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【YUKI LIVE“5-star”】
2007.11.02(金) at 日本武道館|セットリスト
九段下の駅から出て、皇居を左手に歩いてたら急になんだかワクワクドキドキして顔がニヤけてきた。で、武道館の入口に近付けば近付くほど、なんかもうたまらなくなってきちゃって泣きそうになる。これは、2年前の武道館の思い出がそうさせるのか、俺がYUKIのことを好きすぎるのか、ここにいるYUKIファンがことごとく笑顔でいたせいだからなのか、まぁ多分どれも理由のひとつだとは思うけど、それだけじゃ足りないホープフルな空気が武道館とその辺り一帯を埋め尽くしていた。こんなとんでもない状況でYUKIが実際に目の前のステージに出てきたらどうなっちゃうんだ!?と、生まれて初めて好きなアーティストのライブを観に来たときみたいな心境になっていることに気付く。YUKIの曲でもない外人の曲に合わせてなぜかハンドクラップを始めるオーディエンス。あぁなんかみんなもたまんねぇんだな。
で、灯りが消えたらもう耳の鼓膜が破けるぐらいの歓声。ステージを隠すスクリーンには、めちゃくちゃファンシーな映像が流れている。ウサギさんだったり、スーツを着た時計さんだったり、鳥かごかぶった女の子だったり。そして、とてもメルヘンチックなオーケストレーションが鳴り響いて、映像の中の扉が開かれると、スクリーンが落ちて、『長い夢』のイントロが聞こえだし、次の瞬間、ピンクのミニドレスをまとったYUKIが!まるで初恋の女の子が当時の姿のままで現れたかのような衝撃を受けて、心の鼓動が苦しいぐらい高鳴る。「さびしがり屋は誰だ?」と、手を目の上に当てて客席を見渡すYUKIに、1曲目にも関わらず飛び跳ねながら大合唱を始めるオーディエンス。YUKIも飛び跳ねまくりの踊りまくりの歌いまくりのハイテンションぶりで、振り切れたパフォーマンスを展開。あー俺、今、久々にライブ観て幸せの絶頂ってやつを感じた気がする(笑)。「カモン!ハンドクラップ!」とYUKIが叫ぶと、今まで聴いたことがないぐらいに美しいハンドクラップの音色が響き渡り、曲は『メランコリニスタ』へ。YUKIの背後には、星やウサギや数字の“5”が浮かび上がり、更にファンタジックな世界が目の前に広がっていく。でもYUKIのその声はすごくリアルな温度を僕らに感じさせ、正しく夢のような出来事を現実のものとして強く強く実感させてみせる。続く『the end of shite』では、「行くぞ!武道館!!」と叫びながら右へ左へ拳を何度も力強く振り上げながら全力疾走。もうすげぇとしか言えねーよ、こんなもん!っていうライブをとんでもなくナチュラルに作り上げていく。
「YUKI LIVE“5-star”日本武道館へようこそ!11月2日、ファイナルです。こんなにもたくさん来てくれてありがとう!みんな元気!?」もちろん声の限り反応するオーディエンス。すると、「今日はみんなYUKIを抱きしめに来てくれたんですよね!?」と、YUKI。もうしん・・・そのハートを男女問わず皆、打ち抜かれる。そして誰もがスーパーポジティブなエネルギーを放出したまま曲は『裸の太陽』。YUKIの音楽が、YUKIの歌声が、YUKIの表情が、YUKIの動きが、そのすべてがここにいるみんなを幸せにしているんだと、みんなに確認しなくても分かってしまうこの感じ。もうこんなの、YUKIにしかできない所業ですよ。で、なんでそんなことが彼女にできるのかと、ほんの少し、なんとか冷静さを取り戻して説明させてもらえば、ここに10,000人いるとするならば、彼女はその1万人のどうしようもなくYUKIが好きっていう気持ちを、音楽という魔法の力を借りながら、たった1人で受け止め、その10,000人分の想いすべてに対して本気でレスポンスしてるからだろう。故に今目の前にいるYUKIは、とても人ひとりのモノとは思えないエネルギーを爆発させ、歌い、踊り、笑えるのではないだろうか。で、そんなことをここまで高次元で出来る人を、少なくとも自分は他に知らない。『ハローグッバイ』の最後、「君に!君に!君に!君に!」と、客席の至るところを指さし、「言ってほしい!」と、凄まじい高揚ぶりで伝えたパフォーマンスが何よりの証拠だ。で、その後のMCで「そんなの関係ねぇ×2」「Y!U~~~~K!I!」と、昨今のお茶の間を賑わしている芸人のネタをかましたのもその証拠だろう(笑)。
「みんなまだまだ踊れる!?」「私のワゴンに乗りたい!?」「私のワゴンに乗ってきな!!」この挑発がいちいち可愛くてテンションが上がる(笑)。で、YUKIはここにいる10,000人をマイワゴンに詰め込んで、スピード違反も交通規制もないこの世界で自由に行きたいところへ走り出していく。そしてYUKIが僕らを連れて辿り着いた場所は、たくさんの“Thank you”と“Love”と“joy”が溢れた世界。そう彼女は、YUKIの5周年の誕生会のおしまいに『JOY』と『歓びの種』を披露した。彼女は自分の人生において最も忘れることのできない時期の象徴的なナンバーを歌いながら、満面の笑みととても力強い想いをその声を通して爆発させていく。自身も語っていたが、自分で自分がよく分からなかった時期を超えて、今は様々な想いで歌えるようになったという言葉通り、切なさと歓びと、あと人間の中にあるすべての感情を全身全霊で彼女は聴かせてくれた。
アンコール。「終わりたくないよ」と、本音をもらしながらも人と人の不思議な線、縁を描いた新曲『ワンダーライン』を披露。この曲で描かれていたのは、あの“JOY”のときに彼女が持っていたフィルターから覗いた世界であり、世界はこんなにもたくさんの不思議と感動で溢れた煌びやかな世界であることを、更に確たるモノとなった想いで響かせてくれた。そして、パーーーーーーン!という特効音と共に曲は『星屑サンセット』へ!この5年間を心のままの言葉で伝えた後、彼女はキラキラと輝く川をイメージさせる『プリズム』を最後に歌い始める。「咲くのは、光の輪。高鳴るは、胸の鼓動」と、光に包まれて歌う彼女は、人の、魂の、生命の限りを尽くし、どんな暗闇も覆い尽くせる光の力を猛烈に訴えた者のみが辿り着けるのかもしれない領域にいた。言葉にしてはファンタジーに過ぎないかもしれないが、それでもこうしか書けないから書こう。YUKIはもう光そのものだった。
「私の5才の誕生会にこんなにたくさん来てくれて今日はありがとう。毎日が誕生日のように、毎日が生まれ変わったかのように、皆さんの毎日が楽しく過ごせますように」、YUKIがそう言って大きなバースデイケーキの火を消す。すると、彼女は僕らの目の前から居なくなり、一言のメッセージだけが光の文字で残された。“Every Day Is My Birthday”。
セットリスト
【YUKI LIVE“5-star”】
2007.11.02(金) at 日本武道館
- 01.長い夢
- 02.メランコリニスタ
- 03.the end of shite
- 04.裸の太陽
- 05.ビスケット
- 06.ハローグッバイ
- 07.センチメンタルジャーニー
- 08.スタンドアップ!シスター
- 09.ティンカーベル
- 10.ヘイ!ユー!
- 11.ふがいないや
- 12.キスをしようよ
- 13.バースディ
- 14.66db
- 15.Rainbow st.
- 16.WAGON
- 17.JOY
- 18.歓びの種
- En1.ワンダーライン
- En2.星屑サンセット
- En3.プリズム
Writer:平賀哲雄
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