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【再掲】ザ・リアル・グループ来日記念特集~卓越したハーモニーで世界の頂点を極めたアカペラ・グループに迫る
卓越したハーモニーと、華麗なステージング。アカペラの代名詞ともいえるのが、世界の頂点を極めたザ・リアル・グループだ。スウェーデンを拠点に、ジャズ、ポップス、そしてトラディショナルなフォーク・ソングまでもを、スタイリッシュな男女混声のコーラスワークでリスナーを魅了してきた。デビューして30年経った今も、新鮮な響きは健在だ。間もなくビルボードライブでの来日公演を控えたザ・リアル・グループのバイオグラフィーを追ってみたい。(※2018年8月24日初出)
ザ・リアル・グループは、1984年にスウェーデンの首都ストックホルムにある王立音楽アカデミーの学生が集まり、結成された。結成時のメンバーは、リーダーのカタリーナ・ヘンリソン(アルト・ヴォーカル)の他、マルガリータ・ベンソン(ソプラノ・ヴォーカル)、アンダーシュ・エーデンロット(テナー・ヴォーカル、ヴォイス・パーカッション)、ペダー・カールソン(バリトン・ヴォーカル)、アンダーシュ・ヤルケウス(ベース・ヴォーカル)という5人。グループ単体での活動だけでなく、様々なミュージシャンやオーケストラなどとの共演を行っていく。
ステージでの活動が認められ、ザ・リアル・グループは1987年にアルバム『Debut』でレコード・デビューを飾る。本作は、「All Of Me」や「Night And Day」といったスタンダード・ナンバーの英語曲をメインにしながらも、スウェーデン語のオリジナル・ナンバーも加えており、彼らのオリジナリティを感じられるものだった。1989年に発表したセカンド・アルバム『Nothing But The Real Group』は、スティーヴィー・ワンダーの「Sir Duke」やビートルズの「Drive My Car」といったポップ寄りの選曲がメインとなり、日本を含めた海外展開も見据えての活動によってブレイクした。
▲ 「Pass Me The Jazz」(Södermalm Sessions)
▲ 「Nature Boy」(Södermalm Sessions)
1991年には、オリジナルからトラッドまで全曲スウェーデン語のサード・アルバム『Röster』により、彼らのアイデンティティをアピールした。この当時は、テイク6やロッカペラなどアカペラ・グループが注目された時期でもあり、ザ・リアル・グループも海外進出を積極的に行っていった。1993年には小規模のワークショップではあったが、初来日も実現している。また、1994年にはスウェーデン国外向けのコンピレーション・アルバム『Unreal』も発表し、その活動をどんどん広げていった。この頃、スウェーデンのシルヴィア王妃の生誕50週年を祝したイベントで、元アバのフリーダとともにアカペラでヒット曲「Dancing Queen」を披露して大きな話題となっている。これらの活動によって、1995年には、米国現代アカペラ協会から、アカペラ界の最大の栄誉の1つである「The World's Best Vocal Group」賞を授与された。
▲ 「Dancing Queen」(Frida feat. The Real Group)
海外進出を成功させたとはいえ、彼らはスウェーデン出身であることを重要視しており、1996年にはオリジナル曲をメインとした4作目『Ori:ginal』を発表。スウェーデン語の美しい響きを表現して高く評価された。翌1997年には、地元ストックホルムでのライヴ・パフォーマンスを収録したアルバム『Jazz:Live』で、彼らのリラックスしたステージを体感させてくれた。同年末にはスウェーデン語で歌ったクリスマス・アルバム『En Riktig Jul』で、華麗で楽しいというだけでなく、深遠な世界も表現。1998年には、オリジナル5作目となった『One for All』で、ペルギー出身の世界的ハーモニカ奏者トゥーツ・シールマンスをゲストに迎えて話題を呼んだ。
2000年代に入っても、ますます彼らの活動は活発になっていく。2000年に発表したオリジナル6作目『Commonly Unique』は、全編英語詞のオリジナル楽曲で固め、スウェーデン・グラミー賞のオープンカテゴリー部門で最優秀部門賞を受賞した。また、2002年には再び全編スウェーデン語による7作目のオリジナル・アルバム『Stämning』を発表。この年には、日韓ワールドカップのソウルにおけるオープニング・セレモニーでパフォーマンスを披露し、世界中に彼らの歌声が響いた。日本でもアカペラ・ブームが巻き起こっていたこともあり、ザ・リアル・グループはその先駆者としても高く評価されたのである。
その後も彼らの精力的な活動は止まらず、『Julen Er Her』(2003年)、『In The Middle Of Life』(2005年)、『Håll Musiken I Gång』(2008年)、『The Real Album』(2009年)と力作を作り続け、いずれも本国ではチャート上位を記録した。また、2013年の来日時には、東京と大阪のビルボードライブで『Live In Japan』を収録。日本のファンにはとても嬉しいプレゼントとなった。
▲ 「Live at Rival」
2017年末には、待望のニュー・アルバムをリリース。8年ぶりとなった『Elements』は、近年のライヴでのレパートリーも取り入れたオリジナル作品だ。この数年間でメンバーチェンジもあり、本作ではテナーのアンダーシュ・エーデンロット以外は、エマ・ニルスドッター (ソプラノ・ヴォーカル)、リーサ・エステルグレーン (アルト・ヴォーカル)、モーテン・ヴィンサー(バリトン・ヴォーカル)、ヤニス・ストラディンズ (バス・ヴォーカル)と代替わりしている。とはいえ、彼らの美しく精緻なハーモニーは不変であり、ライヴ・パフォーマンスもさらに強力なものであることには違いない。2018年は、スウェーデンと日本の友好条約が締結されて150周年。その記念すべき年に、国宝級のハーモニーに酔いしれていただきたい。
▲ 「Catch Up, Ketchup!」MV
公演情報
ザ・リアル・グループ
ビルボードライブ大阪:2019/10/23(水)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30
2nd Stage Open 20:30 Start 21:30
>>公演詳細はこちら
ビルボードライブ東京:2019/10/25(金)
1st Stage Open 17:30 Start 18:30
2nd Stage Open 20:30 Start 21:30
>>公演詳細はこちら
関連イベント
The Real Group Special Clinic at Billboard café & dining
スウェーデンが生んだアカペラの最高峰ザ・リアル・グループがビルボードライブ東京での公演開催前夜にアカペラ・クリニックを開催!
ビルボードカフェ&ダイニング:2019/10/24(木)
【講師】
The Real Group
【通訳/指導補助】
北村嘉一郎
【開場 / 開演】
17:30開場 / 19:00開演
【料金】
クリニック参加&見学席35,000円(税込)※1グループあたり
1フード&1ドリンクオーダーが別途必要※1名あたり
※最大4グループまで受付
※1グループあたり約30分間がクリニックの持ち時間となり、それ以外は見学席にて他グループの模様をご覧いただけます。
【クリニック参加予約開始日時】
2019年9月13日(金)11:00~ Peatixにて受付
※お申込みはグループの代表者の方からのみ、枚数は「1枚」として決済を行ってください
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Text: 栗本 斉
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