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ジャズチャートを賑わすBNLTシリーズ復刻盤特集
70年代後半、ブルーノート発掘プロデューサー、マイケル・カスクーナにより、50年代から60年代にかけて制作された未発表音源のリリースが始まりました。その内容はなぜお蔵入りとなったのか不明なほど充実したもので、ジャズ史的にも非常に価値ある作品群でした。
今回EMIによって3ヶ月連続でリリースされた33タイトルは、79年から81年にLPでリリースされた40数タイトルから純正ブルーノート原盤といえるものだけをマイケル・カスクーナ本人の全面監修のもとで復刻、全タイトル原文ライナーノーツの日本語訳、カスクーナによるミニ解説付き、24ビット192Hz最新リマスタリング、999円限定盤と、まさに“まとめ買い”必須の丁寧なリイシューとなっています。
国内ジャズファンの注目度は当然高く、7月からリリースされるごとに、ジャズチャートにこれらのタイトルが一気にチャートインし、“ブルーノート最後のコレクターズ・アイテム”の期待に違わぬ勢いを見せています。
本特集では33タイトルのうち、入門編として、なかでも復刻数の多いアーティストをピックアップしてお届けします。
リー・モーガン(1938〜1972)
ハード・バップの代表的トランぺッター。ブルーノートで最も多作のひとり。63年にリリースされた『The Sidewinder』で8ビートをいち早くジャズに取り入れてブレイクした。
『ソニック・ブーム』
TOCJ-50271
詳細・購入はこちらから67年録音。レイ・チャールズとの共演で知られるファットヘッド・ニューマン(ts)が参加していることで有名だが、明らかに『The Sidewinder』以降であることを感じさせる、安定感ある作品。
『タル』
TOCJ-50283
詳細・購入はこちらから68年録音。ジョージ・ベンソンが参加していることにより、70年代のサウンドの先取りの印象が強い。72年にモーガンが亡くならなければ、と想像せざるを得ないサウンドだ。
『トム・キャット』
TOCJ-50294
詳細・購入はこちらから65年録音。『The Sidewinder』ヒット後、路線が違うのでパスされた作品。カーティス・フラー(tb)、ジャッキー・マクリーン(as)参加により、3管によるファンキーなアレンジは、モーガンの充実期を実感させる。
『インフィニティ』
TOCJ-50294
詳細・購入はこちらから65年録音。こちらもマクリーンとの共演による60年代のハード・バップの有り様を実感できる派手目のパフォーマンス。表題曲における勢いあるモーガンのソロは勿論、両雄のソロを煽るビリー・ヒギンス(ds)のドライヴ感も絶妙。
ハンク・モブレー(1930〜1986)
滋味溢れる演奏で知られるテナー・サキソフォン・プレイヤーであるとともに作曲家としてもその奥行きのある作風で知られる。代表作とされる60年の『Soul Station』と『Roll Call』で名声を確立、60年代の各リーダー作はそれらに引けを取らないクオリティを誇る。
『ア・スライス・オブ・ザ・トップ』
TOCJ-50279
詳細・購入はこちらから66年録音。本作品がリリースされなかったことにモブレー本人も残念がる内容に驚嘆。特にリー・モーガンを含む5管オクテットによるブラス・アンサンブルは、他作品には見られず、非常に貴重といえる。
『シンキング・オブ・ホーム』
TOCJ-50288
詳細・購入はこちらから70年録音。ブルーノートに残した最後のセッション。コンポーザーとしての実力を十二分に発揮した「シンキング・オブ・ホーム組曲」は、様々な情景を聴き手に想起させ、その独創性が来るべき70年代を予感させる、凄みある“組曲”である。
『サード・シーズン』
TOCJ-50296
詳細・購入はこちらから67年録音。『ア・スライス・オブ・ザ・トップ』に続き、リリースされなかったことに今度はカスクーナが残念がる逸品。リマスタリングされたことにより、モブレーの自称"丸い"テナーのサウンドをより体感でき、彼の魅力を再確認させられる。
ジミー・スミス(1925〜2005)
50年代半ばからハモンド・オルガンを使用、ジャズ・オルガンのイメージを一新する"ソウル・ジャズ"のパイオニアとして活動を続けた。58年『The Sermon!』、64年『The Cat』、72年『Root Down』が代表作。
『コンファメーション』
TOCJ-50271
詳細・購入はこちらから58年録音。ブロードウェイのホテルの舞踏場で録音された歴史的マラソン・ジャム・セッション『ハウス・パーティ』と『ザ・サーモン』の未収録曲集。リー・モーガン、ティナ・ブルックス、ケニー・バレルなど、ほぼ皆当時二十代(!)のブルーノート・オールスターズによる熱いセッションが聴ける。
『クール・ブルース+3』
TOCJ-50291
詳細・購入はこちらから58年録音。『コンファメーション』セッションの6週間後、彼のホーム・グラウンド“スモール・パラダイス”でのライヴ。前作の熱気をそのままに、かつホームならではのリラックスした雰囲気は、ジミーの新しいオルガン・スタイルの未来をアピールするには格好の場となった。
『オン・ザ・サニー・サイド+2』
TOCJ-50294
詳細・購入はこちらから57〜60年録音。リラックスした演奏で聞こえてくるのは、ケニー・バレル(g)との相性の良さ。トリオやカルテット編成の行間を生かしたアンサンブルは、スタンダード曲であることもあって、そのソウルフルな演奏を心ゆくまで楽しむことが出来る。
ボビー・ハッチャーソン(1941〜)
その高い演奏技巧とモーダルな音楽性がヴィブラフォンに新たな息吹を与え、63年ジャッキー・マクリーン『One Step Beyond』、64年エリック・ドルフィー『Out to Lunch』、アンドリュー・ヒル『Judgement』で新主流ジャズの一翼を担う存在となった。ハービー・ハンコックとの共演で知られる『Happenings』(66年)は、全面ピンクのジャケットの鮮烈さも相まって代表作とされる。
『スパイラル』
TOCJ-50280
詳細・購入はこちらから68年録音(最後の曲のみ65年)。名のあるメンバーによるアンサンブルであるのにメンバーの音それぞれよりも楽曲全体の雰囲気に意識が向くのがハッチャーソンの一連のリーダー作の特徴か。本作もまた、60年代後半のブルーノートが誇る創造的な作曲家3名(ハッチャーソン、カウエル、チェンバース)による、古典と革新を両立させた今でも色褪せない音世界が広がっている。
『パターンズ+1』
TOCJ-50291
詳細・購入はこちらから68年録音。ジェームス・スポーディング(fl,as)が参加し、64年に亡くなったエリック・ドルフィーを想起せずにはいられないフルートの存在が、アルバム全体にある種の緊張感を感じさせる結果をもたらした。またスポーディング作曲の「A Time To Go」はマーティン・ルーサー・キングに捧げた静謐な名演。
『メディナ』
TOCJ-50298
詳細・購入はこちらから69年録音。ハロルド・ランド(fl,ts)との共演作『スパイラル』の姉妹編と成る本作は、変わらぬ高い音楽性に驚かされる。本セッション直前に覚えたらしい(ライナーノーツより)ハロルド・ランドのフルートによる「オリエンテール」はタイトル通り東洋的な雰囲気を醸し出し、アルバム全体に良い影響を与えている。
NEWS
ブルーノートBNLA999シリーズ 2012年11月より発売開始予定!
ブルーノート70年代の軌跡がここに!ホレス・シルヴァーやボビー・ハッチャーソンの新局面に加え、電化したドナルド・バードやマリーナ・ショウ、アール・クルーなどフュージョン勢も肩を並べるブルーノート大変革期の作品群にご期待下さい。
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