中川翔子【中川翔子 1stコンサート “貪欲☆まつり”】

Special

中川翔子

2007.10.20(土) at C.C.Lemonホール｜ライブ写真＆セットリスト

　チケットは25秒で即完。C.C.Lemonホールを囲むように集まった、コスプレした人々。ハルヒ、鬼太郎、セーラームーン、メイド、エヴァ、ローゼン、グレン、ウテナ、などなど（見た順）。挙げ出したらキリがなく、その数は「ココ国際展示場？」と勘違いしたくなる程だ。
　今日行われるのは、ブログの女王、アニソン伝道師、聖子ちゃんマニア等々、数々の異名を持ち、今、芸能界はもとより音楽界でも大きな注目を集める女の子。しょこたんこと中川翔子の1st コンサートである。会場内はざわ・・・ざわ・・・、と何か予感めいた熱気に包まれており、注意事項を告げる館内放送が終わると、場内からは早くも「ショーコ」コール。「1stコンサートでコレは緊張するだろうなあ」という心配（？）も含め、これ程ドキドキした心持ちで登場を待つのも久し振りである。

　暗転。観客が手にしたピンクのサイリウムを一斉に掲げると、会場は正にピンクの海に。煌びやかなイントロと共に、ステージ前に張られた幕に映し出されるシルエット。やがて勢いよく幕が引き下ろされ、デビュー曲『Brilliant Dream』を伸びやかに歌い上げるその姿。フリフリピンクのスカートに花束を集めたようなドレスを身に纏い、髪型は巻っき巻きのツインテール。何ていうか、その、完璧。今思い返しても肌に粟が立つ、美しすぎたその一連の光景を、ミラクル、と評すのは失礼にあたるのかもしれない。しかし単に演出と呼ぶには、すぎる程に感動的な瞬間がそこにはあり、しょこたんの記念すべき一日を飾るに相応しい幕開けとなった。

　歓喜に打ち震えるオーディエンスに対し、「一生、みんなの心に残るように………、みんなをしょっこしょこにしてやんよ！」と元気に挨拶したしょこたん。バックバンド＋ダンサーまで従え、前半はキュートな楽曲を可愛らしく披露する。その振り付けも以前のイベントなどと比べても格段に進化しており、『テレポーテーション -恋の未確認-』は、魔法少女よろしく光るステッキを手に熱唱。さらに中盤、純白のドレスに着替えて亡き父・中川勝彦の『雨の動物園』をしっとりと歌い上げれば、自らの人生をも変えた『空色デイズ』では良く通るその歌声で天を突く。緊張や怯えを感じさせない、エネルギッシュなステージが続く。

　黒のショートドレスに早着替えして臨んだ終盤は、何故かマミタスコールが飛び出した『1/2』も含め、歌い込みバッチリなアニソンをこれでもかと畳み込み、本編最後はしょこたんのアニソンランキングNo.1の『ロマンティックあげるよ』。歌い終わった彼女は興奮気味に「死んでも忘れないで！」と叫び、会場は大歓声に包まれたのだった。

　アンコールでは聖子ちゃんメドレーやしょこたんの人生を変えた『happily ever after』、そして最後にもう一度、全員で合唱した『空色デイズ』と、1st コンサートとして完璧すぎるステージでそのポテンシャルを発揮しまくった中川翔子。MCでは木星＆宇宙キモスな話や“中川翔子三大神”のひとり・松田聖子の話で暴走し、「ギガント奇跡！」「トゥットゥルー♪」などしょこたん語も次々に炸裂。随所に見所や“らしさ”が詰まった一日となったのだが、何より特筆したいのが、終演後にMy ケータイで記念撮影をする彼女のあどけない笑顔と、中盤のMCで言い放った「生で絶対、届けたいんだ！！」という言葉だ。

　昨年、初めてインタビューした時、「アーティストだなんて、いやいやいや………」と恐縮し、人前で歌う事に対し、緊張を通り越して恐怖すら感じていた彼女が、ステージを所狭しと駆け巡り、両手を広げて観客と共に歌い、笑い合った。世間からネガティブなイメージを抱かれがちだったオタク的な要素をも臆する事なく開放し、その偏見を吹き飛ばす活躍をしてきたしょこたんはこの日、歌手としての殻をも見事に突き破ってみせたのだ。それも、今までと何ら変わる事のない、親しみやすさを携えたまま。

　2008年の元旦には、この記念すべき一日の模様を収録したDVD『中川翔子 1stコンサート“貪欲☆まつり”』の発売も決定した。同作には大の苦手であったダンスのレッスン風景なども特典として収録されるという。殻を突き抜け、歌う事、魅せる事、なにより届ける事に真摯に取り組んだその姿は、この日のステージとはまた違う感動を呼び起こすだろう。歌手・中川翔子の第一章は、最高の形で締め括られ、生きた証としてDVDに、そしてみんなの心に、しっかりと焼き付けられるのだ。