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【大塚 愛【LOVE IS BORN】~7th Anniversary 2010~】
2010.09.11(土)at 横浜赤レンガパーク 野外特設ステージ|ライブ写真&セットリスト
あまのじゃくで、ひねくれ者で、すぐ誤解されて、とにかく掴み所がなくて。そんな日本音楽シーン1,2を争う変わり者(笑)であるアーティストが、紛う方なき“愛”に溢れる音楽と光景を生み出した夜をここに。
18時。メインステージより向かって左側。横浜の海を背景にピアノの弾き語りで『愛』を歌い始める大塚 愛。ピンク色の夕焼け、サイリウムの光が赤レンガ倉庫を染め、嘘みたいに幻想的な世界が目の前に広がっていく。続いて『Is』をまずはアカペラで聴かせる彼女。そしてライブタイトルを叫ぶと、特効の爆発音と軽快なバンドサウンドが響き渡る。「今日は最後まで楽しんでいってなぁ!!!」
奇しくも結婚直前に発表された『ゾッ婚ディション』では、薬指をチラチラ動かしながら結婚指輪を笑顔で見せつけ、海の前でいつか歌いたかったのであろう『ハニカミジェーン』では、超カラフルかつファンシーなドレスを着たダンサーたちとキュートにダンス。続く大塚 愛流最新系エレクトロポップ『アクション10.5』では、お得意の骨抜きふわふわグルーヴ&南流石が考案したのであろう斬新でキャッチーな振りで、僕らを魅了した。
「久しぶり!待ってたよ、みんな。めっちゃ待ってた。見て、この絶景。超セレブ!」と喜びつつ、名バラード『Always Together』をなんとアコースティックアレンジで。更に記念すべきデビュー楽曲『桃ノ花ビラ』を披露したのだが、出だしを躓いてやり直し。「誰?間違えたの?」と誰かのせいにしようとしたものの、最後は素直に頭を下げる今日の主役(笑)。故意ではないと言え、これで先まで漂っていた緊張感が一蹴され、誰もがリラックスした状態でゆらゆら……揺れ始めた。
「私、大塚 愛はRIP SLYMEのSUさんと6月26日に入籍しました」と改めて報告。続けて「私は今一番ラブレターを贈りたい人がいます。SUさんちゃうで(笑)。それは私のお父さんとお母さんです。私は披露宴とか好きじゃないので、今日みんなの前で感謝のラブレターを贈りたいと思います」と。母が体が弱りながらも命懸けで自分を生んでくれたこと、デビューする為に必要な楽曲創りに東京で勤しむも上手くいかないとき「曲が出来るまで帰ってこなくていい」と言われたこと等を、彼女は涙をぼろぼろ零しながら語っていく。
そして、今日まで素直に想いを告げることの出来なかった両親へ「お父さん、お母さん。28年間、お世話になりました」「私はお父さんとお母さんが大好きです」と『LOVE LETTER』を歌い始めた。優しき光とストリングスの音色に包まれながら、今までにないほど感情を溢れさせながら「幸せ、ありがとう」と伝えた。更に、激しく高揚したまま彼女は『恋愛写真』を。再び溢れる涙を拭いながら「ただ、、、君を愛してる」と何度も何度も繰り返し、切ないラブソングを出逢いの歌、幸福の歌へと変えていく。
これだけで十二分に胸いっぱいになったのだが、今日の大塚 愛は止まらない。満を持して『プラネタリウム』を畳み掛け、しかも「あの香りとともに 花火がぱっと開く」そのフレーズの後に静寂が生まれると、本物の花火が打ち上がる見事な演出まで用意。もはや今日何度目か分からない大感動によって多くの涙を誘う。そして、みんなの心が愛情で満ちたところでゴキゲンな『Birthday Song』の大合唱である。ここでバースデーケーキも登場し、彼女がローソクの火を吹き消すとその声のボリュームは更に上昇していった。
「さーて!みんなここから盛り上がっていきますけど大丈夫かぁ!? 横浜で一番やかましい連中になろうぜー!!」一気に舞い上がる1万人のテンションと共にキラーチューン『ロケットスニーカー』が。幸せいっぱいのボーカルとバンドサウンドが空を舞い「あ~~大塚っこ~~~!!」と、とんでもない開放感と疾走感と幸福感が大爆発っ! そして曲はノンストップで『さくらんぼ』へ。謎のマシーンでボールをガンガン客席へ吹っ飛ばしながら「笑顔咲く~♪」の大合唱っ! 観客全員による「もう1回!」も気持ち良く炸裂し……、急遽再度「もう1回!」を……、更に「もう1回!」を…………と、もう数え切れないほどの「もう1回!」で史上最も長い『さくらんぼ』が繰り広げられた。若干みんなが疲れるぐらいに(笑)。
更には、サイリウムの光が右へ左へ綺麗に揺れた『未来タクシー』が続き、本編のトリには、この夏、各地でオーディエンスの度肝を抜いた『LUCKY☆STAR』を。とんでもない数のダンサーが踊るステージのセンターで、2人の大塚 愛が全く同じ動きではしゃぎ回ると当然のことながらどよめきが起こる。もはや相棒と呼んでもいい振産師 南流石と編み出したいたずら、もとい、最新エンターテインメントショー。それは2人の思惑通り、たくさんの驚きと笑顔を生んだ。
大塚 愛が分身と共に肩を抱き合ったままステージ袖へ駆けていくと、すぐさま巻き起こる「もう1回!」コールによってライブはアンコールへ。ウエディングドレス風の衣装を身に纏ったダンサーが彼女を囲むと、教会の鐘の音を取り入れたニューアレンジの『CHU-LIP』がスタートする。「なぞ、遺伝子」のリズムに乗せて大人数のダンサー1人1人からチューリップを忙しく受け取る大塚さん(笑)。そして「ミュージックステーション」でも話題になった少年にベールを被せてもらうと、2人で手を繋いで花道を歩いていき、最後は彼からほっぺにチュー。微笑ましくて幸せいっぱいのステージを楽しませてくれた。
「次が最後の楽曲なんですけど、私から直接みんなに伝えたいことがあります。今年の誕生日を実は3人で過ごしました」と、彼女はなんとその体に子供を授かったことを発表。そして今回のライブを最後に「しばらく会えなくなるけど、またいつかこうして会えるのを楽しみにしてます。本当にありがとう」と『I ■ ×××(■=ハートマーク)』を。アドリブで「I love you みんな」と歌った後で「みんな歌ってくれる?」と訊ねると、大塚 愛のライブ史上最も鮮やかな大合唱が巻き起こる。それはそれはすげぇ綺麗なハーモニーで、何度も胸が詰まった。
あまのじゃくで、ひねくれ者で、すぐ誤解されて、とにかく掴み所がなくて。そんな日本音楽シーン1,2を争う変わり者(笑)である彼女が生んだ美しい音楽と光景は、僕らの心を大いに震わせた。その瞬間を祝福するように何度も何度も打ち上がる大きな花火。今日は大塚 愛のひとつの到達点。そして、新しい大塚 愛の始まりの日だ。まだまだ伸びて、走って、その前にまずはしっかり子供を生んで、そしたらまた僕らを笑わせて、泣かせて、ぶったまげさせてほしい。こっちは全力で待ってます!!
ライブ写真
セットリスト
【大塚 愛【LOVE IS BORN】~7th Anniversary 2010~】
2010.09.11(土)at 横浜赤レンガパーク 野外特設ステージ
- 01.愛
- 02.Is
- 03.ゾッ婚ディション
- 04.ハニカミジェーン
- 05.アクション10.5
- 06.Always Together
- 07.桃ノ花ビラ
- 08.ネコに風船
- 09.金魚花火
- 10.LOVE LETTER
- 11.恋愛写真
- 12.プラネタリウム
- 13.Birthday Song
- 14.ロケットスニーカー
- 15.さくらんぼ
- 16.未来タクシー
- 17.LUCKY☆STAR
- En1.CHU-LIP
- En2.I ♥ ×××
Writer:平賀哲雄
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