YUKA EMPiRE脱退～「ここにいて良かった」と思えるようにしたい

EMPiRE / ピアス [OFFiCIAL ViDEO]

－－YUKA EMPiRE脱退直前に公開された新曲「ピアス」のMV、YUKAと見つめ合いながら泣いているメンバーもいましたが、どんな心境で撮影に臨まれたんでしょうか？

YU-Ki EMPiRE：雨風に打たれながらの撮影で、溺れているメンバーもいたりして（笑）、それでみんな大爆笑していたんですよ。でも完成したMVを観たときに、そういう環境で撮ったからこその、切羽詰ったような表情をしていたりとか、そういうものが綺麗に収められていて「凄いな」と思いました。撮っているときは想像できなかった、ダイナミックかつ綺麗なMVに仕上がっていて嬉しかったです。

MAYU EMPiRE：なので、実はわりとワイワイしながらの撮影だったんですけど、MiKiNAちゃんが泣き出してしまって「え、どうしたの？」みたいな（笑）。

MiKiNA EMPiRE：あのMVは、YUKAちゃんとひとりひとりのメンバーが向かい合うじゃないですか。その姿を見て単純にグッと来てしまったんです。私はそれを見てからの出番だったので、その雰囲気に飲まれちゃったのと……あとは「悲しい」だけじゃない複雑な感情が出てきちゃって、あのシーンを撮っていることに対して「なんでこうなっちゃったんだろう？」という気持ちも湧き上がってきて泣いちゃいました。

▲左から：MAHO EMPiRE／MAYU EMPiRE／YUKA EMPiRE／YU-Ki EMPiRE／MiDORiKO EMPiRE／MiKiNA EMPiRE

YUKA EMPiRE：わりと他愛もない会話をしながらの撮影だったので、私自身は悲しい気持ちというよりは、楽しくやっていましたね。MVの仕上がりを観たときは「綺麗だなぁ」と思いました。

－－「いざ行け！ 行け！ 行け！」というフレーズがありますけど、みんなどんな想いで歌っているんですか？

YUKA EMPiRE：前向きになるようにして歌っています。いろんな意味で。あと、最初に「ピアス」を渡されて聴いたときは、アニメ『FAIRY TAIL』のエンディングテーマにすごく合っていて、アニメの内容とすごくリンクしているなと思っていたんですけど、今は自分たちの状況や心境とも重なる部分があるなと感じていますね。

－－EMPiREからメンバーがひとり去っていく。その状況とここまでダイレクトに重なる楽曲やミュージックビデオを打ち出してきたことに驚きました。簡単に言うと「凄い力の入れようだな」と思ったし、この分岐点をひとつのブレイクポイントに持ってこようとしているんだろうなって。

MAYU EMPiRE：完全にそうですよね。私もそう思いました。自分がWACKに入る前のこともいろいろ調べて知っているんですけど、脱退に対してここまでスポットを当てることってあんまりなかったと思うんです。でもこの作品には「ピンチをチャンスに変えるしかない」というメッセージを感じてますね。

MiKiNA EMPiRE：脱退は私たちにとっても大きな出来事だけど、世にも大きな影響を与えるじゃないですか。その状況を作品として形に残してもらった感が凄くて。携わってくれたスタッフさんも今まででいちばん多かったし、このタイミングで「大きな力が動いた」というのは強く感じました。

－－アイドルグループにとって脱退や卒業って必ずあることじゃないですか。その度に「続けていく人」と「去っていく人」とセパレイトされて語られがちなんだけど、現体制が終了するということは、全員そこから新しい環境へ踏み出すということだから、そういう意味では「続けていく人」も「去っていく人」も同等である。それが「ピアス」では如実に体現されているから凄いなと思いました。

MAYU EMPiRE：ありがとうございます！

YU-Ki EMPiRE：代弁してくださった！

MAYU EMPiRE：本当にそうですね。

－－そんな「ピアス」のMVと合わせて発表されたYUKA EMPiRE脱退。様々な反響があったと思うんですけど、あの日はどんな心境で過ごしていたんでしょう？

▲YUKA EMPiRE

YUKA EMPiRE：うーん……なんかずっとドキドキしてました。で、いざ発表されたらお通夜みたいな（笑）……「まぁ、そうだよなぁ」と思いつつ。

－－ファンの声にどんなことを感じました？

YUKA EMPiRE：単純に「寂しい」と思いました。でも「出来るだけ会いに行く！」と言ってくれる人もいて嬉しかったです。実際、初めて会いに来てくれる人もいたんですよ。私が脱退すると知って駆けつけてくれて。

－－そういう「こんなに愛されていたんだ」的なことも含め、このタイミングでYUKAにはいろんなことを吸収してもらって、EMPiREからの去り際に凄い死に様というか、その後の自分にとってもEMPiREにとっても強烈なブースターになって終わってほしいなと、個人的には思います。簡単に言うと、ネガティブじゃない未来が見たい。

MAYU EMPiRE：これ言ったら誤解されるかもしれないけど、私的に全然ネガティブな感情はなくて。仕方ないんですよ、起こってしまったことは。反省することはもちろんあるし、でもそれは次に生かしていけばいい。というのもポジティブな感情だし。なので、そんなに「ヤバい。もう終わりだ」みたいな感覚ではなくて、わりと先のことを見てるなって。

－－YUKAはどうですか？

YUKA EMPiRE：イヤな思い出になってしまうのは勿体ないなと思うので、自分が「ここにいて良かった」と思えるようにしたいなとは……思っています。

－－ちょっと掘り下げに入りますけど、いいですか？

▲左奥から：MAHO EMPiRE／YU-Ki EMPiRE／YUKA EMPiRE

YUKA EMPiRE：あんまり。

－－拒否された！

一同：（笑）

－－え、こんなことある？

YUKA EMPiRE：ハハ！

－－そんなに困る質問はしないから安心してください（笑）。もうすぐEMPiRE人生に幕を下ろす訳ですけど、YUKAにとってEMPiREは何だったんでしょうね？

YUKA EMPiRE：……夢のような時間。活動の規模がすごく大きかったので、凄いことをしているなって。それと、本当の自分じゃない部分もあったので、ふわふわしていたというか、地に足が着いていない感じだったので、だから「夢の中にいる」みたいな感覚でした。ずっと。

－－合宿オーディションに参加して、合格発表を受けてからどれぐらいになるの？

YUKA EMPiRE：ちょうど2年ぐらい。

－－その2年間、今振り返るとどんな日々でした？

YUKA EMPiRE：え、なんて言ったらいいんだろう？ 難しいな……

－－では、あとでまた質問しますね。みんなにとってYUKA EMPiREはどんな存在だったか聞かせてください。

YU-Ki EMPiRE：YUKAはメンバーでもあり、友達でもある感覚でしたね。グループの中でプライベートのことも話していたり、お泊りとか、一緒にご飯に行ったりもしていた存在。合格してからずっと一緒にいたので、何でも話せるメンバーでした。

各メンバーのYUKAへの想い「本当は一緒にコントやりたかった！」

－－脱退が決まったとき、正直どう思いました？

▲左から：MAHO EMPiRE／YU-Ki EMPiRE

YU-Ki EMPiRE：複雑な気持ちでしたね。学校との両立は難しいと思うんですけど、私はその大変さが分からないんですよ。それを経験していないし、私はその両立が出来ないから学校を蹴った側の人間なので。でも「もっと寄り添えたかな」とは思いました。

－－では、悔いが残る？

YU-Ki EMPiRE：……五分五分って感じですかね。「もっと寄り添えたかな」とも思うし、同時に「YUKA、自分で決めたんだからもうちょっと頑張れたんじゃない？」という気持ちもあります。

－－続いて、MAHO EMPiRE。

MAHO EMPiRE：YUKAちゃんとYU-KiちゃんがいたからこそEMPiREは出来て、それがあって私はデビューできたので、私にとっては創始者というか、グループの芯になっている存在。でも逆に言うと、YUKAちゃんと深く話す機会が私はいちばん少なかったんですよ。一緒に活動した期間が短かったのもあるし、「あんまり話さない子なのかな」と思っていたところもあって。

－－続いて、MiDORiKO EMPiRE。

▲MiDORiKO EMPiRE

MiDORiKO EMPiRE：一緒にいる人、グループの人っていう感じです。あと、これまで言ったことないんですけど、1回だけでいいから、一緒にコントみたいなものを作りたかったんですよ。YUKAちゃんと。そう思っていた人です。

一同：（笑）

－－思っていたけど、言えなかったと。

MiDORiKO EMPiRE：本当は一緒にコントやりたかった！

YU-Ki EMPiRE：前から「ツッコミが出来るのは、YUKAちゃんしかいないんだよ！」とは言ってたんです（笑）。

MiDORiKO EMPiRE：あと、わりとツボが一緒なんですよ。二人ともくだらない感じが好きなんで。だからコントがしたかった。コンビとしてお笑いがやりたかったなって。

YU-Ki EMPiRE：では、24時間イベントで。

MAYU EMPiRE：あー、たしかに出来るじゃん！

MiDORiKO EMPiRE：ダメ！ コントは1年ぐらいかけて作るものだから！

一同：（笑）

MAYU EMPiRE：そうだよね！ そんな生半可なものじゃねぇわ（笑）。

－－そんなコント師魂みたいなものがあったんですね？

▲左から：MAYU EMPiRE／MiKiNA EMPiRE／MiDORiKO EMPiRE

MiDORiKO EMPiRE：そうです！

MAYU EMPiRE：あったんだ（笑）。

MiDORiKO EMPiRE：だから目付けてたんです！

YUKA EMPiRE：アハハハ！

MiDORiKO EMPiRE：もう構想はあって……

YU-Ki EMPiRE：わりとガチだったんですよ（笑）。

MiDORiKO EMPiRE：やるならガチなんで！

－－いつかやってください（笑）。続いて、MiKiNA EMPiRE。

▲MiKiNA EMPiRE

MiKiNA EMPiRE：私にとっては、自分が加入したときから「EMPiREの中心の人」だと思っていて。なので、結構いつも頼りきっていた部分があって。あと、私とYUKAちゃんはちょっと立場が近かったんですよ。それで話してみたら、想像以上に理解できて……だからもっと入り込みたかった人。もっと自分なりの関わり方があったのかなって思います。

－－お笑いコンビとまではいかないけれども。

MiKiNA EMPiRE：そうですね（笑）。

MAYU EMPiRE：MiDORiKOの切り込み方は特殊すぎる（笑）。

－－MAYUはどうですか？

▲MAYU EMPiRE

MAYU EMPiRE：私といちばん正反対な人と感じる瞬間が多かったんですけど、でもそれが逆に良くて。自分と違う価値観を知ることで「あ、そういう視点もあるのか」と思ったり、いつもハッとさせられるというか。あとは、ライブ中とかに私がよく声を嗄らしてしまうことがあって、そういうときはいつもYUKAちゃんが助けてくれた。

－－フォローしてくれていたんですね。

MAYU EMPiRE：すごく助けられました。あと、頼んだことをちゃんとやってくれるというか、私は頼まれたことをすぐ忘れちゃうんですけど（笑）、だからすごく信頼していました。

－－YUKA EMPiREはEMPiREの特攻隊長というか、毎回インタビューでも「悔いが残らないように「今日で私は死にます！」っていうぐらい全力を尽くしたいです」とか「下っ端だと思われていることに対して沸々と沸き上がるモノはあります」とか強い意思表示をしてくれるメンバーだったので、そういう存在が居なくなるのは正直寂しいんですけど、辞めた後はどうするの？

YUKA EMPiRE：普通の大学生に戻ります。

－－今から普通の大学生やれる？

YUKA EMPiRE：全然やれますよ（笑）。

－－「スポットライトを一度浴びると、どうしてもステージに戻りたくなってしまう」ってよく言うじゃないですか。

▲YUKA EMPiRE

YUKA EMPiRE：それは今は分からないですね。まだ辞める前なので。

－－ぶっちゃけ辞めたくないんじゃない？

YUKA EMPiRE：……まぁでも、今はもうサッパリしていますね。

－－では、どんな感じでEMPiREでの活動を締め括りたい？

YUKA EMPiRE：うーん……少しでも多く「楽しかったな」とかポジティブな感情が残るように過ごしたいなと思うし、今までメンバーのことを全然知らなかったんですけど、最近いろいろ話して知る機会は増えているので、みんなと良い思い出をなるべく増やして辞めたいなと思っています。

予測不能の24時間イベント「夢オチにしてほしい！「ぜんぶ夢だった」って」

－－最後のステージは24時間イベントなので、否応なしに忘れられない思い出は増えるでしょうし、完全燃焼せざるを得ない状況にはなりそうですよね。

▲左から：MAHO EMPiRE／MAYU EMPiRE／YUKA EMPiRE／YU-Ki EMPiRE／MiDORiKO EMPiRE／MiKiNA EMPiRE

MAYU EMPiRE：24時間イベントでは、今までやりたかったことや出来なかったことをちゃんと出来る日にしたいと思っていて。何でもいいんですけど、各々がやりたいと思っていたことを「今日はやってもいいよ！」みたいな日になったら良いなと思っていて。たたライブするだけじゃ今までのイベントと同じだから、そうやって今までの清算を全部して終わらせたい。で、次のステップとして新しいEMPiREを創っていきたいです。そうしないと、YUKAちゃんがただ抜けただけのグループになっちゃうから。

MiKiNA EMPiRE：この先、新メンバーが入ろうと入らまいと、この6人のEMPiREとしては最後の日になる。でもそこで終わる訳じゃなくて、これからも5人のEMPiREは必ず続いていくから、その未来の為にも24時間イベントは一瞬も流しちゃいけないと思うんですよ。24時間の中の1時間1時間を無駄にしちゃいけないから、自分の中でも、観ている人の中でも、絶対に忘れられないモノにしたい。

－－ただ、24時間、中だるみを一切許さないって、観てる側からしたら「死んでくれ」と言われているようなものですよね（笑）。

一同：（笑）

MiKiNA EMPiRE：でも本当にそれぐらい焼き付けさせたい。自分も忘れたくないし。

MiDORiKO EMPiRE：何かしらの、今まで味わったことのない感情に出逢いたいなと思います。それで次に繋げたい。

▲左から：MAHO EMPiRE／YU-Ki EMPiRE

MAHO EMPiRE：6人のEMPiREを100点で終わらせて、その先のEMPiREを100点から始められるように、全力で臨みたいですね。

YU-Ki EMPiRE：私たちのライブってプロデューサーの渡辺さんやスタッフさんから「70点とか80点のライブだよね」と言われてきて。なので、6人で出来る最後のライブではそんなことを言わせないような、100点を超えられるようなライブを残したいなと思います。

－－YUKAはどう？

YUKA EMPiRE：24時間イベントはみんな頭がおかしくなってくると思うので、好き勝手やりたいなと思っています（笑）。みんなにも好き勝手楽しんでもらいたいし。

－－自分でもどうなるか読めないですよね。24時間ずっと平常心を保ってステージに立てる人なんていない訳で、今まで見せたことのない自分がきっと出てきますよね。どんな自分が出てくると思います？

MiDORiKO EMPiRE：私、いっぱい起きているとお腹がすごく張るんですよ。だからそこらへんがすごく心配。オナラとか出ちゃいそう。

一同：（笑）

MiDORiKO EMPiRE：朝にお腹が張るので、朝が怖い。

YU-Ki EMPiRE：私は楽しくなると思います！

▲左から：MAYU EMPiRE／MiKiNA EMPiRE／MiDORiKO EMPiRE

MAYU EMPiRE：パリピ（笑）。

YU-Ki EMPiRE：オールは慣れてるんで！

－－パリピはいつもオールで遊んでるから大丈夫だと。

YUKA EMPiRE：ハハハ！

MAHO EMPiRE：私は無にならないようにだけ気をつけたい。

－－そのパターンに陥る人もいますよね。

MAHO EMPiRE：逆に何にも出てこない（笑）。そうならないように爆発していきたいと思っています！

MiKiNA EMPiRE：私はずっと泣いてそうですね。泣くか、ずっとブツブツ言ってるかのどっちかだと思います。

MAHO EMPiRE：怖っ！

MAYU EMPiRE：でも想像つく。

MiKiNA EMPiRE：泣いてるか、誰かの悪口言ってるか。

－－本当に怖いじゃん。

MAYU EMPiRE：私、めっちゃキレてると思います（笑）。

－－ステージ裏で？

MAYU EMPiRE：いや、表でも出ちゃうと思います。もしかしたら「ふざけんじゃねぇよ！」みたいな（笑）。だからその日限りのこととして処理してほしい。私がブチギレちゃったとしても「24時間イベントだったからだな」って。それ以降に引きずらないでほしい。もしかしたらハダカになっちゃう人とかもいるかもしれないけど、それはもう引きずらないで忘れてほしい！

－－夢オチ的な？

▲左から：MAYU EMPiRE／MiKiNA EMPiRE／MiDORiKO EMPiRE

MAYU EMPiRE：そう！ 夢オチにしてほしい！「ぜんぶ夢だった」って。

MiDORiKO EMPiRE：そんな都合の良い話はない。

YU-Ki EMPiRE：無理だよ！

－－でもそうすれば、YUKAが次の日いてもおかしくない。

MiDORiKO EMPiRE：おかしいでしょ！

一同：（笑）

MAYU EMPiRE：「え、どこから夢だったの？」

YUKA EMPiRE：ヤバい（笑）。

－－YUKAはどうなっちゃうんだろうね？

YUKA EMPiRE：私、どうなるんですかね？ 元気がなくなっちゃうのが一番心配なんですけど、だからこそステージ上ではめちゃくちゃなことがしたい。言い方を選ばなければ、私はもう何も怖いものがないので。

MAYU EMPiRE：マリオのスターモード。

YUKA EMPiRE：誰に何を言われようが「私、もう辞めるんで」みたいな（笑）。

一同：（爆笑）

YUKA EMPiRE：それぐらいの勢いで楽しんじゃおうと思います！

Interviewer：平賀哲雄｜Photo：Jumpei Yamada