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<特集>開催直前!世界が熱狂するeSportsの新大会【SoulZ】と、それを盛り上げるシガーラに注目



シガーラ特集

 世界中で続出しているeSports大会が、ここ日本で新しくローンチする。その名も【SoulZ】――国内外の有名プロチーム・ストリーマーが集う記念すべき第一回目の大会が12月11日に開催。ゲームと音楽の祭典を盛り上げるのが、爽やかなトロピカル・サウンドと美しいピアノ・メロディーでクラブシーンを賑わすシガーラだ。このイベント前に全世界総再生回数20億回を超えるシガーラのキャリアを振り返ろう。

 また、イベントのためにリミックスされた「ユー・フォー・ミー (SoulZ Remix)」をディレクションしたTJOのインタビューも到着した。

ゲームと音楽のクロスオーヴァー
【SoulZ】開催

 数年ほど前までは「日本ではeSportsは根付かない」という言説が当たり前のように広がっていたのが信じられないほど、今や日本は世界でも有数のeSports大国へと急速に成長と拡大を続けている。『Apex Legends』や『VALORANT』といったタイトルが国内でも絶大なブームを巻き起こし、『League of Legends』といったeスポーツ界を代表するようなタイトルの国際大会で国内勢が大躍進を遂げるなど、その勢いは衰ることなく加速し続けており、それを盛り上げるために、連日のように新たなeSports大会が誕生し、熱狂を生み出している。

 そして、また新たなeSports大会が生まれようとしている。eSportsチーム「SCARZ」と国内外で数多くの音楽エンターテインメント業務を20年に渡り手掛けてきたSUGARBITZの共同プロデュースによって誕生した【SoulZ】は、「世界中を巻き込んだ日本最高峰のゲームと音楽の祭典」を謳った全く新しいeSportsプロジェクトだ。12月11日には記念すべき第一回大会の開催を予定しており、人気ゲーム『Apex Legends』で海外・国内のプロ選手・ストリーマー達が賞金200万円を賭けて競い合うことになる。

 「ゲームと音楽の祭典」とある通り、このイベントはゲームファンのみならず音楽ファンにとっても見逃せないものである。というのも、この大会のハーフタイム・ショーとして、イギリスを中心に活躍する人気DJ/プロデューサーであるシガーラがスペシャル・ゲストとして出演し、DJパフォーマンスを披露する予定となっているのだ。

 シガーラは2015年、ジャクソン5の名曲「ABC」を大胆にサンプリングした美しいトロピカル・ハウスの名曲「イージー・ラヴ」でデビューし、デビュー曲にもかかわらず同楽曲で全英チャート1位を獲得するという記録を成し遂げたダンス・ミュージック界きっての期待の若手DJ/プロデューサーだ。デビュー以降も躍進を続けるシガーラは「ケイム・ヒア・フォー・ラヴ feat. エラ・エア」や「ジャスト・ガット・ペイド feat. フレンチ・モンタナ」といったヒット曲を連発しており、昨年リリースのジェイムス・アーサーとのコラボによる、MGMTの名曲「タイム・トゥ・プリテンド」をサンプリングした「ラスティング・ラヴァー」はダンス・ミュージックファンでなくとも聴き覚えのある方もいるだろう。



 そんなシガーラは、自身も『Apex Legends』のファンであることを公言しており、今回の【SoulZ】のパフォーマンス出演に際しては「このイベントに携わることが出来てとても光栄だよ。僕もeSportsの大ファンだし、『Apex Legends』は本当にたくさん遊んでるよ。新しい大きな大会がたくさんあるのは素晴らしいことだと思うし、ファンが会場に行けないのは残念だけど、素晴らしい大会になるといいな。今回携われたことをとても感謝しているよ。」とコメントを寄せている。eSports文化にも深い理解を持つ彼のパフォーマンスによって、今回の大会はさらに盛り上がっていくはずだ。

 そんな今回の【SoulZ】とシガーラのコラボレーションによるゲームと音楽の相乗作用をさらに高めるアイテムとして、今年7月にリリースされたシガーラの楽曲「ユー・フォー・ミー」のスペシャル・リミックスである「ユー・フォー・ミー (SoulZ Remix)」がリリースされた。本リミックスはポップ・ミュージック界の重要人物であるチャーリー・XCXとリタ・オラを招いて制作された爽快感溢れるシガーラの原曲をベースに、国内ダンス・ミュージック・シーンにおける代表的存在であるTJOがディレクターを務め、国内外の作品を長年手掛けるプロデューサーのTOMOTHとシンガポール育ちの新星SATOSHIを迎えて制作された作品であり、原曲の持つメロディの美しさは残しつつも、サイバーな高揚感を大幅に増幅させ、大胆なリズムチェンジも織り交ぜたかなりテンションの高い仕上がりで、緊張感とスピード感に満ちたゲームプレイに見事にハマるであろう良リミックスだ。この楽曲は【SoulZ】がゲーム音楽からインスパイアを受けて発足したオリジナル音楽レーベル<SoulZ SOUNDS>の第一弾楽曲と位置付けられており、今後の同レーベルの動きにも注目したいところである。



 ゲームと音楽は非常に親和性の高いカルチャーであり、だからこそ、海外のeSports大会において、著名なDJ/プロデューサーがパフォーマンスを披露するという場面は決して珍しいものではない。そういった流れが国内でも遂に見られるかと思うと、どこか感慨深いものがあるというのも確かだ。ゲームと音楽のクロスオーヴァーを提示する【SoulZ】の試みが、国内のeSportsシーンをさらに盛り上げる新たな起爆剤となることを強く願っている。

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第一に優先したのはeSportsとの親和性

――今回のリミックスの制作では、どのようなポイントを意識してディレクションされたのでしょうか?

TJO:シガーラのリミックスを手掛けるにあたり今回意識したのは、やはりeSportsとのコラボレーションという点です。普段であれば自分がDJする際にこういうアレンジで鳴らしてみたいという部分に比重を置くのですが、このリミックスではゲームをしている時に聴いて気持ちが上がるようなリミックスを第一に考えました。

――今回のリミックスを手掛けているTOMOTH氏とSATOSHI氏について教えて下さい。

TJO:二人とも僕が所属しているマネージメント<SUGARBITZ>に関わっているプロデューサーです。TOMOTHさんはラップグループ「アルファ」のメンバーとして2000年代から活躍し、数々のアーティストのプロデュース・ワークも手掛けてきました。同時に海外でも人気を集めるストリート・ブランド「CHAOTIC」のディレクターも務め、音楽だけでなくファッションも交えた視点で世界中のエッジなトレンドを掴むのがとてもユニークです。SATOSHI君は20代前半の若さでありながら現在DJ/プロデューサーとして勢力的に自身のサウンドを発信しています。彼の場合は幼い頃からシンガポールで育っているので、英語や環境面はもちろん音楽的な素養もインターナショナルな感覚が身についているのがとても面白いです。

――今回のリミックスは、クラブ・シーンは勿論のこと、eSports大会のテーマソングやゲームプレイ動画のBGMとしても使われることを前提に制作されているということで、通常のリミックス・ワークスの制作とは異なる部分がありましたら、是非教えて下さい。

TJO:上記でも触れたように第一に優先したのはeSportsとの親和性です。ゲームをしている時に聴きたい、またゲーム動画集に当てはめても勢いを感じるサウンドというのを軸に作業を進めました。それこそeSports 関係者にリサーチしたり、TOMOTHさん、SATOSHI君と「これはハマりそう」「今、面白いサウンドはこれだ」と、アイデアを出し合いました。またSNSなどで部分的に切り出してピックアップされることも想定し、前半はSATOSHI君が得意とするフューチャー・ベース、後半はTOMOTHさんが注目する音楽シーン=ロシアン・ハードベースとそれぞれ異なるサウンドを組み合わせハイエナジーなリミックスに仕上げました。

――海外のeSportsシーンではHardwellやZEDDといった著名DJ/プロデューサーが大会のテーマ楽曲を手掛けたり、パフォーマンス出演をしたりと、クロスオーヴァーが長きに渡って活発に行われておりますが、eSportsとダンス・ミュージックにはどのような親和性や繋がりがあると思いますか?

TJO:やはりゲームをプレイするにあたって欠かせない要素の一つだと思います。昔からゲームのサウンドトラックにインスピレーションを受けてきたプロデューサーが多かったり、音楽制作ソフトで子供の時から曲を制作するノウハウを学び、そこからシーンが育まれていったりといった例もあり、特に2000年代以降はダンス・ミュージックなどのストリート・サウンドをメインしたサウンドトラック展開が主流になったりと、切っても切れない関係性です。また、現在世界のトップとして活躍するDJ/プロデューサーは元々世代的にもゲームで育っているアーティストが多く、これは例にあげていただいたEDM系だけでなくヒップホップやロックなどジャンルを超えた層に厚い支持があります。

――国内でも急速に盛り上がるeSportsシーンの様子から、TJOさんご自身が受けている刺激やインスピレーションなどがあれば、是非教えて下さい。

TJO:僕自身まだeSportsシーンに関わるようになって日が浅いのですが、そんな中でもシーンの世界的な規模感、そして何よりも現代テクノロジーや様々なカルチャーとリンクし進化していくスピード感に驚かされています。その中にあっていろいろ調べていく中で現在進行形だけでないダンス・ミュージックがゲームから受けてきた影響についての歴史を学び、僕が好きなアーティストやシーンにもその系譜が流れていることを知って刺激を受けています。

――今後の【SoulZ】、そして<SoulZ SOUNDS>の動きについての期待を教えて下さい。

TJO:今回の企画をきっかけにSoulZ=サウンドチームだけでなく、同時に<SoulZ SOUNDS>というレーベルも立ち上げました。僕はそこでディレクターという立場でこれから国内外問わずeSportsやゲームに親和性のあるアーティストとコラボレーションをしていき、さらに「ゲーム×音楽」で刺激的なこと、面白いことを発信してきたいと思っています。

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 【SoulZ】がゲーム音楽からインスパイアを受けて発足したオリジナル音楽レーベル<SoulZ SOUNDS>のディレクター=TJOに加え、国内外の作品を長年手掛けるプロデューサーのTOMOTHとシンガポール育ちの新星SATOSHIらがリミックスを手掛けた「You For Me (SoulZ Remix)」について、TJOとSATOSHIがシガーラ本人に直撃!

音楽フェスティバルでかけてもハマる気がする

TJO:楽曲のリミックスをさせていただいてありがとうございます。リミックスはどうでした?

シガーラ:クレイジーだよ! ハイエナジーでプロダクションも素晴らしいし、とてもかっこいいね。ミックスに加えられることができて嬉しいよ。本当にみんなよくやってくれた。ありがとう。

SATOSHI:僕らはリミックスの制作過程で、音楽フェスティバルやクラブでかかる曲よりも、例えばeSports大会のようなゲームのコンセプトに合うものを作りたくて、最初のドロップと2つ目のドロップに大きな違いがあるように、オーディエンスにこの楽曲を選んでキル集動画に使ってもらう際、より自由を与えたかったんだ。曲の構成とサウンド・デザインはクラブでかけてもらうのにも適している気がするんだけど。マッシュアップみたいな感じもあるし。

シガーラ:その通りだと思うよ! 2つのドロップの大きな違いは俺も最初に気づいたよ。ゲームとキル集動画の為に作ったと思うけど、音楽フェスティバルでかけてもハマる気がするな。俺も自分の曲でたくさんマッシュアップするんだけど、よくやるのが曲のオリジナルのドロップをかけて、そこから他の何かにマッシュアップして、よりヘビーなドロップを2回目にかけたりするんだ。君たちがやったようにね。どこかこの曲をプレイできるところ見つけてみるよ。見つけてプレイした時は撮影しとくね。

TJO:あなたは日本のカルチャー・シーンでとても重要なアーティストだけど、プロデューサーとして日本のカルチャーで試してみたいことはありますか?

シガーラ:いつか日本のアーティストとコラボしてみたいね。正直、もっと日本で過ごしてみたいんだよ。「訪れるのにお気に入りの場所はどこ?」って質問をインタビューでよくされるんだ。日本はお気に入りの一つだし、カルチャーと音楽シーンも素晴らしいよね。シンガーでもプロデューサーでも、コラボできたら間違いなく何かやってみたいし、もし携われる機会があったら最高だね。

TJO:これから来るプロジェクトをシェアしてもらえますか?

シガーラ:もうすぐ出るセカンド・アルバムだね。もう完成間近で来年リリースできるといいな。最初のアルバム『Brighter Days』は、たくさんのアーティスト、プロデューサーやシンガーと仕事ができてすごく楽しかった。今作も同じようにやろうとしていて、同じ考え、才能がある人々とコラボできてとても楽しくやれているよ。今のところ、これが一番大きなプロジェクトかな。

TJO:待ち遠しいです!

シガーラ:まだアルバムのタイトルは決めていなくて、考え中だから、とりあえずアルバムって呼んでるよ(笑)。

TJO:とにかく楽しみです! アルバム・リリースしたら日本でまたパフォーマンスできることを願っています。その日を待っています。最後に、日本のファンに向けてコメントいただけますか?

シガーラ:日本の皆さん、俺の音楽を聴いて、サポートしてくれてありがとう。本当に感謝してる。もっと日本で過ごしてみたいし、日本のショーでみんなと会えるのを楽しみにしてるよ!

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