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竹内唯人『I Believe Myself(Prod. GeG)』発売記念インタビュー



竹内唯人『I Believe Myself(Prod. GeG)』発売記念インタビュー

「いつか日本武道館でワンマンライブをやりたい」

 Billboard JAPANの急上昇チャート【JAPAN Heatseekers Songs】を席巻、TikTokでもブレイク中。前作よりメジャーにフィールドを移した竹内唯人が、変態紳士クラブ・GeGをプロデューサーに迎えた新曲『I Believe Myself(Prod. GeG)』をリリースし、このタイミングで自身のアーティスト像について語るインタビューに応えてくれた。音楽シーンの新時代を牽引していく存在になると確信させる言葉たち、ぜひご覧頂きたい。

『オオカミちゃんには騙されない』出演で掴んだ音楽人生

--Billboard JAPANの急上昇チャート【JAPAN Heatseekers Songs】を賑わせ、TikTokでもブレイク中。このタイミングで竹内唯人がどんなアーティストなのか世間に改めて知らしめるインタビューに出来ればと思っているのですが、まず何がきっかけでこの世界を目指されたのか教えてもらえますか?

竹内唯人:お姉ちゃんが今の事務所(GROVE)に入っていて、それがきっかけで「入らないか?」と誘われたんですけど、そのときはまだ「音楽をやりたい」と強く想っていたわけではなかったんです。でもABEMAの人気恋愛リアリティー番組『オオカミちゃんには騙されない』に出演することになって、そこでファンの方が増えたり、共演者で音楽をやっている友達も増えたりした中でいろんな刺激をもらって「音楽やりたいな」と思うようになりまして。

竹内唯人『I Believe Myself(Prod. GeG)』発売記念インタビュー

--そこでどんな音楽の影響を受けたりしたんでしょう?

竹内唯人:Rude-α(ルードアルファ)が元々すごく好きで、MCバトルのときから観ていて、それで『オオカミちゃんには騙されない』で出逢っていろいろ話を聞いて。あと、同じ回に出演していたミッチェル和馬(INTERSECTION)のライブを観に行く機会も増えたりして、そんな環境の中でボソッと「俺も音楽やりたい」みたいなことを番組内で言ったら、そこが切り抜きされて字幕に出ていて、それを観てくれていたLINE RECORDSの方が声を掛けてくださったんです。だから運が良かったというか、何も考えずにやりたいことをやれてしまったという。

--その時点では、どんな音楽をやりたいと思っていたんですか?

竹内唯人:全然そういう音楽的ヴィジョンみたいなモノはなくて。自分が聴く音楽とやりたい音楽とやれる音楽って全部違うじゃないですか。でもその時点ではそういうことも分かっていなかったので、最初に「どんな曲作りたい?」と聞かれて「正直、何でもいいです」って答えたんですよね。それでプロデューサーチームに任せることになって、2ndシングル『CINDERELLA』(2019年12月3日リリース)までは何も意見を言わず、歌声を入れるだけみたいな感じだったんですけど、徐々に自分のエゴみたいなモノが出てくるようになって「こういう音楽をやりたい」ってようやく思うようになった感じでした。

--そうして10作以上のデジタルシングルをリリースしてきて、今現在の竹内唯人はどんなアーティストになっているなと感じますか?

竹内唯人:今の売れているアーティストの方々とは違って、ファンの人との距離が近いというか。テレビに出ている人や歌っている人たちって距離が遠く感じると思うんですけど、自分は誰よりもいちばん近くで歌えるような存在。だけど、しっかりとしたアーティストをやれているっていう。結構、何においても適当なんで(笑)、例えばツイッターで公式マークが付いている人と付いていない人ってファンからしたら差があると思うんですけど、でも自分はずっと前から応援してくれる子には普通に返信していたし、会話もするし、今もそれは変わらない。

竹内唯人『I Believe Myself(Prod. GeG)』発売記念インタビュー

--なるほど。では、自ら「手の届かない人間」みたいな存在にならないようにしていると。

竹内唯人:それぐらい大きい存在になりたいとは思いますけど、自分の友達のアーティストを呼んで、そこにファンの子たちも普通に呼んで、ステージと客席の境界線がない環境でライブがやれるならやりたいと思っているタイプなんです。好きなアーティストがどんどん遠い存在になっていくのは自分もイヤだったので、いつでも会える距離感に居たいという想いはあります。

--既成概念に捕われない、自由な生き方や関係性を望むタイプなんですね。それは子供の頃から変わらず?

竹内唯人:そうですね。本当に適当だったんで、勉強もせずに「楽しいことだけやる」みたいな(笑)。学校を遅刻したり休んだりして友達と遊んだり、サッカーしたり。自分が「やりたくない」と思ってきたことを全くしてこなかったんで、ただ、その「やりたくない」の中に音楽は入っていなかったんで、子供の頃から音楽は好きでよく聴いていましたね。

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何も考えていないほうがありのままの自分を出せる

--今日話してくれているそのフラットなライフスタイルってどうやって構成されていったんですかね?

竹内唯人:子供の頃「勉強しろ」って親によく言われていて、門限が中学生後半ぐらいまで18時半だったんですけど、普通に無理じゃないですか。18時半なんて夏だったらまだめちゃくちゃ明るいし。そんな状況下で友達のひとりが夜中に遊び出して、それを機に自分も含めて友達みんなが家族から離れ始めるんですよね。兄弟は親に反抗してこなかった人生だったから、家族の中で俺だけマイノリティな存在になっていたんです。それで1回マジメになったんですけど、どうしても友達を捨てられなくて。でもそれを親に伝えたら「それがおまえのやりたいことだったらやれ。ただ、家族には迷惑かけるなよ」って許してくれたんですよね。

竹内唯人『I Believe Myself(Prod. GeG)』発売記念インタビュー

--それが人生の分岐点だったんですね。

竹内唯人:ただ、進学のタイミングで地元の友達と離れた高校に行ったんで、そこで自分がちょっとはぐれ過ぎていることに気付いて「何かに没頭しなきゃ」と思ったんですよ。それでハマったのが音楽で。文化祭でグリーン・デイ「バスケットケース」のコピーしてドラム叩いたり。それぐらいから家族に反抗する気持ちもなくなって、自然と家族が優しくなって、俺も前と違う感覚でコミュニケーションが取れるようになって。以前は「ちゃんと就職しなさい」とか口うるさく言われていたんですけど、自分がやりたいことに対して素直に背中を押してくれるようになったんですよね。そういう意味では、家族の存在が大きかったのかもしれない。

--そして、もうひとつの分岐点は『オオカミちゃんには騙されない』ですよね。そもそもどんな経緯で出てみようと思ったんですか?

竹内唯人:「自分の恋愛を見せるとか有り得ないし」みたいな感じだったんです。でも元々交流ある子たちが出演していて「出たほうが絶対にプラスになるし、フォロワーも増えるし」って聞いたんですよね。だから自分が『オオカミちゃんには騙されない』に出演したのは「恋愛したい」とかじゃなくてフォロワーを増やす為だったんですよ。

--戦略的出演だったんですね(笑)。

竹内唯人:でも、それでいざ出演してみたら本当に恋しちゃうし、最初に「フォロワーを増やす為だ」と思っていた自分の考えもなくなっていって、みんなから日々刺激を受けるし、その中でいちばんデカかった刺激が序盤にお話しした通り音楽で。だから『オオカミちゃんには騙されない』に出演していなかったら、そこでRudeくんに出逢っていなかったら、今こうして音楽をやっていなかったかもしれないんですよね。自分自身は適当に生きているんですけど、いろんな縁があったおかげで今がある。

竹内唯人『I Believe Myself(Prod. GeG)』発売記念インタビュー

--恋愛リアリティーショーで音楽と結ばれる稀有なパターンですよね(笑)。

竹内唯人:音楽と結ばれました。

--そこから前作『After the rain』(2021年7月2日リリース)でメジャーデビューし、今回の新作『I Believe Myself(Prod. GeG)』(2021年9月1日リリース)の配信まで約2年。音楽の世界で生きてきてどんな感慨を持たれていますか?

竹内唯人:最初の『Only Me』(2019年10月29日リリース)の時点で「曲を出せばもう凄いアーティスト」と思っていたんですよ。リリースして「竹内唯人」で検索すればApple Musicとかいろんなメディアに出てくる。それだけで満足しちゃっていて(笑)。3作目『ニビイロ』のタイミングでドラマ『鈍色の箱の中で』主題歌に起用されて、そこで「ちゃんとアーティストをやらせてもらっているんだな。新人だし、もう少し頑張らなきゃ」と思うようにはなったんですけど、LINE RECORDSが自分のやりたいようにやらせてくれるレーベルだったこともあって、TikTokで多くの人に注目してもらっている『MIRAI feat. $HOR1 WINBOY』(2021年4月6日リリース)までは良い意味で適当にやっていたというか、あんまり深く考えずに活動していて。でもそれで『MIRAI feat. $HOR1 WINBOY』がバズったんですよね。

■竹内唯人 - MIRAI feat. $HOR1 WINBOY (Official Video)

--竹内さんの一貫したフラットな生き方がマッチしたんでしょうね。

竹内唯人:「売れたい」とか「多くの人に届けなきゃ」みたいな気持ちはなしで、ただただ楽しんで作った曲がバズったんです。『MIRAI feat. $HOR1 WINBOY』をリリースする前から今のレーベルから声を掛けていただき、メジャーデビューも決まっていたので、いろいろ考えすぎながら生きるよりも、意外と適当に生きていたほうが良いのかなって(笑)。

--適当とも言えるかもしれませんが(笑)、フラットでナチュラルな自分を表出したほうが愛される人なんでしょうね。考えに考え抜いて作り込んだ表現をするよりは、ありのままにやりたいことを形にすると人生が好転するタイプというか。

竹内唯人:何も考えていないほうがありのままの自分を出せるんですよね。

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ONE OK ROCKの影響「いつか日本武道館でワンマンライブ」

--でも「自由」の話と同様「適当」に生きるのも難しいですからね。人間はどうしても悩んじゃうし、考えちゃうし、装っちゃうし、狙っちゃうし、それでも自然体の自分を表現できるというのはひとつの才能ですよ。

竹内唯人:友達とも音楽をつくっているんですけど、本当に何も考えていないですからね。今、目の前にあるものを歌にする。例えば、朝4時に起きていたら朝4時をテーマに曲を作るとか、そういう適当なことばかりやっている中でめちゃくちゃ良い曲が出来たりするんですよ。

竹内唯人『I Believe Myself(Prod. GeG)』発売記念インタビュー

--理想の創作スタイルかもしれないですね。

竹内唯人:今、まわりにいる人たちが何をするにも動きが速いんですよ。それが大きいかもしれない。曲を録ったらすぐミュージックビデオに取り掛かるし、リリースの準備が出来たらもう次の曲に取り掛かるし。だから『MIRAI feat. $HOR1 WINBOY』も仕上がるまでめっちゃ速かったんですよ。スタジオに入ったらその場で歌詞書いて歌って「じゃあ、あとはミックスお願いします」みたいな感じで、リリースまで1ヵ月もかかってないんですよね。それが常に高いモチベーションを保させてくれているし、自分の「とにかく楽しい音楽を作っていたい」という考えにも合っているんだと思います。

--「とにかく楽しい音楽を作っていたい」これこそが竹内唯人のアイデンティティなんでしょうね。

竹内唯人:ただ、楽しい音楽を作っていたいんですけど、ファンが求めている曲の雰囲気とかもあるんで、そこもある程度は意識しなきゃいけなくて。ファンの子たちは意外と『MIRAI feat. $HOR1 WINBOY』より『隣 feat. 當山みれい』(2021年4月27日リリース)みたいなバラード系が好きなんですよね。でも、ヒップホップ的な音色とバラード的な音色みたいなところは、今回の『I Believe Myself(Prod. GeG)』がいちばん良いバランスを取っていると思います。

--たしかに。

竹内唯人:この曲も自分の「絶対にこうして下さい」みたいなエゴはなくて、GeGさんのトラックが元々すげぇ好きだったからお願いさせて頂いたら、ZOOMでのミーティングで「どんな音楽を作りたい?」「GeGさんが作ったこの曲のこういう静かな感じが良いです」「分かりました。では、大きいところで歌うのか、小さいところで歌うか。どっちがいい?」「小さいところで聴きたいし、歌いたいです」みたいなやり取りをしただけで『I Believe Myself(Prod. GeG)』が上がってきて。

--「大きいキャパか、小さいキャパか」という選択肢で楽曲のイメージを固めていく発想が面白いですね。

竹内唯人:そういう感性を今まで自分は持っていなかったんで、すごく新鮮だったし、面白かったです。自分ひとりですべてをやろうとするアーティストっているじゃないですか。それもめちゃくちゃ凄いことだし、超大事なことだと思うんですけど、でも自分にない感性ってこういう風にプロデュースしてくれる人と逢わないと得られないんですよね。GeGさんは「六畳一間の中で、スマホで流しながら聴く」って例えていたんですけど、そういう言葉ってたぶん他の人からは出てこないし、だから今回はトラックはもちろん「歌詞もすべて任せたい」と思ったし。なので、メジャーへフィールドを移したので焦らなきゃいけない部分もありますけど、おそらく今がいちばん自分を成長させられるタイミングなので、レーベルさんにバックアップしてもらいながらいろんな人と出逢って学ばせてもらいたいと思います(笑)。

竹内唯人『I Believe Myself(Prod. GeG)』発売記念インタビュー

--メジャーデビューしたからには叶えたい夢や目標ってあったりします?

竹内唯人:まだワンマンライブをしたことがないんで、絶対にやりたいですね。それを実現させる為にも、今決まっているイベントひとつひとつでしっかり魅せて上手くお客さんも集めたいし。ただ、最近、恵比寿LIQUIDROOMでライブしたんですけど、大好きなONE OK ROCKのポスターが壁に貼ってあったんですよね。そこには「2014年」と記載されていて「ワンオクって少なくてもこここから7年間で今なんだ?」と思ったんです。今、若い同世代のアーティストってTikTokで1曲バズって何千万回とか再生されるじゃないですか。だから結構焦っていたんですけど、俺がナンバーワンと思うぐらいのアーティストも「長い歳月をかけて今のステージに立っているんだ」と知ったことで、そこまで焦らなくてもいいのかなって。近々【KANSAI COLLECTION 2021A/W】のオープニングアクトで歌うんですけど……

--京セラドーム大阪のステージに立つんですよね。凄いことですよ。

竹内唯人:オープニングアクトですけど、2年前の自分からしたら考えられないことなんですよ。そういうひとつひとつのことを大切にやっていくことが今は重要なんだろうなって。いつか日本武道館でワンマンライブをやりたいんですけど、その夢を叶える為にも変に焦っちゃダメだなとマジ思いましたね。

--ONE OK ROCKも紆余曲折があって、挫折と栄光の日々を何度も繰り返しての今ですからね。あと、TikTokでブレイクする人が今増えていますけど、そこから日本武道館でワンマンライブを成功させるルートを辿った人はまだいない。そもそも、そこを目指している人も少ないですから、竹内さんが描いているヴィジョンってめちゃくちゃ夢がありますよね。

竹内唯人:TikTokでバスったアーティストはナメられるんですよね。でも、そこからひとつひとつ積み上げて日本武道館で「すげぇ!」と思わせるようなワンマンライブが出来たら、きっといろいろひっくり返るじゃないですか。そういう意味では、TikTokでバスったアーティストさんたちが一丸となったらまた何か生まれるだろうし、それは実際に俺から仕掛けていこうと思っているんですけど、単純にバスった奴らがみんな集まったら凄いことになると思うんですよね(笑)。あと、今は00年代生まれの子たちが主にいろんな曲をバズらせていると思うんで、その中でひとつ頭抜けた存在になりたいですね。

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Interviewer:平賀哲雄

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