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米津玄師 Billboard JAPAN HOT100 of the Year 2018 受賞記念インタビュー ―「Lemon」によってまた一つ自由になれたような気がします
2018年のBillboard JAPAN 総合ソングチャート【HOT100 of the year 2018】は、米津玄師「Lemon」が首位を獲得した。2018年2月にダウンロードの先行配信がスタートするとHOT100で初登場2位に。その後も、CD、Twitter、YouTubeなど様々な聴き方によってヒットし、年間チャートの集計期間である11月25日まで、9か月以上にもわたってトップ10以内をキープするというロングヒットとなった。 2018年を振り返り、どんな1年だったか、そして「Lemon」のヒットが、彼にとってどんな影響を与えたのか。米津玄師にインタビューを行った。
――2018年年間チャートで「Lemon」が首位を獲得しました。おめでとうございます。
米津玄師:「Lemon」がここまで広く受け入れられる曲になるとは思いませんでした。ほんの一年前にこの曲を作っていたはずなのに、今では遠い昔のことみたいです。自分の手を離れて想像もつかないような遠いところまで届くようなものになったことを、作曲者として光栄に思いつつも、どこか他人事のような気持ちでもいます。
――普遍性を持つ曲を作ることをいつも意識していると、インタビューなどでお話されていますが、普遍的な曲を作るために、作詞作曲の面で大切にされていることはありますか。
米津玄師:曲や詞を作る以前の、日常生活での話になりますが、人の話を聞くことと、対岸にあるものを侮らないことです。
――「Lemon」は2月に先行配信されてから、9か月以上トップ10以内にチャートインするというロングヒットとなりました。この「Lemon」のヒットは、その後の作品づくりや音楽活動に影響を与えましたか。
米津玄師:「Lemon」によってまた一つ自由になれたような気がします。この曲が大きく燦々と照っていてくれるおかげで、今までは見えなかった選択肢に気づいたり、やりたくてもやれなかったことに手が伸ばせるようになりました。
▲米津玄師 MV「Lemon」
――2018年、最も印象に残った出来事はなんでしょうか。
米津玄師:昨日の夕飯も定かではないくらい物覚えが悪いので、思い出せることは幾つもないのですが、今年はいろんな人と会えた年だったような気がします。子供の頃から尊敬している人や、刺激を受けてきた人とたくさん会うことができました。これも「Lemon」が広く行き渡ってくれたおかげだと思います。
――「Lemon」は、ダウンロードやYouTubeなど様々な聴き方で多くの人に浸透しヒットしました。デジタルで、手軽に音楽を聴くことができるようになった今、CDとはどんな存在だと思いますか。
米津玄師:いったいいつまでCDで音楽を届けることを続けられるんだろう?と思います。 中学生の頃、カセットテープやMDや8cmCDで音楽を聴いていた時のことを思い出します。いつかCDが昔を懐かしむものになったとき、こんなの作ってたなーと感慨に耽ることができるように、手にとって気持ちのいい装丁でCDを作りたいと今は思っています。
――もうすぐ2018年が終わります。今年のヒット曲を3曲選ぶとしたら?
米津玄師:個人的に好きでパッと今、思いついた曲はスネイル・メール「Heat Wave」、Sen Morimoto「Cannonball」、XXXTentacion「Moonlight」です。
▲スネイル・メール「Heat Wave」
▲Sen Morimoto「Cannonball」
▲XXXTentacion「Moonlight」
――2018年は、どんな年でしたか。
米津玄師:色々と身の回りの環境が大きく変わった年でした。だけど自分自身の生活習慣や心持ちが大きく変わったわけではないので、そのギャップにびっくりして時々アキレス腱を切りそうになることもあります。
――2019年は、どんな1年にしたいですか。
米津玄師:特に何か大きな目標があるわけではないですが、気を抜かずに、楽しく音楽を作れたらいいなと思います。