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<インタビュー>dTVに「ライブ」ジャンルが新設 目指していく音楽ユーザー体験やライブ配信とは



 NTTドコモが提供するdTVで、「ライブ」ジャンルが新たに始まった。有料配信ライブから、見逃し配信、過去のアーカイブ映像、MVなど、増え続ける豊富な映像ラインアップ。さらに、dTV独占の音楽番組も加わり、「巣ごもり消費」で需要の高まるオンライン配信を見逃せないコアファンから、初めて参加するライト層まで、幅広い層から支持を集めている。

 音楽シーンでは昨今、世界的にますますアーティストの映像コンテンツ製作と配信に比重が高まっている。それは日本も例外ではない。今後、音楽ファンの集まる場所は、映像プラットフォームになっていくかもしれないからだ。今回は、dTVが目指す音楽ユーザー体験や、同社独自のオンラインライブ配信について、NTTドコモ コンテンツビジネス部 コンテンツサービス担当部長の山下智正氏に伺った。

盛り上がりを作りやすいシームレスなプラットフォーム

――最初に「ライブ」をジャンルとして新設された経緯について伺えますか?

山下智正(以下:山下):2つあります。一つは、長年やってきました「dTV」に追加されるコンテンツも増えたことに加え、巣ごもり消費の影響で好調に推移してきたことがあります。もう一つは新型コロナウイルスの影響でリアルなライブが出来ない中、オンラインライブへのニーズが拡大していることがありました。ドコモではリアルなライブをオンラインで視聴するための「新体感ライブ CONNECT」を提供してきましたが、よりシナジーを高めるために、dTVのライブジャンルに「新体感ライブ CONNECT」のノウハウを生かしています。

――巣ごもり消費の影響はどれほどありましたか?

山下:都度課金制の有料ライブ配信と、従来のサブスクリプション型で提供してきた長尺のライブ・コンテンツの両方が伸びてきています。動画の視聴回数や新規加入者も伸びています。コンテンツに関しては、BTSさんのライブのアーカイブを配信したり、常に追加してきたことで、新しいユーザー様にdTVを認知して頂けたと感じています。オンラインライブ文化が一般的に確立されてきたと感じています。また、以前に比べて、アーティストや事務所の方も、オンラインライブ配信を行いたいとの要望が増えてきました。


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――一般ユーザーさんからも、音楽のオンラインライブ配信を求める声は強まってきましたね。

山下:「新体感ライブ CONNECT」で行ったユーザー調査でも、ライブに行く前にセットリストを予想したり、過去のライブを見て曲を予習したり、事前の盛り上がりを作ることを楽しみにしているユーザーさんがいました。ライブ後に、余韻に浸るためにアーカイブを見るユーザーさんも多いです。ですので、dTVではライブ前の盛り上がり、当日のライブ、見逃し配信や関連コンテンツによる振り返りまで、一つのプラットフォームの中でのユーザー体験を繋げていけると考えています。

――他社には無い強みは何だとお考えでしょうか?

山下:一つは、ライブ前、当日、ライブ後の盛り上がりを作りやすいシームレスなプラットフォームであることかと思います。もう一つは、dポイントとの連携です。dポイントクラブは8000万人以上の方にご利用頂いております。ポイントを利用すれば、例えば3000円のライブでも2000円分のポイントで視聴できる。dポイントの充当で、オンラインライブ視聴に参加する障壁は下げられるかと思います。サザンオールスターズのライブ配信の際に「dポイントでチケット買えたので初めて参加します」という口コミがありました。ユーザーさんの垣根を下げることに繋がりますし、アーティストや事務所の方も今までリーチできなかった層を獲得できる手段として、dポイントがお役に立てていると感じています。

――先日行ったGLAYとHKT48の有料ライブ配信の感触はいかがでしたか?

山下:GLAYさんのライブ配信は、他社さんも同時に配信するケースで、HKT48の宮脇咲良さん卒業コンサートはdTVで独占配信しました。GLAYさんでは、dTV会員の方が参加するための導線がプラットフォーム内で作れたと思っています。宮脇咲良さん卒業コンサートでは、「新体感ライブ CONNECT」で培った配信技術を組み込んだことで、大きな反響を頂きました。

――技術とは具体的には?

山下:例えばアイドルのライブの場合、推しのメンバーだけを見ていたい、というニーズは多いんです。ですが、視聴行動を分析すると、ライブ当日はメインのカメラでの映像を見て、見逃し配信で好きなカメラアングルから見る、という行動が多いことが分かりました。ですので、今回の見逃し配信では、宮脇さん専用アングルからの映像を、メインカメラでの映像に加えて配信したところ、視聴も伸びましたし、ユーザーさんにもご好評でした。

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ファン層を広げたいという課題に貢献したい

――ライブ体験を向上させる意味で「新体感ライブ CONNECT」のノウハウは大きいかと思いますが、今後はどのようにしていきますか?

山下:強化ポイントは幾つもありますが、一つは、ライブの前後で盛り上がりを作るためのオリジナル番組です。きゃりーぱみゅぱみゅさんとスチャダラパーのBOSEさんがMCを務める生配信番組『dTV Presents KPPとBose みんなの放課後』を始めました。この番組では、アーティストさんをより深く知って頂き、ライブ配信や映像コンテンツを盛り上げていくことが狙いです。ライブ配信のプロモーション用にアーティストさんが出演頂ける番組を増やすことを目指します。その他には、ライブレポートのページを立ち上げて、ユーザーさんに振り返りながら余韻を楽しんで頂いたりする取り組みも始めました。



『dTV Presents KPPとBose みんなの放課後』


――コンテンツの拡充はどれほど進んでいますか? 今後はどのように増やしていく予定でしょうか?

山下:長尺のライブアーカイブ映像コンテンツは現在、1,200以上を配信しています。今後も増やしていく予定です。それから今は、JYPエンタテインメントのJ.Y.Parkさんと、「江南スタイル」のPSYさんがプロデュースする、次世代ボーイズグループを発掘するオーディション番組『LOUD』を日本独占で配信しています。TV番組の配信を通じてアーティストさんのファンになって頂き、ライブやMVなども視聴頂くような、dTVならではのコンテンツ体験を提供していきたいです。



『LOUD』


山下:またユーザー層では、Z世代はdTVが狙いたいターゲット層でもあります。どうリーチするかの鍵は、コンテンツ力です。Z世代が共感できるコンテンツのラインナップをどれだけ拡張できるかも強化軸になっています。

――オンラインライブ配信では、音質や画質を上げてみたいというニーズも増えてくるかと思いますが、どのように対応されていきますか?

山下:今後、ライブの進化には二通りあると考えています。一つは、高臨場感。オンラインでもリアルのライブさながらの体験をどうテクノロジーで作るか。2つ目はインタラクティブ性。アーティストとオーディエンス。オーディエンス同士がコミュニケーションすることで、リアルのライブでも実現できない全く違う体験がオンラインライブで作れるというコンセプトを私たちは持っています。

例えば、今後はライブ配信では、前方から演奏の音が聞こえて、横や後ろから歓声が聞こえたりするような方法が実現可能になり、臨場感が高まるかと思われます。その意味では、高画質、高音質はまさに高臨場感の相乗効果と捉えています。ライブに限らず、映像の高画質化はdTV全体で長年取り組んでいます。どんなテクノロジーを使って向上できるのか、日々研究しています。インタラクティブの側面では、ライブ中のコメント機能があると無いとでは盛り上がり方が全く違ってきます。低遅延化も大事です。会場の盛り上がりがオンラインでもリアルタイムで体感できる方法をテクノロジーで実現していきたいです。

――ライブジャンルを正式に加えたことによってdTVを今後どのようなプラットフォームに育てたいとお考えですか?

山下:豊富なコンテンツのラインナップをユーザーさんに提供しながら、新しいファンを獲得したいアーティストさんに使って頂けるプラットフォームでありたいと考えています。事務所の方と話をすると、コアファンが多いアーティストでも、ファン層を広げたいという課題を感じます。ファン層拡大において、dポイントの充当や、有料ライブや見逃し配信の技術など、さまざまな側面から貢献できるプラットフォームにdTVが成長していきたいですね。

また、アーティストの原点に迫るオリジナルライブ番組『Roots』を2021年8月27日(金)からdTVで順次配信しています。第1弾となる8月の配信は今年メジャーデビュー10周年を迎えるきゃりーぱみゅぱみゅが出演しましたが、9月24日(金)は今年ソロデビュー25周年を迎える西川貴教が出演します。


▲Roots −きゃりーぱみゅぱみゅ−

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