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【ビルボードライブ横浜開業記念】Mighty Crown インタビュー ~世界が認めたレゲエサウンドが語る横浜の魅力と遊び方



Mighty Crown インタビュー

 今春、ビルボードライブ東京・大阪に続いて、国内3店舗目となるビルボードライブが横浜にオープンする。この開業を記念して、世界でも珍しい規模のレゲエ・フェス【横浜レゲエ祭】を主催し、サウンドクラッシュの最高峰に上り詰めた横浜を代表するNo1レゲエサウンド、Mighty CrownのMASTA SIMON、SAMI-T、COJIEの3人に“横浜”という街の魅力や遊び方を語ってもらった。

地元をロックできなかったら、認められない

−−レゲエが盛んな場所であればどこでも、世界の津々浦々まで出向いてプレーをしてきたわけですが、「あ、ここ横浜に似ている」と感じた街はありますか?

MASTA SIMON:それ、なかなかないんだよね。横浜は横浜っていうか。昔、自分たちが好きなブルックリンを無理やり横浜に近づけよう、ってしたことはあるけど。

COJIE:そうそう、マンハッタンが東京だとしたら、横浜はブルックリンだよねって。

MASTA SIMON:いまの横浜じゃなくて、少し前の横浜の雰囲気だけどね。

−−ブルックリンもいまのおしゃれなイメージでなくて、昔の雑多な感じですかね。

SAMI-T:地理的な話だけどね。

COJIE:どことも似ていないのが、横浜っぽいんだと思う。景色も人も、いろんな意味で独特。俺はもともと横浜の人間ではないから、逆にそう感じるのかも。茨城で育ってニューヨークに行って、90年代に帰国してからも2年くらい仕事で成田にいた。そこから横浜のダンスに通っていたんだよね。

MASTA SIMON:でも、もう20年はいるよね。3日住めば浜っ子っていう言葉をあるくらいだし。

SAMI-T:馴染んだらファミリーなんだけど、一方で、独特すぎて入りづらいって言われることもある。あと地方に行くと、「ほんとに“じゃん”って言うんだ〜」って驚かれたり。

MASTA SIMON:ローカル意識が強いとも言われる。横浜の人間は、神奈川出身、とは言わないよね。もうじいちゃんの代からそうだから、当たり前だと思っていて。「どこから来たの?」って言われて「神奈川」って答えたこと一度もないと思う。悪気はないんだけど。

−−Mighty Crownもそうですが、個性を殺さないまま全国区になるアーティストを多く輩出している印象があります。それを培う土壌、バックグラウンドはなんだと思いますか?

SAMI-T:港があって、外国からインフォメーションが入ってくるのが早かった、ってのはあるかも。

MASTA SIMON:西洋文化がいち早く入ってきたのが横浜って言われているし、情報をキャッチして、敏感な人が多いかもね。

SAMI-T:子どもの頃、3歳くらいで親が聴いていた音楽がカーペンターズやビートルズだったし。

−−レゲエ祭も数百人規模のクラブイベントからスタートして、横浜スタジアムまで大きくなりました。横浜だからこそ、活動しやすい・やりやすかったことはりますか?

MASTA SIMON:ほかの場所だったらこうだった、とか考えたことないからなぁ。

SAMI-T:ただ、最初から地元を盛り上げられなければ、ほかの場所に行っても盛り上げられないでしょ、という意識は強かったかな。地元をロックできなかったら、認められないよねって。

MASTA SIMON:そういう意味では、横浜でよかったよね。



▲The Energy is Global - Mighty Crown's 25th Anniversary Story -


−−キング・オブ・ダンスホールのビーニマンや、ラスタ系の大物、ケイプルトンを日本に呼んでいますが、海外からゲストが来た際、どんな場所に案内しますか?

SAMI-T:ジャマイカのアーティストは食にうるさい人が多いけど、実は近所の定食屋が好評だったよ。

COJIE:まさに定食屋っていう場所。

MASTA SIMON:あと、中華街は必ず連れて行く。みんな喜ぶよね。

SAMI-T:中華料理は(ジャマイカにもあるから)慣れているよね。食ったことある、みたいなのは喜ばれる。

COJIE:ジャマイカ人は食に関しては保守的なイメージがあるね。

SAMI-T:自分のパターン崩されるのが嫌な人が多い。

MASTA SIMON:オールド・スクールの人は特に。ショーン・ポールみたいに寿司も食うよ、みたいな人もいるし、ブジュ(・バントン)みたいに日本の文化に興味があって、味噌汁大好き、みたいな人もいるけど。ブジュは定食屋も喜んでいたよ。あと、若い世代も少し変わってきたかな。

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気前がよくてカッコよく遊ぶ人も多い

−−変わったという話が出たところで、1990年代、2000年代、2010年代とずっと活躍しているわけですが、レゲエ・シーンで変わったな、と思うことを。

MASTA SIMON:いろいろ違うよね。日本はレゲエがひとまとまりになっているけど、海外はルーツ・レゲエとダンスホールが別々で、それぞれ出てくるアーティストのタイプも違う。いまの若いダンスホールのアーティストは、サウンドシステム・カルチャーに対する意識が薄い気がする。それは、向こうのサウンドシステムの人も言っている。昔に比べて、サウンドから曲をかけて、そこからヒットに繋げて、盛り上がるのは少なくなっている。現場にかかっていなくても、ストリーミングの数はすごい奴もいるし。それは、どのジャンルもそうだろうけれど。

COJIE:時代がそうなっているよね。

SAMI-T:情報の取り方も変わったよね。昔はジャマイカのカセットを何百回と聴き込んで、みたいなやり方だったけれど、もうレコード屋さんも減ってるしね。00年代前半にヨーロッパの空港で、(レコードを持っていて)重量オーバーウェイトで止められて、「(追加料金)60万です」って言われたときに3人乗れるじゃん=これはやり方を変えなくちゃってなった。

MASTA SIMON:ジャマイカもCDになってからプロトゥールスになって、ってコストパフォーマンスのいいやり方に変わったよね。

−−Mighty Crownは常に新しいチャレンジをしていますよね。最近だと、SAMI-TがYouTubeでプレーを配信して、びっくりしました。あれ、親切ですよね。

MASTA SIMON:あれはみんなに新しい曲を知ってもらおう、っていう意図で始めた。

SAMI-T:現場に来ている人さえ、新しめの曲は知らないからね。



▲Dancehall Reggae MIX 2020/Best Of Dancehall Hits by SAMI-T from MIGHTY CROWN [2020 January]


MASTA SIMON:それがふつうで悪いことではないけど、俺らもいつまでも同じ曲で盛り上げてられないなっていう複雑な気持ちがあって。現役をやっている間はアップデートしていきたいから。都内も含めて、クラブ人口が減っているというのも感じているし。

SAMI-T:1回目はインスタライブでも最初の20分を配信した。2週間ごとにやってファイル化していこうかな、って思ってる。

MASTA SIMON:人の楽曲を使っているから収益 ゼロだけど、曲を教えるという意味では大事。ソングリストもあったほうが親切だから、スタッフが一生懸命つけてるよ。

COJIE:YouTubeでは使えない曲もあったんだよね。

SAMI-T:著作権の問題か理由ははっきりわかんないんだけど。Spotifyのプレイリストには入れてるから、そっちで聴いてねっていう。1回の配信で4曲くらいダメな曲があったな。

MASTA SIMON:エフヨコ(FM yokohama)のリスナーもいるし、もういろんな形のリスナーがいていいと思うから、新しいメディアでオプションを作ったんだよね。

−−最近、MASTA SIMONプロデュースのJ-REXXXとCHOZEN LEEの「Not Your Hero」がリリースされました。

MASTA SIMON:あれ、最初のほうはヒップホップっぽいトラックなんだよね。レゲエ色も入れたいねって、あとでホーンを足したりしているけど。ヒップホップの若い子たちにも評判いいよ。ルーツ・レゲエとトラップって案外BPMが近くて、どちらにも合うように作った。



▲Not Your Hero - Chozen Lee & J-Rexxx (Produced by Masta Simon from Mighty Crown)


−−どういう形態でプロデュースするんですか?

MASTA SIMON:たくさんレファレンスを出して、音を出してもらう。こういう感じ、あんな感じって、機材を操る人と一緒に作る。(Mighty Crownの活動で)足りないところはプロデュースだと思っているから、実験しながらやっているんだ。

−−では、Mighty Crownが考える理想的な横浜での夜遊びを教えてください。

MASTA SIMON:関内の野毛あたりに飲みに行くことが多いかな。知り合いが店をやっているから、会いに行くかんじ。あと、横浜は大人がよく遊んでいるよね。俺らより上の世代の人たちは遊び方を知っているっていうか、気前がよくてカッコよく遊ぶ人も多い。

SAMI-T:今年と来年にかけて、横浜の中心地にいろいろできて変わるだろうな、っていう期待はあるよね。横浜って音楽の街っていうイメージがあるけど、前に住んでいたニューヨークと比べると、まだそこら中で音楽が鳴っているって感じじゃない。俺の理想は、美味しい食べ物と酒があって、別にレゲエじゃなくてもいいんだけど、あれ、この音楽いい感じじゃない?って反応するような音楽が流れていること。けっこう少ないんだけど。

MASTA SIMON:音量も大事だよね。3軒はしごするとして、1軒くらいガンガン大音量でがかかっている店があってもいいけど、全部は辛い。

COJIE:俺は、立ち飲み屋でスタートしてビルボードライブ横浜でライブを見て、最近見つけたジャズ喫茶で締める、っていうのが理想かな。

−−ジャズ喫茶ですか?

COJIE:店長は若いんだけど、レコードかけていていい感じなんだ。

MASTA SIMON:ビルボードライブ横浜ができるのはいいよね。俺らもビルボードとは、Morgan Heritageや Chronixxで一緒に仕事したから、また一緒にできたらいいな、って思ってる。

−−では、最後にMighty Crownの最新動向、これに注目して、というのを教えてください。

MASTA SIMON:今月から本格的に動き始めたからYouTubeのMighty Crownオフィシャル・チャンネルを登録してください。あとは、これから出てくる楽曲に注目してほしいかな。3人それぞれやっているから。

COJIE:日本・海外のアーティスト、プロデューサー含め今まで 4曲を Scorcher Hi Fiレーベルからリリースしてる。日本にも世界で通用するダブメーカーがいるからこれからどんどんリリースしていきたいね。ダブミュージックはボーカルがない分、聴く人それぞれの解釈で幅広く自由なイメージができるのが面白い。最近は南米のダブシーンが熱くて、いつかツアー行きたいね。

MASTA SIMON:いま、音楽シーンで発信する方法も、つながる方法もここじゃなきゃ、こうじゃなきゃダメ、というのはもうないよね。

SAMI-T:俺は4月くらいにEPを出す。クリス、窪塚洋介、J-REXXXとか参加しているので、楽しみにしていてほしいかな。




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