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Billboard JAPAN 2019年 総合ソング・チャート“HOT 100”首位記念~米津玄師インタビュー
2019年のBillboard JAPAN 総合ソングチャート【HOT100 of the year 2019】は、米津玄師「Lemon」が日米ビルボード初となる2年連続首位を獲得した。2019年は自身の楽曲「海の幽霊」「馬と鹿」のリリースはもちろんのこと、菅田将暉への「まちがいさがし」提供や、Foorin「パプリカ」セルフカバーがNHK『みんなのうた』に起用されるなど、一年を通してその存在感を示した米津玄師。あらゆる物事が大きく変わろうとしている今、何を考えて音楽と向き合っているのか。メールインタビューに答えてもらった。
Billboard JAPAN 2019年 年間チャート集計期間:2018年11月26日(月)~2019年11月24日(日)
――2019年年間チャートで「Lemon」が、日米Billboard初の2年連続首位を獲得しました。
米津玄師:とても光栄です。この曲を作ったのが遠い昔のことのような気分でいます。これからも続くであろう長い人生の中で、このような得難い経験をさせてもらったことに感謝の気持ちでいっぱいです。
――2018年に「Lemon」をリリースしてから、約2年にわたるロングヒットとなりました。この2年の間に、米津さんにとって「Lemon」の存在に変化はありましたか。
米津玄師:これから先「Lemon」のような曲と出会えるかどうかはわかりません。もう自分の曲であるという意識は全くありません。この曲が与えてくれたものに感謝しつつ、粛々と一つ一つ音楽を作り続けていけたらいいと思っています。
――今はラジオやCD以外にも、YouTubeやストリーミングなど、様々な方法で音楽を聴くことができますが、米津さんは主にどのように音楽を聴くことが多いですか。
米津玄師:YouTubeで音楽を聴くことが多いです。SNSで偶然見かけて好きになったり、友人に教えてもらったりすることが多いです。
――CDセールスチャートや、ダウンロードチャート、カラオケランキングなど、様々なランキングが存在しますが、米津さんが「流行っているな」と感じるのはどんな時ですか。
米津玄師:カラオケのある飲み屋で知らない誰かが歌っているのを聴いているとき、何度も繰り返し流れたりすると流行っているのかなと思います。偶発的に別の場所で何度も耳にするとそういうことを強く感じます。
――2019年は初の海外ツアーもありました。海外のファンの反応はいかがでしたか。
米津玄師:とても暖かく、それでいて熱量高く迎えてくれました。自分の国以外にもたくさんの方々が自分の音楽を待っていてくれたことに、驚きと感謝が尽きませんでした。
――9月にリリースされた「馬と鹿」は、ダウンロード・ソングで通算10度の首位を獲得するなど、大きなヒットとなりました。数々のヒット曲を生み出すために、日頃心掛けておられることはありますか。
米津玄師:「馬と鹿」は、ドラマ『ノーサイド・ゲーム』がなければ生まれませんでした。自分の中にあるものを大事にするのは勿論ですが、新しく目の前に飛び込んでくるものを拒絶しないことが大事だと思います。一旦自分の中に引き受けてみて、その上で自分のやりたいこと、自分がやるべきことを精査する。結果必要なければ離れればいい。ひとまず今まで知らなかった何かに歩み寄ることが大事だと考えています。
――米津さんにとっての2019年ヒットソングを教えてください。
米津玄師:Cashmere Cat「FOR YOUR EYES ONLY」、James Blake「Where’s the Catch? (feat. André 3000)」、Jorja Smith「Be Honest (feat. Burna Boy)」
――2019年、最も印象に残った出来事は何ですか。
米津玄師:2019年は「海の幽霊」という曲を作れたことがとても大きかったと思います。『海獣の子供』という原作に何らかの形で関わるというのは10年来の夢でした。
今年は元号の更新もあり、歴史的にも意味のある年だったと思います。だからこそあらゆる出来事が意味ありげに映ってしまう年でもありました。自分の目には日本の中で凄惨な事件が多発しているように見えたことに対して、自分が目で追っているだけなのかどうか、冷静に客観的に判断しようと努めなければなりませんでした。ここで生活していくスタンスが自分の中で変わり始めたということなのかもしれません。その上でポジティブな音楽を作り続けるためにはどうしたらいいかと日々考えています。
――2020年は自身最大規模のアリーナツアーが開催されます。どんなツアーになりそうですか。
米津玄師:大きくなっていく規模に対して、自分の心身が置いて行かれないように、思考を絶やさず精進とケアを忘れないように全国を回っていけたらいいと今は思っています。2020年は東京オリンピックが開催される年であり、それにあたり日本は大きく変わっていくでしょう。過ぎ去ったその後にどう変わっていくのか、一体何が残るのか、確と見定めたいと思います。
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