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青野美沙稀(The Biscats)×TeddyLoid 最新ロカビリー"ROCK`A BEAT"対談インタビュー
自分たちでもう一度ロカビリーブームを起こしたい―――
BLACK CATSやMAGICのメンバーとして日本ロカビリー界を牽引してきた久米浩司の娘であり、2020年代に新しいロカビリームーヴメントを起こすべく奔走している青野美沙稀(The Biscatsのヴォーカル、以下Misaki)。両親がロカビリー ファッションブランド・クリームソーダに携わっていた事もあり、実は幼年期からロカビリーばかり聴いて育ったという(今回初公開)サウンドプロデューサー・TeddyLoid。この2人の運命の出逢いにより、ロカビリー、ネオロカビリーに続く、新たなムーブメントの扉が開く。
The BiscatsフィーチャリングTeddyLoidによるニューロカビリーサウンド「Teddy Boy feat. TeddyLoid」の完成を受け、貴重な対談インタビューの機会を設けてもらった。ぜひご覧頂きたい。
TeddyLoid ロカビリー一家で生まれ育った2人の邂逅
--今回のコラボレーションが実現した経緯から教えてもらえますか?
TeddyLoid:僕の生い立ちから説明する必要があると思うんですけど、僕は2,3才からエレクトーンを始めていて、それは両親の影響が大きくて。実は両親がロカビリーファッションの仕事をしていて、クリームソーダというファッションブランドなんですけど、朝起きてから夜寝るまでずっとロカビリーが流れているような家だったんです。--実家のBGMだったんですね。
TeddyLoid:「もう聴きたくないな」と思うぐらい聴いていました(笑)。でも聴いていて心地良い音楽でもあって、僕は2008年にフレンチタッチというダンスミュージックに出逢って傾倒していくんですけど、ロカビリーは元祖ダンスミュージックなんですよね。で、二十歳ぐらいですかね。TeddyLoidのプロジェクトを始めたぐらいのタイミングで聴き返したら「めちゃくちゃ格好良いな」と思って。それこそ幼い頃に聴いていたBLACK CATSやMAGICだったり。あと、個人的にThe Rockatsと仲良くさせて頂いていたんですけど、幼稚園の頃に両親と一緒にツアーとかも帯同させてもらっていたんですよ。だから僕が初めてセッションしたのってThe Rockatsのメンバーなんです。--人生初セッションもロカビリーだったと!
TeddyLoid:両親に「弾け!」と言われて泣きながらキーボードを弾いていました(笑)。そういうルーツもあって、大人になってから個人的にもロカビリーがすごく好きになって、自分の作品にも気付かれない程度にそのエッセンスを入れたりしていたんです。でも、なぜちゃんとしたロカビリーをこれまで作ってこなかったかと言うと、若手で格好良いロカビリーをやっている人がいなかったんですよ。一緒にやりたい人がいなかったんですよね。ただ、3,4年ぐらい前Misakiちゃんのソロ名義の作品とMVに出逢うんです。知人から「ロカビリーのイケてる女の子いるよ」と教えてもらって観たんですけど、ビジュアルも良いし、歌も良いし、歌詞も良いし、「え? 日本にこんな人がいるんだ?」って驚いて。 Misaki:うれしいです。 TeddyLoid:「この人とだったら、プロデューサーやトラックメイカーとして一緒に曲を作ってみたい」と思って。初めて日本の若手のロカビリーで格好良いと思ったのがMisakiちゃんだったんです。それが今回のコラボレーションのきっかけ。--そんなMisakiさんもロカビリーを表現するようになったきっかけは、親御さんの影響だったんですよね?
Misaki:父親(ロカビリー界のレジェンドドラマー・久米浩司)がそれこそBLACK CATSやMAGICのメンバーだったので、我が家も私が幼い頃から常にロカビリーが流れていて。普通は食事の時間に音楽を流していたら怒られたりすると思うんですけど、我が家はロカビリーがバンバン流れている中で家族の食卓を囲んでいたんです(笑)。 TeddyLoid:ビデオとかもずっと流れてるんだよね(笑)。 Misaki:そう! ずっとDVDも流れていて! それで踊ったりしているのが当たり前だったので、もはや好きとか嫌いとかの次元じゃなかった。当然のようにそこに流れていた音楽だったんですよね。そういう環境下で成長していくんですけど、当時から「歌手になりたい」という夢はずっとあって、ギャルモデルとかもやりつつ、10代の頃から普通のJ-POPを何年も歌っていて。でも、自分に全然しっくり来なくって「自分はどんな音楽がやりたいんだろう?」と思い悩んでいた時期に父親が背中を押してくれたんです。「ロカビリーが良いんじゃない?」って。それで改めてロカビリーをしっかり聴いたときにウッドベースやグレッチの音色に対して「自分がやりたいのはコレだ!」と思えたんですよね。それが2016年ぐらい。--ちょうどTeddyさんがMisakiさんの存在に気付いた頃ですね。
TeddyLoid:そうですね!- The Biscatsのロカビリーはワールドクオリティ
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The Biscatsのロカビリーはワールドクオリティ
--ロカビリーを自ら表現するようになってどんなことを感じましたか?
Misaki:ロカビリーって1950年代から始まってどんどん進化しながら世界中で愛されている音楽ではあるんですけど、今までのロカビリーと同じことをやっていてもしょうがないと思っていて、もう2020年ですし、今の時代に合ったロカビリーを作っていかなきゃなと凄く感じています。--現代の若者にとっては、ロカビリーはオールドロックの部類に入る印象だと思うんですけど、それを2020年に「ロカビリーはダンスミュージックだ」という認識のもとに改めて打ち出す。それが今回のコラボ曲「Teddy Boy feat. TeddyLoid」の有意義さだと感じています。
TeddyLoid:当時の最先端のダンスミュージックがロカビリーだとすると、今の最先端のダンスミュージックはEDMで、だから僕の中でロカビリーもEDMも変わらないなと思っているんです。あと、今回の「Teddy Boy feat. TeddyLoid」を制作するまでのストーリーをお話しすると、Misakiちゃんのロカビリーを初めて聴いたときは、彼女のお父さんが久米浩司さんだとは知らなかったんですよ。だから何も知らずに僕から「格好良いですね」って連絡して。 Misaki:ツイッターのDMで送っていただいて、驚きました! TeddyLoid:僕はプロデューサーですし、自分の作品も制作しているので、常に格好良いシンガーやアーティストを探しているんですよ。それでMisakiちゃんにも連絡させて頂いたんです。 Misaki:すごくご活躍されている方なので「なんで急にフォローされたんだろ?」ってビックリしたんですけど、でも、かつて私のお父さんと会ったことがある話とか後々聞いて、お父さんもそんな話をしていたことを思い出して、自分の中で全部が繋がって! あと、自分たちの音楽を「格好良い」と言ってもらえたことが単純にすごく嬉しかったです。--Teddyさんは、MisakiさんやThe Biscatsの音楽のどんなところに魅力や面白さを感じたんでしょう?
TeddyLoid:僕は海外のロカビリーもチェックしているんですけど、Misakiさんたちのロカビリーはワールドクオリティだったんですよ。海外でDJをする機会もすごく多いんですけど、その海外に向けて日本が発信するロカビリーの中でクオリティが伴っている人はいなくて、でも「彼女だったら海外に発信しても、僕の曲に入れても恥ずかしくない。格好良いモノができる」と思ったんです。だから最初は僕のアルバムとか曲にフィーチャリングで参加してもらおうかなと思っていたんですけど、今回こうしてThe Biscatsの楽曲としての制作に携わらせてもらえたので、すごくうれしいです。 Misaki:私もTeddyさんのアルバムとか聴かせて頂いていたんですけど、世界観が凄くて! 一気にその世界に持っていかれる。あと、サウンドプロデュースしているアーティストさんも幅広いですし、米良美一さんの「もののけ姫」のリメイクを聴いたときは「あの曲がこんな風になるんだ! 凄いな」って本当に驚きました。 TeddyLoid:「もののけ姫 2018」ですよね。先日米良さんに『徹子の部屋』で歌って頂き、すごく光栄でした。 Misaki:振り幅が凄い方だなと思っていたので、今回「Teddy Boy feat. TeddyLoid」でご一緒できて本当に嬉しかったです。実際に制作に入ってみても驚きの連続でしたね。すべて信頼してお任せできると思いましたし、The Biscatsの音楽はロカビリーを好きで、ジャンルを熟知されている方じゃないと手掛けづらいと思うんですけど、Teddyさんはすべて分かっているので、一緒に音楽を作っていてすごく楽しくて。--その楽曲を「Teddy Boy feat. TeddyLoid」というタイトルにしたのは?
▲「Teddy Boy feat. TeddyLoid」先行配信ジャケット
--実際、完成までにどんなストーリーがあったんですか?
TeddyLoid:トライ&エラーを繰り返しましたね。音を足しすぎてもロカビリー感が薄れちゃうし、あんまり打ち込みにし過ぎてもアレだし、ロカビリー感を残し過ぎても新しくないし、その中間を取ろうと思って試行錯誤しました。 Misaki:ロカビリーって絶対に外しちゃいけないポイントがあるんですけど、Teddyさんはそこをしっかり抑えてくれていて、でも今までのロカビリーになかった要素も加えてくれていて。なので、ロカビリーをずっと好きで聴いている人たちにも認めてもらえると思うし、今の若い子たちにも「え、何これ? 新しくて格好良くない?」って言ってもらえるような楽曲になったんじゃないかなと思います。 TeddyLoid:僕、マナーを破るのがすごくキライで。新しい音楽をやっているんですけど、EDMのジャンルの中でもマナーがありますよね、ダブステップにはダブステップのマナーがあって、やっぱりロカビリーにもロカビリーのマナーがあるじゃないですか。そこの中で最大限にキャッチーなモノ、リーチするモノを作りたかったんです。それが今回出来たかなと思います。歌詞とかメロとかアレンジも含めて聴きやすいし、みんなに楽しんでもらえるかなって。「新しいロカビリーのムーヴメントを起こす」有言実行
--大袈裟じゃなく、この「Teddy Boy feat. TeddyLoid」によってロカビリーの歴史が変わる可能性はありますよね。ロカビリーをよく知らない世代へのリーチも意識している、過去に誰もやったことがないアプローチじゃないですか。
▲「Teddy Boy feat. TeddyLoid」CDジャケット
--ここから面白いストーリーが始まりそう。
TeddyLoid:僕も「Teddy Boy feat. TeddyLoid」に対する反応がすごく楽しみです。ロカビリーってブームになりすぎたんですよね。ブームって一過性だから、そういう意味では現状のEDMもそうなる可能性はありますけど、ロカビリーは一時代を築いてしまった音楽なので…… Misaki:1950年代にロカビリーが産まれ、1980年代に第二期ロカビリーブーム(ネオロカビリーブームと呼ばれた)、1990年代にMAGICがデビュー、その後日本ではロカビリーのアイコンになるような存在が現れなかった。だからこそ私たちが新し いロカビリーの波を巻き起こしたいんですよね。 TeddyLoid:僕は「ニューロカビリー」と呼んでいるんですけど、それを今後も打ち出していけたらなと思いますね。今回の「Teddy Boy feat. TeddyLoid」も歌詞の置き方とかはロカビリーとして新しいと思うんですよ。ポップス寄りになっているし、僕自身のルーツをふんだんに盛り込んだりしていて。--具体的に言うと?
TeddyLoid:リスナーや読者の皆さんが僕に対してどういうイメージを持っているか分からないんですけど、実は結構不良だったんですよ。それは現実の不良じゃなくてネットヤンキーというか、ネット不良というか、そういう人種だったんですよね。インターネットとゲームばかりしていて、ネット掲示板にいろいろ書き込んで盛り上げたりとか(笑)。いわゆる不良は学校帰りにたむろしてタバコ吸ったりするじゃないですか。--それがオールドスタイルの不良ですよね。
TeddyLoid:僕のスタイルは、学校に居ながらノートパソコンでネット仲間とダベるっていう(笑)。そういう青春を送ってきたので、それを実は「Teddy Boy feat. TeddyLoid」の歌詞にちょっと落とし込んでいるんですよ。例えば、女の子が男の子のことをずっと気にしている歌詞があるんですけど、それは実はネットで出逢った男女だったりするんです。パッと見は昔ながらのロカビリー調の歌詞なんですけど、紐解いていくと現代が見えてくる。そういうギミックを取り入れています。 Misaki:歌詞を最初に見たときに、すぐ絵が浮かんだんですよ。ロカビリーの世界観がちゃんと現れていて、でも今Teddyさんが話して頂いた新しい要素もあって。歌うときは、この歌詞の中の女の子になりきって、妄想を膨らませながら楽しく表現させて頂きました。 TeddyLoid:僕自身もMisakiちゃんのことをイメージングしながら書きました。それこそTeddy Boyになりきって(笑)。--そんなこの2組でしか生み出せなかった「Teddy Boy feat. TeddyLoid」。これから世にどんな風に響いていってほしいと思いますか?
TeddyLoid:僕としては、もちろん今までのThe Biscatsのファンの方にも「これだ!これだ!」って喜んでもらえる曲にしたかったんですよ。それがありつつも、Misakiちゃんが先程仰っていた新しいファンの人たち、今までロカビリーを聴いたことがない人たちにも聴いてもらいたい。だから「これ、ロカビリーだね。でも新しいし、カッケーじゃん」と言ってもらいたいです。 Misaki:いつも応援してくださっている方々から「Miaskiちゃんたちがもう一回ロカビリーブームを起こしてね。がんばってね!」って言ってもらっているので、ロカビリーを知らない方たちにも知ってもらうきっかけにしたいですね。 最新のダンスサウンドとの融合で、Teddyさんと打ち出していける「ニューロカビリー」こそ、私たちも目指していたものでした。レーベル名にはそんな新しいサウンドやムーブメントをビートから生み出したい思いも込めて「ROCK`A BEAT」って付いているんです。東京から世界に発信するから「ROCK`A BEAT TOKYO」。「新しいロカビリーのムーヴメントを起こす」という目標を有言実行したいです。関連商品