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<コラム>可能性は無限大、Novelbright 2020年の活躍を振り返る

 新型コロナウイルスによる感染症により、社会全体が大きな変化に見舞われた2020年。音楽業界では2月下旬頃から、ライブイベントが相次いで中止・延期になり、CD等のパッケージのリリーススケジュールにも影響が出るなど、苦しい状況になったが、そんななか、新しいヒットの形が定着した。TikTokやYouTube等のSNSでのバズをきっかけに楽曲の認知が広がり、SpotifyやApple Music等のストリーミング配信サービスでの再生回数が増大する、というパターンだ。

 今でこそ“TikTok=ヒット曲が生まれる場所”という認識が浸透しつつあるが、そうなる以前から、いち早くTikTokに目をつけていたバンドがいる。大阪出身の5人組ロックバンド、Novelbrightだ。路上ライブの模様を収めた映像が話題になり、バンドの名が一気に広まったのは昨年7月のこと。その映像内で演奏されていた楽曲「Walking with you」は、、2020年7月に日本レコード協会のストリーミング認定でゴールドを獲得(インディーズアーティスト史上初の快挙)、その後2020年11月にはストリーミング再生数が1億回を突破したそして、Billboard JAPANが発表した2020年年間総合ソングチャートでも47位に位置付けるなど、今もなお多くのリスナーに聴かれている。



▲ Novelbright「Walking with you」


 「Walking with you」のヒットのみに留まらず、バンドは今年大きく躍進。外出自粛期間中も配信ライブやリモート会議など、オンライン上で楽しめる企画を続々と実施。ファンとの繋がりを保ち続けるなか、5月27日には初のフルアルバム『WONDERLAND』をリリースした。しかも収録曲12曲のうち6曲がタイアップ付きという、インディーズアーティストとしては稀有な例である。このバンドの楽曲に価値を見出した企業がそれほど多かったということだろう。その状況を追い風にして、8月17日にはデジタルソング「Sunny drop」でメジャーデビュー。同曲は「コカ・コーラ ゼロシュガー」のCMソングとして大量オンエアされた。因みに、『WONDERLAND』収録曲「夢花火」は3週連続で、「Sunny drop」は2週連続で週間ソングチャート100位圏内にランクインしている。新曲のチャートアクションも良好であることから、バンドの次回作に期待しているファンの数が一定数いることが窺える。

 その後は、Billie Eilishの公式カバー「bad guy」、テレビドラマ『共演NG』の主題歌「あなたを求めただけなのに」を配信リリース。積極的な活動が評価され、「第62回日本レコード大賞」では新人賞を受賞した。昨年末には、各種メディアが“2020年にブレイクするであろう新人アーティスト”を特集する際、こぞってNovelbrightの名前を挙げられていたが、まさにその通りの状況になったと言って差し支えないだろう。来年7月には、大阪城ホールでの有観客ワンマンも予定しており、まだまだ勢いがキープされそうな予感。



▲ Novelbright 「あなたを求めただけなのに」


 Novelbrightは、ボーカル、ギター2本、ベース、ドラムから成るロックバンド。楽曲作りにおいて最も大切にしているのは王道であることで、なかでもメロディのキャッチーさにはこだわっていると、過去の様々なインタビューでメンバーが公言している(参照:https://mag.digle.tokyo/interview/topics/102219)。具体的に言うと、サビのボーカルにおいて、5度以上の跳躍を設けることでインパクトを演出している曲や、モチーフを流用することで耳に残りやすくしている曲が多い。また、竹中雄大(Vo)の透き通った声質も、歌の存在感を確立させるのに一役買っていそうだ。思えば、路上ライブ動画が話題になったときのユーザーの反応は「歌が上手い」といったものが多く、彼が地声で高音域を歌った際の、声がスコーンと突き抜けるような感じが、そのような印象を与えているのだろう。おそらくバンド自身も、ボーカルのハイトーンが武器の一つであると認識していて、Novelbrightの曲にサビ始まりが多いのは、初めにボーカルを聴かせることで確実にリスナーを惹きつけるためなのでは、と考えられる。

 バンドが絶対的な芯として大切にしているのはキャッチーなメロディ。ということは、裏を返すと、メロディさえキャッチーであればジャンルにはこだわらない、ということにもなる。実際、今年バンドが発表した主な楽曲を振り返ると、疾走感溢れる「Sunny drop」、バラード調の「夢花火」、80年代歌謡風の「あなたを求めただけなのに」……と、テイストは様々。その柔軟性、フットワークの軽さがあるからこそ、様々なタイアップに対応できるということなのかもしれない。



▲ Novelbright「Sunny drop」


 そんなバンドの特性は、12月11日にリリースされたばかりの最新曲「ツキミソウ」からも読み取れる。失恋を歌った冬のバラードなのだが、バンドの音がなかなか登場しない。情感たっぷりに歌い上げるボーカルの後ろで鳴っているのは、ピアノのメロディや、ウインドチャイムのきらきらとした音色、歌とともに盛り上がる弦のロングトーン、カンッと音を立てるクラベスなど。1サビの後半からビートが始まるものの、それは打ち込みであり、バンドが合流するのはその後の間奏からだ。先ほど参照元に上げたインタビュー記事では「メンバーが今やりたいことを音にして、そこに雄大のメロディが乗るのが僕らの音楽」との発言もあったが、その“今やりたいこと”がバンドサウンドの範疇に限らないとしたら、きっと可能性は無限大だ。キャッチーな音楽を指標とする彼らは、まだまだ自由になれるのではないだろうか。そう思わせられる一曲だ。本楽曲は、リリース後、LINE MUSIC でデイリー1位という「Walking with you」以上のスタートダッシュを達成。AWAやApple Music、Spotifyなど、各種ストリーミング・チャートでも上位を獲得し、12月28日付Billboard JAPANストリーミング・チャートは35位、HOT100でも45位にチャートインを果たした。2021年も、Novelbrightの活躍に引き続き期待したい。



▲ Novelbright「ツキミソウ」


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