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Sonar Pocketが描く複雑な恋愛心理 新機軸のラブソング「好き」を語る
2018年9月にデビュー10周年を迎えたSonar Pocketが、自身通算31作目のシングル『好き』を4月10日にリリースした。表面的な慕情だけでなく、その裏側に潜む嫉妬心や執着心にフォーカスし、生々しい恋愛心理を浮き彫りにさせた表題曲「好き」は、ソナポケの代名詞とも言える切ないラブソングでありながら、そういった“内に秘めたい感情”に対してより深く、ドラスティックに向き合った意欲作であるという点で、11年目以降のソナポケを導いていく作品ともなるはず。アルバム『flower』を引っ提げた10周年記念ツアーの所感と併せて、最新モードのソナポケが放つこの新機軸的ラブ・バラードについて、メンバー3人に話を訊いた。
“種”が“花”として咲いてるなって
――昨年10月からスタートしている全国ツアー【Sonar Pocket 10th Anniversary Tour flower】について、残すところ沖縄公演というところではありますが、振り返ってみていかがでしょう?
ko-dai:メジャー・デビュー10周年を記念したツアーということで、「全国各地に笑顔の花を咲かせに行くツアー」だというのは前回もお話しさせていただいたかと思います。なのでやっぱり、みんなを笑顔にするためにどういう演出をするか、どんなセットリストを組むか、そういったことを考え抜いた結果として、いまの形になっている実感がありますね。全国のSonar Pocketを応援してくれている人たちに直に会えて、音楽を共有して、そしてライブを通して笑顔にできているなっていうのはすごく感じるので、(笑顔の)花を咲かせまくれているのかなと。
――アルバム『flower』の時のインタビューでは、前回のツアーで撒いた“種”に“花”を咲かせにいくのが今回のツアーだとおっしゃっていました。ツアーも終盤戦に差し掛かってきたところで、改めて皆さんがどんな種を撒いてきて、どんな花を咲かせてきたのか教えてください。
ko-dai:自分が2016年に病を患ってしまったことでSonar Pocketの活動が一時停止して、その活動の再開以降、第2章と題して、2017年の前回のツアー【Reload】を新たなスタートとして行わせていただいたんです。ただ、第2章と掲げておいて「第2章って何だろうな」っていうモヤモヤもあって。ツアーを回って、ライブを続けてもその答えは見つからないままで。それでも応援してくれる人たちがいた。10周年を迎えられた今回のタイミングで、自分たちは10年間なぜ音楽を続けてきたのか、なぜ音楽を続けられたのか考えたんです。やっぱりそれは、待ってくれている人たちの存在があって、ライブ会場に足を運んでくれる存在があったから。聴いてくれる人がいなかったら曲を作らないし、見てくれる人がいなかったらライブもしない。音楽を始めた理由は音楽が好きだったからですけど、続けている理由は音楽が好きだからではなく、応援してくれている人たちがいるからだっていう思いにどんどん変わっていったんです。その「あなたがいるから僕らもSonar Pocketであり続けたいんだ」っていう気持ちを今回のツアーで伝えにいっています。
――種を撒いてきた期間は葛藤や悩みの期間でもあったと。
ko-dai:そうですね。
eyeron:笑顔の花を咲かせたいのはファンだけじゃなく、自分たちもなんですけどね。活動停止してる期間は「もう続けられないかも」っていう不安もやっぱりあって。でも無事に復活することができた。今回のツアーは自分たちも最高に楽しくて、笑顔の花を咲かせているなって思いますし、それがステージから客席に広がっていって、連鎖してる感覚がある。もちろんファンの皆さんに支えられてやってこれた10年間でしたけど、まず自分たちが楽しく音楽をやれてるなっていうことを再確認できたっていう意味でも“種”が“花”として咲いてるなって思います。
――10周年という節目のタイミングだからこそ、いろいろと振り返って見つめ直した部分もあったのではないでしょうか?
matty:ライブをやっていくうちに、集まってくださるファンの皆さんがなんだか家族のようにも思えてきたりもして。僕らはステージ、ファンの皆さんは客席ですけど、音楽という共通言語を介してライブを一緒に作り上げているっていう気持ちもありますし。自分たちとしては夢がたくさん叶った場所がライブの会場だったりもするので、みんなとの結束力もすごく強固になっているんじゃないなと思いますね。
――そういった思いはショーのどんな部分に反映されていますか?
ko-dai:まず新旧入り乱れたセットリスト。あと、お客さんと一緒に歌う瞬間は今までのツアーと比べてもすごく多いですね。僕らが煽ることもあれば、お客さんが率先して歌ってくれたり。演出面でいうと、映像と自分たちをリンクさせる、今までやったことがないものをやったり。10年間の自分たちだけでなく、未来を見せていけるような自分たちも表現できていると思います。
――パフォーマーとして意識したことは?
eyeron:ホール・ツアーってお客さんの顔をしっかりと見ることができる距離感なので、伝えたい気持ちとか言霊をより乗せやすいなって思いますね。
ko-dai:今までで一番「ありがとう」って言葉を言っているツアーだと思いますし、ホール会場だと奥まで手が届くような距離感だったりするので、その気持ちが届いている実感もあります。実際にアンケートもとっていて、奥の席だった方からも「ちゃんと届きました」って言葉をいただけているので。
――アルバム『flower』もライブという場を強く意識したモチベーションのもと制作されたものだと思いますが、その楽曲がライブを経て変化していくような感覚はありますか?
ko-dai:頭で想像していた盛り上がりとか、描いていた景色と合致した感じですね。
eyeron:僕は曲によっては超えてきた瞬間もあったなって。「つぼみ」って曲は、アコギの演奏に合わせてボーカル二人がハモって始まるんですけど、ライブでソナポケがそういったことをやるのは初めてだったです。なので最初は不安もあったんですけど、やってみると思っていた以上に気持ちを伝えられた感じがあって、これは予想を超えてきたなって思いました。
matty:楽曲はリリースが終わりなのではなく、ライブでそれぞれの会場のお客さんと作り上げるからこそ、その日の完成形が生まれる。その繰り返しでゴールはないと思うんですよ。過去の楽曲もどんどんクオリティが上がってきてますし、一体感も高まっている。新曲もそう。だからツアーの最終公演はえらいことになっているんじゃないかなっていうぐらい(笑)。
eyeron:どうなっちゃうの?
matty:おれ死んじゃうんじゃないかな(笑)。
一同:(笑)
リリース情報
Sonar Pocket
シングル『好き』
- 2019/04/10 RELEASE
- <収録曲>
- 01. 好き
- 02. Come on!Come on!
- 03. GLORIA
- 04. 好き(Instrumental)※通常盤のみ
- 05. Come on!Come on!(Instrumental)※通常盤のみ
- 06. GLORIA(Instrumental)※通常盤のみ
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恋愛って一つの答えがないから悩むわけじゃないですか
――自身31作目のシングルとなる『好き』ですが、制作はいつ頃からスタートしたのでしょう?
ko-dai:昨年ですね。ツアーが始まったくらいかな。制作は10周年記念ツアーと並行して。
――率直にどんな楽曲にしたいと思いましたか?
ko-dai:昨年は新しいSonar Pocketを提示してきた年だったので、「ソナポケってこうだよね」っていう懐かしさを感じてもらえるような曲を作りたいなと思ったんです。で、考えてみたら僕らの音楽の原点って、人が隠したい、見せたくない気持ちを歌うことかなって。自分も過去の恋愛を振り返った時、自分に自信がなくて相手に嫉妬したり、それが原因で束縛したりとかもしていたし。そういった部分ってけっこう隠しちゃいがちですけど、答えは見えないところにあったりする。ちょうどその頃、SNSでアンケートもとったりしていて、好きだからこそいろんな感情が生まれて、いろんな行動に繋がる、そんな「好き」っていう気持ちの裏にあるいろんな感情が見えてきたんです。だから今回は、僕らがデビュー当時から歌ってきたシンプルで分かりやすい「好き」ではなく、そこから生まれてくる複雑な感情もしっかり歌うことで、Sonar Pocketの原点と新しい部分を同時に提示できたんじゃないかなと思います。
――制作過程を振り返ってみていかがでしょう?
matty:今回はプロデューサーのNAOKI-Tさんが作ってきたトラックに対して、まずko-daiが詞とメロディを乗せて、フルが完成したあとにみんなで話し合ったんです。「ビートを全面的に入れる曲でもないからちょっと抜いてみよう」とか「プロダクションをもっとシンプルにしてみよう」とか、一歩ずつ話し合いながら、丁寧に作り上げた感じは今まで以上にありましたね。
ko-dai:トラックありきで作るっていうやり方は僕らの原点でもあったりして。あと、実はeyeronが歌っているBメロは、eyeronが書いていた別の曲のBメロを持ってきているんですよ。そんな感じで今回は柔軟に制作できた気がしますし、デビュー当時はそんな感じで自由にやっていたので、10年間やってきた中での型にハマりすぎずに作ることができたなって思いますね。
eyeron:『flower』でいろんな手のジャブを打ってきたからこそ、ストレートがキレイに入るみたいな感じはありました。
――ko-daiさんはSNSでのコミュニケーションにも積極的ですよね。そういったことから還元されたものもありましたか?
ko-dai:SNSでのやり取りから得るものはすごく大きいですね。例えば今作で言うと、束縛されて悩む人もいれば、束縛されなくて悩む人もいるし、束縛されるのは嫌だけどまったくされないのも嫌だって人もいる。恋愛って一つの答えがないから悩むわけじゃないですか。その人間らしさを、僕らソナポケは音楽を通して歌いたい。「好きだよ。~100回の後悔~」って曲を出した時も、「こんな女々しい曲、誰も聴かないよ」って言われたことがありましたけど、人に見せたくない姿や感情も、音楽によって表現することでなら感じ取ってくれる人は絶対いると思うので。
▲Sonar Pocket / 好き
――タイトルの「好き」っていう2文字と楽曲に詰め込まれた感情量のコントラストも意図的に?
ko-dai:そうですね。最初は「束縛」とかにしようかと思いましたけど。
――Sonar Pocketが10年間、そういった歌詞観を紡いできたからこそ生まれた表現なのかなと思います。ちなみに皆さんはこの「好き」という曲に、個人的にシンパシーを感じる部分はありますか?
ko-dai:自分も若い頃は束縛するタイプでしたね。というのも、僕は中学校の頃に束縛をしなくて浮気された経験があるので(笑)。「元カレと会ってもいいの?」って訊かれたこともあったんですけど、中学生なのでカッコつけちゃって、本当は嫌なのに「だって元カレでしょ。今の彼氏はおれなんだから全然会ってきなよ」って大人ぶった結果、その子は元カレのもとに戻っていきました。
――なるほど…。
ko-dai:で、その後18歳くらいの時、また恋人と別れたばかりの彼女ができたんですよ。そしたらもう「元カレと会うとかありえない」ってなるじゃないですか。その子は就職していたので、会社の人たちにも狙われてるんじゃないかって(笑)。その子が社員旅行で旅館に泊まりに行っていて、連絡がなかなかとれなかった時とか、浴衣を剥がされてないかなとか。
matty:AVの見すぎだよ(笑)。
ko-dai:それを当時、eyeronに「束縛しちゃうんだよね」って相談したことがあったんです。そしたら「おれは彼女が別の男と会ってもなんとも思わない」って言ったんです。僕は「大人だな~」って感心したわけですよ。で、数年後にeyeronが言っていたことがようやく自分でも理解できた気がして「eyeronが言っていたこと、分かったよ」って言ったら、eyeronは「いや、別の男と遊ぶのダメでしょ」って。「え、ダメなタイプになっちゃった?」って(笑)。
eyeron:まぁ結果、相手次第ってことですよ(笑)。18歳の頃はたしかに嫉妬とかやきもちみたいな気持ちはなかったんです。でも、その後に出会った人に対してはそういう感覚があったので、自分も束縛したくなることがあるんだなって身をもって学んだというか。
ko-dai:これは年齢じゃないんですよ。その時の相手とか、過去の経験によると思うんですよね。だから、誰しもが抱く感情だし、誰しもが卒業できる感情なんです。この「好き」を聴いて、そういったことを考えるきっかけにもなったりしたら嬉しいですね。
リリース情報
Sonar Pocket
シングル『好き』
- 2019/04/10 RELEASE
- <収録曲>
- 01. 好き
- 02. Come on!Come on!
- 03. GLORIA
- 04. 好き(Instrumental)※通常盤のみ
- 05. Come on!Come on!(Instrumental)※通常盤のみ
- 06. GLORIA(Instrumental)※通常盤のみ
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