中川翔子【中川翔子 Prism Tour 2010】

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中川翔子

中川翔子【中川翔子 Prism Tour 2010】ライブ写真

2010.05.23（日） at パシフィコ横浜｜ライブ写真＆セットリスト

　“世界はきっとつながる人間もきっとつながる”　ステージ上部のスクリーンには、たくさんのイラストを描きまくる少女と、その様子をじっと見守る子猫が。やがて傍らにあったテレビにアイドルが映し出されると、少女はそれにならって歌い踊り始める。すると、少女の前に煌びやかな衣装の手にした女性が現れ、魔法ステッキをひらり。たちまち桜色のハリケーンに包まれ、美しい女性へ変身を遂げた少女“SHOKO”は、スクリーンを飛び出し精一杯の歌声で、眼前に広がる大観衆へ最高の一日をプレゼントする。

　春より全国各地を巡ってきた“Prism Tour 2010”。最終公演の舞台となるパシフィコ横浜では、昨日も追加公演が開催され、中島愛のゲスト出演などもあってオーバーヒート。点滴で“HP回復”を測ったという中川翔子だが、ハイトーンボイスを響かせながら登場した堂々とした姿は、まさに“HP全回復”状態といえる。ダンサー2人を従え、光と映像を駆使したド派手な展開で彩っていくと、『Angel Night ～天使のいる場所～』ではバイオリン奏者の映像をバックに熱唱。待ちわびた観衆に、さっそく熱狂を届けていく。

　アルバム『しょこたん☆かばー3 ～アニソンは人類をつなぐ～』リリース後にスタートしたこのツアー。冒頭のオープニングも含め、これまで以上にアニメーションとのコラボを取り入れたステージングは、最大の特徴となる。そのキーとなるのが、同作のジャケットに描かれたキャラクターで、音楽さえも失われた遠い未来から来た、人使いの荒いツンデレ魔法少女にして音楽の妖精 JEWELだ。アニソンで世界をつなぐため、彼女から魔法をかけられた“SHOKO”は、「プリズムアニソンメドレー」と題して計14曲ものアニソンを披露。観衆も一緒に踊れる『pretty please chocolate on top』では、スクリーンのJEWELも一緒に踊ってくれるから、初めての方でも全力で楽しめる。しょこたんやスタッフの、観衆に対する気持ちが反映された素晴らしい演出である。

　また、最終公演に限って雨天となってしまったことを笑ったしょこたんは、ハワイの格言である“No Rain, No Rainbow”を持ち出しつつ、雨に啖呵を切って会場を盛り上げる。CDデビュー5周年を目前に控える中、ツアー中にLV25（＝25歳）へとレベルアップ。人生3度目となるツアーも最終公演までやり遂げてきたのだ。間奏を使って来場者からカップルを探し出し、せーのでキスをしてもらう、という『せーので恋しちゃえ♥』におけるハッピーな演出も、今の彼女だからこそできることだ。合間には、湯山邦彦による『心のアンテナ』のもうひとつのPVも上映。壮麗なバラードを続けた後の、ライティングまで駆使した映像とのコラボ演出など、常連の観衆も驚愕の新感覚ステージを披露していく。

　この4年を振り返り、生きている今を改めて実感したことを告げた彼女は、自らが作詞を手掛けた『RAY OF LIGHT』をまっすぐに歌い上げる。サウンドやステージを支えるギザレンジャーの紹介を挟み、本編ラストもとっておきの2曲で締め括ったしょこたんに対し、もはや恒例となった“空色デイズ”サビメロ大合唱によるアンコール。ツインテールにツアーTシャツを着て、それに応えた彼女は、「みんな俺の嫁だー！！」と最後の一滴までHPを搾り出す勢いを見せた。

　そして、何より印象的だったのが、近年のライブやツアーファイナルでは、感極まって涙を流すことも多かった彼女が、この日を笑顔で締め括ったことだ。JEWELと一緒に、全員で『rainbow forecast』を踊り、観衆からプレゼントされた“バッカルウェーヴ”に最高の笑顔を輝かせた彼女。次なる舞台として、幕張メッセでの2DAYSも決定したが、この日の1曲目、『ゆずれない願い』では、まるで背中から生えているかのように、スクリーンに映し出された2枚の翼とシンクロする演出があった。日本が世界に誇るアニメーションを心より愛し、遂にそのステージにまで反映させ始めた今の彼女のステージには、様々な境を飛び越えていけるだけのエネルギーと、強さがある。5年の時の中で、よりしなやかに成長した中川翔子が、世界を、人間をつなげていく。それは決して夢物語ではないハズだ。