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ビルボードジャパン 2018年 年間ランキング発表~【HOT 100】は米津玄師「Lemon」、【Hot Albums】は安室奈美恵『Finally』が首位
【ビルボードジャパン年間チャート2018】が決定。総合ソングチャート【HOT 100】、総合アルバム・チャート【Hot Albums】、さらに【HOT 100】と【Hot Albums】のポイントを合算したアーティスト・ランキング【TOP Artists】を解説とともに発表する。ダウンロードやストリーミングなどデジタルでのヒットが、より顕著になった2018年。今を切り取るのではなく、過去、現在、未来を映し出すビルボードのチャートを通じて、2018年を振り返ってみてください。
※集計期間:2017年11月27日~2018年11月25日
ビルボードの総合ソングチャート【JAPAN HOT 100】と、総合アルバムチャート【Hot Albums】を合算したアーティストランキングでは、米津玄師がダウンロード、ルックアップで1位となり、【TOP Artists】で1位を獲得した。
2018年の【TOP Artists】において、米津玄師はダウンロードで、2位のTWICEはストリーミングで1位となり、2017年はフィジカルとデジタルに揺れるJ-POPシーンがそのまま反映されたランキングだったが、今年は完全にデジタル領域でのシェア争いがランキングに大きく影響する展開となった。例えばダウンロードで100位圏外、またはランク無しのアーティストは、AKB48、嵐、NEWS、Hey!Say!JUMPの4組、ストリーミングではback number、嵐、WANIMA、NEWS、Hey!Say!JUMPの5組、動画では嵐、NEWS、Hey!Say!JUMPの3組となっている。つまり、デジタル領域でのプレゼンスが上がれば上位に食い込む可能性があがるというわけだ。
ダウンロードとストリーミング以外にデジタル領域で重要な指標となるのは動画再生だ。同指標では、1位TWICE、2位米津玄師、3位BTS(防弾少年団)となり、楽曲を使用した動画再生数の総合計は、TWICEが7億5千万回、米津玄師6億5千万回、BTS3億7千万回に。動画でのヒットが大きく合計ポイントを押し上げたaことがよく分かる結果だ。一方、フィジカル領域だが見逃せないのがPCでのCD読取回数を示すルックアップで、こちらは1位米津玄師、2位嵐、3位安室奈美恵という結果となっている。デジタル領域でポイントを重ねつつ、フィジカルでも手堅くポイントを積み上げていくべきなのは、2017年と変わらない状況だが、その比重はデジタルのほうが結果的により高くなった、というのが2018年のJ-POPシーンだろう。
そのなかでも特に目立つのが、総合16位のあいみょんだ。今年の夏フェスを契機に頭角を現し、秋以降に大きくシェアを広げたアーティストで、各指標のうち最もポイントを上げたのがストリーミングとラジオの5位で、フィジカル・セールスは100位圏外、動画再生では19位に留まっている。昨今のパターンであるTwitterや動画でポイントを伸ばすのではなく、ストリーミングでのポイントが総合順位を押し上げていることをみると、ストリーミングからヒットを生み出せるアーティストとして最右翼にいるのがあいみょんだと言えるのではないだろうか。そして、大きく広がりつつあるストリーミング・マーケットからポップ・アップするアーティストはこれからも出てくるに違いないだろう。そして、2018年夏では、音楽フェスで注目されたアーティストがストリーミングを伸ばすことが目立っていて、ストリーミングと音楽フェスとの親和性の高さがうかがえるとともに、ライブでの注目→ストリーミング増→ヒットの新たなサイクルの萌芽が定着するか、こちらも次年度以降注目すべきポイントと言える。
#1
#2
#3
(防弾少年団)
総合順位 | ARTIST |
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1 | 米津玄師 | 8 | 1 | 94 | 4 | 1 | 5 | 2 |
2 | TWICE | 6 | 8 | 1 | 13 | 10 | 3 | 1 |
3 | BTS (防弾少年団) | 3 | 12 | 3 | - | 24 | 1 | 3 |
4 | 乃木坂46 | 2 | 17 | 9 | 59 | 5 | 8 | 20 |
5 | 欅坂46 | 5 | 13 | 6 | 95 | 4 | 6 | 7 |
6 | 安室奈美恵 | 4 | 5 | 7 | 14 | 3 | 42 | 61 |
7 | Mr.Children | 17 | 4 | 2 | 28 | 9 | 70 | 13 |
8 | AKB48 | 1 | - | 87 | 76 | 49 | 15 | 14 |
9 | 宇多田ヒカル | 18 | 3 | 13 | 3 | 8 | 36 | 32 |
10 | 星野源 | 50 | 6 | 18 | 1 | 13 | 9 | 15 |
11 | back number | 42 | 2 | - | 6 | 6 | 22 | - |
12 | サザン オールスターズ |
11 | 9 | 29 | 2 | 15 | 75 | - |
13 | ONE OK ROCK | - | 10 | 4 | 93 | 17 | 63 | 8 |
14 | DA PUMP | - | 11 | 15 | 44 | 30 | 17 | 5 |
15 | 嵐 | 9 | - | - | - | 2 | 14 | - |
16 | あいみょん | - | 14 | 5 | 5 | 51 | 56 | 19 |
17 | WANIMA | 28 | 7 | - | 20 | 7 | 51 | 27 |
18 | NEWS | 16 | - | - | - | 20 | 2 | - |
19 | Hey!Say!JUMP | 7 | - | - | - | 11 | 21 | - |
20 | 西野カナ | 34 | 33 | 8 | - | 14 | 57 | - |
※アーティスト・ランキングに使用されているデータは下記の通り
CD(シングル、アルバム)の売上枚数およびダウンロード数、CDをPCに取り込んだ回数、ストリーミング数、ラジオの再生回数、Tweetされた楽曲数、動画再生数。
※計算方法は、HOT100とHot Albumsの各週の全順位から、アーティスト名でポイントを紐づけ、価格差を考慮してHot Albumsで獲得したポイントを1.5倍して合算。
2018年の総合ソングチャート【Billboard JAPAN HOT100 of the Year2018】は、米津玄師「Lemon」がダウンロード、ルックアップ(PCでのCD読取回数)、Twitter、動画再生で1位、合計4冠で総合首位を獲得した。
米津玄師は、作詞、作曲、プロデュースを手掛けたDAOKO×米津玄師「打上花火」を含め、合計8曲を100位圏内に送り込み、今年のシーンを牽引したアーティストとなったことに反論の余地はない結果となった。
▲ 「Lemon」MV
実は、米津玄師「Lemon」が、ウィークリーのJAPAN HOT100で総合首位を獲得したのは2度しかない。前年度の覇者、星野源「恋」が通算11回獲得したことを考えると、大きな差があるように思える。だが、トップ10位以内には、「Lemon」は41週連続、「恋」は通算36週留まっていて、この点において「Lemon」のほうが長きにわたってヒットし続け、年間首位にふさわしい記録を今もさらに更新していることが分かる。ラジオ、ダウンロード、ルックアップ、Twitter、動画再生の5冠を獲得、まんべんなく高ポイントを積み上げた「恋」と異なり、「Lemon」は178万超のダウンロード数が大きく牽引している。このダウンロード数と、前年度の「恋」同様に2億回を超える動画再生数が、「スマホから生まれるヒット」を生みだしたと言えるだろう。
一方、総合2位となったDA PUMP「U.S.A.」はどうか。荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー」のリバイバル・ヒットの展開をなぞるかのように、SNSで話題→動画再生数急伸→ストリーミングとダウンロードでロング・ヒットのサイクルに至った。ダウンロード、ストリーミング、動画再生の3指標で2位を獲得し、なかでも本楽曲を使用した動画の再生数はのべ1億8千万回以上。2億回前後の再生数をマークする楽曲が2曲生まれたのは今年が初めてで、こちらも「スマホから生まれるヒット」の典型だと言えるだろう。
▲ 「U.S.A.」MV
もはや主流となった「スマホから生まれるヒット」は、スマホ画面の大きさからなのか、米津や星野など、様々な指標で高ポイントを挙げ得る楽曲を生みだすソロ・アーティストがシーンを牽引し、大人数のグループや、デジタル領域での展開に後れを取るアーティストにとっては不利な状況となったことが徐々に明確になってきている。
アイドル勢として、トップ10には欅坂46「ガラスを割れ!」総合3位、乃木坂46「シンクロニシティ」総合6位、「ジコチューで行こう!」総合7位、AKB48「Teacher Teacher」総合10位がチャートイン。例年通りシングル・セールスで大きくポイントを積み上げる一方で、坂道グループは、ルックアップとダウンロード、ストリーミングでもポイントを積み重ねている点が躍進の原因だ。軸足をフィジカルに置きながらも、同時にデジタル領域でのパフォーマンスも求められるのが、今のアイドル・シーンと言えるのではないだろうか。
▲ 「ガラスを割れ!」MV
そしてもうひとつ、坂道グループをルックアップとダウンロード、ストリーミングで上位に押し上げたのはその歌詞にも起因すると考えられる。
年間ランキングを俯瞰すると、上位楽曲の歌詞における世界観に共通点が見えてくる。それは、「孤独」が前提であることだ。ランダムに歌詞をピックアップしてみよう。
「どこかであなたが今 わたしと同じ様な 涙にくれ 淋しさの中にいるなら わたしのことなどどうか 忘れてください」(米津玄師「Lemon」)
「リードで繋がれなくても どこへも走り出そうとしない 日和見主義のその群れに 紛れていいのか?」(欅坂46「ガラスを割れ!」)
「悲しい出来事があると 僕は一人で 夜の街をただひたすら歩くんだ」(乃木坂46「シンクロニシティ」)
「僕はいま 無口な空に 吐き出した孤独という名の雲」(菅田将暉「さよならエレジー」)
「孤独」を前提とする世界観は、ニュース・メディアの政治や社会面で語られるべき「断絶」や「分断」と同じ目線に立っている。スマホが紡ぐ数々のヒット曲は、「共有」から「孤独」「断絶」「分断」が共通認識である局面へ既に移行していたことに気づかされる。一方、DA PUMPやTWICEの徹底的なまでの明るさはどう捉えるべきだろう。つまりは、「孤独」と「非・孤独」の両極に大きく揺れ動く現代がみえてくる。
「今」を切り取る「ランキング」ではなく「過去」「未来」「今」を映し出すヒット「チャート」として、JAPAN HOT100は2018年12月にカラオケ指標を加え、合計8種類のデータから、より精度を上げてヒット曲を読み解いていくことが可能となった。ヒット曲が世相を反映するのは昔も今も変わらない。そしてチャートの精度が上がれば世相を読み取ることに繋がることは自然な帰結で、ここから見えてくる現代の姿も決して見過ごすことはできない。
「孤独」の先には一体なにがあるだろう。徹底的な「孤独」か、一人じゃない「ふたり」か「みんな」一緒か、それとも新たな世界観なのか。シーンを牽引する先進的なアーティスト達が紡ぐであろう、次のヒット曲にこれからも注視していきたい。
DAOKO × 米津玄師
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2017/08/16 RELEASE
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乃木坂46
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乃木坂46
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2018/8/8 RELEASE
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2018年の総合アルバム・チャート【Billboard JAPAN Hot Albums of the Year2018】は、安室奈美恵のベスト・アルバム『Finally』が首位を獲得、同チャート史上初となる2年連続首位獲得という偉業を成し遂げた。昨年度に引き続き、フィジカル・セールスとルックアップで2冠を達成している。
2017年11月8日にリリースされた『Finally』は、その約1か月前に伝えられた引退発表の話題も後押しして、同年間チャートの集計期間ラスト3週で150万枚近くのCDセールスを記録し、ルックアップもトップを維持、驚異的な追い上げで昨年度の年間“Hot Albums”首位を獲得してみせた。
そんな『Finally』のチャート・アクションは2018年度の集計に入っても高水準で、CDセールスの発売以来累計は230万枚超にものぼり、ルックアップは初登場から計55週、トップ10から漏れることはなかった。それぞれの推移を見てみると、発売から今年1月いっぱいまでは引退発表の余波がセールスを盛り上げ、その勢いがやや落ち着いてきた2月から6月まではラスト・ツアーの影響もあって、ルックアップが上位チャートインを下支えしている。そして9月16日の引退日周辺では、再びセールスが活性化し、その売上枚数は年末年始のそれと並ぶほどに。音楽聴取の主媒体が着実にデジタライズしていく中、そういった業界の風潮から距離を置く形で配信未解禁のまま、近年まれに見るロングヒットを記録した『Finally』は、流行り廃りに関わらず、長きに渡って聴かれ続けていくに違いない。
2位以下には全指標でバランスよくポイントを積み上げつつ、特にダウンロードとルックアップが強いアーティストの上位チャートインが目立つ。中でも総合2位を獲得した米津玄師の4thアルバム『BOOTLEG』は、今年度の集計で10万DL超を売り上げてダウンロード2位となり、ルックアップに至っては、圧倒的なCDセールスを誇る安室奈美恵『Finally』と比べても遜色ないポイントを記録して2位をマーク。そのCDセールス順位が11位であることを考えると、レンタルの需要も相当に高かったことがうかがえる。
また米津はほかに、2nd『YANKEE』を28位、3rd『Bremen』を56位、1st『diorama』を89位にそれぞれ送り込んでおり、これまで“米津玄師”名義で発表してきた全アルバムが100位内にエントリーしている。最新作のロングヒットと過去作の再評価、どちらも米津が今年最もファン層を拡大したアーティストであることを如実に物語る快挙と言えるだろう。
総合3位には宇多田ヒカル『初恋』、4位にはサザンオールスターズ『海のOh, Yeah!!』と中堅~ベテラン勢が続く。どちらもCDセールス、ダウンロード、ルックアップの3指標でバランス良く上位をマークしており、幅広い層からの支持が窺える。宇多田ヒカルは今年デビュー20周年、サザンは40周年とそれぞれ節目のタイミングだが、現役アーティストとしての強い求心力がなくては、ここまでの成績を残すことはなかっただろう。
米津玄師『BOOTLEG』を抑え、ダウンロード1位を獲得したのは、映画『グレイテスト・ショーマン』のオリジナル・サウンドトラック。今年1月に国内盤がリリースされた本作は、映画の日本公開週に総合2位までジャンプアップし、これまでに通算3回の1位を獲得している。フィジカル領域での勢いが緩やかに落ち着いていく一方、ダウンロードは根強く上位を維持し続け、“Hot Albums”における洋楽作品の年間順位としては最高位となる総合5位を獲得した。
そのほか、トップ10内にはAKB48、WANIMA、Mr.Children、BTS (防弾少年団)、B'zといった、ジャンルも年代も様々なアーティストの作品が並ぶ。“ストリーミング時代”におけるプレイリスト戦略が日本でも重要視され始めた昨今、アルバム市場が縮小する見方を頭ごなしに否定することはできない。しかし、アルバムがアーティスト本人のキュレーションによるプレイリストであると考えれば、デジタル音楽プラットフォームの乱立と、それに伴うプレイリスト競争の激化が進むにつれ、その需要はむしろ高まっていく可能性すらあるのではないだろうか。
サザンオールスターズ
¥4,000(税込) / VICL-67000/1
2018/8/1 RELEASE
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オリジナル・サウンドトラック
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2018/01/17 RELEASE
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夜明けを知っている』
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2018/1/24 RELEASE
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WANIMA
¥3,240(税込) / WPCL-12817
2018/01/17 RELEASE
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Mr.Children
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2018/10/3 RELEASE
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BTS (防弾少年団)
¥3,000(税込) / UICV-1095
2018/04/04 RELEASE
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B'z
¥3,240(税込) / BMCV-8054
2017/11/29 RELEASE
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『Finally』スタッフ コメント 安室奈美恵の25年間を踏襲した『Finally』という作品を、たくさんの方々にご支持頂いたこと、大変光栄に思います。これからも、安室奈美恵の作品が、皆さまの日々に寄り添い続けられることを心より願っております。(Dimension Point) |
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2018年の年間“Hot Animation”は、映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』の主題歌で、DAOKO×米津玄師の「打上花火」が2年連続の首位を獲得した。
2017年8月21日付の同チャートで初登場首位を飾り、Twitterとダウンロード、ラジオの再生回数でCDのリリースと映画の公開前から求心力を蓄え、その後CDのリリース、ストリーミング、動画の解禁がスタートすると、各指標で他の追随を許さない断トツのポイントを積み上げ、11週連続での同チャート首位を打ち立て2017年下半期からのロング・ヒットを続けている。
▲ 「打上花火」MV
そんな「打上花火」だったが、2018年の上半期同チャートではラジオ、ダウンロード、ルックアップ、Twitterの指標で快進撃を見せた『映画ドラえもん のび太の宝島』主題歌の星野源「ドラえもん」に一度王座を明け渡すこととなった。しかし、動画再生回数とストリーミングの2指標は譲らず、2018年下半期にかけても全くその勢いが衰えを見せなかったことで年間では首位に返り咲き、“聴かれ続けるヒット”の形を証明した。
そして2位に続いたのは上半期で圧倒的な強さを見せた「ドラえもん」がチャートイン。「ドラえもん」は映画とのタイアップが決定した直後の1月29日付同チャートでTwitter1位となったことをきっかけにポイントを伸ばし続け、3月12日付チャートの集計では、ラジオ、セールス、ダウンロード、ルックアップ(CDのPC読み取り回数)、Twitter、動画再生、ストリーミングといった“Hot Animation”構成するすべての指標で文句なしの首位を獲得した。その後下半期で落ち着きを見せ、年間チャートでは「打上花火」に惜しくも一歩及ばずの結果となったが、エアプレイ、ダウンロード、ルックアップ、Twitterの4指標で堂々の1位を獲得している。
上位をはじめ、TOP10は上半期からのロングヒット曲が半分以上を占めている中、6位に菅田将暉「ロングホープ・フィリア」(映画「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE -2人の英雄-」主題歌)、8位にジェジュン「Defiance」(TBS系アニメ『ゾイドワイルド』オープニング・テーマ)、9位にLiSA「ADAMAS」(TVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』オープニング・テーマ)がチャートイン。「ロングホープ・フィリア」はストリーミング4位、ルックアップ6位、動画再生回数7位とデジタル/フィジカル指標共にバランス良くポイントを積み上げている。また、「Defiance」はCDリリース前からTwitterで高いポイントを記録しており、アニメで音源が初オンエアされた際やジェジュンのメディア露出など、話題性との相乗効果でポイントをキープしTwitterの指標では「ドラえもん」に次いで2位を獲得し、セールスでも6位と健闘を見せた。もう一方の「ADAMAS」は、まだ実はCDリリースはされていない。にもかかわらず10月の先行ダウンロード以降、同指標でTOP10を守り切ったうえにTwitterでも6位を獲得した。このように、それぞれの得意とする指標を武器にした様々なチャート・アクションが見られた年間チャートだった。
2018年の総合ダウンロード・チャート【Billboard JAPAN Download Songs of the Year2018】は、米津玄師の「Lemon」が首位を獲得した。2018年2月26日付けチャートで初登場1位を獲得してから、現在に至るまで、実に41週間もの間にトップ10圏内をキープした「Lemon」は、2位のDA PUMP「U.S.A.」と、3倍以上のポイント差を付けて、堂々の1位に立っている。
DA PUMP「U.S.A.」に続くのは、back number「瞬き」と、星野源の「アイデア」だ。映画『8年越しの花嫁 キミの目が覚めたなら』主題歌の「瞬き」と、NHK連続テレビ小説『半分、青い。』の主題歌である「アイデア」は、どちらも映画とドラマのヒットと比例して、ダウンロード数も多く稼いでいる。
続く5位には、2016年11月9日にリリース配信がスタートした米津玄師の「LOSER」。本曲は2017年の同総合ダウンロード・チャートでは48位であったものの、ちょうど「Lemon」がチャートを賑わせていた今年5月にHonda『JADE』のCMソングに起用され、CMオンエア後に36位から3位へとチャートで急上昇。以降、トップ30圏内をキープし、本年度は昨年から大きくジャンプアップして総合5位にチャートインするという飛躍を見せた。
昨年4位だったDAOKO × 米津玄師「打上花火」も、今年は8位と大健闘。昨年のポイント数からあまり数値を下げていないことから、配信から1年以上が経った今でも高い人気を誇っていることが分かる。そして、9位にチャートインした“ぎぼむす”こと、ドラマ『義母と娘のブルース』の主題歌であるMISIA「アイノカタチ feat.HIDE(GReeeeN)」に続くのは、Mr.Childrenの「here comes my love」だ。今年、全シングルとアルバム楽曲のデジタル配信を解禁したミスチルだが、この曲が収録されたアルバム『重力と呼吸』はフィジカル・リリースのみであるため、本楽曲を聴くにはダウンロードするか、アルバムをフィジカルで購入するかの二択のみ。フィジカル・セールスに繋がる“デジタル配信”も、今後の音楽シーンを潤すある種の手かもしれない。
米津玄師『BOOTLEG』が2位に
2018年の年間ダウンロード・アルバム・チャート【Billboard JAPAN Download Albums of the Year 2018】は、映画『グレイテスト・ショーマン』のオリジナル・サウンドトラックが首位を獲得した。
映画『グレイテスト・ショーマン』のサントラは、2018年1月22日付チャートで初登場43位を獲得。映画公開が近づくにつれ、18位→21位→19位とじわじわ順位を上げ、2月16日に映画が公開されると、それまでの週間ダウンロード数の10倍以上となる29,251ダウンロードで首位に。その後も8度首位に輝き、累計43万8791DLで、2018年のダウンロード・アルバム・チャートを制した。
▲ 「This Is Official Lyric Video
続く2位は2017年11月1日にリリースした米津玄師『BOOTLEG』。初登場首位を獲得し、2017年度の年間チャートでは集計期間たった4週で8位に。その後もトップ10位以下となったのは、たった1週のみで、常に10位以内をキープし、2位を獲得した。リリース以降の累計ダウンロード数は54万4413DLで『グレイテスト・ショーマン』を上回ったが11月リリースということもあり、リリース4週は集計期間には含まれず、集計期間中のダウンロード数は39万4037DLで2位となった。また、2016年12月28日にリリースされたback number『アンコール』は2017年の年間チャートで3位を獲得していたが、2018年も全ての週でチャートインを果たし5位に留まった。
その他、2017年のダウンロード・アルバム年間チャートを制した『Mr.Children 1992-2002 Thanksgiving 25』は、2018年も引き続きダウンロードを伸ばし続け9位に。サザンオールスターズは、2018年8月リリースの『海のOh, Yeah!!』が7位になった他、20年前にリリースされた同シリーズの『海のYeah!!』も相乗効果でダウンロード数を伸ばし14位となった。また、2017年に本チャートで、洋楽では最も高い順位を獲得したブルーノ・マーズ『24K・カラット』(2017年は7位)は、2018年も洋楽では最も順位の高い15位を獲得した。
18週連続1位の「U.S.A.」は2位に
2017年の年間ストリーミング・チャートで3位を獲得したDAOKO × 米津玄師「打上花火」が、昨年を約1.8倍上回るポイント数を叩き出し、2018年の年間ストリーミング・チャート1位を獲得した。
2位は、2018年7月9日付ストリーミング・チャートより18週連続で首位をキープし、下半期で怒涛の勢いを見せたDA PUMP「U.S.A.」。続いて、昨年1位のエド・シーラン「シェイプ・オブ・ユー」が今年もトップ3入りを果たした。
トップ10には、菅田将暉「さよならエレジー」や「U.S.A.」ら今年リリースの曲に並び、Mr.Childrenや安室奈美恵の旧譜がチャートイン。他にも、実写映画化が決定したMONGOL800「小さな恋のうた」や、CMソングに起用された[ALEXANDROS]「ワタリドリ」など、今年話題となった旧譜が上位にランクインした。新曲だけでなく、過去の曲にもアクセスしやすいストリーミング・サービスならではの結果と言えるだろう。
また、2017年はトップ100中37曲が洋楽だったのに対し、2018年は20曲と半分近くに減少。今年はMr.Children、宇多田ヒカル、DREAMS COME TRUE、松任谷由実など、多くの邦楽アーティストがストリーミング・サービスに参入しチャートを賑わせたが、来年以降さらに多くの邦楽アーティストが解禁されるであろうことを考えると、この傾向は一段と顕著になっていきそうだ。
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