賀の県民性なのか、仲間内では話題にしてくれてたみたいですけど、わざわざ連絡してこないんですよね。

U:本当の友達だから、ミーハーっぽく思われないように、気遣ってくれたのかな?

MASATO:そうだと思います。僕が逆だったら、たぶんそうするので。その感覚は分かりつつ、「やっぱ知ってくれてたんや!」みたいな。

U:嬉しいね。ただ、県民性とまで言えないんじゃないかな(笑)。MASATO界隈(笑)。

全員:ハハハ(笑)!

――いろいろなやり取りがあったようですが……今日は事前に「Start Over」を聞いたGahoからメッセージを預かってます。

U:え、ヤバい!

MASATO:本物だ!

REI:ありがとうございます。

こんにちは。ガホです。
まずTHE BEAT GARDENさんにメッセージを伝えることができる場を設けてくださってありがとうございます。
僕が歌った「Start Over(はじまり)」の日本語版をTHE BEAT GARDENさんが歌うという話を聞いてとても光栄だと思いました。
原曲が韓国語に合わせて作られたメロディーなので「日本語で歌うとどんな感じかな?」と気になりましたが、ぎごちない部分が全くなくてとても不思議でした。
また違う感じで表現されたようで驚きました。
僕はこの曲を歌うとき、柔らかくて強い印象を残すことを重点的に考えました。
日本語版でもそのような部分が感じられ、もう少しパワフルな感じが加味されたようで印象的でした。
いつかステージで一緒に「Start Over」をそれぞれの言語で歌う機会があればと思います。

U:「柔らかくて強い印象を残すことを重点的に考えました」と、僕らもそう感じてました!

MASATO:いや~、嬉しいですね。

REI:めちゃめちゃ嬉しいです。

U:いや、こんな救われることはないです。ずっと気になってたんですよ、Gahoさんがどう思われるのか。よかった~。

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――言語は違うけれど、込められたメッセージが伝わってることが分かりましたね。

U:もともと『梨泰院クラス』を見ていて、曲全体にドンっていう力強さを感じてたんです。でも「はじまり」をじっくり聞くと、パワフルな部分はありつつ、意外と全体的にマイルドに歌われている印象があって。トラックと力強い歌詞で、力強さを表現していると思っていたので、それがちゃんと合っていたってことですね。僕らはエレクトロ・ロックを主軸にやっていて、がなったり、ストレートに歌ったりすることのほうが多いので、Gahoさんの部分を引き継ぎつつ、自分たちらしいパワフルな部分も残したいと思っていたので、ご本人にそれが伝わって嬉しいです。

――「一緒に歌える機会があれば」とも言っているので、その日が実現したらいいですね。

U:できたら嬉しいです。僕ら、本当に大ファンなんですよ。Gahoさんのライブver.を何度も見て、この前のライブにも挑みましたから。

――7月24日に行われた全国ツアー【in your tour2022】のファイナル公演で初披露されましたね。会場の後ろで見ていましたが、出だしからオーディエンスの盛り上がりがすごかったです。

U:イントロからそれはめちゃくちゃ感じました。お客さんもすごく嬉しそうだったし、シーンが切り変わった感じがありました。こんなにファンの名前と顔を覚えてるグループは僕ら以上にいないんじゃないかってくらい、僕らはファンのことを知っていて、だから初めての人も分かるんです。『六本木クラス』で僕らのことを知ってくれた人もいると思うので、その方たちの心をちゃんと掴めるように精いっぱい歌っていきたいです。


Photo by 森好弘

――REIさんがお客さんをジーっと見ているのが印象的でした。

U:よく言われるよね。僕らも見ているんですけど……。

MASATO:俺たちよりも相当長く見てるんでしょうね。

REI:やっぱり目を合わしたくなりますね。全国各地から集まってくれたファンをしっかり見たくて。それに自分がライブに行った時に、好きなアーティストと目が合ったら嬉しいじゃないですか。

U:コロナ前はリリースイベントでファンと話す機会が多くて、その時から「もっと羽ばたけ!」って応援されていたんです。先ほどREIが言ったように、いつもファンに自分たちの気持ちや今後のことを伝えてきたので、『六本木クラス』でああいうサプライズをさせてもらえて、みんな喜んでくれたと思います。

――ファンの方々も期待していると思います。『六本木クラス』の主人公・宮部新(竹内涼真)は、「まだ親父に親孝行できてない」という意思のもと、長屋茂(香川照之)にリベンジしていきますが、皆さんは親孝行できていますか?

U:今の事務所から初めてお給料をもらったときは、両親を連れてステーキを食べに行きました。ただ、「肉が好きじゃない」って言って、両親はずっとワインを飲んでましたね。お店に入る前に言えばいいのに(笑)。昔、ラグビーで全国大会に2回出たことがあるんですけど、親は一度も試合を見に来たことがないんです。たぶん“楽しい”よりも“苦しい”ほうが多いことを知っていたからかもしれないですね。今は僕が心から音楽を楽しんでいるのを知っているし、『六本木クラス』のおかげでより連絡が来るようになりました。自分が楽しんでることが一番の親孝行なのかもしれないですね。もっと頑張ります。

REI:小さい頃からずっと音楽をやらせてもらっていて、僕、長男なんですけど、妹にも何かしてあげられている実感もなくて……。ただ、この間、初めて父親が大阪の公演に見に来てくれて、初めて自分の歌を聞いてくれたんです。口数が少ない父親なんですけど、「いい声してるね」って言ってくれたのがすごく嬉しくて、それ以降、ライブを楽しみにしているって母から聞きました。それこそ、今回の『六本木クラス』も喜んでくれています。こういうことを少しでも多く届けていくことが、親孝行に繋がるのかもしれないですね。

MASATO:親からは元気でいることが一番の親孝行だって言われてるんですが、息子の身としては、それを叶えてあげられている感覚がないんですよね。大阪で一人暮らししたときも、東京に上京したときも、「好きなだけやってこい!」って言ってくれたんですけど、もしかしたら不安にさせてしまっていたかもしれない。これから何を返せるか分からないですけど、今回の『六本木クラス』で、ほんの少し、自分の中で何かが消化できたというか。滋賀に住んでると放送エリア外だったりすることが今もあるんです。全国放送をリアルタイムで見てくれて、親が誇れる自分を見てもらえてるのかなって。もっと見せたい景色も、返す借りもあるので、これからですね。

――テレビでパフォーマンスする機会があれば、それこそリアルタイムに全国に届けられますね。

U:ドラマがどうなっていくのかも楽しみにしていてほしいですし、僕らは目の前のことを精いっぱいやっていきます!

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