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ビルボードジャパン 年間ランキング2019発表~【Hot 100】は日米初の2年連続米津玄師「Lemon」、【Hot Albums】は嵐『5×20 All the BEST!! 1999-2019』
【ビルボードジャパン 年間ランキング2019】が決定。総合ソングチャート【Hot 100】、総合アルバム・チャート【Hot Albums】、さらに【Hot 100】と【Hot Albums】のポイントを合算したアーティスト・ランキング【TOP Artists】など、各種チャートを解説とともに発表する。嵐や星野源、スピッツ、BUMP OF CHICKENなど多くのアーティストがストリーミングを解禁したことが話題となった2019年。オーディオ、ビデオともにストリーミングでのヒットが大きなカギを握る1年となった。
※集計期間:2018年11月26日(月)~2019年11月24日(日)
日米ソング・チャート初の
2年連続制覇達成
昨年4冠でイヤーエンド首位を獲得した米津玄師「Lemon」(18年3月14日発売)だったが、『紅白歌合戦』での初パフォーマンスが話題となり、放映直後の週以降ダウンロード、動画再生が牽引して高ポイントを維持、19年度イヤーエンドでは、18年同様ダウンロード、ルックアップ、Twitter、動画再生で1位、そして新たに新指標として加わったカラオケ指標で1位と、計5冠を獲得、【Hot 100】イヤーエンド・チャート連覇を成し遂げた。これは、アメリカの60年、日本の10年を超える総合チャート【Hot 100】の歴史でも類の無いトピックで、しかもオーディオ・ストリーミングを解禁していない現状であってもなお、いかに「Lemon」が長くそして広く愛されている楽曲であるか、よく分かる結果といえる。また、米津玄師は、100位以内に8曲を送り込み、19年9月11日にリリースされた「馬と鹿」も5位と、その勢いはまだまだ衰えを見せておらず、次年度以降もチャートを賑わせることは確実だ。
▲ 「Lemon」MV / 米津玄師
続く2位には、あいみょん「マリーゴールド」(18年8月8日リリース)。昨年の同チャート48位からのジャンプ・アップの後押しとなったのは18年12月の複数の音楽特番でのパフォーマンスにより、大きくファン層を広げたこと、アルバムを始めとする今年の他楽曲の連続リリース(2月、4月、7月、10月)により注目を維持したことや、度々話題となったツアーでのライブ・パフォーマンスなどのニュース・トピックの高い閲覧数などにより、ストリーミングの高頻度再生を維持したことが大きく、年間でもストリーミング1位を獲得、“ストリーミング発の最初のヒット・メーカー”に相応しい結果となった。100位以内には、8曲がチャート・インしているが、19年にリリースされた「ハルノヒ」が13位、「空の青さを知る人よ」は73位と、前出の米津玄師に比べると19年度後半には落ち着きを見せる展開となっている。
次いで今年躍進著しいアーティストによる2曲が続き、Official髭男dism「Pretender」が3位、King Gnu「白日」が4位となった。「Pretender」を筆頭に、100位圏内に6曲を送り込んだOfficial髭男dism。ラジオ・フレンドリーな楽曲も多く、ラジオ1位が「Pretender」、2位が「宿命」と並ぶ。ラジオに加え、ストリーミング、動画再生、ダウンロード、カラオケの計5指標が牽引しての躍進だ。一方のKing Gnuは、100位以内に「白日」と「飛行艇」の2曲がチャート・インと、ヒゲダンに比べるとアーティスト認知よりも楽曲認知が先行していて、ストリーミング、動画、ダウンロードが牽引。両アーティストともNHK『紅白歌合戦』出演が決定しており、米津やあいみょん同様『紅白』を始めとする年末音楽特番での露出がステッピング・ボードとなり20年度の一層の躍進となるか、今後の展開が注目される。
▲ 「Pretender」MV / Official髭男dism>
▲ 「白日」MV / King Gnu
また、18年のトップ20では、欅坂2曲、乃木坂2曲、AKB1曲、TWICE3曲がチャート・インしていたが、19年では乃木坂2曲、欅坂1曲、日向坂1曲と、ガールズ・グループが8曲から4曲へ減となった。複数指標を合算する総合ソング・チャートでも、シングルによる販売数で他を圧倒、ランキング上位を独占することでアーティスト・バリューを上げるという、10年代前半で一般的だった勝ちパターンが19年ではいよいよ通じなくなってきた。
そして、19年の【Hot 100】イヤーエンドでは、トップ20でストリーミングが未解禁のアーティストは米津玄師のみで、動画再生未解禁はゼロとなった。オーディオ、ビデオ両方のストリーミング・サービスがユーザーの聴取方法として広く浸透、ヒットのカギを握る2指標として大きくクローズ・アップされることとなった。19年にオーディオ・ストリーミングを解禁したアーティストも、嵐、星野源、スピッツ、BUMP OF CHICKEN、WANIMA、Perfume、平井堅、小田和正、ゆず、YUKIなど数多く、これがユーザーの大量流入を招き、特にランキング上位の楽曲の再生回数を押し上げることとなった。この傾向は20年度も続くとみられ、今後はストリーミング自体を押し上げるためのトリガーを各々のアーティストがどう見つけ出すかが注目のポイントとなるだろう。
#1
#2
#3
King Gnu
米津玄師
菅田将暉
Foorin
あいみょん
DA PUMP
Official髭男dism
「とても光栄です。この曲を作ったのが遠い昔のことのような気分でいます。これからも続くであろう長い人生の中で、このような得難い経験をさせてもらったことに感謝の気持ちでいっぱいです」―米津玄師
インタビュー抜粋
「ランキングももちろん嬉しいですが、まずそれだけたくさん曲を聞いてくれているリスナーがいてくれている事が本当に嬉しいです」―藤原聡
嵐の20周年ベストが総合首位に
2019年の年間総合アルバム・チャート【Billboard JAPAN Hot Albums of the Year 2019】は、嵐の最新ベスト・アルバム『5×20 All the BEST!! 1999-2019』が総合首位を獲得した。
2020年12月31日をもって活動休止することが決まっている嵐は、自身2作目となるオールタイム・ベストアルバム『5×20 All the BEST!! 1999-2019』を6月26日にリリース。初週136万枚を売り上げた同作は、以降も順調にCDセールスを伸ばし、頭12週間は売上1万枚以上をキープ、これまでに通算4度のCDセールス1位をマークして、年間集計では累計215万枚を突破し、同部門年間1位の座を手堅く獲得した。またルックアップは年間6位となっており、週間ではこれまでに6度の1位をマークしている。ソフト市場の縮小が叫ばれ始めてから久しく、音楽メディアのデジタル化がますます進行し、ついに嵐も先日、ジャニーズ所属アーティストとしては異例の施策として、全シングル表題曲の配信を解禁することになったが、一方で従来の圧倒的なフィジカル販売力も健在。アルバムの初週CD売上によるミリオン突破は安室奈美恵『Finally』以来であるうえ、同作の数字を超えて2010年代最多の初週売上記録を更新する形となった。
▲ 「A・RA・SHI」MV / 嵐
総合2位は、星野源の3年ぶり、通算5作目となるオリジナル・アルバム『POP VIRUS』が獲得した。総合ソング・チャート【Hot 100】において、2017年の年間首位を獲得した「恋」、そしてCDリリースされていない作品としては、ピコ太郎「PPAP」以来となる週間総合首位を獲得した「アイデア」など、ヒット曲も多数収録した同作は、年間77,071DLを売り上げてダウンロード1位、そしてルックアップでも1位となり、2冠を達成。また、CDセールスも年間売上43.9万枚で4位と好調だった。また、10月14日に配信リリースされた最新EP『Same Thing』は、年間38,555DLを売り上げてダウンロード8位、総合順位は48位をマークしている。
▲ 「Pop Virus」MV / 星野源
地上波テレビ番組等のマスメディア露出も多い前述2組に対し、その活動の大半をツアーやフェスに費やすONE OK ROCKは、約2年ぶりの通算9作目となるオリジナル・アルバム『Eye of the Storm』が、デジタル指標での強さを見せて総合3位にエントリー。年間CDセールスは30.8万枚で6位と、総合4位に続いたback number『MAGIC』と同等の数字となったが、ダウンロードが64,732DLを記録して3位となっており、これがトップ3入りの決め手となった。back number『MAGIC』は、年間でCDセールス7位、ダウンロード7位となったほか、2016年の年間チャートで総合3位を獲得したベスト・アルバム『アンコール』同様、ルックアップが頭一つ抜ける形で3位にエントリー。この指標におけるback numberの強さは白眉で、これまでに週間で9度の1位をマークしている。そして総合5位には、CDセールスで2位となったKing & Princeの1stアルバム『King & Prince』が入った。
▲ 「Stand Out Fit In」MV / ONE OK ROCK
計52週の集計となった2019年の年間チャート。その全ての週で100位内にチャートインしたのは、米津玄師『BOOTLEG』(総合9位)、安室奈美恵『Finally』(総合22位)、back number『アンコール』(総合26位)、米津玄師『YANKEE』(総合42位)、松任谷由実『松任谷由実 40周年記念ベストアルバム日本の恋と、ユーミンと。』(総合65位)の5作品だ。とりわけ上位4作品については、同じく計52週からなる2018年チャートにおいてもトップ100から漏れることなく、この2年間を通してチャートを“完走”していることから、2010年代後半を代表するロング・ヒット作品の一角と言ってもいいだろう。
#1
1999-2019』
#2
#3
back number
King & Prince
乃木坂46
あいみょん
オリジナル・サウンドトラック
クイーン
米津玄師
BUMP OF CHICKEN
あいみょんが米津玄師を抑え
総合1位に
「マリーゴールド」、「Lemon」と、年をまたいでのロング・ヒット曲を持つ2アーティストによるデッド・ヒートを制したのは、ストリーミングで圧倒的な強さを誇るあいみょんだ。18年の年間16位から、19年度上半期首位、続いてイヤーエンド首位の獲得となった。あいみょんは、ストリーミングに加えてラジオでも1位と2冠だったが、一方の米津はダウンロードとルックアップ、動画再生、カラオケの4冠を獲得、最終的にストリーミングの有無が明暗を分けた。とはいえ、ラジオ指標でもあいみょんは盤石とはいかず、当年躍進したOfficial髭男dismが曲単位では1位と2位と、あいみょんを抑えたものの、あいみょんは6曲、ヒゲダンは3曲を同指標100位圏内に送り込み、チャート・イン楽曲の合計ポイントで1位を守った。総合2位の米津もまた盤石ではなく、ダウンロード、ルックアップ、カラオケではあいみょんが急追、ラジオでは4位と、ラジオ・フレンドリーなあいみょんやヒゲダン、星野源に後れをとる結果となり、11月まで二転三転するチャート・アクションだった。
▲ 「マリーゴールド」MV / あいみょん
19年度の【TOP Artists】で目立つのは、ストリーミングを解禁したback numberと嵐。2月にストリーミングを解禁したback numberは、「高嶺の花子さん」「ハッピーエンド」「クリスマスソング」など5曲を同指標100位圏内に送り込み、【TOP Artists】ストリーミング指標では4位にジャンプ・アップ、同指標を追い風に18年11位から総合6位へ。また、10月11月と段階的にストリーミングとSNSを解禁した嵐は、国民的アイドルらしくベスト盤『5×20 All the BEST!! 1999-2019』によるフィジカル・ポイントが牽引する一方で、昨年までブランクだったダウンロードとストリーミング、動画再生でもポイントを積み上げ、18年15位から総合4位へ大きく順位を上げた。ランキングの死角が無くなった嵐のラスト・イヤーとなる次年度は18年の安室奈美恵を超える、まさに台風の目となるか、注目したい。
▲ 「HAPPY BIRTHDAY」MV / back number
女性アイドル・グループのランク・ダウンも目を引く。乃木坂46は18年4位から9位に、欅坂46は5位から19位に、、AKB48は8位から22位に順位を落とした。乃木坂のみフィジカルは18年に続き2位を守ったが、欅坂とAKBは18年よりも順位を落とし、デジタルでも苦戦。新作リリースが少なかったことが大きな要因だが、【TOP Artists】で上位を守るためには、リリースに左右されることなくコンスタントにポイントを積み上げることが出来るストリーミングやダウンロードでも存在感を示すことが年々重要度を増しており、20年度以降ではフィジカルとデジタルの両面でポイントを稼がないと、この傾向を覆すことは難しく、デジタル領域に対する積極的なアプローチが一層求められることになるだろう。
19年度より【Hot 100】8つめの指標として新たに加えたカラオケ指標は、解禁やリリースと同じように順位を上げることはないが、週ごとに見ればヒゲダンやKing Gnuといった、19年に躍進したアーティストによる楽曲も着実にランク・アップするなど、トレンドを反映したアクティブ・ユーザーも多いことが分かるチャート・アクションもあることが明らかになった。ダウンロード、ストリーミングで上位となった楽曲は、タイム・ラグを置いて最終的にカラオケでも上位となることが多いことから、【TOP Artists】でカラオケ指標上位のアーティスト、米津玄師、あいみょん、back number、Official髭男dism、菅田将暉が、最も世代を横断して存在感を発揮した“今年の顔”と言えるのかもしれない。
#1
#2
#3
リリースから2年経過の
「打上花火」が2位
2019年の年間アニメ・チャート【Billboard JAPAN Hot ANIMATION of the Year 2019】は、『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン ~失われたひろし~』の主題歌のあいみょんの「ハルノヒ」が首位を獲得した。
4月15日付(集計期間:4月1日~4月7日)の同チャートで初登場1位を飾った「ハルノヒ」は、その後7週に渡ってNo.1の座を守り抜き、アニメチャート連続首位歴代2位を記録した(映画『君の名は。』主題歌のRADWIMPS「前前前世」とタイ記録)。年間1位となった大きな要因はやはりストリーミング再生回数の多さで、指標ごとに見ていくとストリーミング1位、ラジオオンエア1位、CD読み取り回数のルックアップ1位、カラオケ3位、動画再生4位、ダウンロード5位、Twitter 26位、CDセールス37位と、圧倒的なデジタル人気が見て取れるが、ラジオ、ルックアップとカラオケでも上位を占めていることから、高いレンタル率と、“ラジオで聞きたい!”“カラオケで歌いたい!”とリスナーを動かす高い影響力がうかがえる。
▲ 「ハルノヒ」MV / あいみょん
「ハルノヒ」に続き年間2位にチャートインしたのは、2017年・2018年と2年連続で年間アニメチャートを制したDAOKO × 米津玄師の「打上花火」だ。2017年8月21日付の同チャートで初登場首位を飾って以来、動画再生とカラオケでロングヒットした本曲は、2019年も前述の2指標で1位を獲得。またストリーミング2位、ダウンロード9位、ラジオ15位、Twitter 19位と超異例のロングヒットを記録している。本曲は2018年大晦日の【紅白歌合戦】に米津玄師が出演した影響から、その放送日が集計期間に重なった1月14日付けの同チャートで2位にまで上がり、以降トップ20内をキープしている。
▲ 「打上花火」MV / DAOKO × 米津玄師
そして年間3位には、人気マンガをアニメ化した『鬼滅の刃』よりオープニング曲のLiSA「紅蓮華」がチャートインした。ダウンロード先行配信後に初登場2位を記録した本曲はCDリリース後にアニメチャート首位をゲット。その後、一時期はトップ10圏外になったものの、10月以降、ジワジワと順位を上げている。その大きなポイントは全曲サブスク解禁と【紅白歌合戦】初出場決定のニュースだろう。年間チャートでの指標順位からも分かるように、ダウンロード2位、Twitter 2位、カラオケ5位、ルックアップ7位、ストリーミング9位、CDセールス13位、ラジオ13位、動画再生19位とデジタル&フィジカルでバランスよく高ポイントを稼いでいる。もともと人気の高いアーティストではあったが、『鬼滅の刃』に注目が集まるにつれ、より幅広く知られる機会が増え、デジタルとフィジカルのダブルで相乗効果が働いた。
▲ 「紅蓮華」MV / LiSA
「紅蓮華」や年間9位のあいみょん「空の青さを知る人よ」(映画『空の青さを知る人よ』主題歌)や年間10位のMrs.GREEN APPLEの「インフェルノ」(TVアニメ『炎炎ノ消防隊』オープニング曲)のように、CD発売前の先行配信で一度チャートに登場し、CDリリース後に再びチャート上位にチャートインするという、大きなチャート・アクションを2回起こす傾向が強くなっている。また「打上花火」や年間4位にチャートインした映画『天気の子』の主題歌であるRADWIMPSの「愛にできることはまだあるかい」、年間5位の映画『HELLO WORLD』主題歌のOfficial髭男dism「イエスタデイ」のようにCD発売から月日が経過した楽曲やアルバム収録曲など、セールスのポイントがなくとも上位に入る傾向があることから、近年のデジタル市場の拡大がうかがえる。しかし、フィジカルもしくはデジタルだけに特化するのでなく、Twitterやラジオ、カラオケといったリスナーとの接触ポイントも外せない重要な物差しとなっており、2019年年間アニメチャートは各指標バランスよく支持を得た楽曲が上位にチャートインする結果となった。
4位にはback number
「HAPPY BIRTHDAY」
2019年のダウンロード・ソング・チャート【Billboard JAPAN Download Songs of the Year2019】は、米津玄師の「Lemon」が2年連続で首位を獲得した。2018年2月12日に配信リリースされた「Lemon」は同年の『第69回NHK紅白歌合戦』など各種メディアで披露・紹介され、2019年1月7日付~2月25日付ダウンロード・チャートまで8週連続で首位を獲得。その後も高い順位をキープし続け、2位以下に大きくポイント差をつけての首位獲得となった。
また、米津玄師はトップ10に本人名義で「馬と鹿」と「Flamingo」を、作詞・作曲を務めた菅田将暉「まちがいさがし」とFoorin「パプリカ」を送り込んでおり、米津玄師の関連曲が5曲トップ10に入ったことになる。特に2019年8月12日に配信リリースされたTBS系日曜劇場『ノーサイド・ゲーム』主題歌である「馬と鹿」は、リリース後から年間チャート集計期間終了までダウンロード・チャートでは1位もしくは2位しか獲得しておらず、およそ3か月半という短い期間で年間2位に登りつめた点から、いかに高い人気を誇っているかが分かる。
▲ 「馬と鹿」MV / 米津玄師
9位にチャートインしたのは、RADWIMPS「愛にできることはまだあるかい」。新海誠監督の映画『天気の子』の主題歌であり、公開日と同じ7月19日にリリースされたアルバム『天気の子』に収録された。RADWIMPS×新海誠という『君の名は。』でメガヒットを出したタッグであったが、本作もリリースから4週連続でダウンロード・チャート1位、11週連続でトップ10入りと大きくヒットした。
▲ 「愛にできることはまだあるかい」MV / RADWIMPS
年間ダウンロード・チャートのトップ10は、米津玄師名義の楽曲とRADWIMPS「愛にできることはまだあるかい」、そして4位のback number「HAPPY BIRTHDAY」というストリーミングが解禁されていない楽曲が目立っている。そんな中、昨年ストリーミングからブレイクした初のアーティストと称されたあいみょん「マリーゴールド」が3位、今年ストリーミングで大きくヒットした代表曲とも言えるOfficial髭男dism「Pretender」が7位、King Gnu「白日」が10位とダウンロードでも大きな結果を残している。「白日」に関しては、春ごろは5位前後の順位をキープしていたが、実は8月12日付では30位にまでダウンしていた。しかし、10月~11月に開催したツアー【King Gnu Live Tour 2019 AW】でのパフォーマンス効果もあって徐々に順位を上げていき、11月4日付では5位、12月2日付でも6位にチャートインしている。ストリーミングを全面解禁しておらず、ダウンロードで音楽マーケットを大きく動かしてきたアーティストの2020年以降の動向にも注目だ。
2019年の年間ダウンロード・アルバム・チャート【Billboard JAPAN Download Albums of the Year 2019】は、星野源『POP VIRUS』が獲得した。
星野源『POP VIRUS』は、2018年12月19日に発売され、初週で26,733ダウンロード(DL)を売上げ、初登場首位を獲得。その後も4週連続で首位をキープし、アナログ盤リリース(2019/3/27)や、WOWOWでの『POP VIRUS』ドームツアー放送(2019/5/18)などのタイミングなどで、たびたび再浮上し、45週連続チャートイン。一度、チャートアウトするも2019年11月末に再浮上するなど、通算47回のチャートインというロングヒットにより、2019年のダウンロード・アルバムチャートを制した。また、星野源は『Same Thing』も8位にチャートイン。Superorganismやトム・ミッシュが参加するなど、大きな話題となり、2019年10月に突如リリースされると、32,099DLと前作を大きく上回るダウンロード数に。チャートイン回数は6回と、トップ10内では最短のチャートイン回数で、年間8位に食い込んだ。
▲ 「Same Thing (feat. Superorganism)」MV / 星野源
そして2位は映画『ボヘミアン・ラプソディ』サウンドトラック。2018年10月19日にリリースされると、映画のヒットとの相乗効果によりロングヒットに。通算22回のトップ10入りを果たし、2019年年間2位の座を獲得した。なお、クイーンは映画のサウンドトラック以外にも、『クイーン・ジュエルズ』が9位、『グレイテスト・ヒッツ』が33位を獲得している。
その他、2017年11月リリースの米津玄師『BOOTLEG』が4位、2019年7月リリースのback number『MAGIC』とロングヒットが並ぶ中、2019年の音楽シーンで大きな存在感を示したOfficial髭男dism『Traveler』が、惜しくも11位に。発売以降、7週連続で3位以内をキープしており、2020年以降の活躍にも期待したい。
Official髭男dism/King Gnuが大躍進
2019年の年間ストリーミング・チャート【Billboard JAPAN Streaming Songs of the Year 2019】は、あいみょん「マリーゴールド」が、上半期に引き続き首位に輝いた。
2018年8月に配信がスタートした「マリーゴールド」は、2018年末の『NHK紅白歌合戦』で披露された影響もあり、2019/1/14付チャートで初の1位を獲得。その後も、同曲が収録されたアルバム『瞬間的シックスセンス』が2月にリリースされたことが後押しし、20週連続で首位をキープした。下半期はOfficial髭男dism「Pretender」が猛攻を仕掛けていたが、超僅差で「マリーゴールド」が年間チャート首位獲得となった。
あいみょんに並び、2019年のストリーミング・チャートで大いに存在感を示したOfficial髭男dismは、年間トップ100に8曲がエントリーを果たした。2019年発表の「宿命」「イエスタデイ」に加え、過去曲である「ノーダウト」「115万キロのフィルム」などが上位にチャートインしていることから、多くのリスナーが2019年に初めて彼らの存在を知り、過去作を掘り返したことが考えられる。
▲ 「宿命」MV / Official髭男dism
年間3位に「白日」がチャートインしたKing Gnuにも過去作掘り起こしの動きは見られたが、こういった現象はストリーミングで楽曲がヒットしたすべてのアーティストに該当するわけではなく、アーティスト認知よりも楽曲認知が勝るパターンがほとんどだ。そんななか、2019年以前にリリースした楽曲が年間上位にチャートインするほど親しまれているOfficial髭男dismやKing Gnuは、楽曲のみならずアーティスト自身の支持をこの1年で固めたことが推測できる。何か一曲がヒットした時、その後コンスタントに楽曲をリリースし続けることもチャートアクションにおいては重要だが、過去作を掘り返したリスナーが“今まで知らなかった名曲”を見つけられることが、ストリーミング・サービスの醍醐味であり、さらなるヒットに結びつくのではないだろうか。
また2019年のチャート上位の傾向として、日本のバンドによる楽曲が大幅に増加した。2018年はトップ100のうち日本のバンドによる楽曲は17曲だったが、2019年はその倍以上となる42曲がエントリーしている。内訳としては、前述のOfficial髭男dismとKing Gnuの躍進、元々ストリーミング人気の高いMrs.GREEN APPLEやONE OK ROCKが新作アルバムをリリース、back numberが過去曲の配信をスタートしたことなどが上げられる。さらにトップ300まで範囲を広げてみると、11月よりストリーミング全曲配信をスタートしたsumikaや、「Never Grow Up」が年間69位を獲得したちゃんみな、ネットを中心に活動しているずっと真夜中でいいのに。とヨルシカが複数曲チャートインしており、2020年はこれらのアーティストの台頭にも注目したい。
乃木坂46、BTSが続く
2019年の年間シングル・セールス・チャート【Billboard JAPAN Top Singles Sales of the Year 2019】は、AKB48『サステナブル』が首位を獲得した。
本作は9月18日にリリースされたAKB48の56作目のシングルで、166万8436枚を売り上げて首位となった。AKB48が【Billboard JAPAN Top Singles Sales of the Year】で首位を獲得するのは4年連続、8回目。2019年は総選挙を行わなかったが、2位以下に20万枚以上の差をつけて首位を獲得した。
▲ 「サステナブル」MV / AKB48
2位は146万5428枚を売り上げたAKB48『ジワるDAYS』、3位は139万1994枚を売り上げたAKB48『NO WAY MAN』と続き、AKB48が2年ぶりにTOP3を独占した。
続く4位には130万381枚を売り上げた乃木坂46『Sing Out!』、5位には122万3257枚を売り上げた乃木坂46『夜明けまで強がらなくてもいい』がつけた。
女性アイドル・グループが上位を占めるなか、BTS『Lights/Boy With Luv』が94万3544枚を売り上げて6位を獲得し、BTSは初のビルボードジャパン年間シングル・セールス・チャートTOP10入りを果たした。『Lights/Boy With Luv』は発売初週(7月3日発売)に76万9454枚を売り上げたが、その後もセールスを積み上げ、集計期間中(2018年11月26日~2019年11月24日)では94万3544枚まで売上を伸ばした。
キンプリ・乃木坂が続く
2019年の年間アルバム・セールス・チャート【Billboard JAPAN Top Albums Sales of the Year 2019】は、嵐『5×20 All the BEST!! 1999-2019』が獲得した。
『5×20 All the BEST!! 1999-2019』は6月27日にリリースされた5枚目のベスト・アルバムで、発売初週に136万枚売り上げ首位を獲得、2週目も11.8万枚を売り上げ2週連続首位、その後も首位こそ逃したものの品薄の中トップ10を維持し続け、大規模な再出荷のあった9週目に38.7万枚、10週目も5.6万枚を売り上げ2度目の2週連続首位を獲得。通算4度の週間1位と、14週連続トップ10入りという活躍をみせた。更にその後も順調に販売数を伸ばし、ダブル・プラチナである215万枚のセールスを記録、2015年・2016年以来、2年間安室奈美恵に譲っていた年間首位を奪還する結果となった。
▲ 「Monster」MV / 嵐
続く2位は事務所の後輩のKing & Princeのファースト・アルバム『King & Prince』で、56.8万枚を売り上げた。
そして乃木坂46の『今が思い出になるまで』が女性アーティストとしては最高となる52.9万枚を売り上げを記録し3位となった。
チャート分析ツール<Chart insight>に
作詞・作曲情報が追加
本データは、シンクパワーが保有する作詞家作曲家データを利用。各チャートの順位と同様に、Chart insight非会員は20位まで、Chart insight PRO(個人会員)は100位まで、Chart insight BIZ(法人会員)は全順位の作詞家/作曲家情報を閲覧することができる。
20年度からランキング・データに作詞家と作曲家を加えることとなった【Hot 100】。19年度のイヤーエンドでも同データを紐付けて作詞家と作曲家それぞれで名寄せを行い、年間ランキングを生成したのが本項および次項だ。作詞家、秋元康名義での楽曲は100位圏内に16曲。48、坂道、IZ*ONEが並ぶ。100位圏外に目を向けると、国武万里「ポケベルが鳴らなくて」、国生さゆり「バレンタイン・キッス」、稲垣潤一「クリスマスキャロルの頃には」など往年の名曲もあり、秋元康の作詞家としてのキャリアの長さに驚かされる。
2位の米津玄師は、本人楽曲に加え、菅田将暉「まちがいさがし」、Foorin「パプリカ」、DAOKO×米津玄師「打上花火」など、100位圏内には11曲がチャート・イン。他に、100位圏外ではあったが、米津作品で最も古いものでは2013年5月リリースの「サンタマリア」も。「Lemon」のヒットによって、過去曲がユーザーによって広く掘り起こされた様子が分かるだろう。
興味深いところでは、8位の大森元貴はMrs.GREEN APPLEのボーカルで、Mrs.GREEN APPLEは3曲が100位圏内にチャート・インしており、圏外だがKis-My-Ft2「ルラルララ」、私立恵比寿中学「シンガロン・シンガソン」の作詞作曲も手掛けており、気鋭の作家として早くも上位に入り、Mrs.GREEN APPLE自体も20年度注目のバンドといえるだろう。
▲ 「黒い羊」MV / 欅坂46
▲ 「パプリカ」MV / Foorin
▲ 「青と夏」MV / Mrs. GREEN APPLE
続いてこちらは作曲家ランキング。作詞家ランキングでも総合2位と存在感を発揮した米津玄師が手堅く首位獲得。2位のあいみょんは100位圏内に本人名義で7曲、圏外には菅田将暉「キスだけで feat. あいみょん」、シン&ふうか「体の芯からまだ燃えているんだ」、DISH//「へんてこ」、木村カエラ「Continue」、ハルレオ「たちまち嵐」など、昨年から今年にかけての提供楽曲が並び、大きく盛り上がった注目度の高さを物語る結果だ。注目は9位の野村陽一郎で、作曲と編曲を手掛けた日向坂46「キュン」「ドレミソラシド」「ホントの時間」「ママのドレス」の4曲でチャート・インを果たした。【TOP Artists】年間20位に初登場となった日向坂46は計17曲を【Hot 100】に送り込んでいて、最高位は野村陽一郎の作曲と編曲による「キュン」の20位。野村陽一郎もまた大森元貴と同じく期待の作家として20年度の作品に注目だ。
▲ 「まちがいさがし」MV / 菅田将暉
▲ 「今夜このまま」MV / あいみょん
▲ 「キュン」MV / 日向坂46
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