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中川翔子 【中川翔子 超貪欲☆まつり IN 日本武道館】
2009.10.24(土) at 日本武道館|ライブ写真&セットリスト
全てはそこから始まった。客電が消え、ステージに星空を思わせるラインティングが灯されると、客席中に広がるサイリウムの輝きと相まって、円形状の暗闇が光の海に変わる。やがてステージ上部に設置されたスクリーンに映し出される、瞳を閉じた彼女の表情。その目がカッと開かれた瞬間、七色の衣装に身を包んだ彼女、中川翔子が登場した。
「ギザ萌え上がれー!」と、いきなりの『空色デイズ -天元突破EDITION 螺巌篇-』で会場は屋根が吹き飛ばん程のボルテージへ。しょこたんが天を貫くように人差し指をかざすとスクリーン上にビッグバンが生じ、続いてくるくると回すその指に併せて光の束が螺旋へと昇華する。自身初の武道館公演となるこのステージの、オープニングを飾るに相応しい選曲にして演出。そう、全てはここから始まったのだ。弾けるようにステージ前方に躍り出た彼女は、伸びやかな歌声をホール中に響かせていくのだった。
過去最多となる6人のダンサーを従え、アッパーチューンの連続で大観衆にご挨拶したしょこたんは、予報を裏切るあいにくの空模様も「“貪欲汁”が水蒸気になって降らせた」と笑う。初夏のツアー最終公演では度肝を抜く20曲超えのアニソンメドレーで魅せたが、今回は 『超貪欲メドレー』 と題してアニソンから松田聖子、華麗なヌンチャク捌きを披露する『ブルース・リーのテーマ』に自身の人気曲『CAT Life』などなど。スカシカシパンマンや科学くんも登場するカオスなステージを繰り広げる。 また、しょこたん♥ぶろぐでも紹介されたチケット誤植問題 に触れ、「“貧”欲じゃありません、貧乳です!」なんて自虐的なMCでも会場の熱を高めていけば、『せーので恋しちゃえ♥』ではフェミニンなダンスを披露。鮮やかなブルーのドレスに着替えた『綺麗ア・ラ・モード』からはちょっとしっとり“Magic Time”へ突入し、アコースティックな新アレンジからロックパートへと雪崩れ込む『涙の種、笑顔の花』で、最高潮に向けて一気に加速度を上げていった。
「こんなに楽しくて、生きてるって感じられる事ないです!」。感嘆の声を上げたしょこたんが、記念すべきこの日の本編のラストに選んだのは、自身も作詞に参加した『「ありがとうの笑顔」』だった。ここで綴られる“ありがとう”には、いつも支えてくれるファン、そしてこの公演直前に急逝した祖父に向けられた、真摯な想いが込められている。歌唱前、ファンひとりひとりに感謝の意を述べながら、思わず涙してしまう彼女を中心に、円形のホールを包み込む色彩豊かなサイリウムの輝き。その様は、例えるならばまさにビッグバンだ。彼女は辛さにうつむき哀しみに落ち込み、不安に何度も振り返りながら、それでも最後は必ず未来、いや、今を信じて必死に駆け抜けてきた。その貪欲なエネルギーは拡散するように伝わっていき、こうして数多もの輝き。希望という名の光をリスナーに与えてくれるのだ。
“貪欲”と刻まれたフラッグを手に再登場したアンコールで、土下寝まで敢行してみせた彼女が放った「分かんないけど、何か勝った!」という言葉。『happily ever after』を歌っている時の「生きてるぞー!」という叫びは、多くのオーディエンスの胸に刻まれた事だろう。勝つという事は、生き続けるという事。これは本編での一幕となるが、『続く世界』のアウトロ時にしょこたんは、空に向けて何度も螺旋を描いていた。『空色デイズ』から始まったその軌跡は、全ての観衆の心を通過しながら大きな螺旋となって空に向かっていったのだ。この日、“宇宙で一番キラキラ”していた武道館の眩い輝きは、天元を突破して必ずその耳に、胸に心に届いただろう。
ライブ写真
セットリスト
【中川翔子 超貪欲☆まつり IN 日本武道館】
2009.10.24(土) at 日本武道館
- 01.空色デイズ -天元突破EDITION 螺巌篇-
- 02.We can do it!!
- 03.rainbow forecast
- 04.Brilliant Dream
- 05.超貪欲メドレー
- 06.せーので恋しちゃえ♥
- 07.pretty please chocolate on top
- 08.綺麗ア・ラ・モード
- 09.心のアンテナ
- 10.涙の種、笑顔の花
- 11.続く世界
- 12.calling location
- 13.「ありがとうの笑顔」
- En1.Shiny GATE
- En2.午前六時
- En3.happily ever after
- En4.空色デイズ
Writer:杉岡祐樹
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