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<インタビュー>梁 邦彦、国境やジャンルを越えた“No Boundary”なBillboard Live公演を語る



インタビュー

 4月9日(土)横浜、10日(日)大阪で「No Boundary Live #3 with ジャー・パンファン」公演を行う梁 邦彦。その活動は日本、韓国はもとより香港、中国、ヨーロッパにも及び、まさにNo Boundary=境界線はないものとなっている。

 プロミュージシャンとして活動を始めた頃には浜田省吾のバックメンバー・プロデューサーなどを務め、ソロ・デビュー後にはアジア地域で様々な映像音楽の制作、近年では平昌オリンピックの音楽監督など国際的に活躍を続ける梁 邦彦。昨年ソロデビュー25周年を迎え発売した2枚組アルバム「Light&Shadow」は、過去5年間のライブ音源からのセレクションと、日本、韓国、中国で手掛けてきた数多くの映像音楽の中から選りすぐったものから構成されている。

 その活動でも、音楽ジャンルにおいても多彩な取り組みを見せる彼が、二胡奏者のジャー・パンファンを迎えトリオ編成(パーカッション:クリストファー・ハーディ)で行う公演もまたタイトル通りに、国境やジャンルを越えた“No Boundary“なものとなりそうだ。

――ソロ・デビュー25周年を迎えた昨年には、近年の活動のベスト的な内容といえる2枚組のアルバム『Light & Shadow』をリリースされました。

梁 邦彦:一応、去年が25周年ということだったので何かしら形にして発表しようと思っていました。このところ新作を出せていなかったので、新作のアルバムの準備をしてガッツリと出そうと考えていたんですけど、やっぱりコロナの影響で特に大編成でのレコーディングができなくなったんですよね。曲を作っても実際に録音することが難しくなったので、無理にそれをやるよりは、節目でもあるので今までにやれていなかったモノを皆さんに聴いてもらいたいなと…。そこで、僕はライブ・アルバムを出したことがなかったので、1枚はライブ盤で“光が当たる音楽”という意味で“Light”。もう1枚の“Shadow”は、映像音楽などの制作に関わってきた中でも、サントラ盤などとしてリリースされず表に出る機会が少なかった数々の楽曲の中から、気に入っているもの、皆さんに聴いてもらいたいものを、改めてアレンジも加え収録したものを集めました。映像などの作品の背後にある音楽という意味で“Shadow”というタイトルを付けました。

――『Shadow』には、中国のオンライン・ゲーム用に作った音楽、韓国国立中央博物館の展示物のためのものなども収録され、梁さんの活動の幅広さも窺える内容となっています。

梁 邦彦:韓国・ソウルにある国立中央博物館のために作ったものは、歴史的な建造物や遺産を幅60メートルのスクリーンにプロジェクションマッピングで見せる展示なんですけど、そのメインの楽曲を今回は収録しました。

――その楽曲「敬天寺十層石塔」はアジア的な旋律を多用し、悠久の歴史に想いを馳せるような曲調、一方でゲーム音楽はシンセサイザーを使うなど、音楽的なアプローチもかなり多彩です。

梁 邦彦:僕はすごく雑食で、そういったヒストリック(歴史的)で深いものが込められているものも好きですし、逆に何をやってもいいからカッコいい音楽を作ってねという場合も好きなので。両方をやることでバランスが取れている気がしますね。

――ライブ盤である『Light』の方は、2017年から2021年にかけて韓国と日本で行われた公演の中から様々なテイクが選ばれていて、まさにライブ・ベスト的な1枚となっています。

梁 邦彦:幸いにも僕は韓国と日本でやったライブをかなり録音してあったので、ライブ盤といっても一か所でやったものではなくて、梁 邦彦はライブでこういうことをしてるんだなというのがわかるようなベスト・テイク集になったと思います。場所も、済州島の野外フェスティバルもあれば東京でのオンライン・ライブや品川教会もあって、編成もそれぞれに違ったので1つにまとめるのは大変でしたけど。

――演奏陣には、かつてSHAMBARAで共に活動していたベースの櫻井哲夫、ドラムに川口千里をはじめ、日韓のストリングス・オーケストラや伝統楽器奏者など、こちらも韓国と日本を股にかけて活動してきた梁さんならではの顔ぶれです。

梁 邦彦:僕はミュージシャンとして活動を始めてソロ・デビューする前は浜田省吾さんのバックなどをやっていて、その時は日本が活動のベースでしたけど、ソロ・デビューした後はほぼ韓国がベースだったんです。でも、日本から韓国にメンバーを呼んでライブをやっていたから、ある時にギターの古川 望くんから“僕たちがこっち(韓国)に来てコンサートをたくさんやってるのに、なんで日本でやんないの?”と言われて、そりゃそうだなって話になって(笑)。そこで古川くんが会場を手配してくれたことがきっかけとなって、日本でもライブをやることが増えてきたんですけども、今はコロナで日本から来てもらうことが難しくなったので、韓国では現地のミュージシャンでやることも増えましたね。

――そして、4月9日(土)にビルボードライブ横浜、10日(日)にビルボードライブ大阪で行われる〝No Boundary Live #3〟は、タイトル通りに国境やジャンルを越えて活躍する音楽家を迎えて行ってきた公演の第3回目となります。

梁 邦彦:厳密に言うと、僕がビルボードさんでやらせていただくライブの3回目ということで、 1回目は押尾コータローさん、2回目はNAOTOさんとDEPAPEPEを迎えてやったんですが、その時にはまだタイトルは付いていなくて、今回から〝No Boundary〟というテーマで続けていきましょうということになったんです。基本は僕のピアノとクリストファー・ハーディの打楽器が母体となって、そこに素晴らしいミュージシャンに来てもらって広げていきましょうと。

――今回はそのコラボ相手として二胡奏者のジャー・パンファンさんを迎えるということで、公演のコンセプトをより明確に打ち出した編成と言えますね。

梁 邦彦:そうですね、三カ国同盟ですからね(笑)。ジャーさんもクリストファー君もビルボードライブでよく演奏していますし、幸いなことに、この桜が咲く季節のいい時期にやることができるのも嬉しいことです。ジャーさんとは、僕が音楽を担当したNHK BSのアニメーション作品で『十二国記』というのがあるんですけど、そのレコ―ディングの時にも参加してもらったし、中国のオンライン・ゲームからの依頼でジャーさんと必ず共演してほしいなどというオファーもありましたね。

――どんなレパートリーで行うかなどはもう決まっていますか?

梁 邦彦:二胡だからといってすごく中国的な曲ばかりをやるわけではないし、僕の曲ばかりでも僕の通常のコンサートと変わりなくなってしまうから、ジャーさんの曲も取り入れながら、お互いに新しいことをやってみたい思っていますね。あとは、面白いカバー曲なんかもやれるといいかな。

――ビルボードライブという会場については、梁さんはどんな印象をお持ちですか?

梁 邦彦:いいですよね。例えば、今回の編成をホールでやったら、全然違うものになると思うんです…ミュージシャンの気持ちも含めて。やっぱりコンサートホールでピアノに座って始まる時の気持ちと、ビルボードでお客さんがリラックスしてお酒を飲んだり食事をしたりしているあの独特な空間に出ていくのとでは、解放感などが違いますね。MCの内容も雰囲気に合わせて変わってきますし、ビルボードライブならではのこの3人の調和、ハーモニーを楽しんでいただければと思います。

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