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No Gimmick Classics『vandaism』インタビュー



No Gimmick Classics

 スリーピース・ロックバンド、No Gimmick Classics(N.G.C.)が12月21日に1stフルアルバム『vandaism』をリリースした。2008年の結成後、何度かメンバーチェンジを経て2016年に現メンバーとなったN.G.C.は、骨太でグルーヴィかつスタイリッシュなサウンドにエッジを聴かせたラップでフィジカルなアンサンブルを聴かせている。待望の1stアルバム『vandaism』は、90’s~00’sの音楽を現代にブラッシュアップした生音プラストラックに、緻密な言葉遊びを多用した独特な言葉を詰め込んだリリックで、アンダーグラウンドからオーバーグラウンドに一石を投じる1枚に仕上がっている。今回Billboard JAPAN初となる彼らへのインタビューでは、メンバーのHIЯOM.S(Vo)とshnkuti(Ba)の2名を迎え(残念ながらSUCKMAN(Dr)は欠席)、それぞれのルーツや今作への想いを語ってもらった。

それぞれの音楽的ルーツと結成の経緯は?

−−まず、バンド名No Gimmick Classicsの由来をお伺いできますか?

HIЯOM.S:“小細工なしの名盤”を常に作っていきたいという想いからですね。世に出ているクラシックな作品って、大人の力も働いてそう呼ばれているものが多いなと感じることもあって、でも俺らはそうじゃなくて純粋に音楽だけで評価されるようなバンドになれればいいなと思って。後は、語呂が良かったんですよね。

−-<既存のART 塗りつぶし 破壊的行為>という今作『vandaism』のコンセプトもNo Gimmick Classicsに沿っている感じがしますね。そういったものはバンドの意識として持たれているんでしょうか。

HIЯOM.S:そうですね。意識的にはずっとあって、このアルバムを作る時にバンドのテーマがより一層中から出てきたというのはありますね。

−−お2人の音楽的なルーツもお聞きしたいのですが、まずHIЯOM.Sさんはいかがですか?

HIЯOM.S:特に音楽一家と言うわけではないですが、小さい頃から親が歌謡曲を聴いていたんです。俺もテレビから流れてくる音楽や、レンタルしてきたCDをカセットにダビングして聴いたりはしてましたね。それで、中学生ぐらいの時に先輩が聴いていた音楽を自分も聴くようになりました。

−−中学の先輩はどんな音楽を聴いていたんですか?

HIЯOM.S:当時はキングギドラやNITRO MICROPHONE UNDERGROUND、BUDDHA BRANDとかでしたね。後バンドは、自分の世代じゃないけど皆Hi-STANDARDとかは聴いてましたね。

−−ご自身はどんな音楽を中心に聴かれていたんですか?

HIЯOM.S:中学の頃はまだ歌謡曲も多かったですね。世間ではモー娘。とかが流行っていたし、俺はB'zが好きでよく聴いてましたね。

−−ヒップホップを掘って聴くようになったのは?

HIЯOM.S:高校生の時です。SEEDAの「花と雨」がすごく好きで、その辺からどんどん掘り下げていくようになりました。

−−一方で、バンドも聴かれていましたか?

HIЯOM.S:ミクスチャーだったらRIZEが好きだし、the band apartも聴いていて、そのあたりで「ジャンル関係なく、バンドでもうまくまとめられたら歌やラップ何でもできるんだな」と思い始めました。

−-shnkutiさんはいかがですか?

shnkuti:俺も音楽一家ではなかったんですが、ベースを始めた中3の頃に最初聴いたのがレッド・ホット・チリ・ペッパーズで、そこからベーシストらしいバンドを聴くようになりました。その後はパンクとかPファンク、70'sのルーツミュージックやブラックな音楽を好んで聴くようになりました。ヒップホップを漁り出したのは22、23歳くらいで、コモンや2000年代のヒップホップを聴くようになって、ネオソウルが少し被っていた時期もあったので、エリカ・バドゥやディアンジェロの『Voodoo』なんかもその頃によく聴いていました。

shnkuti:そうですね。知り合いの名古屋のベーシストに教えてもらって、90'sアンダーグラウンドのヒップホップや、Scienz of Lifeというグループが好きですね。

−-邦楽はそんなに聴かれていないですか?

shnkuti:邦楽だと、地元の千葉の先輩のバンドとか、80年代のナゴムレコードやイカ天(『三宅裕司のいかすバンド天国』)ぐらいの世代が好きですね。

−-shnkutiさんはおいくつですか?

shnkuti:25歳です。

−-25歳でナゴムレコードを聴かれるとは。

shnkuti:めっちゃ好きですね。あとは初期の筋少(筋肉少女帯)とか…

−-ヒップホップとの出会いは20歳を過ぎてからなんですね。

−−エリカ・バドゥから筋少のふり幅がすごいですね。

shnkuti:(笑)

−-ベースで影響を受けたのはレッチリが最初ですか?

shnkuti:最初はレッチリで、徐々にルーツ的な人を好きになっていきましたね。最近はLAのチャーチとかで演奏しているゴスペルのベーシストがすごく好きですね。

−-SUCKMAN(Dr.)さんも、聴かれる音楽はお2人とはまた違いますか?

HIЯOM.S:多分彼はプログレとかも聴いて来ていると思います。

−−皆さん音楽のルーツが全然違って驚きました。バンドが今の編成になった経緯をお伺いできますか?

HIЯOM.S:元々俺が10年ほど前にNo Gimmick Classicsを始めたんですが、その後に色々とメンバーチェンジを経て、今のメンバーとは2年前に知り合いました。シュン(shnkuti)とは知人を介して、って感じだったよね。

shnkuti:そうですね。紹介してもらって、1度会ってスタジオ入ってって感じでしたね。

−−shnkutiさんは、HIЯOM.Sさんにお会いされる前からNo Gimmick Classicsに入りたいという想いがあったんですか?

shnkuti:加入する前にやっていた自分のバンドが解散しちゃって、色々調べてて、知り合い経由でNo Gimmick Classicsを教えてもらったんですけどめちゃくちゃかっこよくてライブを観に行こうと思っていたんですけど、そのタイミングぐらいでちょうどベースさんとドラムさんが抜けて。それで募集しているか聞いてみたんです。

−−メンバーチェンジはこれまでにも多かったんですか?

HIЯOM.S:メンバーチェンジは多いですね。学生の頃から始めたから就職のタイミングもあったりとかして、バンドでのモチベーションを保つことも大変だったし。そういったモチベーション的には今が一番良いですね。バンドのテンションも変わっているので名前とか変えてもいいかなとは思ったんですが、“No Gimmick Classics”を作りたいって想いは変わんないし、何せ語呂がいいのでバンド名はこのままでいくことにしました。

−−トラックではなくバンドの生音の中でヒップホップを乗せたいというのは10年前からあったんですか?

HIЯOM.S:最初は、俺はもうちょっと歌ってたりしてたんです。当時周りはバンドブームだったし、ヒップホップは今みたいに全然盛んじゃなくて、聴く人も仲間もあまりいなかったんですよね。ミクスチャーバンドもいましたけど、ブームとしては下火だったかなと思うし。そんな中で自分もバンドを始めたんですけど、バンドでもラップをしようかなと思って始めてみたのがきっかけですね。

−−ミクスチャーバンドからの影響も受けていますか?

HIЯOM.S:ミクスチャーは正直あんまり聴いていなくて…。RIZEやレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンは好きなんですけどね。元々バンド自体が主体になっているラップは好みじゃないので、しっかりしたヒップホップのラップがしたいなと思ったんですよね。

−−shnkutiさんはバンドの中でトラックメイカーも担当されていますが、以前からトラックは作られていたんですか?

shnkuti:いや、ノーギミを始めた後にサンプラーを買ったりし始めたんです。前からトラックを作ることに興味はあって、打ち込みのトラックの上に自分のベースを入れて遊びたいなと思っていました。

−−バンドに打ち込みを入れたいと思ったのはHIЯOM.Sさんがラップをされているからですか?

shnkuti:そうですね。まだ人に聴かせられるクオリティじゃない時にトラックを渡してラップ書いてきてもらったりしました。

−-これまでバンドに打ち込みが入ったことはありましたか?shnkutiさんにもらったトラックはHIЯOM.Sさん的にはどんな手ごたえでしたか?

HIЯOM.S:これまではずっと生音だけでやってましたね。もらったトラックはすごい良かったです。これまでトラック作れる人もあまり周りにいなかったので、シュンがやってくれているのはすごく助かっていますね。

−−メンバーが変わったことによってサウンド面でも新たな挑戦があったんですね。



▲No Gimmick Classics「Ill take U(roots)」


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精力的なライブ活動とSiM主催【DEAD POP FESTiVAL 2016】への出演

−−新体制になったのが2016年頃ということですが、その頃はライブ活動を中心にされていたんですよね。制作ではなくライブの現場に立つというのはどなたかの方針だったんですか?

HIЯOM.S:自然な流れでしたね。最初に自分たちでバンドとしての空気を合わせてノリや勢いを作っていく方が作品を作る時にも絶対良いと思ったし、今回のアルバムもベーシックは皆一発で同時に録ったりしているんですが、そこにもライブの経験が活かされているんじゃないかなと思いますね。



▲No Gimmick Classics「visage」


−−現メンバーとなった直後の夏にオーディション優勝を経て、SiM主催の野外ロックフェス【DEAD POP FESTiVAL 2016】に出演されましたが、こちらはどういう経緯だったんでしょうか?

HIЯOM.S:俺らは全然知らなくて、マネージャーが知らない間に応募してくれていたんですよ。

−−アイドルのオーディションみたいですね(笑)

HIЯOM.S:知らない間にお姉ちゃんが…的なやつですね(笑)

マネージャー:結成してから2か月後ぐらいのタイミングでしたね。

HIЯOM.S:何も知らない俺の携帯に、SiMの方から直接「受かりました」って電話がきたんですよ。「O-WESTで最終オーディションのライブがあるんだけど」って言われて、2つ返事で「はい、出れます!」って言いました。

−-何もご存じなく即決されたんですね! バンドの意向として、結成後すぐにオーディションに挑戦したいという気持ちはあったんですか?

マネージャー:多分知らなかったよね、そんなオーディションがあることも。

HIЯOM.S:全然知らなかったです。でもフジロックの“ROOKIE A GO-GO”みたいな知ってるオーディションには積極的に応募していきたいなって俺も思っていました。

マネージャー:夏フェス前の時期だったんで色々探していたら【DEAD POP~】のオーディション見つけて、応募したんですよね。

HIЯOM.S:メンバーは外の情報とかに結構疎いので、ありがたいですね。

−-音源で審査が通って、いきなり決勝だったんですか?

マネージャー:そうですね。決勝に出場できた4組とSiMのライブだったんですが、投票もちゃんとしていて、開場から最後までいた人だけが投票できるシステムだったんですよね。だからフラットに音楽だけで評価してくれているんだなって感じたし、SiMのライブ出演情報の時点で確かチケットが完売していたので、どのバンドが出演するかも分からなかった状況で票を頂けたのは嬉しかったですね。

−−【DEAD POP FESTiVAL 2016】に出演されたご感想はいかがでしたか?

HIЯOM.S:そのオーディションの1曲目で俺のギターが鳴らなくなっちゃって…

マネージャー:満員のO-WESTで、オーディションライブの決勝で、1曲目からギター鳴らさないんで、びっくりしますよね(笑)

−−大変なハプニングがあったんですね!

HIЯOM.S:心の中で「終わった」「俺のせいで皆ごめん」って思いましたね。けどそこから急に皆でセッションとかフリースタイルを始めて、それが逆に雰囲気も変わって良かったんだと思います。よく皆とそういうのもやってたんで、普段から遊んどいて良かったなって思いました(笑)

−−その頃ご自身のライブで対バンされていたのはヒップホップ寄りではなくバンドシーンでしたか?

HIЯOM.S:バンドばかりですね。ヒップホップシーンでももちろんライブしたいんですけど、セットがないっていうのもあるし中々機会がないんですよね。

−−バンドばかりの対バンでもNo Gimmick Classicsの存在は、異色ですよね。普段からやはりステージに上がるとお客さんの反応がそれまでと変わることもありますか?

HIЯOM.S:ありますね。その辺は正直、まだまだだなと思います。曲としていいとは思ってくれていても、ラップとしては聴いてもらえてないんだろうなっていう部分もあります。



▲No Gimmick Classics「BadraBBit」


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今作『vandaism』に込めた想いとは&プレイリスト公開!

−−先ほどライブ活動は減ってきたとも仰っていましたが、1stフルアルバム『vandaism』の制作にはどのくらいの期間を費やされましたか?

HIЯOM.S:1年間ぐらいですかね。

−−その間デジタル・リリースもコンスタントにされていますよね。

HIЯOM.S:配信に関しては世の中の流れでもあるし、もう少しフランクに自分たちの曲を聴いてもらえればいいかなと思って。曲も知っていて、ライブに来てもらえた方が楽しめると思うので、知ってもらうために発信することは大事ですよね。

−−ライブにつなげるためでもあるんですね。

HIЯOM.S:今までだったらアルバム作ってもミュージック・ビデオが上がっている曲しか知らないっていうのが多いと思うし、ドラムのオビちゃん(SUCKMAN)の絵も凄いから、ジャケ写とかでも表現できるし。

−−アートワークとっても素敵ですよね。

HIЯOM.S:本人も今日いたらよかったんですけど、彼は変な奴です(笑)

−−(笑)ベースのshnkutiさんがトラックを作って、ドラムのSUCKMANさんがアートワークを担当できて、バンドとしての表現方法や振り幅も広がったと思いますが、それはHIЯOM.Sさんのこれまでの意思とも繋がるものですか?

HIЯOM.S:そうですね。バンド内で全部が完結するというのはすごくいいなと思いますね。あと年取ったからかもしれないですけど、全部自分じゃなくて皆の良いところとかやりたいこととかがあったらまずそれをやってみようっていう精神に段々変わってきました。今回のアルバム作った時も、シュンがMIXとかRECの作業してくれた曲があって、新しい可能性に繋がってってますね。

−-shnkutiさんはトラックメイクだけでなくMIXもされるんですね。

shnkuti:自分でMIXした方が、曲の方向性や出したい音も見えやすくなりましたね。

−−楽曲の制作段階は、一曲ずつ皆さんで話し合いを詰められるんですか?それとも誰かが指揮を執る?

HIЯOM.S:話し合いはそんなにしないですね…しないよね…するっけ?(笑)曲作る時はこういう風にしたいって個々にあるので皆で「それも一回やってみる?」っていう感じで進めてますね。

−-楽曲は詞と曲どちらが先行ですか?

shnkuti:曲によりますね。

HIЯOM.S:最近は色んな作り方してるよね。

shnkuti:MIXの途中で音を増やして良い感じにできたらそのまま使ってみたりもしてます。

−−1stフルアルバムを今のタイミングで制作しようと思われたのは何か理由があるんでしょうか?

HIЯOM.S:1年前にアルバムを作り始めてから期間が空いたりもしたんですが、その間に曲もできたしコンセプトも自分の中に何となくあったんで、アルバムにしようと決めました。

−-23曲はすごいボリュームですよね。1曲が出来上がるスピードは速いですか?

shnkuti:ループ系とかだとインストは1日でできるし、それをポンと投げてもラップをすぐに返してくれるので、曲の出来上がるスピードは速いですね。

−−アルバムのタイトル『vandaism』とテーマである<既存のART 塗りつぶし 破壊的行為(TO MAKE ANOTHER CLASSICS)>に込められた想いを聞いてもいいですか?

HIЯOM.S:“Vandalism”(芸術破壊)と、“~ism”(思想)を掛け合わせた造語で、色んなエンジニアさん達とも話していたんですが最近仕事していても皆まとまりすぎちゃっている気がして、トップ走っている人も皆全部綺麗なんですよね。そんな中で粗悪な感じというか、反骨心みたいなものを出したくて。完成されてない方がいい作品になると思うし、綺麗すぎるものは自分の中で退屈だったし、面白みがもっとあってもいいかなっていうのはずっと思ってましたね。

−−HIЯOM.Sさんの書くリリックも、音楽シーンに対して一石を投じていたり、エッジの効いた言葉が多いですよね。単刀直入に、今の音楽シーンをどう思われていますか?



▲No Gimmick Classics「vandalism」


HIЯOM.S:特に日本は、才能が世に出にくい気がします。音楽を手軽に聴けるようになった分、リスナーにとって余計に分かりづらいことが増えたというか。シーンに出ている人が音楽をもっとちゃんと提示してあげればいいのになって思います。日本で言うと、“和製~”みたいな言われ方をされるのとか、USの音楽をそのまま日本語で歌っているだけだったりするものも多いし、他の人たちをあれこれ言ってもしょうがないですけど、自分たちはもっとオリジナルなものを出していけたらいいですね。

−−確かに“和製~”というキャッチフレーズも耳にしますよね。ヒップホップも世間ではブームだと言われていますが。

HIЯOM.S:本当の意味では流行っていないと思うんですよね。バトルやフリースタイルだけが少し取り上げられていて、作品で評価される人は少ない気がするのでもったいないですよね。まぁ、それをヒップホップのトップの人たちがそれをやっちゃってるからあんまりよくないなーと思うし。

−−今のお話し伺っていると、No Gimmick Classicsの配信リリースが増えたのは、世界に向けて発信していきたいという想いの表れも含まれているんだなと感じました。

HIЯOM.S:そうですね。人口を見てもそっちの方が健全だと思うし。

−−オフィシャルサイトの表記も英語で書かれていますし、世界を見据えたバンドである一方、リリックは日本語できちんと届けられているので「日本語のラップを世界に届けたい」という想いが伝わってきました。

HIЯOM.S:今後海外でライブをする機会があっても、日本語で届けたいなとは思いますね。日本人だから日本語でライブする方が聴いてくれるお客さんにとっても喜んでもらえるだろうし。

−−バンドに乗せてラップすることで、歌い手の表現は広がるものですか?

HIЯOM.S:いや、制限の方が多いと思います。3ピースなんでさらに限られてくるし、だけどその制限の中でどれだけのことができるかが面白いと思っていて、特にライブだと音数が少ない中でどれだけ見せられるかというのもあるので、俺たちも演奏していて面白いですね。

−−HIЯOM.Sさんの歌詞は言葉数もとても多いですよね。

HIЯOM.S:それこそ日本のラッパーって、16小節の中に綺麗にまとまっていますよね。USラッパーは小節なんか関係ないって感じだから作り方もセッションで作ったりしているのかなーと思うし。

−−HIЯOM.Sさんがラップの面で影響を受けている方はいらっしゃいますか?

HIЯOM.S:SEEDAとかBESとかですかね。でも音源で勝負しているラッパーは皆好きです。DOWN NORTH CAMPやFla$hBackSも好きだし、最近だとAKLOとZORNとか、音が格好良い人好きですね。USだとケンドリック・ラマーはやっぱり格好良いと思うし、あそこまで凄いことになるとは思ってなかったですけど。

−−今挙げられた方はリリックの部分でも影響を受けていますか?

HIЯOM.S:受けてますね。俺は元々文章とか全然書けないんですけど、断片的な自分の言葉を綴るリリックだとすらすら出てくるんですよね。やっぱり自分の言葉をちゃんとラップするのがいいなと思うんです。日本は規制も多いのかもしれないけど本当綺麗な言葉が多くて、本物だなって思う言葉を探してるとアングラな方ばっかになっちゃいますよね。それがもっと広い人たちに届けば日本の音楽も変わってくるんじゃないかなと思います。

−-今回プレイリストを作成して頂いたのですが、

shnkuti:はい、ほとんど俺が選びました。

−-最近の曲も多いですよね。どういった基準で選んでいただきましたか?

shnkuti:最近ずっと聴いているシカゴ系のヒップホップとかが多いですね。あとは、自分たちのアルバム曲で、参考にしたフレーズが入っている曲とかもあります。今作を作る時に影響受けた曲や最近のトレンドも入っています。

HIЯOM.S:シュンはお気に入りの曲を見つけるとシェアしてくれるんですよ。

shnkuti:こういうのやってみたいなっていうのを送ったりします。

−−最近だとどんな曲をシェアされましたか?

shnkuti:昨日JIDとJ.コールの曲(「Off Deez」)送りましたね。




HIЯOM.S:めちゃくちゃかっこよかった!ラップすげー上手いし。

shnkuti:昔好きだった曲とかが古く感じるくらい、音の質感も変わっていてかっこいいですね。

−−このプレイリストの中だと、THE ROOTSのなんかも生音とビートをしっかり聴かせるバンドですよね。

shnkuti:No Gimmick Classicsを始める時に、バンドとヒップホップをしっかりイメージしようと思ってTHE ROOTSはよく聴いていました。トラックに馴染むように音を鳴らしている人たちとか、参考にしますね。

HIЯOM.S:バンドだと、その音の中で阿吽の呼吸ができるからそこはトラックとは違うところだと思うし、トラックと生音のバランスを上手く取りながらやっていけるのが自分たちの強みになるんじゃないかと思っています。

HIЯOM.S:プレイリストに入っている曲見てると、やっぱり一貫性がある音楽が良いなと思いますね。

−-では、No Gimmick Classicsの中で一貫していることって何でしょうか?

HIЯOM.S:ブレないことですかね。媚びを売らないこと。言いたいこと言えるのが本当なんじゃないかって思っているけど実際は中々違ったし、皆仲良しこよしなんですよね。バンドも最近アイドルっぽくなってるなーと思うし、そうじゃなくてもう少し刺々しいこんな奴らがいてもいいんじゃないかなと思います。

No Gimmick Classicsに影響を与えた楽曲プレイリスト

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