このライブの直前に彼女との会話で感じ取れたこと。それは、明らかに彼女の精神や考え方が成長を遂げているということ。今、彼女がこういったステージに経って歌をうたうということの意味合いは、デビュー当時から比べると間違いなく深く大きなものになっている。今夜は、学生サミット実行委員会“ACLOF”が主催したイベント「The place of dispatch」のラストを飾るべく、彼女はここZepp Tokyoのステージに登場するわけだが、「チャラチャラ楽しみたい、今日は」、彼女に今夜のライブの意気込みを聞いたらこう答えた（笑）。非常に彼女らしい言葉だと思う。その言葉の本質はこれから始まる彼女のパフォーマンスを見れば分かるはず。

　彼女が敬愛するジャネット・ジャクソンを彷彿させる衣装で身をまとい、あの素晴らしい笑顔を見せながら傳田真央の登場。彼女の名を呼ぶ学生さん達に手を振りながらオープニングは「耳もとにいるよ・・・～Ring the bells～」を披露。ついさっきまで用意された椅子に座り込んでいた会場の人々が、彼女の笑顔と「みんな立ってぇ」という言葉を受けて素直にオールスタンディング。真央ちゃんの「楽しもう！」という意思がその歌声から会場全体に広がると、学生さん達にもい笑顔が。

　2曲目「そして目が覚めたら・・・～3 Little Nights～」を歌い終えると、「真央ちゃん可愛い！」などの声援を聞いて、「ありがとう！みんなもかわいーよ！」と返す真央。「今日は“The place of dispatch”っていうことで、実は真央のベストフレンドが企画に関わっていて、こういうご縁があったんですけど・・・皆さんピュアな、真っ直ぐなエネルギーを持っているなと思って、真央もこうして参加できることを光栄に思います。」、同世代と共に何かが出来る喜びを伝えると、ターンテーブルから流れ出す聞き覚えのあるトラック。なんと「Georgy Porgy」のトラックに乗せて「あなたとふたりで～Be with me all day long～」を披露！エリック・ベネイも驚きの大胆なサンプリング効果もあって、さっきまであったお堅いイベントの空気が溶けだしていく。真央もそれを感じたのか素直な笑顔を見せる。うーん、良い感じ。
　後半はDJに加えてキーボードとアコースティックギターが登場。この形態でまずは、アコースティックなアレンジで「SOME ONE 2 LOVE」を披露。序盤の穏やかな空気が中盤からパーティー感覚に切り替わるアレンジに自然とテンションも高まっていく。立て続けにCOVER ALBUM「DIAMOND KISSES」よりSoul 2 soulのカバー、「Keep on movin'」！ステージをゆっくりと歩きながら、ちょっとハスキーなボーカルスタイル＆ライブならではのワイルドさで学生さん達を煽る真央（新しい彼女が垣間見えた嬉しい瞬間でした）。

　「みんな熱かった？残念なお知らせですが、次で最後の曲です。真央が一番作りながら勇気づけられた曲、心の耳で聴いていただければと思います。」と言って、キャップを取ると、極上のバラードナンバー「Happy Ever After」を披露。今夜最大の感動が巻き起こる。今日のイベントのテーマにも込められている“平和”というキーワード。この“平和”に辿り着く答えは“LOVE”であるということを、この場所から一人でも多くの人へ届け！という想い。そんな想いが彼女の歌から伝わってきたのは自分だけであろうか？これが感動を与える歌声というもの・・・。まだまだ世界中に平和や愛を求めている人はたくさん存在する。しかし、今日、偶然にもここに集まった人々は、彼女の歌声からほんの少しかもしれないが、平和になるためには？の答えを見つけられたかもしれない。

　今ここにいる人々の全てが彼女の歌声を求めて集まってきたわけではない。しかし、アンコールの声は巻き起こった。これは彼女の歌声の魅力が彼らを突き動かした結果だ。満開の笑顔を見せながら一人で登場する真央。スポットライトが彼女だけを照らすと、アカペラで「All my special」を歌い始めた。「Happy Ever After」の中のフレーズではないが、呼吸ひとつひとつに込められた想いがしっかりと伝わってくる。この上ない彼女からの素敵なプレゼントだ。

　今夜は30分程度の短いライブであったが大満足。ちょうど一週間後にまた彼女はライブを行う。この日も自分は彼女を追いかけたいと思う。なぜなら、彼女のライブから感じられる魅力はひとつのライブレポートぐらいでは語りきれないからだ。また新たな魅力を魅せてくれることを期待しつつ、とりあえず今夜の感動を抱きしめながら来週のライブを待とうと思う。