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ザ・ローリング・ストーンズ 最新ベスト盤『HONK』収録のハズせない名曲の数々を紹介



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 ザ・ローリング・ストーンズから最新ベスト盤『HONK』が届いた。東京ではこの3月よりバンド史上初の大規模世界巡回展【Exhibitionism—ザ・ローリング・ストーンズ展】が開催中。すでに熱心なストーンズ・ファンは同展に足を運び、改めてバンドの半世紀以上にわたる歩みに触れることで偉大さや魅力を再確認し、彼らへの愛と忠誠を誓い直したところではないだろうか。Billboard JAPANでは『HONK』のリリースを記念し、<全米ビルボードチャート>、そして、バンドを語る上で欠かせない<コンサート>、2つの視点で彼らの名曲を改めて紹介したい。

1965年、初の全米ビルボードNo.1を獲得

 2019年4月19日にリリースされたザ・ローリンズ・ストーンズの最新ベスト盤『HONK』は、1971年から最新作となる全編ブルース・アルバム『ブルー&ロンサム』(2016年)までの全作品から、彼らを代表するヒット曲やライブの定番となっている名曲などが収録されている。

 音楽リスナーのみならず、老若男女、世界中がそのバンド名、そして彼らの象徴である“ベロマーク”を知っているといっても過言ではない、ザ・ローリング・ストーンズ。ただ、あまりにも長いバンドの歴史とその膨大な作品数から、彼らの音楽を「通ってこなかった」というリスナー(特に30代以下)は意外にも多い。

 改めて紹介すると、ザ・ローリング・ストーンズがチャック・ベリーのカバー「カム・オン」でデビューを果たしたのは今から56年前の1963年。バンドの人気はイギリス国内から瞬く間にアメリカへと飛び火し、1965年に「サティスファクション」が初の全米ビルボードNo.1を獲得。翌年には「一人ぼっちの世界(Get Off of My Cloud)」、「黒くぬれ!(Paint It, Black)」の2曲が、以降「ルビー・チューズデー」(1967年)、「ホンキー・トンク・ウィメン」(1969年)と立て続けにNo.1ヒットを連発。同時に『ベガーズ・バンケット』(1968年)、『レット・イット・ブリード』(1969年)と今もロック史に残る名盤を生み出し、バンドの音楽性を確立していった。



▲初の全米ビルボードNo.1獲得ソング「サティスファクション」(1965年)

アルバム8作品連続全米No.1、黄金期へと突入した70年代


▲『スティッキー・フィンガーズ』(1971年)

 初期ストーンズを支えたリーダー、ブライアン・ジョーンズの脱退と死去、そして、ドラッグや経済的な問題などを抱えながらも、1970年代に突入する頃にはすでに人気を不動のものとしていたストーンズ。最新ベスト盤『HONK』には、1971年以降にリリースされた楽曲が収録されている。つまり、対象となる最初のアルバムは『スティッキー・フィンガーズ』(1971年)だ。同アルバムは、ストーンズにとって大きな意味を持つ作品となっている。その理由のひとつはブライアン・ジョーンズの後任となるギタリスト、ミック・テイラーが初めてフルで参加している作品であること。流麗かつブルージーなギターを展開するテイラーのバンドへの音楽的貢献は絶大で、ファンの間では彼の在籍期間である5年間を“黄金期”とする声も多い。

 そして、もうひとつは『スティッキー・フィンガーズ』が、ストーンズ自身が設立したレーベル[ローリング・ストーンズ・レコード]からの初リリース作品であるということ。つまり、サウンド面、ビジネス面の双方において、改めて足場を固め直したことで、さらなる飛躍の起点となった作品なのである。実際、『スティッキー・フィンガーズ』以降、ストーンズは『刺青の男』(1981年)までアルバム8作品連続で全米ビルボードNo.1を獲得。もちろん、それらと同時にシングルチャート上位に食い込むヒット曲も多数輩出している。

70年代以降のヒット曲・名曲を網羅

 1971年以降にストーンズが生み出した全米ビルボードチャートNo.1ソングは全部で3曲。もちろん最新ベスト盤『HONK』には、これらすべての曲が収録されている。1曲目は『スティッキー・フィンガーズ』のオープニング・ナンバーであり、同アルバムを全米No.1獲得へと導いた「ブラウン・シュガー」(1971年)。印象的なギター・リフに始まるストーンズの代表曲のひとつだ。



▲「ブラウン・シュガー」(Live)

 2曲目は「悲しみのアンジー」。こちらは1973年『山羊の頭のスープ』からのリード・シングルとして発売され、ストーンズにとって7曲目となる全米ビルボードNo.1獲得を果たしている。そして、3曲目は「ミス・ユー」。こちらも1978年アルバム『女たち』からの先行シングルで、当時の流行を取り入れたディスコ・チューン。コンサートではミックがギターを片手に歌う、数少ないナンバーでもある。



▲「ミス・ユー」(Live)

 これら3曲のNo.1ヒットのほか、「ダイスをころがせ」(全米7位、1972年)、「ビースト・オブ・バーデン」(全米8位、1978年)、「エモーショナル・レスキュー」(全米3位、1980年)、「スタート・ミー・アップ」(全米2位、1981年)、「ハーレム・シャッフル」(全米5位、1986年)など、ヒットチャート上位を彩った名曲の数々も『HONK』はきっちり網羅。さらに、結成50周年を迎えた2012年に7年ぶりの新曲として発表された「ドゥーム・アンド・グルーム」、キャリア史上初の全編ブルース・アルバムであり、グラミーを受賞した『ブルー&ロンサム』(2016年)からのナンバー(「ジャスト・ユア・フール」、「ライド・エム・オン・ダウン」、「ヘイト・トゥ・シー・ユー・ゴー」)など、そのキャリアが半世紀を過ぎた今もなお、ストーンズが“現在進行形”のバンドであることを証明する楽曲も収録されている。

 80年代以降はNo.1ヒットにこそ恵まれていないものの、オリジナル・アルバムは最新作となる『ブルー&ロンサム』(2016年)までの全作品が新旧アーティストのひしめくメインチャートで4位以内を記録しているストーンズ。しかし、これらのチャート結果は、彼らが残した偉大な足跡の一部に過ぎない。彼らの功績は、レコード/CDの売上だけでなく、今も世界各地にて数万人規模で繰り広げられているコンサート・ツアーの観客動員数、あるいは次世代アーティストへの影響力など、もっと多くの材料をもって語られるべきである。

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コンサートの定番、ファンに愛される人気曲も

 先に挙げた通り、ストーンズほどのバンドになると、ヒット曲だけでもコンサートのセットリストが組めるほどの数である。しかし、それら以外にも彼らのコンサートを盛り上げる名曲が存在する。彼らのコンサートにおいて、今やひとつの“名物”となっているのが、ステージを縦横無尽に駆け回るミック・ジャガーに代わり、キース・リチャーズが主役を務める「キース・コーナー」。ここでキースは、ロン・ウッドやバンド・メンバーとともにストーンズの楽曲の中から、自身がメイン・ボーカルを務めるストーンズ・ナンバーを2曲ほど披露する。このコーナーで歌われる楽曲のなかでも、特に人気が高いのが「ハッピー」(1972年)だ。

 『メイン・ストリートのならず者』(1972年)からシングル・カットされた同曲は、キースが歌う初のシングル曲であり、当時、全米ビルボード22位を記録。『HONK』にも収録されているオリジナル音源は、キースの若かりし日のハイトーン・ボイスが聴けるが、時を経て渋いしゃがれ声で歌われる近年の「ハッピー」もまた味わい深い。



▲「ハッピー」(Live)

 そして、もう1曲は「イッツ・オンリー・ロックン・ロール」(1974年)。バンド加入前のロン・ウッドが楽曲の礎を作ったとされる同曲。タイトルにも掲げられた「たかがロックンロール、でもそれが大好きなんだ」という名フレーズは、まさにストーンズのロック・スピリットそのもの。リリース当時は全米ビルボード16位と当時のストーンズにしては商業的には振るわなかったものの、現在までほとんどのツアーで披露されており、コンサートの定番曲として多くのファンに愛されている。



▲「イッツ・オンリー・ロックンロール」(Live)

豪華ゲストとの共演
初期名曲のアップデート版が楽しめるライブ・トラック

 ここまで<全米ビルボードチャート><コンサート>という2つの視点からストーンズの名曲をピックアップして紹介してきたが、最後に『HONK(3CDデラックス)』のボーナス・トラックとして収録されているライブ音源についても触れておきたい。

 全10曲のライブ音源は、バンドが近年行った【50&カウンティング・ツアー】【ZIPコード・ツアー】、そして最新【ノー・フィルター・ツアー】からバラエティに富んだ幅広い楽曲がセレクトされている。ここで一番注目すべきは、本編には収録されていない60年代名曲が多数収録されているという点。「一人ぼっちの世界」、「アンダー・マイ・サム」、「夜をぶっとばせ!」、「シーズ・ア・レインボー」といった初期ストーンズ楽曲のアップデート版を聴けるのは、ファンにとってはたまらなく嬉しい。また、「ビースト・オブ・バーデン」はエド・シーランを迎えてより感情的でロマンティックに、「ビッチ」はデイヴ・グロールがバンドに加わることでよりソウルフルでホットなサウンドに、とオリジナルとライブ、双方が収録されている楽曲の聴き比べも楽しい。

 ちなみに、ストーンズは『HONK』リリース翌日の4月20日より、最新ツアー【ノー・フィルター・ツアー】を再開する予定だったが、ミックにドクターストップがかかり延期に。同ツアーには今年50周年の節目となる【ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテッジ・フェスティバル】のヘッドライナー出演も含まれていたため大きな騒ぎとなってしまったが、ミックはすでに心臓弁の手術を終え、退院した模様。4月11日には公園を散歩している写真とともに、体調が快方に向かっているとのメッセージを自身のSNSに公開している。



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 結成から58年、今もエネルギッシュなパフォーマンスでオーディエンスを魅了している彼らだが、バンドの平均年齢は74.5歳。夏までにはツアーに復帰するという情報もあるが、ミックはもちろん、その他のメンバーも今はゆっくりと休養して欲しい。我々は『HONK』とともに焦らず復帰の日を待とう。



▲『HONK』

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