Special
米米CLUBライブ番組放送記念 カールスモーキー石井&BONインタビュー
ミリオンセールスを記録した1990年の「浪漫飛行」や、1992年に約290万枚を売り上げた「君がいるだけで」など、1985年のメジャーデビュー以降、長年にわたってJ-POPシーンを賑わせてきた米米CLUB。平成の時代を彩った彼らが2017年から2018年にかけて行った約4年半ぶりの全国ツアー【a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2017 ~おせきはん~】の1年後にスタートした【a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2019 ~おかわり~】から、2019年3月16日に行われた神奈川・パシフィコ横浜国立大ホール公演が、5月5日(日・祝)夜9時からWOWOWで放映される。Billboard JAPANでは、その放送を記念して、メンバーのカールスモーキー石井とBONにインタビューを実施し、ライブの見どころなどを語ってもらった。本公演のライブレポートも合わせてチェックしてほしい。
――【おかわり】ツアーが大成功のうちに終了しました。今回のツアーの手応えを教えてください。
カールスモーキー石井:昨年の【おせきはん】ツアー以上に、多くのお客様にお越しいただいたことが表していると思います。本当に長かったです。ありがとうございました。
BON:最終日(楽日)のツアースタッフとのサプライズ演出の盛り上がりが全てでこのツアーを共に楽しんだし、手応えあったと実感してます。
――【おせきはん】ツアーから約1年ぶりのツアーでしたが、今回の【おかわり】ツアーのコンセプト、また前回のツアーとの違いはどんなところでしょうか?
カールスモーキー石井:タイトルからも分かるように、今回のツアーは前回の【おせきはん】ツアーを意識、連想されるようにしました。とは言え、演奏楽曲は相当替えてますので、全く別物、と思っていただいていいかもしれません。
BON:タイトルからいうイメージで、おせきはんからのおかわりってことで、映画でいうところの『その2』っていう感じなのですが、全く別物のメニューに仕上げたのが米米のアンチなところで“違い”です。【おせきはん】は全体にポップ、【おかわり】はマニアック。
――WOWOWの横浜公演のなかで、特に印象的だったことは何でしょうか?
カールスモーキー石井:見せ場は、1部のアンディ岡田コーナーと、2部のオープニングです。オープニングの「TIME STOP」は、今までに観たことのないステージになっております。
BON:収録を意識してメンバーみんな変なところで間違えるし、間が悪くなる、でもやり切ってる。その日、ぶっつけ本番で初めてやった楽曲「アンディ岡田のテーマ」は演奏に緊張感みなぎってます。印象的でした。
――メンバーのみなさんが思う、「個人的にはここが見どころ」という場面はどこでしょうか?
カールスモーキー石井:毎回の楽しみと言う意味で、シュークリームシュの「チョビットダンス」です。
BON:進化か退化か分かりませんが、米米結成当時からやり続けている「Shake Hip!」の、メンバーみんな自由すぎる動きとダンスとパフォーマンスは、キャリアと共に阿吽の呼吸が端々にみなぎっていて、見てる方が楽しいのではと。
――バンドとしてやりたいこと、観客のみなさんから求められることの割合が素晴らしいなと思っています。そのバランスについて、どんな風に考えていますか?
カールスモーキー石井:米米CLUBのコンサートは、メンバーもお客様も、会場では年齢を忘れさせてくれることでしょうか。
BON:バランス取ろうとは、思ってません。バランス感ゼロです。バンドがやりたいことをやる。お客様は勝手に楽しいところ見つけてくださいがテーマかも知れません。
――ファンク、ソウルを軸にした音楽性、エンターテインメント性に富んだステージといった米米CLUBの特長は、いまの音楽シーンのトレンドともピッタリ合っていると思います。そのことを踏まえて、現在の米米CLUBの良さは、どんなところにあると思いますか?
カールスモーキー石井:やはりデビュー時のメンバー(変わらぬ)でステージに立ててることと思います。
BON:音楽シーンにトレンドを感じてないところが米米の良いところだと。どっちかというとアングラ演劇の世界観とか、下手くそだけどアナログ的にいちいち生演奏をやり続けてる良さかも知れません。
――今後の米米CLUBのビジョンについて教えてもらえますか?
カールスモーキー石井:少し休憩をし、またみんなで集まってやりたいときにやる、という感じです。今はちょっとやり尽くした感はあります。放心状態です。
BON:トレンドに左右されることなくガラパゴス島の動物達みたいに独自の進化を目指します。
――最後に、WOWOWの放送を楽しみにしているファンのみなさんへ一言お願いします!
カールスモーキー石井:次回はいつになるか分かりませんので、細部までじっくりとご覧下さい。
BON:映像ならではのメンバーの端々、隅々、細かいしょうもないパフォーマンスを楽しんでください。
番組情報
『米米CLUB「a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2019~おかわり~」』
2019年5月5日(日・祝)夜9:00~、WOWOWライブにて放送
番組サイトはこちら→ https://www.wowow.co.jp/komekome
Text: 森朋之
前回の【おせきはん】ツアーでは、80年代の米米CLUBを想起させるステージでファンを狂喜乱舞させた米米CLUB。その続編と位置付けられた【おかわり】ツアーでは、初心者からディープなファンまで幅広いオーディエンスを魅了する、“ザッツ・エンターテインメント!”と呼ぶべきパフォーマンスが繰り広げられた。
ステージにかけられた緞帳には【a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2019 ~おかわり~】というツアー・タイトルと“人間だもん”“腹は減る”という文字があしらわれている。開演前のSEはラヴェルの「ボレロ」。荘厳なのかオチャラケなのかわからない雰囲気によって、ライブに対する期待がムンムンと沸き上がってくる。
幕が上がると、そこには赤を基調としたド派手なステージとカールスモーキー石井、ジェームス小野田、SUE CREAM SUE、BIG HORNS BEEなど総勢16名のメンバーの姿が。オープニング・ナンバーは「NICE TO MEET YOU」。迫力満点のファンク・サウンドと“遊ぼよBABY”というコーラスが響き渡り、客席とステージの距離が一気に近くなる。さらに“セメテセメテセメテセメテ”“ヤメテヤメテヤメ”の掛け合いでお馴染みの「KOME KOME WAR」、ジェームス小野田の濃密なボーカルを軸にした「あ! あぶない!」とダンス・ナンバーを連発し、観客のテンションを引き上げる。ルーツ・ミュージックに根差した楽曲とブッ飛んだエンタメが共存したステージは、まさに米米CLUBワールドだ。
シアトリカルな演出も、米米CLUBのライブの魅力。第1部の中盤では“愛を歌って50年。ハワイ生まれのアンディ岡田”(カールスモーキー石井)が登場し、「迷路 '97」「ROPPONNGI-雨」といったムード歌謡風のナンバーを色気たっぷりに歌い上げる。途中で寸劇も挟むのだが、コントとしてのクオリティが異様に高い。さらに「チョビットダンス」ではSUE CREAM SUEが70年代アイドル風のダンスを披露、山本リンダの名曲「じんじんさせて」のカバーでは、ジェームス小野田がソウルフルな歌を響かせる。芸達者のメンバーが揃ったパフォーマンス集団としての面目躍如である。
そのままハイテンションのダンス・チューン「かっちょいい!」に突入。ダイナミックなバンド・グルーヴ、全員がアピールしまくるステージングによって、ライブは最初の頂点を迎えた。
休憩をはさんだ第2部は「TIME STOP」からスタート。ユニオン・ジャックをあしらった貴公子風の衣装に着替えた石井が、極上のソウル・バラードを心地よく歌い上げる。
「米米CLUB、30数年やってまして、いろんな曲を作ってきました。約20人いるのに、一人もヘンになっちゃわないでやれてるバンドって珍しいなと。これもみなさんの“米米愛”のおかげだと思います」という石井の感謝を込めたMCの後は、爽やかで切ないミディアム・バラード「Simple Mind」(1991年のアルバム『K2C』収録)、映画『あさひるばん』の主題歌として書き下ろされた応援歌「どんまい」(2013年)、「これから歌うのは、お客さんが好きで、バンドとしてはイマイチだなという曲です」(石井)というツンデレな言葉に導かれたラテン風味の大人のパーティー・チューン「STYLISH WOMAN」(1996年)など、様々な時期の楽曲を披露。バンドのキャリアを俯瞰するようなセットリストも、今回のツアーの見どころだろう。
BIG HORNS BEEのオリジナル曲「Blowz Job」(メンバー個々の卓越したプレイヤビリティをたっぷり堪能できる名演!)からライブは後半へ。一新されたホーン・アレンジ、ジェームス小野田の堂々たるボーカルが印象的な「大人物」で大きな感動を生み出し、代表曲「君がいるだけで」「浪漫飛行」は原曲に忠実なアレンジで演奏し、往年のファンを感涙させる。ラストは「Shake Hip!」。ファンク、ロック、ディスコが混ざり合ったサウンドに乗って、メンバーとオーディエンスがモンキー・ダンスで盛り上がりまくる。すべての憂さが吹き飛ぶような熱狂のなかで、第2部のステージは終了した。
とことんエンターテインメントに振り切ったと思ったら、いきなり音楽性の高さを見せつける。このふり幅の大きさと懐の深さ、そして、真剣にふざけながらも、ストイックに音楽を追求する姿勢こそが、米米CLUBが長く愛され続ける理由なのだと思う。ファンク、ソウル、歌謡、ブラス・ロックなどを取り入れた色彩豊かな音楽性、エンターテインメント性に富んだステージは、まさにいまが旬。その極上のステージをWOWOWの放送でぜひ追体験してほしい。
番組情報
『米米CLUB「a K2C ENTERTAINMENT TOUR 2019~おかわり~」』
2019年5月5日(日・祝)夜9:00~、WOWOWライブにて放送
番組サイトはこちら→ https://www.wowow.co.jp/komekome
Text: 森朋之
関連商品