ステイホーム期間の過ごし方

――皆さんはこのステイホーム期間、いかがお過ごしですか？（※インタビュー実施は5月下旬）

鶴見萌：オタクなのでめちゃくちゃエンジョイしてますね。消費できていなかったゲームとかアニメを一気に消費したり。あと、最近は動画配信もやってます。今までも海に行った動画とかをたまに上げていたりはしたんですけど、コンスタントに更新してきたわけではなくて。なかなか家から出られないこの期間に少しでも動いている私を届けられたらなと思って、自分で撮影して、編集もして…

――編集もご自身でされているんですね。

鶴見萌：そうやって身に着けたスキルが今後何かに活かせればなと思って。何事も無駄にはならないと思うんです。今日も動画を撮ってきたんですけど、コスプレ用のウィッグを作っている動画で、そういう自分が得意な方面でスキルを伸ばしていけたらなと思ってやってます。

――岡田さんはいかがですか？

岡田彩夢：私もオタクなんですけど、普段はメジャーなものにハマるのはプライドが許さないタイプのオタクなんですよ。だからこそ、逆にこの期間ではメジャーなものに手を出していこうと思って、意を決して『鬼滅の刃』のアニメを見て、コミックも全巻読みました。

――今までやってこなかったことを敢えてやってみようと。

岡田彩夢：そうです。手を出してみたところ、やっぱりメジャーな作品は人が集まるだけの理由がちゃんとあるんだなと思いました（笑）。

鶴見萌：そうなのよ。

――的場さんは？

的場華鈴：はい、的場は踊ってます。アルバムのリリースが一度延期になったのでリリイベもできず、なんとかイベントとかライブ以外で知ってもらえる術はないかってことで、曲をメドレーにして踊ってみた動画をTwitterに投稿してます。あと、アルバム曲の振り付けをやることにもなったので、家で踊りながら考えてます。

鶴見萌：楽しみ。

的場なりに全力で紹介した(あつい)#まとチューブ pic.twitter.com/3t1wOWp2N8

— 的場 華鈴@虹のコンキスタドール (@matoba_karin) April 18, 2020

――アルバム曲というと？

的場華鈴：新曲なんですけど「夕暮れグラデーション」と「ワンルームマジック」の2曲をやります。小学1年生の頃から虹コンになるまでずっとジャズ・ダンスやっていて、最近は他のグループさんに振り付けを提供させてもらったりしていたんですけど、虹コンとしての曲はめちゃくちゃ久々かもしれない。

岡田彩夢：「あなたと見る青空に明日も虹が架かりますように」以来かな。

――ダンスの振り付けを考える時、的場さんはどんなことからインスピレーションを受けることが多いですか？

的場華鈴：グループによって色々なんですけど、例えば虹コンの場合は「自分が虹コンにしてほしいダンス」を形にしていく作業ですね。最近はいつも虹コンの振り付けをしてくださっているYumiko先生に弟子入りして、相談にのってもらったりしてます。あとは映画を見たり、小説を読んだりすることでインスパイアされることもあります。

隠し持っていた大きな目標

――虹コンは2019年7月に結成5周年を迎え、この1年間は5周年プロジェクトを軸に活動してきましたよね。振り返ってみていかがですか？

岡田彩夢：アツかったですね。5周年イヤーの最初の催し物として、秋葉原UDXのAKIBA_SQUAREで【ジャポニジフェス】っていうイベントをやらせていただいたんですけど、ライブのほかにもスイカ割りとか射的とかミニゲーム的なコーナーもあって。しかも、その次の日からはアニバーサリー・ライブがあって、1週間後には【RAINBOW JAM2019】でバンド編成ライブもやって、とにかくお祭り！みたいな感じでしたね。

鶴見萌：それ以降もずっとアツかったよね。新しくギュラー番組もテレビで始まったし。あと、今年1月にはタイアップつきのシングルを3作同時でリリースさせていただいたりとか。その時は渋谷で大きい広告も出してもらったんですけど、そうやってCDを出すたびに展開が大きくなっていて。盛り上がりが目に見えて分かるぶん、すごく力になります。

――着実にグループの名前が広まっていくのを実感できたと。的場さんはいかがですか？

的場華鈴：夢を一つ叶えることができたのが一番大きかったかなって思います。虹コンは結成時からずっとZeppでワンマンがやりたいって言い続けていて、近づいてきたと思ったらまた離れて…っていうのを繰り返してきたんですけど、去年末にZepp Tokyoでのワンマンを大成功で終わらせることができて。しかも、そこで次の目標をファンの皆さんに宣言して、虹コンはまだ進み続けるんだっていうことを示せたのがすごく良かったなと。

――日本武道館のステージですね。

的場華鈴：もう5年間ぐらいZeppを目標として掲げ続けてきて、その先のことは今まで言ってこなかったし、ずっと隠し持っていた大きな目標をようやくさらけ出すことができたのは、今の虹コンだからこそだと思うので、そういう意味でも良い5周年イヤーでした。

――武道館というのはやはり特別な憧れがある？

的場華鈴：もう聖地じゃないですか。アイドルにとっても他のアーティストさんにとっても。ただ、その気持ちを加速させた出来事があって、それがメンバーの根本凪ちゃんが兼任しているでんぱ組.incさんの武道館でのライブをみんなで見に行った時なんですよね。正直に悔しかったっていうのもあるし、ねもちゃんを虹コンとしても武道館に立たせてあげたくなって。

鶴見萌：（虹コンが）ホームだからね。

的場華鈴：2グループで武道館に立った人なんてなかなかいないと思うんですよ。

個人としての野望

――アニバーサリー・イヤーということもあり、グループの足跡や今後と向き合う機会にもなったのでは？

的場華鈴：普段のライブでは基本的にMC担当がいるんですけど、7月14日に横浜ベイホールでやらせていただいたアニバーサリー・ライブでは、その日がちょうど虹コンの結成日だったこともあって、12人全員が一人ずつ、気持ちを喋るっていう時間を設けたんですよ。虹コンのメンバーって普段、グループの今後のこととか、それに対する正直な気持ちとか、恥ずかしがってあまり喋らないんですけど、その日は「こういうことを思ってくれてたんだ」とか「虹コンをそんなに大切に思ってくれてたんだ」みたいなことを聞けて、なんかもうその瞬間、一気に虹コンへの愛が爆発して、「なんだこのグループ一生好き」ってなりました。その時期、個人的に虹コンのことで迷っていたこともあったので、なおさらメンバーの気持ちを確認できたことが印象深かったです。

――アニバーサリー・ライブから初のバンド編成ライブ、そして念願のZeppワンマンまで、グループとして挑戦し続けた5周年イヤーだったと思うのですが、一方で個人としてチャレンジしたこと、新しくは始めたことなどがあれば教えてください。

岡田彩夢：私は動画撮影に手を出し始めました。普段のメンバーがすごく面白いのに、それをファンの皆さんにお見せできる機会があまりなくて。ライブDVDだと準備段階を映したメイキングとか入ってますけど、楽屋ならではのノリみたいなものも伝えたいなと思って、事務所からカメラを借りて、オフの時とかに回し始めたんです。【Part of Rainbow】ってシリーズでYouTubeにアップしてます。

的場華鈴：やっぱりメンバー同士なので距離感が近いんですよ（笑）。かなり素に近いよね。

岡田彩夢：そうそう。あまりにも素が出すぎて、映しちゃいけない瞬間とかも全然あるので、実際めっちゃカットしてます。

――遠慮しなくていいわけですもんね。鶴見さんはいかがですか？

鶴見萌：私はですね、去年大学を卒業しまして。

――おめでとうございます。

鶴見萌：ありがとうございます。ただその時期、進路のことで悩んでたんですよ。将来のことを考えて、どこかの会社に就職したりしたほうがいいのかなとか。でも、そこまでやりたいわけでもないことを別で始めるより、虹コンのみんなと何かを成し遂げられるまで頑張って、その先で何かを掴めたらいいなと思って、アイドル一本で続けることを決めたんです。それで、去年からLINE LIVEで『鶴見萌育成計画』っていう企画をやらせてもらってきたんですけど、その一つの集大成として、今年4月に1st写真集を出させていただきました。

的場華鈴：（拍手）

鶴見萌：新しい鶴見萌の最初の一歩を写真集という形でお見せできるのがありがたかったですし、専業アイドルとしての決意もより強くなりました。私、今まで感情の起伏が少ないタイプだと思ってたんですけど、最近は日に日にメンバー愛とかファンの皆さんへの感謝が膨らんできて、今すごくやる気に満ち溢れてます！

――ある種の決意表明のような1冊になったというわけですね。もともと写真集を出すことが目標や夢としてあったりしたのですか？

鶴見萌：そうですね。けっこうインタビューとかでも言ったりしていて…。というか、ちょうど出したいって言い始めた頃に決まったんですよね。

――やっぱり言霊ってありますよね。特にアイドルの方とかって、ブログやSNSで発信したことがお仕事に繋がったりすることも多いですもんね。

的場華鈴：いま大人聞いてるよ！　なにか言っておけば？

鶴見萌：えー、どうしようかな。でも、次に写真集が出せるとしたらスペインに行きたいっていうのは言ってます（笑）。

――いいですね。的場さんはいかがでしょう？

的場華鈴：私は虹コンのリーダーをやらせてもらってるので、ずっと「虹コンを守りたい」みたいなことは言い続けてきたんですけど、正直まだ腹を括れていなかったというか、なかなか思っていることを声に出したり、行動に移すことができなかった時もあって。でも、この5周年イヤーを駆け抜けてきて、今では「虹コンのために全部捧げちゃえ～」っていう気持ちになったし、虹コンのためになることなら何でもやりたいって思うようになりました。リーダーとしての自覚がより固まったような感じです。

――なるほど。

的場華鈴：ずっと器の大きい女になることが目標だったんですけど、まさしくメンバーのことをそっと優しく包み込めるようなママみたいな存在になりたいって改めて思って。とはいえ、個人としての野望もあって、この流れで言うのもなんなんですけど、私も写真集を出したいんですよ（笑）。

鶴見萌：応援します！

的場華鈴：でも恥ずかしくて、ブログでちょこっと書いたことがあるだけなんですけど（笑）。今年はこんな状況でもあるので、萌ちゃんに倣って、しばらくは頑張って自分を磨こうと思いました。

虹コンのド真ん中

――2年半ぶりのニュー・アルバム『レインボウグラビティ』について、当初の発売予定日から延期され、結果的に5周年イヤーの締めくくりのようなタイミングでリリースされることになりましたが、まずは仕上がりの手応えをお聞かせください。

的場華鈴：今まで虹コンのアルバムってリリースの時点で辞めちゃっていた子がいたりしたんですけど、今回はいないメンバーがいないんですよ！　他のグループさんでは普通のこともしれないですけど、虹コンにとっては大きな快挙なんです。それだけ感慨深いアルバムになりました。

岡田彩夢：その話にも通ずることなんですけど、前作のオリジナル・アルバムでは新曲に自分の声が入ってなかったんです。なのでユニット曲とかを除けば、今作は私にとって初めて全曲参加できたアルバムなので、今までで一番思い入れがありますね。

鶴見萌：現体制の12人になって、みんなで一つの方向を向けるようになって、そこから虹コンにも波が来たというか、色んなことが動き出したような実感があるので、その感じが曲にも出てる気がしますね。虹コンのド真ん中みたいな曲ばっかりだし、その中でちょっとしたスパイス的な新曲もあって、今の虹コンのすべてが詰まった、すごく良いアルバムになったと思います。

――その「虹コンのド真ん中」というのは、言葉にするとどんなものだと思いますか？

岡田彩夢：私は青春だと思いますね。今ってけっこう個性的な、今までのアイドルらしさに囚われないアイドル・グループさんが多いと思うんですけど、虹コンはその中でも正統派というか、王道のアイドルらしさを全力で貫いてると思っていて。その感じが青春ってイメージなので。

――サマー・ソングも多いですしね。的場さんはいかがですか？

的場華鈴：どうしよう。「虹コン」って言葉しか思い浮かばない…。最近「この曲、虹コンっぽいね」って言ってもらえることがすごく多くなってきたんです。今まではそういうことを言ってもらうことがあまりなかったので、虹コンというジャンルがちゃんと確立されてきてるんだなって。なので、虹コンのド真ん中という表現しか思い浮かばなくて。

――では、今作の中で特に印象深い曲、個人的にお気に入りの曲などがあれば教えてください。

岡田彩夢：みんなそうだと思うんですけど、一番思い入れが深いのはやっぱり「心臓にメロディー」ですかね。

的場華鈴：そうだね。

岡田彩夢：このアルバムに「トライアングル・ドリーマー」と「心臓にメロディー」が入ってるのが強すぎて！　この1枚だけでワンマンできると思いましたね。

――『トライアングル・ドリーマー／心臓にメロディー』は両A面シングルで、今の虹コンにとってターニング・ポイントになるタイミングでリリースされた作品ですよね。

的場華鈴：そうですね。虹コンは前作アルバムからの2年半の間、自分たちで言うのもなんなんですけど、昇り調子になってきたというか、やっとたくさんの方々に見てもらえるようになってきたっていう実感があって。例えば夏フェスに出させてもらった時、披露して盛り上がる曲が毎回増えていったり。その2年半の積み重ねがぎゅっと詰まってます。2018年12月にベスト・アルバムをリリースしたんですけど、虹コンのすべてが感じられるっていう意味では、ベスト・アルバムよりもベストだと思います。もう優勝です！

――その一方、新曲はどこか実験的というか、虹コンの新たな一面を覗かせる仕上がりになっています。

岡田彩夢：「ワンルームマジック」はシティポップっぽい感じで、歌い方もラップ調なんですけど、仮歌通りに歌っていないパートもけっこうあったりして、レコーディングは難しかったです。メンバーが言ってたんですけど、この曲を聴きながら原宿を歩くとすごくお洒落な人の気持ちになれる。

――二十歳を超えるメンバーも増えてきて、ああいった大人っぽいニュアンスの楽曲も歌えるようになってきたという実感もあったり？

岡田彩夢：あー、どうだろう。

鶴見萌：いや、難しかったなぁ。

的場華鈴：ないです！

――（笑）。

鶴見萌：だからこそ、今後は大人っぽい曲もちゃんと歌えるようにならなきゃなとは思いますね。勢いだけに任せない、たしかな実力が欲しい。

的場華鈴：あと私、今回のアルバムは泣きながらレコーディングした曲がすごく多くて。「愛をこころにサマーと数えよ」の落ちサビ前に激エモのターンがあるんですよ。的場のパートが「あなたがくれる空は 今日も　虹の空」って部分なんですけど、虹コンがこんな未来しか見えない夏曲を歌えるようになったんだっていうのを思い出したら、めちゃくちゃ泣けてきちゃって（笑）。元気に歌わなきゃいけないパートなのに、よく聴くと鼻声なんです。

――そうだったんですね。

的場華鈴：あとは「あなたと見る青空に明日も虹が架かりますように」もちょっと鼻声です。ほんとに思い出深い曲だらけなので、聴いてくださる方々にも伝わるものがあったらいいなって思ってます。

――「あなたと見る青空に明日も虹が架かりますように」はアニバーサリー・ライブで初披露されましたが、お客さんの反応も格別でしたか？

岡田彩夢：泣いてましたね。

的場華鈴：号泣だったね、あれは。

岡田彩夢：ライブでは今まで2回披露したことがあって、どっちも的場さんが振り付けと演出を考えてくれたんですけど、演出がそれぞれ違ったんですよ。それもまた印象深くて。

的場華鈴：きっと次に披露するのは7周年とかなのかな。虹コンにとって7は特別な数字なので。私たちもそれまでに色々と変わっていくだろうし、この曲の振り付けも演出も毎回変わっていくと思います。

鶴見萌：大事な曲がどんどん増えるね。

――それでは最後に、5周年イヤーを終えようとしている今、以降の活動に対して皆さんがどんなモチベーションを抱いてるのか教えてください。

岡田彩夢：みんなで2020年は勝負の年みたいなことを言ってたんですけど、なかなか難しい状況にはなってしまって。でも、そのぶん7周年がすごい盛り上がるんじゃないかって期待はありますね。

的場華鈴：まだ新しい目標のスタート・ラインに立ったばかりなので、むしろ今が一番いい時期というか、現実的には自粛期間にはなってますけど、虹コンはそれをポジティブなことに変換できているグループだと思います。インドア派なので。

鶴見萌：5周年プロジェクトを始めた頃、「虹コンは7年目が本当の節目だ」みたいなことを言っていたんですけど、それがつい最近のことみたいな気持ちです。気づいたらもう一番大事な年が来ちゃう。

――ほんの1年後ですよ。

的場華鈴：大人の方たちは色んな面で大変だと思うんですけど。

鶴見萌：頑張ってくれてる！

的場華鈴：メンバーとしては、7周年で爆発するために今できることを頑張ろうって感じだよね。

Interview by Takuto Ueda