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内澤崇仁(androp)がDa-iCEへ楽曲提供した珠玉のラブソング「Love song」 <対談インタビュー>
2021年10周年を迎えた5人組ダンス&ボーカル・グループDa-iCEが、今年1月20日に最新アルバム『SiX』をリリース。昨年は、TVアニメ『ONE PIECE』の主題歌「DREAMIN’ ON」や、日本テレビ系日曜ドラマ『極主夫道』の主題歌「CITRUS」など、アニメやドラマのタイアップを含む5曲のシングルを連続リリースしてきた彼らだが、そこに4人組ロックバンドBLUE ENCOUNTとのコラボ曲「Revolver」など新曲を加えた本アルバムは、様々な分野へと活動の幅を広げるメンバーの集合体であるDa-iCEらしい、バラエティに富んだ内容に仕上がっている。中でも白眉は、内澤崇仁(androp)が楽曲提供した「Love song」。「世界中がラブソングで溢れますように」というメッセージが込められたこのストレートな歌詞は、コロナ禍で人々が物理的な距離を保たなければならない状況にある我々の心に深く染み渡る。8分の6拍子という、Da-iCEには珍しいリズムも新鮮だ。そこで今回は、Da-iCEの5人と内澤による座談会をお届けする。この、珠玉のラブソングを内澤がどのように作り上げたのか、そしてDa-iCEのメンバーはそれをどう仕上げていったのか。じっくりと語ってもらった。
Interview & Text:黒田隆憲 l Photo:成瀬 正規
内澤崇仁に楽曲をオファーした経緯
ーー今回、Da-iCEの皆さんが内澤さんに楽曲提供をオファーしたのはどんな経緯だったのですか?
工藤大輝:僕らみんな、内澤さんの作る楽曲が大好きだったんです。Aimerさんに提供した「カタオモイ」とか、(大野)雄大も一時期ハマってずっと聴いてたよね?
大野雄大:メイク中に延々リピートしてました(笑)。andropさんの「Koi」という曲もそうですが、歌詞は切ないのにメロディが暖かくて。なんていうか、背中をそっと押してくれるような優しさを内澤さんの楽曲から感じるんですよね。
工藤:なので、今までのDa-iCEにはあまりなかったような、新しいタイプの楽曲を提供いただけたら嬉しいなと思ってお願いしました。こうして実現できて、本当にありがたく思っています。
内澤崇仁:ありがとうございます。今回、スタッフだけじゃなくて、Da-iCEのメンバーの方たちにも、僕らandropのこと知っている人がいらっしゃったという驚きと嬉しさをひしひしと感じています。
ーー内澤さんは、Da-iCEに対してどのような印象を持っていましたか?
内澤:一人ひとりが才能に溢れていますよね。作詞作曲、ボーカル表現力といったサウンド面や、ダンス・パフォーマンスはもちろんのこと、それ以外の分野でも皆さんソロで活躍されていて。本当に振り幅の大きなグループだなと思っていました。
ーー男性グループへの楽曲提供は、今回が初めてだそうですね。
内澤:そうなんですよ。楽曲提供のお話をいただいた時に、「もし実現したら、きっと楽しいことができそうだな」と。自分にとって、チャレンジングであり、いい経験になると思ってワクワクしましたね。
ーー完成した楽曲は、ズバリ「Love Song」という直球タイトル。内容も、本当にストレートでオーセンティックなラブソングに仕上がっていますが、実際にはどのように曲作りを進めていったのでしょうか。
▲ Da-iCE「Love Song」
工藤:最初は僕と内澤さんで、制作スタッフを交えてリモートの打ち合わせをしたのですが、その時には「ちょっとスロウな、あったかい曲でお願いします」とリクエストしました。個人的には坂本真綾さんに提供された、「レプリカ」みたいな楽曲も好きなんですけど、アップテンポなダンス曲は僕らDa-iCEはたくさん持っているので、ここは敢えてバラードでお願いしたいなと。雄大と、(花村)想太の声質を存分にフィーチャーした曲を提供していただけたら、きっとインパクトがあるだろうなと思いました。
内澤:最初、「エレキギターを入れてほしい」というリクエストがあったんですよ。エレキギターが入っていて、ミディアムテンポで、音数も少なめでという感じで。使用楽器をピンポイントでリクエストされるとは思わなかったのでびっくりしました。
工藤:アコースティックで、スローで暖かい曲となると、おそらくビートを打ち込みにしないとダンス・ボーカルグループ的には難しいというか、いかにもなバラードになってしまうしエレキの方がしっくりくるのかなと。それに、今までのDa-iCEの楽曲の傾向でいうと、ゆっくりな曲だとアコースティックな雰囲気で、エレキの曲を使ったバラード曲はなかったので、そういう意味でもこれまでにないアレンジになるんじゃないかと思ったんです。
ーー8分の6拍子というリズムも意外でした。
内澤:そうなんですよ。打ち合わせでも念のため「リズムの指定ってありますか?」と尋ねたんですけど、「パフォーマンスのことは考えず自由に作ってください」と。その時は、チームとしての「侠気」を強く感じましたね。きっと、どんなことでも自由にチャレンジできる環境にDa-iCEはいるんだな、と。すごく健全なチームだなと思ったので、自分としても敢えてこのリズムにチャレンジしてみました。
リリース情報
『SiX』
- 2021/1/20 RELEASE
配信サイト>> <初回生産限定スペシャルBOX盤 DVD>
AVCD-96653/B~D 12,800円(tax out.)
<初回生産限定スペシャルBOX盤 Blu-ray>
AVCD-96654/B~C 12,800円(tax out.)
<通常盤 CD+DVD>
AVCD-96655/B 3,800円(tax out.)
<Loppi・HMV盤 CD+DVD+PHOTOBOOK>
AVC1-96656/B 4,800円(tax out.)
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「Love song」を聞いたメンバーの反応
ーー楽曲の骨子の部分は、オールディーズっぽいというか。往年のリズム&ブルース曲を彷彿とさせるような懐かしさもありますよね。
内澤:昨今の流れとして、音数がものすごく少ない楽曲がチャートの上位を占めるようになってきていて。そこを意識した部分もあったし、音数が少ないことによって、さっき工藤さんが言ったように声のニュアンスや歌詞の内容が聞き取りやすくなるので、伝えたいことをよりダイレクトに伝えるアレンジになったのかなと思っています。
ーー大野さんと花村さんのボーカルは、曲作りの最初の段階ですでに意識していましたか?
内澤:意識しまくりましたね。こんなことを言うのはおこがましいのですが、とにかく歌がめちゃくちゃうまいし、声質もすごくいいバランスなんですよ。突き抜けるような花村さんのハイトーンボイスと、甘くて太い大野さんの声の両方がうまく活きるようにするにはどうしたらいいか、じっくり考えながら作っていきました。
ーーそれは、例えばどんなところで?
内澤:サビのメロディの、“世界中がラブソングで”のところで1オクターブ、ポーンと跳ね上がるんですけど、それって技術的にもすごく難易度が高いし、後半は転調するので声の音域が広くなければ歌えない。でも、このお2人だったら歌いこなしてくれるだろうなと思いながら作っていきました。
ーー歌詞にはどんな思いを込めましたか?
内澤:コロナ禍でライブもできなくなっていきましたし、そうした中で、Da-iCEを普段聴いてくれているファンの方たちの心にも寄り添うような歌詞にしたいという思いが強くありました。歌詞には「Da-iCEに言われたいこと」を散りばめようと思ったんですよね。「こんなことを耳元でささやいて欲しいな」とか。「こんなことを言ってもらいたいな」とか。離れていても、音楽を通していつでもそばにいるよ?という思いが伝わると嬉しいです。
ーー出来上がったデモを聞いた時に、Da-iCEの皆さんはどのように感じましたか?
工藤:初めて聴いた時は、リハーサルスタジオで「これ、どうする……?」ってなりました。良すぎて困ってしまうという(笑)。
大野:「歌いたい」というより、「早く完成した曲を聞いてみたい」って思っちゃいましたね(笑)。めっちゃ素敵で完全にリスナー目線になっていました。
岩岡徹:胸をぐっと掴まれるような楽曲だったので、とにかく衝撃的でした。しかも、こうやって内澤さんのお話を伺っていて、Da-iCEのメンバーのことや、ファンへの思いもしっかりと考えてくださって、緻密に計算しながら作り上げてくださった作品なんだなということが分かって、また聴こえ方が変わりそうです。
和田颯:本当に感動して、「出来ることならシングルでリリースしたかったね」ってみんなで話していました。もったいないなあって思うくらい好きでした。
花村:実は、内澤さんには2曲作っていただいて、そのうちの1曲がこの「Love Song」だったんですよ。両方とも素晴らしかったので、どちらかに決めるのが大変でした。すぐには決められなかったので、一旦持ち帰って、それぞれ聴きまくるっていう時期もありました。
岩岡:どっちにするかでちょっと揉めたもんね(笑)。
花村:いつか、もう1曲の方も発表できたらいいなと思っています。
ーー内澤さんは、Da-iCEのレコーディング現場にも立ち会ったそうですね。
内澤:僕らのレコーディングとは全く違っていてびっくりしました。andropのボーカル録りは、僕一人で淡々と進めていくんですよ。
花村:へえ!
内澤:でもDa-iCEの場合は、工藤さんもスタジオに入ってディレクションしながらみんなで作っていく感じじゃないですか。しかも、大野さんも花村さんも、ボーカリストとしての引き出しの多さが尋常じゃなくて。いろんな歌のパターンを出してくるんですけど、全部いいんですよ(笑)。そういう歌入れって僕は味わったことがなかったので、本当に楽しかったし勉強になりました。
リリース情報
『SiX』
- 2021/1/20 RELEASE
配信サイト>> <初回生産限定スペシャルBOX盤 DVD>
AVCD-96653/B~D 12,800円(tax out.)
<初回生産限定スペシャルBOX盤 Blu-ray>
AVCD-96654/B~C 12,800円(tax out.)
<通常盤 CD+DVD>
AVCD-96655/B 3,800円(tax out.)
<Loppi・HMV盤 CD+DVD+PHOTOBOOK>
AVC1-96656/B 4,800円(tax out.)
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レコーディングの様子、そしてリリック・ビデオで表現したかったこと
ーー工藤さんは、ボーカルのディレクション的なこともしているのですか?
工藤:自分の作った曲に関しては多少イニシアチブを取りますけど、基本的にボーカルの二人は、事前にラフのアイデアを渡しておけば、もう当日には仕上がった状態で来てくれることがほとんどなので、そこに何か口を挟むことはまずないですね。譜割りの微調整とかそのくらいで。レコーディングに立ち会っているのは、その後に僕がコーラスを入れることも多いので、2人の歌を聞いてなんとなく雰囲気を把握しておく必要もあるからなんです。
ーーじゃあ、今回のコーラスも工藤さんは参加しているのですね?
工藤:はい。めちゃくちゃ難しかったです(笑)。今まで歌ったことのないようなラインがたくさん出てきて。俺には絶対作れないような、すごく複雑なハーモニーでした。
内澤:そうでしたか(笑)。テンポもゆっくりだから、ロングトーンも多いですよね。
ーーボーカルが入った完パケを聴いて、内澤さんはどう思いました?
内澤:もう、鳥肌が立ちまくりました。歌詞に“調味料”ってワードが出てくるんですけど、これをこんなにカッコよく歌える人は、日本にいないだろ?って。
花村:あははは(笑)。でも難しかったですね。自分が想像しているよりも優しく歌わないと、内澤さんのデモの優しさが再現できなくて。ものすごく苦戦しました。歌ってて楽しいんですけど、何も考えず歌っていると全く良さが出なくなってしまって。「自分の声色に寄せる」というよりは、「自分を楽曲の世界に寄せていく」という感じ。そういう歌い方は今まであまりなかったので、とても不思議な感覚でした。
内澤:花村さんは、レコーディングの時に大野さんとの「テンションの合わせ方」をすごく気にされてましたよね。
花村:事情があって、今回は僕と雄大くんがバラバラに録音したので、うまく繋がるようにしなきゃと思ったんですよ。雄大くんはすごく優しい声を出せるので、それを想像しながら自分の声色を調整していきました。
大野:もっと攻めてる系の楽曲だと「阿吽の呼吸」というか、想太がどう来るかも結構読めるんですけど、何しろ初めての曲調だったので、そうするとテンション感ってすごく大切なんですよね。
花村:リズムもめちゃくちゃ難しいんですよ。8分の6拍子なので、ずっとハネている感じ。それに合わせながら優しく歌うのが本当に大変でした。優しく歌い過ぎるとのっぺりしちゃうし、リズムにあわせ過ぎると角が立ってしまうという。ものすごく計算された楽曲なんだなと。そこを崩さないように気をつけました。ただ、レコーディング中は全然辛くはなくて、むしろ楽しくて仕方なかったですね。
工藤:想太、歌入れの途中で叫んでたよね?(笑)
花村:自分の声色一つで、楽曲ってこんなに変わるんだと思ったら興奮してきて。去年のレコーディングで一番ワクワクしたかもしれない。「うわ、めっちゃ楽しい!」って思わず叫んじゃいました(笑)。
ーーリリックビデオは、どんなイメージで作りましたか?
工藤:今回は、僕らがあえて登場しないことで、「ダンスボーカルの人たちが歌っている」という先入観なしに、ただ純粋に曲の良さを存分に味わって欲しいなと。
花村:“世界中がラブソングで溢れますように”という歌詞が本当に素敵で、それを映像で表現したくて。紙ヒコーキで世界中の空を巡れたら面白いんじゃないか、というところから生まれたビデオです。最後、内澤さんに出てもらえたら最高だねという話になって、お願いしたら快諾してくださいました。
内澤:ものすごく光栄でした(笑)。やっぱりコロナ禍になって、人と人がどうしても距離を置かなきゃならない、世界中がそんな時期だったし、これからもどうなるか分からない中でのラブソングって、ただ単に「恋愛」ということだけじゃない、相手に伝えたい想いが溢れて曲になっているのかなと。そんなラブソングが世界中に溢れたら、人と人との距離も繋げてくれるんじゃないか、寄り添い合うことができるんじゃないか、という願いを込めましたね。
ーー振り付けはどうでしたか?
内澤:一足先に見させてもらったんですが……ヤバかったです(笑)。他の曲の振り付けと比べても、ちょっと異色ですよね?
花村:異色中の異色です(笑)。ダイナミックでありながら繊細というか。
和田:いわゆるコンテンポラリーダンスの一種なんですけど、それを5人でやるというのは初めての試みでした。
内澤:もう見ていて全然飽きないです。
工藤:翌日、筋肉痛で大変でしたけどね(笑)。
大野:しばらく歩き方がおかしかったですから(笑)。
和田:でも、早くライブでやりたいですね。お客さんに、音源だけでなくパフォーマンスでお届けできる日が待ち遠しいです。
内澤:僕、バンドもやっているのでいつか僕らをバックにパフォーマンスをしてもらえたら……。
花村:うわ、それ絶対やりたい。是非ともよろしくお願いします!
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『SiX』
- 2021/1/20 RELEASE
配信サイト>> <初回生産限定スペシャルBOX盤 DVD>
AVCD-96653/B~D 12,800円(tax out.)
<初回生産限定スペシャルBOX盤 Blu-ray>
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<通常盤 CD+DVD>
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