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【ビルボード 2021年年間インタビュー】優里「ドライフラワー」が総合首位「曲を通じて繋がれることってすごく幸せ」
優里が2020年10月にリリースしたシングル「ドライフラワー」が、Billboard JAPANの年間総合ソング・チャート“JAPAN HOT 100”で1位を獲得した。今年度の上半期でも首位となった「ドライフラワー」だが、勢いは下半期も継続、2020年11月25日公開チャートから現在までトップ10圏内をキープし、年間集計ではストリーミング、ダウンロード、カラオケの3指標でトップをマーク、見事総合首位に輝いた。今年はTVアニメ『SK∞ エスケーエイト』エンディング・テーマの「インフィニティ」から、ドラマ『SUPER RICH』の主題歌として書き下ろした「ベテルギウス」まで、コンスタントにシングルを発表してきた優里。飛躍の1年となった2021年の歩みについて、本人に話を訊いた。
ーーBillboard JAPANの2021年年間チャートが発表され、優里さんの「ドライフラワー」が上半期に続き、今回も“JAPAN HOT 100”の総合首位となりました。まずは率直な感想をお聞かせください。
優里:こうして1年間を通しての1位というのは、まったく想像もしていなくて、すごく驚いています。僕にとっても本当に大切な曲なので、たくさんの方に届いたんだなとすごく嬉しく思います。
▲ 「ドライフラワー」MV / 優里
ーー今年は「インフィニティ」から「ベテルギウス」まで、新曲もコンスタントにリリースしてきましたよね。「ドライフラワー」がヒットしたことは、その後の楽曲制作において何か刺激や影響を与えましたか?
優里:何かに具体的な影響を与えたりしたわけではないんですけど、やっぱり「『ドライフラワー』だけじゃないんだぞ」と思うことはあって。ほかの曲も自分の中ではいい曲だと思っているので、もっと届くように歌いたいなと思ったりはしました。ただ、曲を作るときも最初はなんだかんだ意識して、「もっとたくさんの人に届く曲を」と考えたりはするんですけど、いざ曲を作り始めると結局、ただ伝えたい気持ちを詰め込むだけなんですよね。
ーー「ドライフラワー」は2020年10月にリリースされた楽曲ですが、その後1年以上にわたってチャートの上位に入り続けました。この曲がそれほどまでに長く愛され続けた理由を、優里さん自身はどのようにお考えですか?
優里:難しいですね(笑)。ただ、自分の中ではそこまで難しくない、誰でも口ずさめるようなメロディラインだと思っていて、それが一つの理由としてあるのかなと思います。あと、レコーディングでは聴いてくれる人のことを思い浮かべながら歌っているので、そういうのもあるのかな。なかなか言葉にするのが難しいことではありますけど。
ーー歌いたくなるようなメロディとのことですが、そういった曲作りは「ドライフラワー」に限らず、常に心掛けていることだったりしますか?
優里:そうですね。自分の作る曲は、自分が一番好きな曲であるべきだと思っていて。もちろん誰かに届けるために作って歌っているんですけど、あとから「こうしておけばよかった」とか「こっちのほうがよかったな」と後悔しないよう、自分自身が「この曲、すごく好きだな」と思える曲を出すようにしています。
ーー2021年、振り返ってどんな1年間だったと感じますか?
優里:やっぱりお客さんを入れてライブをできるようになったことが大きいですね。今までは自分の音楽を聴いてくれる方々の顔をあまり見ることができない状態だったので、ワンマン・ライブの日に会場でリハーサルをしていたとき、本当に自分の歌を聴きに来てくれる人でここがいっぱいになるのかなってすごく不安だったんですよ。でも、ライブが始まってステージに上がったら、そこにお客さんがたくさんいてくれて、自分の歌を真っすぐ聴いてくれた。2021年はそれを知ることができて、すごく自信もついたし、ちゃんと届いているんだなって実感できた1年だったと思います。
ーーたしかに「ドライフラワー」が本格的にヒットしたのはコロナ禍以降で、ライブもオンラインでしかできない状況が続いていましたからね。例えばチャートでは数字が曲の広がりを可視化してくれますが、実際に聴いてくれている人の姿を見せてくれるわけではありません。だからこそ、実感しきれないところもあった。
優里:そうなんですよね。なので、ようやくライブをやれるようになって、「ああ、本当にいてくれたんだ……」と嬉しくなりました(笑)。ストリーミングで曲を聴いていただけることも幸せだし、純粋に音楽が好きだからこそ続けられるんですけど、やっぱりライブっていいなと思ったし、これからも直接届ける機会を増やしていきたいなと思いましたね。
ーー自分の音楽がリスナーに届いている実感って、やはりモチベーション源としてもポジティブなパワーになりますか?
優里:「ドライフラワー」がたくさんの方に聴いていただけるようになった当初は、楽曲だけじゃなくて僕のことも知ってもらいたいという気持ちが強かったんですけど、リリースから1年が経った今、冷静に考えてみると、僕のことを知らない人とも曲を通じて繋がれることってすごく幸せで、今はとにかく曲をもっとたくさんの人に聴いてもらいたいと思っています。
ーー最新シングル「ベテルギウス」はドラマ『SUPER RICH』の主題歌として書き下ろされたナンバーですね。初めての地上波ドラマとのタイアップとのことで、オファーを受けたときはどんな心境でしたか?
優里:自分がドラマ主題歌を歌うことはまったく想像していなかったので、やっぱり驚きました。「ドライフラワー」で僕のことを知ってくれた方が多いと思うんですけど、それ以前はライブをしてもお客さんがそこまで集まるような存在でもなかったし。すぐに家族のみんなに報告しなきゃと思ったんですけど、情報が解禁されるまで言えなかったんですよね(笑)。
▲ 「ベテルギウス」MV / 優里
ーー手応えは?
優里:事前にドラマの内容を聞かせていただいて、台本も読ませていただいたんですけど、ドラマの世界観に寄り添うような曲、自分の曲でドラマがよりよくなったねと言われるような曲にしたいなと思って。それがうまくできたんじゃないかなと思っています。例えば「ドライフラワー」や「かくれんぼ」は自分の中で物語を一から描いて作ったし、「ピーターパン」は自分の悔しかった気持ちとかを書いた曲なんですけど、今回はドラマのために書き下ろしたので、まったく違う作り方を経験できて新鮮でした。
ーー反響はいかがですか?
優里:いつもは曲を出して、少し経ってから反響が届くので、「よかった、届いているな」とホッとするようなことが多かったですけど、今回はリリース前に『THE FIRST TAKE』に出させていただいたこともあって、チャートでも「あれ、もうここまで上がってるんだ!?」みたいな感じで、すごく驚きました。
ーー上半期のときにもお伺いしましたが、優里さんの“心のヒット・チャート”があるとして、2021年の1曲を選ぶとしたら? ちなみに、前回はボン・ジョヴィの「夜明けのランナウェイ」を挙げていました。
優里:自分が音楽を始めるきっかけになったのは、子供の頃に親が聴かせてくれたボン・ジョヴィだし、今でもネガティブになったり、躓いてしまったときは、ボン・ジョヴィの楽曲を聴くと「もっと頑張ろう」と思えるんですよね。上半期のときは「夜明けのランナウェイ」を挙げましたけど、今年は「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」を一番聴いたんじゃないかな。あとは、弾き語りの動画をSNSやYouTubeに上げているので、新曲もいろいろと聴くようにしているんですけど、最近はUruさんの「Love Song」をずっと聴いてます。すごく柔らかい気持ちになる曲で、夜に聴くことが多いです。自分の曲は歌うと息切れしてしまうというか、やりきった感みたいなものがあるんですけど、その日の帰り道でこういった柔らかい曲を聴くと、すごく落ち着いてよく眠れるんですよね。
▲ 「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」MV / ボン・ジョヴィ
▲ 「Love Song」MV / Uru
ーーでは最後に、2022年に向けての意気込み、今後の目標や野望があればお聞かせください。
優里:今年は楽曲のリリースはもちろん、ライブやYouTubeの活動も続けてきて、自分なりにマイペースに活動できたのですが、2022年は初のアルバム『壱』も発売するので、アルバムをみんなに聴いてもらいたいですし、来年も変わらず、自分のペースで自分らしく歌を届けられたらいいなと思います。あとは、僕も心が落ち着くような曲を作って歌ってみたいですね(笑)。自分自身、まだまだ伸びしろはあると思っているので、もっとたくさんの人に届くような曲を作って、たくさん歌をうたっていきたいです。
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