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ファンキー加藤『希望のWooh』インタビュー
2018年は序盤からフルスロットルで日本中を駆け巡っているファンキー加藤。八王子凱旋公演【I LIVE YOU 2018 in HACHIOJI】にて「ソロで再び東京ドームまで目指していく」決意表明をした件、【全日本フリーライブツアー~超原点回帰~】で出逢った人々とのふれあいから生まれた新作『希望のWooh』、その歌を皆の希望にできたらという想い、自分を変えてくれたプロレスへの愛と、今回も「これを読まずにファンキー加藤を語るべからず」なインタビュー内容となっております。ぜひご覧ください!
ソロでも東京ドームまで「まっさらな気持ちで目指し続けている」
--今年2月24日と25日にエスフォルタアリーナ八王子にて開催されました【I LIVE YOU 2018 in HACHIOJI】。加藤さんにとって凱旋公演ということもあってか、ソロになってから初めて具体的な目標を掲げましたよね。ソロでも東京ドームまで再び登り詰めていくストーリー。それを自らの言葉でスタートさせた象徴的な1ページとなりました。
ファンキー加藤:最初の段階ではまわりのほうが「八王子だから!」みたいな、それこそ「ここからまたリスタートを!」みたいな風に盛り上げてくれていたんですけど、僕自身の中ではその前から物語はずっと続いていたので、八王子だからと言って「改めてここで!」みたいな確固たる信念を持ってステージに上がった訳ではなかったんです。でもやっぱり歌っていくうちに八王子のいろんな風景を思い出してきたりとか、昔からの友人が遊びに来てくれていてその姿がステージ上から見えたりとか、家族も来ていたりとか……その中で「自分自身もどんどんエモくなっているな」という感覚はありましたね。で、MCでも喋ったけど、燻っていた思い出がある八王子の狭間という街にファンの皆さんが全国各地から来てくれた、ということに対してもすごく感動したし、気付いたら通常のライブとは違う意味合いを持ったステージになったなと思いましたね。--それは観客側も同様でしたね。もちろん凱旋公演ということだけでも特別なんですけど、加藤さんのパフォーマンスやMCを観て聴いているうちに「あれ? すごく大切な意味合いを持つ歴史的瞬間に立ち合っているんじゃないか」という感覚になっていきました。
ファンキー加藤:今も【ファンキー加藤 全日本フリーライブツアー~超原点回帰~】で全国をまわっているんですけど、いまだに「八王子、観に行きました」と言ってくれる人たちが日本中にいて。沖縄に行ったときも【I LIVE YOU 2018 in HACHIOJI】のTシャツを着ながら「行きました!」と言ってくれる人もいて、沖縄から東京に来るだけでも大変なのに、さらにそこから片田舎まで来てくれたんだと思ったら嬉しくなりましたけど、そういう状況からも「あの日は決起集会みたいなことになったんだな」と思いましたね。--ファンのギアも上がった感じがありましたよね。
ファンキー加藤:それは間違いなく上がったと思います。--当日のムードであの決意表明があったとのことですが、ずっと抱いていた想いではあったんじゃないですか?
ファンキー加藤:ありましたね、やっぱり。ただ、自分が想像している以上にステージ上で熱くなりました。いつもライブをやるときは、どうにかみんなの心に「一生消えない大切な何かを残したい」という気持ちがあるんですけど、あの日に限って言えば、爪痕どころじゃない……焼印ぐらいの(笑)。--本当にもう消せねーぞっていう(笑)。
ファンキー加藤:そういうモノを残して「もう一生離さねーぞ!」みたいな。--その焼印は自分に対して、というところもありますよね?
ファンキー加藤:あります、あります。決意ということですよね。結果的にそれぐらい強い想いの乗ったライブになりました。--世間の皆さんにあの決意表明がどれだけ凄いことなのか知ってもらうべく、この話をしたいんですけど、ファンモンで東京ドームに立っているじゃないですか。だから「一度立ってるんだからまた立てるだろう」ぐらいの感覚で捉えている人ももしかしたらいるかもしれない。でも日本の音楽シーンの歴史的に、バンドやグループでドームへ行くほどの隆盛を見せた人が解散後ソロで今一度ドームに立つということが、確率的にどれだけ低いのか知って頂きたいなと(笑)。
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--そんな人、片手で数えられる程度しかいないんだぞっていう。
ファンキー加藤:本当そうですよね。--それを知った上で、ファンキー加藤が今一度「東京ドームを目指す」と言ってるんだぞ!というこの重みを皆さん分かってますか?っていう。これを「誰かが言わないと」とずっと思っていたので、今この場を借りて言わせて頂きました(笑)。
ファンキー加藤:なるほどね(笑)。--凄いことなんだぞ!っていうね。それはもう加藤さんが誰よりも分かっていると思うんですけれども。
ファンキー加藤:でもそこに自分の目標というか、夢を置いておかないと……どこかで迷っちゃいそうな気がしたんですよね。さらに言えば、ファンモンの東京ドームというのは「ラストライブ」という意味合いのほうが僕的には大きくて、会場的にはボーナストラックみたいな感覚だったんですよね。元々はアリーナツアーで終わっていく予定だったんですけど、たまたま東京ドームが6月に空いたと。で、果たして「解散」というモノを銘打っていなかったときに東京ドーム2daysがあんな状態になっていたのかなと思うと、僕の中ではちょっとクエスチョンがあって。だから今は「まっさらな気持ちで目指し続けている」という感覚なんです。「一度立てたから」とかではなくて。ただ、身を持ってそういう奇跡的な成り上がりストーリーじゃないですけど、八王子の片田舎からバーン!とあそこまで行けた。それをちゃんと経験できている自負もありますし、もちろん生半可な気持ちで言っている訳ではない。ただバカのひとつおぼえみたいに「東京ドーム、東京ドーム」と言っている訳ではなくて……勇気が結構要ることなんですよね。ああいう場所で宣言するというのは。- 僕自身もイジメを受けていて、音楽に救われた部分がすごく大きかった
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Interviewer:平賀哲雄
僕自身もイジメを受けていて、音楽に救われた部分がすごく大きかった
--ファンモンの東京ドームまでの軌跡は、甲子園的な、高校球児が夢見て日本一を目指していくような、そういう青春大爆発があってこそのストーリーだったと思うんですよね。
ファンキー加藤:たしかに。--それが1周目。ただ、2周目はそれを大人になって、しかもグループではなくソロで実現していくというストーリーになる訳で、絶対的に1周目より難易度が高い。知っているがゆえに「あそこまでのストーリーを今一度描けるのか、俺は」というプレッシャーも出てくると思うんです。
ファンキー加藤:やっぱりね、大変ですよ。大変ですけど、ファンモン結成から10年。今、そのファンモンを俯瞰で見てみると、ド素人だった。ただただ八王子の小さなクラブで出逢ってクソみたいなラップを歌っていた3人組。それがこの10年の中で東京ドームに辿り着く訳ですよ。努力と、人との巡り会わせと、もちろん運と。だから今度は10年どころか20年ぐらいのスパンで考えていれば、もしかしたらもしかするんじゃないかなっていう……すごく強烈な期待感は抱いています。不可能ではないと思いますよ。簡単には考えていないですけど。--それが実現したらもちろん凄いし、それを想像するだけでワクワクする。もちろん20年も経てば年齢的な問題は出てくると思いますけど、でも加藤さんが尊敬する長渕剛さんや布袋寅泰さんはソレをやってのけている訳じゃないですか。前例はある。そこにファンキー加藤が辿り着けるのかどうかのストーリーは、非常に見応えがあります。
ファンキー加藤:迷ったり悩んだりはすると思うんですけど、心折れることなく前に進んでいけたらいいなと思っています。--そんなファンキー加藤のストーリーにピッタリな作品がこのタイミングでリリース。タイトルからして沸き立つ内容ですが、新シングル『希望のWooh』。今作はどんな想いや背景から生まれた楽曲なんですか?
ファンキー加藤:【全日本フリーライブツアー~超原点回帰~】で全国をまわっていると、そこで「はじめまして」もあれば、超久々の再会もあったりして。そんな中、ファンの皆さんがライブ後の握手会とかでそれぞれの不安だったり迷い、悩みを打ち明けてくれるんですよ。それはもうずっと「応援ソング」というモノを中心軸に据えてね、歌ってきたその歴史があるからだと思うんですけど。で、握手会は心苦しいけどすごく短い時間なんですよ。皆さんが悩みを打ち明けている頃には剥がされる(笑)。--じっくり相談に乗るのは不可能ですよね(笑)。
ファンキー加藤:そうなんですよ!--スッキリして帰ってもらうのは難しい(笑)。
ファンキー加藤:でもそんな中でも皆さん涙ながらに打ち明けてくれて、それに対して「本当に応援してるよ。がんばって」という言葉でお見送りすることが多いんですけど。なので、皆さんのネガティブな感情とか弱ってしまった心にもう一度しっかりと寄り添えるような応援ソング、エールを送れる歌というモノを僕はここで作るべきだなと思ったんです。--フリーライブツアーでみんなに会うからですよね。
ファンキー加藤:そう! 毎週末、そこでバチッと合うんです。なので、あんまり悩まずに今回の『希望のWooh』は創りましたね。--面白いですね。特にソロになってから顕著だと思うんですけど、ファンキー加藤の作品はその直前に起きた出来事や出逢いが反映されていく。自分の苦悩から『冷めた牛丼をほおばって』やアルバム作品が生まれ、その先でファンモン時代のように各所のショッピングモール等をまわって、ファンから悩みを打ち明けられていくことによって『希望のWooh』が生まれる。何も嘘くさくないし、ドキュメンタリーだなと感じます。
ファンキー加藤:生まれる曲があまりにも自分自身と近すぎると、聴いてくれる人たちがその曲の主人公になりづらいというか、僕の手元をあんまり離れていってくれないっていうか、例えば「ヒーロー」や「あとひとつ」のように誰かの歌になってくれる、そういうストーリーが生まれづらい。それは重々承知の上で「今」というときを考えるとどうしても内側から出てくる、すごく距離感の近い歌を作ってきたんですけど、今回の『希望のWooh』は2018年春~夏にかけてね、全国で歌っていたファンキー加藤から生まれた曲ですよね。だから矛先が思いっきりみんなに向いている。--これぞファンキー加藤というか、それこそファンモン時代が根底にある誰かの背中を押す歌だと思うのですが、加藤さんが応援歌を歌い続ける要因にはどんなバックボーンがあるんでしょう?
ファンキー加藤:僕自身、中学生ぐらいのときにクラスメイトからイジメを受けていて、さらに反抗期と思春期が重なってグッチャグチャな精神状態だったんですけど、音楽に救われた部分がすごく大きかったんです。いまだにそれが忘れられないというか……--そのときは音楽にどんな救われ方をしたんですか?
ファンキー加藤:曲の主人公になりましたよ。長渕剛さんとかブルーハーツさんとか桑田佳祐さんとか……でも長渕さんの歌にいちばん救われたかなぁ。--加藤さんが好きな、弱虫が強くあろうとする時代の長渕さん?
ファンキー加藤:そうそうそう。「STAY DREAM」っていう曲を自分でギター弾いて……--「もうこれ以上先へは進めない」と立ち止まった訳ですね。
ファンキー加藤:立ち止まりました(笑)。--そこから……
ファンキー加藤:しゅんすけぇぇぇぇぇぇ!(※ファンキー加藤の本名は、加藤俊介)一同:(笑)
ファンキー加藤:そういうときの音楽の力というモノは自分自身が体感しているんで、長渕さんには到底まだまだ及ばないですけど、もし日本のどこかでこの曲を聴いてあのときの僕と同じように……救われる人がいるんだとしたら、まだまだ歌っていく意義があるなと思っています。いつも。ファンモン時代の「あとひとつ」という曲を聴いた東北の方々が「あの曲を聴くと悲しい思い出も蘇るんですけど、そこから再び立ち上がれた思い出も蘇ってくるんです」と言ってくれたり、他にも「息子が高校野球やっていて、あの曲に影響を受けています」とかね。そんなの、歌っている側としては何物にも代え難い喜びじゃないですか。それだけで飯何杯でも食べられる。リリース情報
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Interviewer:平賀哲雄
プロレスラーの鈴木みのるさんに報告したら「よかったじゃねぇか」
--ファンモンの「あとひとつ」は、2010年の『速報!甲子園への道』テーマ曲や『高校野球中継』各試合オープニングテーマ等々高校野球関連番組で多数使用され、高校球児や甲子園フリークからも愛されました。そして、その盛り上がりは社会現象にまでなっていきましたよね。あのファンモンと甲子園のシンクロ率の高さを加藤さんはどう分析されていましたか?
ファンキー加藤:自分でも「神懸かったな」という感覚はありましたよね。ファンモンが2010年当時持っていた熱量というかね……だんだん「応援ソングと言えばファンモン」というイメージが世間に認知されてきたタイミングで、まだまだ泥臭い3人組が甲子園の曲を歌うということに対してガッチリと歯車が噛み合った瞬間だったなって。--マインド的なモノも高校球児やその観客や視聴者と重なった、ということなんですかね?
ファンキー加藤:元々僕は野球少年だったということもあって、高校球児の甲子園に懸ける想いとか一球に込める熱量みたいなモノは、自分なりには理解していたつもりでいたんですけど……あそこまでの広がりを見せたのはやっぱり驚きましたよ。--そのときは高校野球でしたが、今回の「希望のWooh」はテレビ朝日系『ワールドプロレスリング』ファイティングミュージックに決定しました。加藤さんも大好きなプロレスですよ。
ファンキー加藤:これは曲が出来た後から決まったんですけど、マネージャーからLINEでそれを知らされたときにあまりにも胸が熱くなり過ぎて……「ありがとう」の5文字しか返せなかったっていう(笑)。--それぐらいピュアな自分しか出てこなかった訳ですね(笑)。
ファンキー加藤:ピュアでしたね。プロレスからはね、すごくいろんなモノを僕は頂いているので。しかもずっと観てきた『ワールドプロレスリング』という番組だし、そのエンディングで自分の曲が流れるというのは……熱いですよ。すぐ知り合いの、仲良くさせもらっているプロレスラーの鈴木みのるさんに報告したら「よかったじゃねぇか」って言って下さって、「ありがとうございます!」みたいな。--加藤さんがプロレスにハマったきっかけは何だったんですか?
ファンキー加藤:まずおじいちゃんや親父が格闘技好きだったんですよ。親父自身も元々柔道をやっていたし、あたりまえのようにテレビで相撲観て、ボクシング観て、柔道観て、その中にプロレスもあった訳ですよ。プロレスは子供から観ても派手だしね、いろんなキャラクターがいて面白かったし。それで激烈にハマったのは中学生ぐらいの頃かな? さっきも話したように当時はイジメられていて。気持ちは音楽に救ってもらったんですけど、肉体的にはプロレスに救ってもらったんです。要は強さの象徴がプロレスラーだから、あれぐらい強くなれば、あれぐらい何度でも立ち上がることが出来れば、イジメられなくなるんじゃないかと思って。だから中1ぐらいから夜な夜な筋トレを始める訳ですよ。昼はバンドの練習して、夜は筋トレして、まぁ突き詰めていくと長渕剛さんになるんですけど。--本当だ(笑)。知らぬ間に目指していたんですね?
ファンキー加藤:ハハハハ! そんな感じで毎日腕立て100回、腹筋100回、スクワット200回みたいな日々をずっと過ごしていて、それで中3ぐらいになると体つきが出来上がってくる。そうするとイジメっ子たちも焦ってくるんですよ。大胸筋を出して威嚇してるから「あれ? 加藤、最近……」みたいな(笑)。でも目立つから「あいつ、生意気じゃね?」みたいなことになっていく訳です。で、同じ野球部に悪い奴がいたんですけど、そいつが例のごとく僕をいびってきたんです。部活の時間にアレコレ言われて……でもそのときに「あれ、ここかもしれない」と。2,3年懸けて育ててきたプロレス魂を爆発させるときかもしれないと思って、小学生の頃からその悪い奴の手下みたいな感じだったんですけど、初めて反抗したんですよ。そしたらイジメられなくなったんです。--なるほど。。
ファンキー加藤:いじめっ子も「加藤、ヤベぇぞ」と(笑)。だから自分は音楽とプロレスに救われたんです。それから僕の夢はミュージシャンかプロレスラー。でも高校生になってくると音楽はやる場所がありますけど、プロレスはやる場所がないじゃないですか。それでちょっとずつ音楽に照準を絞っていくんですけど、同時にプロレスラーは「果たせなかった夢」になるから、プロレスへの想いもどんどん募っていく。--では、今回の『ワールドプロレスリング』ファイティングミュージックはプロレスへの恩返し的な想いもあるんじゃないですか?
ファンキー加藤:あります、あります。プロレスへの感謝の気持ちは本当に大きいので。--そんなひとつの夢を叶えたファンキー加藤。ここから先、2018年後半はどんな日々を送りたいと思っていますか?
ファンキー加藤:【全日本フリーライブツアー~超原点回帰~】が全国3rdホールツアー【希望のWooh oh TOUR】の直前まで行われるので、このまま駆け抜けてトップスピードのままホールツアーに臨みたいなと思っているんです。で、もちろんずっと応援してくれているファンの皆さんに対してはあたりまえなんですけど、例えば「『ワールドプロレスリング』を観て来ました」とか「たまたま超原点回帰のフリーライブを観て来ました」みたいな方にも孤独感や疎外感を絶対に感じさせない、ファンモン時代の名曲からソロの最新曲まで自分の使える武器をぜんぶ出して、今一度「ファンキー加藤とは何ぞや」というところを示したいなと思っています。ぜんぶやろうかなと思ってます! やれることは全部!リリース情報
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