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<インタビュー>三浦風雅がメジャー1stアルバムで夢を叶えるまで
シンガーソングライターの三浦風雅がメジャー1stアルバム『君が君でいられるように』をリリースする。ソウルフルなダンスナンバーも切ないバラードも豊かな声で歌いこなすボーカル力もさることながら、歌に救われ、歌と生きてきたその生き様をメッセージにしてリスナーに訴えかける説得力も兼ね備えているのが彼の魅力。今作にはデビューまでの紆余曲折も盛り込んだ楽曲が入っていたり、音楽の道へ進むきっかけとなったRakeとのコラボなど、夢いっぱいの内容だ。それでいて、クリスマスソングやウェディングソングなど、人生の色んな季節を彩るポップ・ソング集としても聴ける1枚に仕上がっている。歌を歌い始めたきっかけから、デビューを経た今の夢まで、じっくりと語ってもらった。(Interview & Text:上野三樹 / Photo:友野雄)
「どんな時でもファンの存在が大きかった」
三浦風雅が1stアルバムにたどり着くまで
――路上ライブなどで歌っている姿を見ると、風雅さんは本当に歌が好きな方なんだろうなと感じます。歌が好きになったきっかけは何でしたか。
三浦風雅:最初の始まりは友達と一緒にカラオケで歌うことが大好きだったという、それだけなんですけど。そのうちに音楽って自分の心に寄り添ってくれるんだなと感じることがありました。音楽って良いなと、すごく自分の心にフィットした感覚があって。それは今でもずっと思っていることです。
――特に心を揺さぶられた曲を3つ挙げるとしたら?
三浦風雅:自分が音楽の道に進むきっかけを作ってくれたRakeさんの「100万回の『I LOVE YOU』」は僕の心をすごく穏やかにしてくれました。あのメロディラインとギターの音と、ファルセットの効いた歌声が自分の心を晴れやかにしてくれたんです。落ち込んだ時によく聴いた曲はコブクロさんの「DOOR」で、力強い歌声に「これからもやるしかないぞ」という気持ちになりました。清水翔太さんの「花束のかわりにメロディーを」は路上ライブでもカバーさせてもらったりするんですけど、真実の愛が伝わってくるような気がして僕の心にすごく刺さりました。僕は音楽を聴いて自分の心の変化をコントロールするようなことが多いので、常に音楽を聴いています。
――高校の卒業式が終わった後に投稿した動画が話題になったということですが、どんないきさつだったんですか。
三浦風雅:高校の卒業式の日に友達と思い出作りで歌おうよって感じでRakeさんの『100万回の「ILOVE YOU」』を歌ったら、たまたま友達が動画を録っていて、それをTwitterにアップしたら思いっきり広まって(笑)。そこで自分の歌声をこんなにたくさんの方に聴いていただく機会があったなんてと思い、もしかしたら自分も夢を見てもいいのかもしれないなと。その頃って、EXILEさんのボーカルバトルオーディションが流行っていて、一般の方がスターになって何万人のお客さんの前で歌うっていうストーリーがすごくキラキラ輝いて見えたんですけど、自分はなかなか踏み出せなかったので。その動画の拡散は、背中を押してくれるきっかけになりました。
――そこから夢に向かってどんな行動を起こしたんですか。
三浦風雅:自分がどこまで通用するのかを知りたくて「EXPG STUDIO」というボーカル&ダンススクールに通い始めました。自分がどのレベルにいて、どうすればあんな何万人もの前で歌える人になれるのかを知りたくて。そのスクールは当時ダンスボーカルに力を入れていて、僕はボーカル志望だったのに週2でボーカル、ダンスは週6みたいな生活を送っていて。自分はダンサーを目指しているのか?と思った時期もありました。だけど今となってはステージングや立ち振る舞いをダンスを通して勉強させてもらったなと思っています。
――デビューまで様々な紆余曲折があったようですが、どんな経験から、どんな学びを得ましたか。
三浦風雅:高校を卒業してデビューするまで5~6年かかったんですけど。事務所に所属することもなく、ひたすら路上ライブを続ける日々でした。そんな中でメンタル的にすごく落ち込んだり、音楽活動を休止したりすることもあったんですけど。そういう経験があったからこそ、自分は1人じゃないんだと思うようになりました。どんな時でもやっぱりファンの方の存在が大きかったからこそ、僕は活動を再開することができたし、今も楽しく音楽を続けることができている。周りの人への感謝という部分では、この5~6年で一番大事にしなきゃいけないなと思ったことですね。
――音楽活動を休止されていた時期に、ファンの方たちが風雅さんの動画を広めてくれていたそうですが。心強い応援でしたね。
三浦風雅:嬉しかったですね。それまで頻繁に行っていた路上ライブを全くしなくなって、自分はもうファンの方たちから消えた存在だと思い込んでいたんですけど。そんな中でもたくさんの方が自分の路上ライブの動画を投稿し続けてくれたことで、表立って活動していないのに勝手に名前が広がっていくという現象が起こって。ファンの方たちの存在の大きさを感じました。
――そしていよいよ、アルバム『君が君でいられるように』がリリースされます。どんな作品にしたいと思って制作しましたか。
三浦風雅:今回はメジャー1stアルバムということで、自分が今まで夢だったことを入れたいなと思い、僕が音楽の道に進むきっかけを作ってくれたRakeさんに楽曲提供をお願いして、それが実現しました。
――そうだったんですね。表題曲の「君が君でいられるように」がRakeさんの楽曲提供によるものですが、このコラボはどのように実現したんですか。
三浦風雅:僕はRakeさんに直接コンタクトを取ったことはなかったんですが、以前からファンの方がRakeさんにDMを送ってくださっていたみたいで。
――すごい、スタッフさんのような動きですね(笑)。
三浦風雅:今回こうして楽曲提供していただけることになった時にRakeさんから「実は風雅くんのファンからたくさんDMをもらっていたんだよ」って話を聞きました。それでRakeさんは僕のことや路上ライブで曲をカバーしてることを知ってくださっていて。それもあって今回のアルバム制作で「ぜひ、協力させてください」と言っていただけて実現しました。
――Rakeさんも風雅さんに曲をカバーしていただいて嬉しかったんじゃないですか。
三浦風雅:そんな言葉もいただきました。Rakeさんご自身も音楽活動を休止されていたみたいで、そんな中で「100万回の『I LOVE YOU』」をカバーして歌い続けてくれているのが嬉しいと。僕もいつかRakeさんとご一緒できたらと夢に描いていたので、今回実現して、すごく嬉しいですね。
Rakeとの「夢のような」共演を経て得たものとは
――「君が君でいられるように」は風雅さんのボーカルの魅力と、人として持っているメッセージ性をすごく引き出している曲だなと思います。
三浦風雅:本当にありがたいです。この曲は仙台在住のRakeさんとオンラインで打ち合わせをして、三浦風雅の今までの軌跡が入ってるような曲にしていただきたいとお伝えして、これまでの紆余曲折を全てお話ししました。それを踏まえた上で、メジャーデビューした今、思っていることも。その後、Rakeさんから「君が君でいられるように」のデモが上がってきて、最初のサビのフレーズを聴いた瞬間に、自分の全てを語ってくれているような気がして。「ありがとうございます、最高です!」って言いました。
――<君が今 理想通りの君じゃなくても>という最初のフレーズですね。ご自身の経験を踏まえながら、聴いてくれる方へのメッセージにもなっていますね。
三浦風雅:そうですね。僕はこの曲を初めて聴いた時にRakeさんからのエールを受け取った感じがしたので、僕が歌うことで今度は聴いてくださる方の背中を押せたらいいなと思っています。
――Rakeさんにボーカル・ディレクションもしていただいたんですか?
三浦風雅:はい、仙台から東京に来てくださって。三浦風雅の声を生かしながらも、ちょっとRake節を入れたアドバイスをしていただきました。
――風雅さんはフレーズの途中でファルセットになる歌い方が独特ですよね。
三浦風雅:それもRakeさんが今回、曲を作るときに意識的に入れてくださったみたいで。「風雅くんのファルセットの感じがいいから、こういうメロディラインにしたんだ」って。歌っていて僕も歌いやすかったし、しっくりきました。
――「君と僕の『I love you』」は三浦風雅さんとRakeさんのデュエット曲ですが、こちらはどんな制作でしたか。
三浦風雅:もともと1曲でお願いしてたんですけど、Rakeさんが「どっちか選んでください」って「君が君でいられるように」と「君と僕の『I love you』」の2曲を作ってくださったんです。もうどっちの曲も良くて。すごく悩んだんですけど、結局1曲に絞りきれず(笑)。楽曲提供というのも夢だったんですけど、一緒に歌いたいという気持ちもあったので「もう1曲はデュエットという形でやらせてもらえないですかね」とお願いしました。
――Rakeさんと一緒に歌ってみていかがでしたか。
三浦風雅:もうほんとに自分の中で夢のような時間でした。Rakeさんの声と僕の声が交わった瞬間は、もう言葉にできないくらい込み上げてくるものがあって。Rakeさんに「もう涙が出そうです、やばいです!」って言ったら「早い早い、この曲をたくさんの人に届けなきゃ!」って言われました(笑)。これから活動をしていく上で、コロナの時代だけど、そんな中でも人の心に響くような音楽を届けていくことが大事だよねっていう話をRakeさんにしていただいて。あらためて自分も音楽をもっと頑張っていこうと思った、良い経験になりました。
――アルバム全体を通しても、クリスマスソングや結婚式にも似合いそうな曲など、人生のいろんな場面に寄り添ってくれそうな幅広い曲が揃いましたね。
三浦風雅:そうですね。デビューまでに自分が経験したことや感じたことを歌った「Start」や、メジャーデビューしてからの心情の変化を「Canvas」という曲で表現したり、「未来話」というラブソングでも夢を追うための別れを歌ったりしているので、幅広い曲ではありながらも全て夢に繋がっているアルバムです。三浦風雅のメジャー1stアルバムにふさわしい1枚が作れたと思います。どの曲も自信を持ってお届けしますので、早くみなさんに聴いていただきたいです。
――夏からは全国ツアーも。どんな内容になりそうですか。
三浦風雅:8月からのツアーは、僕が2020年の時に予定していたライブツアーの地域で行います。コロナで中止になってしまったけど「絶対ライブをしにいくからね」って約束をしていたので、やっと2年半越しにまた会いに行けるのが嬉しいです。なのでコロナ禍を経て今の三浦風雅がどんな想いでステージに立つのかという部分もセットリストに入れたりしながら、今の自分を全部出し切れるようなツアーにしたいなと思っています。
――いろんな夢を叶えてらっしゃると思いますが、今後のさらなる夢って何かありますか。
三浦風雅:過去のことを振り返るのはあまり好きではないですが、2年前って、ツアーする予定だったことを含めて活動が上手くいってた時期だったなと思うんです。それがコロナでライブができなくなって思うような活動ができなかったので、やっとライブができるようになった今、失った時間を取り戻すじゃないですけど、各地の会場をお客さんでいっぱいにするのが一番の目標です。夏のツアーに向けてすごく燃えています!
君が君でいられるように
2022/07/13 RELEASE
PCCA-6132 ¥ 3,000(税込)
Disc01
- 01.君が君でいられるように
- 02.Start
- 03.Call my name
- 04.Sunshine
- 05.未来話
- 06.思い出に花を添えたら
- 07.Livin’ it up
- 08.世界中にメリークリスマス
- 09.CANVAS
- 10.Flower
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