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DEPAPEPEに聞く。《押尾コータロー&梶原順》先輩ミュージシャンとの関係



 「インスト・ミュージックをポピュラーに」というコンセプトを掲げて、2005年のデビュー以来、メジャー・シーンを駆け抜けてきたDEPAPEPE。今年でデビュー14年目。ちょうど若手から中堅の領域へと進みつつある彼らが、この秋、2つの象徴的なコラボレーション・プロジェクトを実施する。一つは先日ユニットとして初のアルバム『PICK POP! ~J-Hits Acoustic Covers~』をリリースし、11月にはツアーも実施する押尾コータローとの“DEPAPEKO”。そして、この10月に、彼らが師と仰ぐ梶原順を招いて開催する【Just Do Playing Live】(JDP)ツアー。関係性に違いはあれど、いずれもミュージシャンとしての“先輩”との共演の舞台が続く。今回はDEPAPEPEの2人に、改めて押尾と梶原という先輩ミュージシャンたちとの関係について話を聞いた。

押尾コータローとDEPAPEPE

CD
▲『PICK POP!』

――改めて『PICK POP!』のリリースおめでとうございます。今日はミュージシャンとしての“先輩”ということをキーワードにお話をうかがえればと思います。まずは押尾コータローさんとの関係について。

三浦:もちろん先輩ではあるんですけど、世間一般で言う“先輩”のイメージでは全くないですね。押尾さんがよく仰っている言葉で「DEPAPEKOはギター同好会だから」っていうのがあって、ギターを弾いて一緒に楽しんでいる“お兄ちゃん”的な存在かなという気がします。もちろん、アコースティック・ギターを弾くギター・インストのポップな道を切り開いてくれた人で、押尾さんがいたおかげで、僕らがデビューした時には目の前に“道”が出来ていました。押尾さんのファンも僕らの音楽を聴いてくれましたし、自分たちで自分の音楽を説明する時も「押尾さんみたいな音楽を2人で弾いてるユニット」って説明することができました(笑)。

徳岡:インスト・ミュージックでも“ポップス”としてチャレンジしている感じは、押尾さんも僕らもすごく意識してきたところだと思います。だから、押尾さんと曲を作ったり、ライブをしたりしていても、近しい感覚で出来ているなと感じますね。もちろん、僕らからしたら先輩ですけど、音楽的な部分で気を遣うことは少ないですね。

三浦:後輩は後輩ですけど、同じシーンを一緒に盛り上げていく“同志”みたいにも思ってくれているのかなと思います。

――なるほど。一方で、プレイヤーとしての押尾さんは、どう写っていますか?

三浦:もう10年以上、一緒に弾かせて貰ってますけど、いまだに「どうやって弾いてるんだろう?」って思います(笑)。もちろん、プレイスタイルも全然違うんですけど、毎回、ある種のサプライズ感があるというか。今回、DEPAPEKOとしては初めてガッツリ一緒にレコーディングしたんです。そうすると「あ、こういう風に録ってるのか!」とか「アコースティック・ギターって、こんな音も鳴るんだ!」とか色々な発見があって、改めて押尾さんのすごさを実感しました。


▲押尾コータロー "15th Anniversary LIVE" Digest

――より具体的には?

三浦:例えば、アコースティック・ギターって僕らのやっているようなチューニングだと、低音の音域ってある程度は決まっているんですけど、押尾さんはもっとチューニングを下げた演奏もするんです。パームっていう打撃音も使いつつ、ロウ感やリズムを強調したプレイをする。それは普段のDEPAPEPEのサウンドには無いものなんです。同じ楽器を使っていても。その中で、僕らがもっと中域から上の音域を担って、アコースティック・ギター3本なのにアンサンブルとしてすごく豊かなものになっていて。これは二人の時にはなかった効果だなと。だから、すごく勉強になりました。もちろん、自分で出来るか?とって言ったら別なんですけど(笑)。

――(笑)。今回、演奏部分で特に苦労したところは、どんなところでしたか?

三浦:乱暴な分け方をすると、今回は、徳岡さんが主メロ担当=歌手、押尾さんがベースとかドラムとか鍵盤系のコード感を出す=バンド、僕がその真ん中でストリングスのラインとか、ギタリストのフレーズとか原曲の色んなアレンジを担当する、という感じでした。だから、ピコピコしてるのは僕だったりして(笑)。もちろん、その中で入れ替わったりとかもありつつ、全員が密にアレンジされているので、演奏も気が抜けないんです。「恋」のカヴァーとかは、もともとの長岡(亮介)さんのフレーズも細かくて、そのニュアンスも気にしながら、一方でストリングスのラインも演奏したりして忙しないですね。でも、楽しいです(笑)。

徳岡:僕はメインの歌メロを弾く箇所が多くて、それに対して「これで良いのかな?」と考えることは多かったですね。本来歌詞があるもの、ということもそうですし、今回は、歌メロもストレートになぞって消化する方針で。本来はギターって結構“崩せる”楽器ですけど、あんまり崩し過ぎて自己満足になるCDにはしたくなかった。普通の人も聴いて楽しめるCDにしたかったんです。じゃあ、それをしない方向で、どうやって弾いていけば良いのか?ということは結構考えましたね。結局(楽曲全体の)ガイドラインになるのかな?とか。今後(『PICK POP!』の)第二弾や第三弾があったら、その辺りも少しずつ変わるのかなと思います。

――なるほど。

徳岡:あとはキーの問題もありましたね。今回は原曲キーのままのカヴァーが多くて…

――歌とギターだと、歌の方が、キーが低くなりがちですもんね。

徳岡:そうなんです。でも、高くすると今度は高過ぎたりして。それにギターという楽器自体、低い音域の方が“おいしい”楽器でもある。でも、それだとアンサンブル的に抜けて来ない、みたいなジレンマみたいな部分が難しかったです。


▲DEPAPEKO (押尾コータロー×DEPAPEPE) 『チョコレイト・ディスコ』(Music Video / Short Version)

――11月からのツアーも3人だけの演奏になるんですか?

三浦:そうです。

――気が抜けない、密な演奏になりそうですね。

三浦:息が出来ないんじゃないかな、と思います(笑)。でも、それを経て、また成長できるような作品ができたと思いますね。

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梶原順(JとB)とDEPAPEPE(とインスト・シーンと)

――押尾さんは先輩・後輩という部分もありつつ、同志として同じ道を歩んできた仲間でもある。では、一方で、ビルボードライブで共演する梶原さんとは、どういう関係性になるのでしょうか?

三浦:梶原さんは先輩というより師弟関係に近いかも知れないですね。もともとDEPAPEPEは、梶原さんと浅野“ブッチャー”祥之さんがやっていた“J&B”を観て結成しているので、スタイルから何から憧れの存在なんです。もちろん、テクニックとかはまだまだ全然追いつけないんですけどね(苦笑)。今でも、会うたびに「こういうテクニックがあるんだよ」って教えて貰ったりして。DEPAPEPEがストローク奏法でパンキーにやりたいって思うようになったきっかけも、ブッチャーさんと梶原さんですね。


▲J&B Live in FabFour Osaka Sound Check(2002年)

三浦:もともと、僕も徳岡さんも神戸のチキン・ジョージっていうライブハウスで働きながら、バンドでエレキ・ギターとかを弾いていて、僕なんか最初はアコギも持ってないくらいだったんです。その頃にJ&Bがたまたま2人で演奏するタイミングがあって、最初は「アコギ・デュオかぁ~」とか思いながらホールで観ていたんです。で、「バラードとかをたくさんやるのかな」とか思っていたら、全然違くて。カッティングをいっぱいして、ファンキーで、アコギだけなのにロック・ギターみたいに僕には聴こえたんです。「めちゃくちゃカッコいい!」って思って。そこからですね。(徳岡と)2人で「ああいうことをやってみたいよね」って言って、アコギを演奏するようになったのは。だからJとBを観なかったらアコースティック・ギターも買わなかったと思います。それ位、影響を受けていますね。

徳岡:僕は当時からアコースティック・ギターは持っていたんですけど、バンドでアコギを使った曲をコピーするために持っていたくらいで、そこまでアコギをメインに弾こう、とは思っては無かったですね。

三浦:それまでは「2人で何かをやろう」っていうことも無くて。でも、スタッフみんながJ&Bが大好きで、僕と徳岡さんとはギター弾いている同士だったので、「じゃあ真似して、やってみない?」みたいなところからスタートしました。

――まさに結成のキッカケなんですね。

三浦:いまでもライブとかでご一緒出来る時は、空き時間でギターを教えて貰ったりします。

徳岡:僕らは16ビートの曲が多いんですけど、そこでのメロディの取り方とか、スピード感の出し方は、JとBからの影響ですね。いまだに、アコースティック・ギターで、そういう16ビートの感じを出せる人って、そんなに多くはなくて、憧れてます。


▲DEPAPEPE 『SUMMER PARADE』

――インストのギター・デュオとして、ロールモデルになるミュージシャンもそこまで多くはなかった?

徳岡:山弦さんとかもいらっしゃいましたけど、どちらかと言うと緻密なアレンジの部分で魅了されて、セッション感みたいな部分ではJ&Bの存在が大きかったですね。

――その後、音源で初めて共演したのはいつですか?

CD
▲『GIFT』

三浦:JとBの最後のアルバムの『GIFT』(2006年)が初めてですね。「ロング・トレイン・ランニング」を一緒にやりました。ブッチャーさんと最後に共演できたのも、その時が最後でしたね…。

――今回、改めて梶原さんと同じステージに立つことになったのは?

三浦:ちょうど10年ほど前に【JとBとDとP】という形でツアーを廻ろうっていう話があって、前期のツアーも終えていたんですけど、その後期が始まる前に浅野さんが亡くなってしまって。その後、意志を引き継いで、梶原さんと【JDPツアー】を廻ったんです。今年はそこからちょうど10年で、区切りも良いし「改めてやりませんか?」という話を去年させて貰いました。それが今回のライブですね。

――なるほど。いま改めてこの10年を振り返ってみて、いかがですか?

徳岡:まだまだ梶原さんについて行くだけで必死なのは変わらないです。でも、10年前は一緒にやるだけで精一杯という感じでしたけど、この10年で僕らのスタイルも確立されてきて、そういう意味では、音楽を楽しめる部分も、ほんのちょっとですけど、増えたかなと思います。もちろん、緊張はするし、梶原さんのギターを聴いたら、到底、太刀打ちできないな…っていう部分は今でもあるんですけど、昔みたいにガチガチってほどではないと思います。

三浦:僕らからしても贅沢なんです。梶原さんのプレイを真横で観れるので(笑)。この10年間、何度も一緒に共演させて貰ってますけど、毎回「凄いな!」と思います。今回も、お客さんには申し訳ないですけど…僕が横で一番ウキウキしているかも知れないです(笑)。梶原さんのすごいプレイをリスナーの皆さんにも観てもらいたいですし、僕らも追いかけて追いかけて、頑張ってプレイしようと思うので、そういうパッションの出ているところも観て欲しいなと思います。

徳岡:本当に初心ですね。身が引き締まるツアーです。

――今日は“ミュージシャンとしての先輩・後輩”という部分でお話を聞いてきましたが、押尾さん、梶原さん以外に、お2人にとって「この人はDEPAPEPEにとって欠かせない」と感じる人はいますか?

三浦:言い出したらキリがない位います。ライブやレコーディングでサポートして来てくれたスタジオ・ミュージシャンの人もそうですし、そもそも僕らがデビューする時に「ポップ・シーンで行こう!」って考えてくれたレコード会社の人とかもそうです。その人たちがいなかったら今のDEPAPEPEはないわけで。だから「インスト・ミュージックをポピュラーに」っていうのを、デビューから10年以上かけて、皆の力で現実に出来てきたのかなと思います。

徳岡:今年でデビューしてから13年が経ったんですけど、その中でも最近はNAOTOさんとの出会いが大きかったですね。一人で侍のように頑張っている人たちに関わらせて貰う機会が増えてきたのが、この5年くらい。NAOTOさんはすごいバイオリニストだから緊張もするんですけど「トップの人ってこういうことだよな」とも思うんです。ストイックだしポップだし、厳しい一面もありながら優しい。そういうミュージシャンの人と関われているのは、すごく嬉しいですね。世の中には、僕らよりもっとレベルの高いギタリストもたくさんいる中で、僕らみたいなスタイルのミュージシャンを選んでくれて「一緒にやろう」って言ってくれるのは嬉しいですね。


▲NAOTO - Let's Party!!! feat DEPAPEPE(Short ver.)*MBSラジオ「交通情報」テーマ曲

――NAOTOさんもDEPAPEPEも、クラシックやインストのルーツはありつつ、ポップの方を向いているという志の部分で共通する部分があって、だからこそシンクロするという面もあるのかも知れませんね。では最後の質問です。DEPAPEPEも来年デビュー15周年で、その間にインスト・シーンの様相も大きく変わったと思います。例えば今後、「インスト・ミュージックをポピュラーに」というキャッチ・コピーを変えるとしたら、どんなものに変えたいですか?

三浦:そうですね…。いまインスト・シーンはすごく盛り上がっているので「インスト・シーンをポピュラーに」って改めて掲げるのは、少しおこがましいかも知れない(笑)。たぶん、もし変えるとしたら、もっと純粋に、ジャンルの垣根とかに関係なく「音を楽しむ」っていうことがテーマになっていけば良いのかなと思います。そうですね…良いキャッチフレーズ、バシッとしたのを考えておきます(笑)。

DEPAPEKO(押尾コータロー×DEPAPEPE)「PICK POP! J-Hits Acoustic Covers」

PICK POP! J-Hits Acoustic Covers

2018/09/19 RELEASE
SECL-2320 ¥ 3,300(税込)

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Disc01
  1. 01.チョコレイト・ディスコ
  2. 02.恋
  3. 03.Gee
  4. 04.夢芝居
  5. 05.Dragon Night
  6. 06.TECHNOPOLIS
  7. 07.恋するフォーチュンクッキー
  8. 08.ラブ・ストーリーは突然に
  9. 09.ひとり
  10. 10.START
  11. 11.翼 ~you are the HERO~
  12. 12.For You

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