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木梨憲武、次作ネタバレ/著名人との逸話ありの最新ロング・インタビュー
ここ数年精力的に音楽活動を続けている木梨憲武が、2021年10月3日にシリーズ第3弾のデジタルEP『木梨ミュージック コネクション3』をリリースした。今作には、ももいろクローバーZ、マツコ・デラックス、ミッツ・マングローブ、中井貴一、遠藤章造、狩野英孝、堀内健と、各界で活躍する人気者がフィーチャリング・アーティストとして参加。また、前作に続いて阿木燿子・宇崎竜童の黄金コンビが書き下ろした楽曲もありと、まさにリスペクト&仲良しな木梨コネクションならではのメンバーが集結して賑やかに作品を創り上げている。そんな最新作について木梨に取材を行ったところ、話は知らず知らずのうちに次回作の方面へ。“しかけ早め”すぎる木梨憲武インタビューをどうぞ。
――最新デジタルEP『木梨ミュージック コネクション3』配信リリースおめでとうございます! 2019年のソロ第1弾『木梨ファンク〜NORI NORI NO-RI〜』以降、木梨さんの中では音楽が活動の中心になっている感じですか。
木梨憲武:そうですね。半分ぐらいはスタジオに入って、曲はこの方、詞はこの方、1人で歌うのか、誰と歌うのかっていう思考が常に(頭の中で)ぐるぐるしているような毎日です。
――ちょうど1年前に始まった『木梨ミュージック コネクション』シリーズからコロナ禍は今もずっと続いていますが影響はいかがでしょうか。
木梨:普通の生活もコロナ禍でもあまり変わらずに、気を付けながら音楽制作の作業は何も不自由なく動いてました。アーティストの方もどっちかというと仕事が止まっていたりするので、呼ぶとすぐ次の日にスタジオに来てくれる(笑)。麻布十番か、成城学園前の矢吹スタジオ(プロデューサー・矢吹俊郎のスタジオ)のどっちかでフットワーク軽く動いていた1年だと思います。今回もまったく同じですね。
――今作はこれまで以上に賑やかな人々が集まっている印象です。作品として「今回はこういう人たちとやろう」というトータルなイメージはあったのでしょうか?
木梨:いや、ないです。例えばマツコとミッツ(「命綱 feat. マツコデラックス,ミッツ・マングローブ & ピンドン・ノリ子」に参加)は、このEPを作るから呼んだわけじゃなくて、以前、2人が20代の頃に日本中のライブハウスとかお店のステージを回っていたという話を聞いたときに、その仲間に入れてほしくて、「じゃあ、いつか曲を作って一緒にやろうっ」て約束していたのが今回実った感じです。俺らが小さいときから聴いて育ってきた宇崎竜童さんの曲と阿木燿子さんの詞を「すごい、すごい!」って一発で気に入ってくれてマツコとミッツと一緒に歌うっていうことを、宇崎さんには知らせずに、イチかバチかでレコーディングに入ったんです(笑)。そこから音を作ろう、アレンジをこうしようってなったときのミッツの自分のボーカルを含めた見事なプロ意識ね。衣装へのこだわり、ビジュアル、カメラアングル、照明まで、「私たちは明菜になるのよ」っていう思いがすごくて。ここ(木梨の事務所)に来たら4時間ぐらいずっと喋ってるんですよ。あの2人のやりとりがまた面白くて。
――そういえば、テレビでマツコさんとミッツさんが一緒に出てるのは意外と見たことがないです。
木梨:そうでしょ? なかなかテレビでも共演を見ないんだけど、あの2人の掛け合いは見たことがないぐらい面白いんですよ。マツコはスタジオのブースに入ってレコーディングするのが、今回が初めてだったんですけど、「あんたたち、私がここに入ってるのを見て笑ってるんでしょ!?」なんて言いながら、いざ歌ったらあの太い声にみんな驚いて。マツコは2回ぐらいしか歌っていないんですけど、一方のミッツは何回もこだわって、「このコーラスを三層にしたい」とか「ギターを上げて欲しい」「ラッパを上げてほしい」とか、バランスまで何回も整えて作りました。
――すごくソウルフルな曲で、なおかつ曲の前後に尺八も入った歌謡曲のテイストもあって、そこに3人のカッコいいボーカルが乗るっていうのがいいですね。
木梨:誰から入って、どういう風に歌うっていうのをその場で決めながら進めていって、楽しい作業でした。マツコの歌声も知らないままレコーディングに突入したんですけど、見事でしたね。ああいう風に(パートを)割り振ってるんだけど、本当は結構1番をずっと歌ってくれていて、まぁ、それもカッコイイんですよ。でも、そうすると俺の歌うところがなくなっちゃうから、「ちょうだい」って言って(笑)。
――全体的に、木梨さんのリーダー作品にもかかわらず、ご自身はさほど前に出ずにゲストの方中心にやっていらっしゃいますよね。
木梨:引っ込み思案なんでね(笑)。もう、来てくれてOKいただいたときに実は満足していて、どうやったらもうちょい良くなるかなとか、みんなでやる作業、その道中がどうやら好きみたいで。
――ただ、「命綱 feat. マツコデラックス,ミッツ・マングローブ & ピンドン・ノリ子」は宇崎竜童さんには事後報告ということで。
木梨:そうなんですよ。「木梨君、君はいつも事後報告ばっかりだな」って言って、さすがに宇崎さんが今、「事後報告」っていう次の曲を書いてくれてます。阿木さんが「事後報告」を恋愛に絡めるのか、どういう詞にしてくれるのか今楽しみにしてるんです。ただ、阿木さんは宇崎さんの曲がピンとこないと詞を書かないらしく。でも「事後報告」って俺のことだってよくわかってますから、たぶんサウンドが来たらスッといくのではないかと思ってるんですけどね。
リリース情報
『木梨ミュージック コネクション3』
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タイトル長すぎて今だに覚えてない(笑)
「答え探しの毎日を!」と「しかけ早めに動いていこう!」だけ
――レコーディングに至るまでの様子はGYAO!の『木梨の貝。』で見ることもできますけど、全部カメラを回してオープンにしちゃうんですね。
木梨:全部ですね。デモテープがくると発売前にラジオでどんどんかけちゃうから(笑)。「〇月〇日解禁」ってどこのシステムでもあるじゃないですか? ないです、うちは。
――氣志團の綾小路翔さんのデモテープもラジオで流したり(笑)。
木梨:あれはさすがにビックリしたみたいだけど(笑)。実はこのEPに入れるかもしれなかったから「デモテープまだ?」って電話して、翔やんに急いで届けてもらったんだけど、全然ゆっくりで良かったね。それで先にラジオでかけちゃうっていう(笑)。
――1曲目と5曲目のタイトルや歌詞にも<しかけ早め>と出てきますけど、これは木梨さんのモットーなんですか。
木梨:まぁ、せっかちなのもあって、早めに早めに、思ったらすぐに電話もしちゃって、なんとなく相手の方に意識していただいてます。「まだ?」って言うともっと急いでくれるんで(笑)。だいたいどんな動きも、1回置いとくと忘れちゃったりするから、どんどん早めに動いてますけどね。
――音楽業界に限らず、自分が早めに動きたくてもことが動かないことって多いですけど、お話を伺っていると、まわりの方もすごくスピーディーに動いているように思えます。
木梨: 1曲目と5曲目は、たまたま遠藤(章造)が俺んち(木梨サイクル)で自転車にカゴをつけたいって言うから付けてあげて。普通そこでお茶飲んで解散なんだけど、ちょうどその頃、遠藤と狩野(英孝)が、クセが強い歌をやってるところをどこかで見てたから、「狩野、今何やってんの?」って、朝の9時ぐらいに電話して呼んだんです。狩野が祖師ヶ谷大蔵まで来て、クセが強い歌を歌って遊んでたら、冗談で「曲作っちゃおう」ってそこから3人で成城学園にある矢吹スタジオに向かって。その途中で所さん(所ジョージ)の世田谷ベースに行って、所さんから自転車をもらったり(笑)。スタジオに着いたらみんな昂ってるから、「この感じ、この感じ! 早く曲と詞書いて!」って曲になったという流れです。
――本当に、“流れとノリとタイミング”でできた曲なんですね。
木梨:そうです。あのとき狩野がいなくて連絡が取れなかったら、まずなかったことですね。
――このEPのために曲を作ろうということじゃなくて?
木梨:全然そうじゃないですね。遠藤も音楽がすごく好きだし、狩野はもう歌手レベルで動いているから。それがまた、天気の良い春の日で、「俺が入ってない!」っていつも悔しがるホリケン(堀内健)が急に来て、2番の歌詞を書いて。でも、できた曲を配信とかCDにするのかも、ず~っとわからないまま、やってたんです。そしたら『FNS歌謡祭』で歌わせてくれることになって。
――リリースされるかどうかわからない段階で出演したんですね。
木梨:遠藤も狩野も、「これ、どういう流れになるんですかね?」って言ってて。「わかんないよ、後でなんとかなるでしょ」って言ってるうちに、「やっぱりこの曲はももクロとか女子と歌ったほうがいいな」と思って。そしたら、男子がブーブー言いだして。
――(笑)。じゃあ、ももクロと歌ってる1曲目のバージョンが木梨さん的にメインということですか?
木梨:『FNS歌謡祭』で男4人で歌うと普通っぽいから、やっぱりセンターは女子のほうが楽しいなって。それで、ももクロと合流したのが『FNS歌謡祭』なんだけど、せっかくなんで男子軍、女子軍の2つともいっちゃおうという流れで2曲になりました。
▲「答え探しの毎日を!」
――それでタイトルはちょっと変えているという。
木梨:うん、長すぎて自分でも今だに覚えてないです(笑)。「答え探しの毎日を!」(1曲目)と「しかけ早めに動いていこう!」(5曲目)というところだけ。
――木梨さんにとってどんな曲になりましたか?
木梨:本当にその場にいる人だけで、こうやって曲ってできるんだなって。俺が横で「急げ急げ」って言うから、狩野も「すいません、今やってます」とか言いつつ、作れちゃうっていう天才ぶりを見ました。狩野とホリケンの方向性の違う天才ぶりがぶつかり合っちゃうから、俺と遠藤で「まぁまぁまぁ」ってやったりして。あとは「お昼何食べる?」とかそういうのは俺がやりました(笑)。この曲に関しては、本当に気持ちの良い火曜日でした。
▲「しかけ早めに動いていこう!」
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『木梨ミュージック コネクション3』
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「木梨君!」って振り返ったら、世良公則さんだった
「近いうちに」って言ったら「了解!」って
――タイトルに「言葉に気をつけ」「相手の顔色見て」という言葉が入っているのが印象的です。コンプライアンスや若い世代の目線など、世間とご自身の考えにズレがないか意識されているようなところもあるのでしょうか。
木梨:いやいや、そこはもう感覚的なもんですよ。俺の言ってることもそんなに合ってないし、すべてでもないし、誰もがそうだと思うんですけど。ただなんとなく、今感じるものをね。言葉に気をつけないと、先輩に嫌われちゃうかもしれないし、レコード会社のユニバーサルにも嫌われちゃうかもしれないから(笑)。
――なるほど(笑)。このご時世だからとかではなくて、そういうことは常に気にしてるという?
木梨:そうです、そうです。頭が悪くても、挨拶さえデカければ先輩にかわいがってもらえるし、めしもごちそうしてもらえるし、仕事もあるだろうから。まぁ、あんまり1人で考え込まないで表に出ていこうっていうような話です。暇でずっと家でボーっとしているんだったら、外に出たほうが出来事も起こるから。自分はずいぶん前からそういうところがあって、ず~っとガチャガチャ動いているんですけども。1回落ち着けっていうぐらい(笑)。
――音楽を中心に活動しつつも、もちろんテレビ、ラジオ番組もあるし、個展を開いたり、ゴルフもやったり、本当に精力的ですよね。
木梨:まぁ、ゴルフはただの趣味なので、今はたいして上手くなろうとか求めてないから。ボールが曲がったら、「曲がるね~!?」って。
――悔しがるとかじゃない境地に達してるんですね(笑)。
木梨:昔は、「明後日はゴルフができる!」とかそういう気持ちでいたんだけど、今はそれよりも、「このウェア着よう」とか「明日はあのメンバーか」「首都高はどっちから乗ろうか」「めしはゴルフ場で食おうか、それとも途中でみんなと一緒に食おうか」みたいな、前日確認のほうが楽しくて。それで当日着いてから1番ホールをやっと打つじゃないですか? そこでもう満足しちゃってる(笑)。やっぱり、そこに行くまでの道中が好きみたい。
――レコーディングにマツコさんとミッツさんが集まった段階で満足してるのと同じですね。
木梨:そうなんですよ。その道中がず~っと楽しいから、いざ「今日から配信です」ってなると、そこでいったん俺の中で終わるというか。
――いろんなことをやってるということで言うと、今年は1月4日の新日本プロレス東京ドーム大会と8月15日のDDT後楽園ホール大会と、今年だけで2回、リング上の木梨さんを観ました。
木梨:ずいぶんいろんなとこに顔出すでしょ(笑)? 新日さんとかテレ朝さんから「『生きてるうちが花なんだぜ feat. 宇崎竜童&佐藤浩市』をテーマソングとしてどうでしょうか?」っていうオファーがあって(2021年1月4日・5日【WRESTLE KINGDOM 15 in 東京ドーム】の大会テーマソングに起用された)、「じゃあ、長州力さんを呼ぼう」ということで電話したんです。
――あ、直接オファーしたんですか?
木梨:そう。新日といえば俺じゃなくて長州さんだから。急にドン・キナシが出てきてもへんな感じになっちゃうから(笑)。長州さんを連れてくるのがドン・キナシの仕事だったわけで。
――じゃあ、長州さんが入場してきたときにドン・キナシの仕事は終わったんですね。
木梨:いや、長州さんに電話して「いいよ」って言ってくれた時点で終わってるね(笑)。後楽園のほうは、貴闘力の息子(納谷幸男)が身長2mもあるのに、どうも積極性がないなんてどういうことだってことで、セコンドについて、その流れでリングに上がったんです。
――見事な延髄斬りを繰り出してました(笑)。本当にいろんなところでお見掛けします。
木梨:今、所さんと配信するかわからない曲を作ってるんですよ。「じゃあね~」って別れた後に、所さんが道端で犬の散歩してるおじさんにつかまってるから、「サイン求められているのかな、大丈夫かな~」って見ていたら、今度俺とすれ違うときにそのおじさんがマスク取って、「木梨君!」って言うから見たら、世良公則さんだったの。
――ええ~!?
木梨:「久しぶりだね!」なんて言われて。世良さんと俺はそんなに接点なかったんだけど、宇崎さんと懇意にしているみたいで、「宇崎さん、今木梨君とやってるから、また燃えちゃってるね」って、俺が宇崎さんとやってる情報も知ってるんですよ。だから、「じゃあ、世良さんも次お願いします」って言ったら、「もちろん喜んで」って。そしたら世良さんから宇崎さんに連絡が行って、「聞いたよ。すごい偶然だね」って。俺も世良さんにメールして、「近いうちに何かありましたら、すぐ電話します」って言ったら「了解!」って言ってくれて。「あれ? 俺『銃爪(ひきがね)』歌うのかな?」って。
――ツイストの代表曲を。それは聴きたいです。
木梨:それか、「事後報告」を俺と世良さんで歌うか、宇崎さんも一緒に歌うか。今日現在はそんな感じです。その出会いが一昨日の話で、もう1つ聞いて下さいよ、どうでもいい話ばっかりで悪いけど(笑)! 昨日、実家に行って車を停めてたら、「木梨さん」って呼ばれて振り返ったら、演歌歌手の神野美伽さんだったんです。神野さんはとんねるずの「迷惑でしょうが…」をカバーしてくれたことがあって、「インスタライブ観てますよ」って言ってくれるから、「じゃあ、また何かあれば」って(笑)。
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『木梨ミュージック コネクション3』
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撮影の隙間を縫ってスタジオに来てくれて
声を出したときに、もう完璧に仕上がってた
――連日、有名歌手の方と会うというのは何かありますよね。
木梨:そうなると、「ん? やれってことか?」って思っちゃうんですよね。今回の中井(貴一)さんとの「ジグソーパズル feat. 中井さんと木梨くん。」もそうなんです。前作で歌った「生きてるうちが花なんだぜ feat. 宇崎竜童&佐藤浩市」から繋がってるんですけど、(もともと2003年に宇崎が書いた)「生きてるうちが花なんだぜ」という曲は、原田芳雄さんとかいろんな方がず~っと歌ってきた曲なんです。その曲を俺が急に宇崎さんと歌うから、浩市さんが「なんで木梨君が歌ってんの?」って言ってきて。「じゃあ、一緒に歌ってよ」ってお願いして、宇崎さんと3人でレコーディングしたんです。佐藤浩市といえば、横には「貴一・浩市」の中井貴一がいるわけですよ。
――「貴一・浩市」と呼んでるんですか(笑)。
木梨:そうそう(笑)。そこになぜか俺も、ジャンルは違うけど同い年の軍団としていたわけですよ。浩市さんと歌うとなると、「じゃあ、隣に立つ俺は貴一だな」と。実際は中井さんって呼んでるんだけど(笑)。中井さんは俺のことを木梨君って呼ぶんだ。ちょっと距離あるでしょ?
――そうですね(笑)。
木梨:距離あるんですよ(笑)。だって、中井貴一さんのお父さんは佐田啓二さんで、佐藤浩市さんのお父さんは三國連太郎さんで、俺としては敷居が高いんだよね。
――大御所俳優の2世同士ですもんね。
木梨:そうでしょ? 中井さんとは、その昔、映画(『竜馬の妻とその夫と愛人』)で共演したとき、打ち上げで狩人の「あずさ2号」を歌ったことがあって、サビの<さよならはいつまでたっても>っていうところから2人でハモったことがあるわけですよ。だから中井さんに「2人で狩人に、いや、ゆずになりたい」ってお願いしたんです。それで、阿木さんと宇崎さんの「ジグソーパズル」という良いメロディと詞をもらったんで渡したら、中井さんと宇崎さんも食事会をするぐらいの仲良しだったんですよ。そしたらもう、決定でしょ? こんなことは宇崎さんに報せなくてもいいから、先に作っちゃいましょう、と(笑)。
――そこでも事後報告(笑)。
木梨:それで中井さんが京都で撮影をしている隙間を縫ってスタジオに来てくれて。プロを感じたのが、中井さんがレコーディングで声を出したときに、もう完璧に仕上がってるんですよ。それに驚いちゃって。こっちは一回も歌ったことないのに(笑)。その後も朝6時からやってるラジオ(『土曜朝6時 木梨の会。』)にも来てくれたりして、そんな感じですべていい流れで来ているんです。
▲『木梨の会。』中井貴一出演回
――「ジグソーパズル」はすごく心に沁みるバラードですが、歌ってみていかがでしたか。
木梨:気持ち良かったですね。中井さんが仕上がってたから、俺は何回も歌い直して、歌い方も含めて俺のほうが時間かかってます。宇崎さんに聴かせたら、「いやぁ~、貴一君いいね」って。マツコとミッツのときも驚いてました。「宇崎さん、俺は?」って訊いても、俺のことは褒めないの(笑)。
――「サクセス」のカバーはさすがに褒められたのでは?
木梨:いや、褒められないです。この歌は俺がガキの頃に作られた曲で、「これは誰にも触らせたくない、俺1人の曲にしよう」と思って。オケ作りから、ラテンっぽくリズムもオリジナルより速くしようって作って、ボーカルも入れてから宇崎さんに聴いてもらって、「宇崎さん、この曲を俺にください」って言ったんです(笑)。それで何回か聴いてるうちに、「なんで木梨君はそうやって唸ったり、強く歌ったりするの? 佐藤君みたいに優しく頭から入らないと」って、ダメだしされて(笑)。でも「歌っていいよ。著作権はあげないけどね」って言ってくれました。
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俺は阿木さん、宇崎さんの曲がガキの頃から染み込んでる
清志郎さんは、優しい先輩でした
――阿木さん、宇崎さんといえば、山口百恵さんをはじめ昭和歌謡の名曲を生み出してきた名コンビですが、お2人に曲を書いてもらうというのはどんなお気持ちですか。
木梨:『木梨ファンク ザ・ベスト』でどんなジャンルの音楽でもやりたいと思って、若いAKLOとかAK-69とかヒップホップチームにも手伝ってもらったり、曲をもらったりしてやったんだけど、やっぱり俺は阿木さん、宇崎さんの曲がガキの頃から染み込んで育ってるから。随分前に、水谷豊さんのライブに宇崎さんがゲストで出たときに観に行ったんですけど、おふたりともトークで相当笑わせるんですよ。その後にギター1本で「サクセス」をジャカジャカジャカジャカ~って歌い出したときに、もうやられて。後日、水谷さんに宇崎さんをご紹介いただいてお会いしたら、俺のとんねるず時代の曲とか聴いてくれてたんです。それで、「俺に何を求めてるの?」って言われて(笑)。「表現できるかわからないですけど、宇崎さんの曲と阿木さんの詞で歌ってみたいです」ってお願いして、そっちの世界に入っていったんです。それで、前作で歌った「不機嫌なモナリザ」ができて、今回の「命綱」「ジグソーパズル」っていう流れになって。宇崎さんにはライブで「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」を一緒に歌わせてもらいました。そこに、俺が生まれて初めてテレビに出た『ドバドバ大爆弾』で司会をしていた所ジョージさんがいて、その所さんの芸名の名付け親が宇崎さんだと。全部繋がってるんですよ。所さんが「宇崎さんと30年会ってない」って言うから、おふたりにライブに来てもらって、楽屋で再会したんです。「宇崎さん、どうも」「おお! 所、ひさしぶりじゃん」って、そういうのを見ながら俺は「うわ~、誰かカメラ回して!」って(笑)。
▲「不機嫌なモナリザ」
――昨年、宇崎さんからのご指名で「うたつなぎ」が回ってきたときに、木梨さんは「浪漫-ROMAN-」(憲三郎&ジョージ山本)と、忌野清志郎さんとリリースした「ガンバレ日本」(【2002 FIFAワールドカップ】応援歌)を歌っていましたよね。清志郎さんとのエピソードがあれば教えていただけますか。
木梨:清志郎さんを崇拝されている方たちがたくさんいるから、調子に乗ったコメントも言えないんだけど(笑)、本当に優しくしてくれてね。清志郎さんのスタジオでミュージシャンの方々とあの曲を録ったり、食事に行ったり、番組『木梨サイクル』の中でサイクリングに行ったり。「木梨君、俺の知り合いの自転車屋さんに行こう」って一緒に行ったら、100万円以上のヨーロッパ製ロードバイクをもらっちゃって、今もうちの自転車屋に飾ってあります。自分も自転車屋なのに清志郎さんから自転車をもらうっていう(笑)。それで何回か一緒に自転車で出かけたりもしました。清志郎さんが自転車に乗るようになってからタバコを止めたと思うんだけど、その影響で「俺も自転車乗ってみようかな」って運動モードに入って、麻布から祖師谷まで自転車で甲州街道を走ったりしたことを思い出しますね。それとスタジオで一緒に作業していたときに、「なんかフレーズない?」って訊かれて、「ニッポン チャチャチャ(手拍子)はどうですかね?」って言ったら、「じゃあ、それ入れよう」って、すぐに「ガンバレ日本」にそれを入れてくれて……優しい先輩でしたね。まさか清志郎さんが曲を書いてくれて、CDになるとは思ってなかったけど、最初は(笑)。
――そのときも今回の遠藤さん、狩野さんたちとの曲みたいに、作品として発表する予定はなかったんですね。
木梨:そうですね。あの頃は、番組でそういうのが生まれることが多かったんです。山本譲二さんとの「浪漫-ROMAN-」もそう。あれは北島三郎さんに競馬場で頼んでみたら、「ああ、いいよ」って言うから北島さんと歌うのかなって思ったら、「譲二とやれ」って言われて、「了解しました!」って(笑)。
――そういうコラボレーションをちゃんと形にして残してきたことがすごいですよ。木梨さんは来年3月で還暦を迎えますが、5曲目のタイトルにも “60才なのに40ぐらいの気持ちNORIー!!”と入ってるように、あんまりそのへんは実感ないですか?
木梨:還暦についてはまったく意識してないですね。“40ぐらいの気持ち”って書いてありますけど、本当は高校卒業して5~6年ぐらいな気持ちです(笑)。ただ、どうやら体力的には普通の60歳なんですよね。
――(笑)。ただし気持ちは、20代前半ぐらいのままだという。これからも、音楽を中心に活動していきそうですね。
木梨:もう、うちらのメニューは先に書いといてください。今のところのメニューは、氣志團の翔やんの曲を団体活動で学ランで歌うやつとナオト・インティライミ。俺はナオト・イン・ティラミスって呼んでるんだけど(笑)、ナオトとアフリカンなみんなでジャンプするような曲を。もう1曲、さっしー(指原莉乃)と俺の曲も仕上がってます。これももうラジオで流しちゃったんだけど(笑)。それとピコ太郎と、ピコ太郎に変な叔父さんがいたみたいな「アンクルピコ」っていうキャラクターで行こうかと。
――先々のリリース予定までありがとうございます(笑)。では、最後に『木梨ミュージック コネクション3』について、改めてひと言お願いします。
木梨:みなさん誰もがお気に入りのアーティストがいると思うんですけど、その1本で突き進むと、少し聴きすぎちゃう可能性があるから。そんなとき、合間にこのEPをトントンッて差し込んでいただけたら(笑)。そういう役割で今回は豪華メンバーで作っております。その日楽しかったことがそのまま曲になっていて、マツコの歌声、ミッツの作り上げる力、中井貴一の説得力、ガキの頃から想いがあった「サクセス」――そういう曲たちを、是非ともお気に入りアーティストの間に差し込むクッションとしていかがでしょうか (笑)。よろしくお願いします。
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