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<インタビュー>多彩なキャリアを持つDJ/プロデューサー=ジョエル・コリー、全英チャート席巻について語る「このトラックに可能性があることは分かっていた」



インタビュー

 DJ、プロデューサー、フィットネストレーナー、テレビパーソナリティ――様々な肩書を持ちながら、2019年に発表したシングル「Sorry」で一躍その名を広めたジョエル・コリーは、さらに1月にリリースした「LONELY」が全英チャート13週連続でトップ10入り、そして7月の「Head & Heart feat.MNEK」が全英チャート6週1位を記録し、いよいよ華々しいメジャーヒットを記録した。

 DJが青春時代の最大の趣味だったという彼。その後、多方面に広がっていくキャリアの背景と影響、全英チャート席巻の喜び、コロナ禍における過ごし方、アルバムの進捗などについて、メール・インタビューを通して話を訊いた。

常に100%の努力を惜しまない

――音楽活動を始めたきっかけを教えてください。

13歳の時に初めてターンテーブルを手に入れたんだ。DJは青春時代の最大の趣味だった。10代の頃は、誕生日パーティーや学校のイベント、18歳以下のイベントでプレイしていたよ。18歳の時にロンドンのナイトクラブでDJを始めたんだ。それからロンドンの各地でレジデンスを務め、夏にはヨーロッパでギグを行っていた。大学時代にプロデュースを始め、アーティストになることを夢見ていたよ。自分の音楽でブレイクスルーすることを目標に、長年の経験を経て、2019年に初のヒットシングル「Sorry」でブレイクできたんだ。

――自分の原点だと思う作品やアーティスト、ライブ体験は何ですか?

僕がDJを始めたのはUKガラージ時代。僕が初期に音楽的影響を受けたのは、DJ EZ、Todd Edwards、MJ ColeなどのDJやプロデューサーだった。シングル「Sorry」は、Monsta BoyとDenzieによるUKガラージの名曲「I'm Sorry」のカヴァーだし、ダンスミュージックへの愛は、イビサを訪れたあと、さらに発展したんだ。Carl CoxがSpace Ibizaでプレイしていたのを見て、完全にぶっ飛んだのを覚えている。イビサは僕にとってインスピレーションを与えてくれる場所なんだ。

――音楽の制作において、どんなもの/ことからインスパイアされることが多いですか?

僕はDJ出身なので、トラックを作る時にスタジオで最初に考えるのは、そのレコードがクラブでどのように機能するか。僕はいつも、観客を興奮させる瞬間を探しているんだ。僕の音楽には感情があることも重要だから、人々が自分の曲に共感してくれるのはそういうこだわりがポイントだと思うよ。

――これまでの活動で、最も大きな転機となった瞬間はいつですか?

大きな転機となったのは、2019年の夏に「Sorry」で初のヒットを達成した時だね。それは僕の人生で最高の夏であり、完全に夢が叶った瞬間だったよ。



Joel Corry - Sorry [Official Video]


――ビジネスカレッジで学び、大学で音楽ビジネスの学位を取得したことは、現在のあなたの音楽活動において、どんな糧になっていますか?

とにかく音楽業界に足を踏み入れて、実際に働いてみることが一番勉強になると思う。振り返ってみると、学位は自分にはそんなに必要なかったと思うし。知識と基本を構築するための良い方法だったけど、音楽業界に入りたい人には、インターンシップや仕事の経験を得られる場所を見つけることがアドバイスかな。全てを一から始めて、仕事で学ぶ場だね。

――ほかにもテレビ制作会社での勤務やフィットネスアプリの開発など、音楽以外にも豊かなキャリアをお持ちですが、そういった幅広い活動のモチベーションについて教えてください。

僕は非常に意欲的な人間で、何をするにも常に100%の努力を惜しまない。MTVやテレビ業界での仕事が大好きで、その頃の思い出がたくさんあるんだ。フィットネスも自分にとって大きな情熱で、フィットネスアプリをリリースすることは、ワークアウトやダイエットプランを公開するのに最適な方法だった。そんな中でもDJと音楽は常に僕の一番の情熱で、今となっては、ずっとやりたかったことを続けられていて幸せだよ。


クラブ・バンガーをいくつも準備している

――「Head & Heart feat.MNEK」が全英チャートで6度の1位に輝いたことは、あなたにとってどんな意味を持ちますか?

シングルで1位になるというのは非現実的な感覚だったし、ましてや6週間もチャートのトップに居続けるなんて信じられないことだ。でも、この曲はまだまだ広まる伸びしろがあると思っている。人々がこの曲に共感してくれているのが嬉しいよ。また、「Head & Heart」がイギリス以外の国でもチャートを上昇し、世界中の人々に愛されているのを見るのは素晴らしいよ。



Joel Corry x MNEK - Head & Heart [Official Video]


――この曲からは「心の声に従うべき」という教訓が伝わってきますが、あなた自身にそういった経験があるのでしょうか?

「Head & Heart」のメッセージに共感している。僕は音楽業界で成功するために何年も努力してきたけど、時には「無理かもしれない」と思ったこともあった。でも、いつも心の中で“自分ならできる”と信じてきた。一生懸命働いて、自分を信じていれば、夢は叶うんだ。

――MNEKとのコラボはどんな経緯があって実現したものですか? また、彼がこの曲に注入したエッセンスなどんなものでしたか?

「Head & Heart」はけっこうな時間、着手していた曲なんだ。2019年11月にこのプロジェクトをスタートしたんだけど、このトラックに可能性があることは分かっていた。でも、新しいボーカルといくつかのパートを付け加える必要があった。2020年3月に飛ぶけど、このデモがMNEKの手に渡ったんだ。MNEKがInstagramで「このトラックを愛している」とメッセージをくれた時は思わず唸ったよ! ちょうどイギリスがロックダウンに入った時だったから、一緒にスタジオに入ることができなかったんだ。でも、僕らはお互いに家で作業をし、毎日WhatsAppでチャットをしていたよ。MNEKがボーカルを担当してくれて、メロも書いてくれた。一緒にトラックを完成させたんだけど、素晴らしい反響があってとても嬉しいよ。

――「Head & Heart feat.MNEK」は多くの人にとっての「2020年のサマーアンセム」となりましたが、あなた自身の「2020年のサマーアンセム」を教えてください。

僕の2020年の夏のアンセムは「Paul Woolford & Diplo feat. Kareen Lomax - Looking for Me」。この曲はとてもクールな雰囲気を持っていて、聴くたびに良い気分にさせてくれるんだ。



Paul Woolford, Diplo & Kareen Lomax - Looking for Me (Official Music Video)


――Ed Sheeranの大ファンだそうですが、彼が参加しているStormzy「Own It (feat. Ed Sheeran & Burna Boy)」のリミックスを手掛けたことで、夢のコラボが叶いましたね。どんな心境ですか?

長旅の時はいつも車の中で彼のアルバムを聴いている。だから「Own It」をリミックスできてとても興奮したし、自分のDJセットでこの曲をかけるのが大好きなんだ。いつかEd Sheeranとスタジオで一緒に演奏できる日が来たら、それこそ夢のようだよ。

――今年はコロナの影響により、DJとしての活動は縮小せざるを得ない状況だったかと思いますが、その期間の活動はどういったものでしたか?

今年は、僕がDJから離れていた期間の中で一番長い休みで、とても寂しいよ。スタジオで新しい音楽に取り組む時間が増えたことは大きなプラスになったけど。また、友人や家族と過ごす時間が増えたことも良かった。今のところはスタジオでハードに働き続けて、2021年にはツアーに復帰できることを楽しみにしているよ。

――現在の英国のクラブシーンはどんな状況ですか?

ロックダウンのため、イギリスでは3月からクラブが閉鎖されているんだ。クラブでのパフォーマンスが恋しくてたまらない。2021年にパーティーに戻れることを祈っているよ

――アルバムのリリースは準備中ですか? もしそうなら、どんな仕上がりになりそうですか?

アルバムは僕にとって大きな目標であり、それに向かって努力している。今年はたくさんの新しい音楽に取り組んできたし、クラブ・バンガーをいくつも準備しているよ。スタジオでハードに働き続けて、その時が来たらアルバムを出すつもりだよ。

――最後に、日本のリスナーにメッセージをお願いします。

日本のリスナーの皆さん、本当にありがとう。将来、日本に行くのが待ち遠しいよ。

ジョエル・コリーが選んだ15曲

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