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<インタビュー>手越祐也、オーラルら同世代バンドから受けた刺激&今後の展望を語る



 独立して1年を経た手越祐也が、満を持して2021年7月からスタートした「6か月連続配信プロジェクト」。その第3弾となるデジタルシングル「LUV ME, LUV ME」(ラブ ミー、 ラブ ミー / 略称・ラミラミ)が9月22日にリリースされた。第1弾「シナモン」では柔らかく素直な歌声で、第2弾「ARE U READY」ではデジタルロックサウンドに乗せたカオティックなシャウトで、そして「LUV ME, LUV ME」では先鋭的なトラックによるダンスチューンでセクシーなボーカルを聴かせており、3曲それぞれでまったく異なる個性の表現力を発揮している。

 12月にはアルバムのリリースも決定、2022年には全国ツアーも予定されている等、ここにきてソロアーティスト・手越祐也の音楽活動は一気に加速し始めた印象だ。シングルのことはもちろん、【黒フェス】初出演の振り返り、『スペプラ手越 ~Music Connect~』でのバンドマンとの出会い、今後のエンタメ界についての展望等々、時間の許す限りたっぷりと話を聞かせてもらった。

「スポーツや音楽は命を救われる存在」
地盤固めの1年、満を持しての音楽活動開始を振り返る

――先日の【黒フェス2021~白黒歌合戦~】(2021年9月6日開催 / 以下【黒フェス】)でのパフォーマンスを生配信で拝見しました。汗だくで熱演していらっしゃいましたが、久しぶりの有観客ライブはいかがでしたか?

手越祐也:いやあ、最高でしたね。今はなんでもかんでも中止だとか配信にすればいいやみたいな傾向があるけど、やっぱり有観客には勝てないんですよね。これは観てくださってる方もそうですし、パフォーマンスする側もそうですけど。声が出せないとしても、拍手だったりとか視線だったりとか、人が出す愛とか熱量っていうのは、やっぱり有観客だって改めて思いましたし、「音楽って最高だな」ってことを、【黒フェス】のおかげで再認識させられました。

――お客さんは声を出すことはできなかったわけですけど、パフォーマンスしながら、お客さんの反応もしっかり見ている様子も伺えました。

手越祐也:僕は、客席のみなさんの顔や表情を見るのはすごく好きなんですよ。早くノーマスクでワーキャー、ワーキャーできる時代になればいいなって思います(笑)。

――オープニングで松崎しげるさんに、「元気のないエンタメ界に元気を振りまいてくれる存在です」と紹介されてましたけど、実際に会場のお客さんにも配信で観ているお客さんにも歌とダンスで元気を与えたという意識は強いんじゃないですか?

手越祐也:そうですね。スポーツとか音楽って、国境も肌の色も関係ないし、いつ存在していても、僕にとっては本当に命を救われるような存在なんです。中止とかお酒の提供は禁止とかネガティブなニュースばっかりあるけど、でもやっぱり地球はストップしてくれないですし。できることから前に進まないといけないって僕は思うんですよ。いつまでも禁止とかなんだかんだって言うのは簡単だけど、その期間が続いちゃうとみんなストレスが溜まって、経済もストップしちゃうので。【黒フェス】みたいに、やる側も観に来る方もみんながちゃんと開催するための努力をして、エンタメを回していかないといけないと思うんです。松崎さんをはじめ、ああやって開催するという意思決定をしてくれた【黒フェス】の開催チームには本当に心から感謝したいですし、すごいなって尊敬もしています。

――コロナ禍でイベントを開催するとなると、周囲の反響にはどうしても敏感になってしまいますよね。

手越祐也:でもああやってエンタメを動かそうって一生懸命頑張ってる人のチームが先頭に立って進んでいけば、結局ああいう楽しいことって免疫力が上がるじゃないですか。だから僕もできることから進めたいなって心から思うし、たぶんレコード会社を始め音楽チームはみんなそう考えてると思いますよ。

――手越さんご自身も、独立してこの1年間精力的にチームを引っ張ってきたんじゃないかと思います。振り返ってどんな思いを持っていますか?

手越祐也:独立して、今まで当たり前にできたことができなくなったこともあるし、逆にこんな素敵な世界や人がいるんだなという発見もあるし、良いこと悪いこと両方ありますね。環境が変わるときって全部が良いわけじゃないし全部が悪いわけじゃないし。両方色んな出会いがあった中で、この6月のリリース発表までの1年間で、音楽まわりもそうだし自分が色んな活動をしていく中でも、地盤固めの整地ができたと思います。まあ欲を言うなら、独立してすぐにファンの子たちに会ってライブをしたかったんですけど。人間、カップルもそうですけど、遠距離恋愛が続きすぎると別れも近くなるじゃないですか?(笑)

――そうですね(笑)。

手越祐也:やっぱり定期的に会っておかないと。かといって僕は中途半端な音楽を納得していないままおもむろに出すのも嫌だったので、(準備期間は)必要な期間だったと思ってます。良い地盤固めと仲間集め、チーム集めはこの1年間ですごくできたなって思っています。

――しっかり自分の両足で立ち続けるための地面を固めていた?

手越祐也:そうですね、はい。

――その上で満を持して発表された6か月連続配信リリースの第1弾「シナモン」は、非常に柔らかいボーカルが聴ける楽曲ですよね。どちらかというと、第2弾「ARE U READY」の方が勢いがありますし、【黒フェス】でも1曲目に歌っていました。そのあたりのリリースの順番ってどう考えていたんですか。

手越祐也:初めて手越祐也の音楽を聴く人もたくさんいるんだろうなって想像したときに、まず “ボーカリスト手越祐也はこんな感じです” という楽曲を歌いたいなって思ったんです。たぶん、第2弾の「ARE U READY」とか第3弾の「LUV ME, LUV ME」(ラミラミ)は、なんとなく僕のイメージにあったと思うんです。でも「シナモン」みたいな本当に純粋無垢でストレートな楽曲――歌的にももっとキーを高くして張ったり、ビブラートをかけまくったり色んなテクニックも使えるけど、そうではなくて、ちゃんと歌と歌詞とメロディラインでまっすぐ思いをボーカルで伝える楽曲の方が、初めて聴く人を想定したときに良いんじゃないかって。僕自身もそうだし、僕のまわりの音楽に関わってくださる方みんな、この「シナモン」が良いんじゃないかという意見が一致したので、第1弾は「シナモン」を出させていただいて、第2弾ではポジティブな僕の思いだったり、僕に対して歌ってる歌でもあり、世間とかまわりの社会にいるいろんな方々への応援歌でもある「ARE U READY」を出すっていうバランスがいいんじゃないかということで、「シナモン」「ARE U READY」の順でリリースしたんです。

▲1st Digital Single「シナモン」

▲2nd Digital Single「ARE U READY」

――確かに、「シナモン」でボーカリストとしての表現力がよくわかりましたし、そこからソロアーティストとして真摯に音楽活動していく意気込みも感じました。そして9月22日に配信リリースされる第3弾が「LUV ME, LUV ME」。これもまたテイストの違う、クラブトラックによるダンスチューンですね。

手越祐也:“ラミラミ”は、ちょうどこれから行われる東名阪ツアー(【手越祐也 LIVE TOUR 2021「ARE YOU READY?」】)での披露になるので、今まで自分がやってきたダンスミュージック――ライブで盛り上がって、本来なら一緒に声を出して掛け合いしながら踊るような楽曲が自分らしい曲として存在した方が、音楽の方向性としてみんなにも楽しんでもらえると思ったんです。それと、ボーカリスト手越祐也を俯瞰して見たときに、自分のストロングポイントは、曲によってまったく違う歌い方、違う声色、違うテクニックで全曲似てない歌い方ができるところだと思っていて。「シナモン」ではあまりテクニックを使わずにまっすぐ歌い上げて、「ARE U READY」はちょっとディストーションボイスを混ぜたりしながら攻めのシャウトをしてしゃくったりしていて。“ラミラミ”はブレッシーに、ちょっとエッチなセクシーな感じで、昼というよりは夜を連想させるような声の抜け方とか、そういうボーカルの使い分け、「シナモン」「ARE U READY」とはまったく違う表現力を楽しんでいただけたらいいかなって思います。

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「コロナで元気がなくなった日本の音楽をみんなで盛り上げていきたい」

――3曲それぞれ作詞作曲編曲しているアーティストは違いますが、6か月連続配信リリースする曲はすべて、手越さんがトータルプロデュースしていると考えていいですか?

手越祐也:最初のデモの段階から、僕も入らせてもらって細かくやってます。6曲連続リリースなので、バランスはすごく大事。一辺倒に「勝負、勝負、勝負」というよりは、6曲パッケージで聴いたときに、毎回楽しめたらいいなと。リリースの順番も含めて、ド頭のデモ段階から僕はずっと入ってますね。

――それをこの1年間、しっかり準備して満を持して今回6か月連続リリースがスタートしたわけですね。12月にはアルバムの発売も予定されていますが、手越さんが今後音楽シーンにどうやってアプローチしていくのかを考えたときに、すごく興味深いのが、『スペプラ手越 ~Music Connect~』(スペースシャワーTVプラスで毎月第3土曜日22時から放送中 / 以下『スペプラ手越』)という番組です。第1回でキュウソネコカミのヤマサキセイヤさん、第2回でTHE ORAL CIGARETTESの山中拓也さんと、エッジの効いたロックバンドの方々とセッションしていますよね。これは今の手越さんにとってすごく重要な番組なのでは?

手越祐也:そうですね。僕としては、『スペプラ手越』はずっとやりたかったような番組なんです。いろんなやり方とアプローチがある中で、歌だけがすべてじゃないというタレントさんもいっぱいいるし、いろんな武器の中の1つが音楽という人もいると思うんです。でも、キュウソもそうだしオーラルもそうだけど、本当に小さいライブハウスで4、5人のファンしかいない時代から音楽を作っていて、それを10人に増やして50人に増やして100人に増やして、今ではアリーナでやったり、彼らは“生え抜きのホンマもん”じゃないですか? それぞれのキャラクターも音楽も評価されないとバンドマンはファンがつかないし、大きいところでライブもできないし、事務所のパワーとかじゃないじゃないですか? その中で、音楽のみを生き様と生きがいにして戦い抜いてきたバンドのボーカリストなんですよね。
セッションしたり彼らの歴史を知ったりしたんですけど、僕は残念ながらそういう歴史がないので。すぐデビューして、アリーナでのライブもすぐできたし、そういう苦労を知らないから。事務所時代はそれこそテレビで『イッテQ!』があったりサッカー番組があったりラジオがあったりいろんなことがある中の1つにライブがあったんですけど、独立してできなくなったものがたくさんある中で、自分の中での音楽とライブの存在の大きさが以前とは全然違うんですよね。やっぱり、僕も今一番表現できるのはライブでしかない。そう思ったときに、彼らバンドマンの気持ちがちょっとだけわかるようになったんですよ。

手越祐也:それで、彼らのライブや音楽への思い、ファンへの思いを聞いてると、自分も今そっちの世界の方が近いなって。やっぱり音楽でしかファンの子との交流や、自己表現ができないんです。トーク番組とかに出たりもするけど、やっぱり音楽なんですよ。そんな中で、『スペプラ手越』みたいなヒリヒリする一発勝負の歌録りだったり、ごまかしができないアコースティックアレンジ、しかもエースのボーカリストと一緒に歌うというのは刺激がありますね。僕はやっぱり、対外試合が好きなんですよ。ピリついた空間というか。みんなファンだと、何をやっても笑ってくれるし、何をやっても感動してくれるけど、他のバンドのファンもいるとなると、本当にパフォーマンスが良くなかったら満足してくれないので。そのピリついたピッチ、グラウンド、ステージがめっちゃ好き。そういう意味では、あの番組はキュウソとかオーラルのファンもきっと見てくれているだろうし、自分にとっては、ボーカリスト、表現者として成長するためにめちゃくちゃ大事な番組ですね。

――今後はどんな方がゲストに来る予定ですか?

手越祐也:第3回には、BLUE ENCOUNTの田邊(駿一)君がゲストに来てくれたんですけど、同い年ということもあって1回のトークで超仲良くなっちゃって、僕のライブにも来てくれることになって、僕も今度ブルエンのライブに行きます。キュウソのヤマサキ君も同じ年だし、オーラルの山中くんは1つ年下だし、みんな同世代なんですよね。

――すごく相互作用があると思うんですよ。手越さんのファンは叩き上げのバンドマンたちを知ることになるし、逆もまた然りで。そういう意味で面白い番組だと思います。

手越祐也:本当にいい番組ですよ。ありがたいですね、ああいう番組にお声がけいただいて。それと、オーラルとはバンドでもコラボしていて、Wボーカルで3曲のコラボ映像を公開する予定です(手越祐也チャンネル、THE ORAL CIGARETTESチャンネル、スペシャオンデマンドでそれぞれ公開)。

▲「狂乱 Hey Kids!! feat.手越祐也」
(手越祐也チャンネルで公開)

▲「容姿端麗な嘘 feat.手越祐也」
(THE ORAL CIGARETTESチャンネルで公開)

――お話を聞いていると、手越さんはすごくご自分のことを客観的に見てますよね。

手越祐也:わりとそうですね。昔から、3年後、5年後、10年後にこうありたいなというのが結構あったので。でもこのままいくとその自分とズレが生じてくるなと思って僕は独立したんです。結構この先のプロセスとか歩いていくルートは考えてます。

――12月にリリースされるアルバムについても、すでに全貌が見えている?

手越祐也:はい。今回の連続リリースの6曲以外の楽曲も、なんなら今絶賛クロージングしてる最中なんですけど、自分の中では「こんなアルバムにしたいな」というのは見えてますね。

――リリースされた3曲を聴くと、正直どんなアルバムになるのか想像がつかないです。今の時点でどんな作品になりそうでしょうか。

手越祐也:さきほどの話ともかぶる部分ではあるんですけど、自分のボーカルの魅力っていろんな角度で表現できて、ラブソングあり、攻めのソングあり、時代に対して歌った曲もあり、いろんな声色で歌えるというところなので。簡単に言うと、野球のオールスターみたいな、普段は違うチームだけど、様々な選手がいろんなユニホームの色で見れるわけじゃないですか?ああいう感じで、「手越祐也のボーカルはいろんな表情を見せられます!」みたいな、笑いあり涙あり、爆裂に戦いに行く姿勢もあり、ちょっとゆったりした曲もあり、そういうアルバムになると思います。

――2022年は全国ツアーも予定されていますが、さきほど対外試合とおっしゃっていたような、フェスへの出演も考えてますか。

手越祐也:出たいですね~。やっぱり、刺激とパワーをもらうんですよね。キュウソのヤマサキさんがゲストに決まったときも、自分なりに勉強したかったのでキュウソのライブをたくさん観たり曲を聴いたり、オーラルの山中さんのときもライブを観たり生き様を見たりして、すっごい刺激をもらえるので。なんか、イイっすね。新しい血が流れ込んでくる気がして。なので、もちろんお声掛けいただけるならば、いろんなフェスにも出たいです。それと、せっかくこうやって『スペプラ手越』で交流を持たせてもらって、今まで僕が出会うことがなかったバンドとかといろんなお仕事をさせてもらっているので、こういうご縁だから、みんなで音楽シーンを盛り上げるようなこともやりたいな、なんて思ってます。

――手越さん主催のフェスみたいなことでしょうか?

手越祐也:そうですね。みんなで全国ツアーをやってもいいじゃないですか。それぞれのファンも交流できるし、それぞれの音楽を知ることもできるし。別に、独占する必要はないじゃないですか?やっぱり日本って事務所もそうだしいろんなエンタメも、国内でつぶし合う傾向があるけど、でも僕らが戦わなきゃいけないのって未来であり、国外マーケットだと僕は思っているので、みんなでワンチームになるべきだと思うんですよ。利権とかそういうものじゃなくて、日本の音楽シーンがどうやったら世界で戦えるものにできるか、それこそアメリカのビルボードチャートに入るようにしていけるか、というところで戦うべきだと思うんです。そういう意味で、みんなが交流を持って、ファン同士もワンチームになって、「この日本の音楽を世界に持って行こうぜ!」ってやった方が、僕は未来が明るいと思っています。この前の【黒フェス】でも、ファン同士の交流がすごく素敵だったし。Twitter上で、僕のファンとももクロのファンが交流しているのを見て、すごく嬉しかったんですよ。

――会場でもピンクのペンライトがたくさん振られてましたもんね。

手越祐也:そうなんですよ。ももクロファンが、たぶん事前に調べて「手越のカラーは何色なんだ!?ヨッシャ、俺らがピンクでやってやろう!」ってやってくれたと思うんです。そういうのってめちゃくちゃ嬉しいじゃないですか?あきらかにももクロファンの方が、ピンクのペンライトを振ってくれてるのをステージから見て、「うわ~!嬉しい!素敵だなももクロファン!」って、やっぱり好きになるし。ももクロファンを好きになると、よりももクロを好きになるし。ああいう、みんなで1つのものを盛り上げようというのは最高の空間ですよね。ご縁があるなら、コロナで元気がなくなった日本の音楽を、みんなで盛り上げていきたいです。

――6か月連続リリース、アルバムのリリース、その先にそういった活動も期待していいですか。

手越祐也:はい、そうですね。

――今日はお話を伺って、早速元気をいただきました。

手越祐也:ありがとうございます!今後もよろしくお願いします!

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