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CTA来日記念特集:初期~中期のシカゴの名曲を演奏するSPプロジェクトの魅力&来日直前インタビューが到着!

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 言わずと知れたアメリカを代表するロック・バンド、シカゴのサウンドとヒットソングを現代に体現するCTAが4月に来日を果たす。ホーン隊も従えて初期~中期のシカゴの名曲も披露される期待のステージを控え、Light Mellow SearchesでCTAのリリースにも携わった金澤 寿和氏にCTAの魅力をたっぷりと解説してもらった。

来日が直前に迫るCTAのダニー・セラフィンのメール・インタビューとビデオ・メッセージが到着!(2ページ目)

 本家・本元・家元・元祖…。そんな風に「コチラが本物」と主張する言葉があるが、結成から51年目を迎えた超大物バンド:シカゴとその周辺にも、いま何やら興味をそそられる動きが起きている。

 でも誤解しないでほしい。何もシカゴが分裂したり、騒動に巻き込まれたワケではないのだ。ただ、シカゴのオリジナル・メンバーで結成から23年間ドラマーを務めたダニー・セラフィンが、シカゴ・トリビュート的なバンドを旗揚げしたところ、旧メンバーたちが三々五々集まって、何やら“もうひとつのシカゴ”のような状態になってしまっただけである。それがこの4月に初来日が決まった、CTAことカリフォルニア・トランジット・オーソリティ。そしてそのジャパン・ツアーには、81年〜09年まで在籍して中期シカゴの核を成したビル・チャンプリン、70年代末に2代目ギタリストの重責を務めたドニー・デイカスが同行することになった。

 このCTAの結成は06年。ダニーがサウスポーの実力派ギタリスト:マーク・ボニーラと邂逅したことに始まる。マークは当時キース・エマーソン(元エマーソン・レイク&パーマー)のバンドで活動し、元ディープ・パープルのグレン・ヒューズとも共演。2枚あるソロ作は、ギター・フリークの間でチョッとした注目を集めた。同時にマークはシカゴの大ファン。だから2人はすぐに打ち解け、シカゴの古い曲をジャムるようになった。ダニーは90年に突然シカゴを解雇された後、そのショックから音楽界を離れていた。

 ブラス・ロックの先駆者であるシカゴがデビューして50余年。オリジナル・メンバー7人のうち、リーダー格のロバート・ラムとホーン・セクションの計4人が、現在もシカゴを支えている(サックスのウォルター・パラザイダーは健康上の理由でツアーから引退)。が、歴史が長いだけにメンバー・チェンジは少なくなく、今年初めも2人の脱退が発表されたばかりだ。

 でも一方で、シカゴは極めて民主的なバンド運営をすることで知られている。彼らを低迷期から救い出したデヴィッド・フォスターが、自伝『ヒットマン』で、彼らについて“ミーティングをするためにミーティングする”と書いたほどだ。ところが実際は厳しい面もあるらしく、初期の看板シンガー/ベースのピーター・セテラを筆頭に、ダニー、ドニー、ビル・チャンプリンと友好的離脱ができず、いずれも脱退後はシカゴ本家との関係を断っていた。その空気が少し和んだのが、2016年の“ロックの殿堂”入り。同年4月の受賞式では、ダニーとドニー・デイカス、70年代後半に参加していたブラジル人パーカッション奏者ラウヂール・ヂ・オリヴェイラがゲスト参加し、一緒にパフォーマンスした。とはいえ共演を希望したピーターとは折り合いが付かず、彼の出演は見送りに。脱退組と残留組には、それだけ確執があったようだ。



▲ 「25 Or 6 To 4」(Live at Rock & Roll Hall of Fame)


 シカゴから離れ、音楽業界にも失望して、音楽ビジネスから距離を取ったダニー。ドラムは趣味と割り切り、シカゴの曲もまったくプレイしていなかった。だがマークと一緒にジャムをしたり、チャリティー・ショウに出て久々にシカゴの曲を演奏し、長年封印してきた想いが甦ってきた。こうして“初期シカゴのエナジーを掴んで再現すること”を目的に新グループを結成。本家デビュー時の名称:シカゴ・トランジット・オーソリティ(現存するシカゴ交通局からのクレームで変更を余儀なくされた)をもじって、カリフォルニア・トランジット・オーソリティと命名したのだ。この時の結成メンバーには、タワー・オブ・パワーの当時のシンガー:ラリー・ブラッグス、今度の来日ツアーに参加するエドワード・ロス(kyd)の名も。そして間もなく、収録曲のほとんどをシカゴのカヴァーで固めたアルバム『FULL CIRCLE』を自主制作し、西海岸のクラブ・サーキット中心に積極的なライヴ活動を展開したのである。

 「初期シカゴやブラッド・スウェット&ティアーズ(BS&T)のようなジャズ・ロックに忠実でいることを確認した。80年代にシカゴがそれを放棄して以降、そうしたジャンルはずーっと放置されていると感じていたんだ」

CD
▲『セイクリッド・
グラウンド』

 でも断続的にステージに立つうち、「新しい音楽を作りたい」という気持ちが芽生えてきた。かくして13年発表の2nd『SACRED GROUND』では、メンバーの新曲を中心に構成。シカゴの楽曲は「Take Me Back To Chicago(シカゴに帰りたい)」1曲に止め、BS&T代表曲「I Love You More Than You’ll Ever Know」を取り上げている。そうした自由なスタンスこそ、CTAの魅力のひとつ。長い歴史のシガラミに足を掬われがちな本家シカゴとの違いだろう。

 2ndではラリー・ブラッグスがゲストに退いたが、代わりに強力な助っ人がやってきた。28年間もシカゴのメンバーを務め上げた、ビル・チャンプリンその人である。ピーター・セテラ、そしてその後の引き継いだジェイソン・シェフと共にヴォイス・オブ・シカゴの一角を成し、中期シカゴの大成功に大きく貢献。81年の加入前から、フラワー・ムーヴメント真っ盛りのサンフランシスコでサンズ・オブ・チャンプリンを率いて活躍し、その後デヴィッド・フォスターのプロデュースでソロ・アルバムを発表する傍ら、L.A.でセッション・シンガーとして活躍していた。ビルをシカゴへ招いたのはデヴィッド・フォスターと思われがちだが、実際はダニーのアイディアだったそうである。



▲ 「It's Alright」(Live) / Chicago


 さらに『SACRED GROUND』には、シカゴ加入後に誕生したビルの愛息:ウィル・チャンプリン(米人気オーディション番組『THE VOICE』シーズン5のファイナリスト)、来日メンバーでもあるトラヴィス・デイヴィス(キース・エマーソン、ポール・ロジャース、リチャード・ペイジ、サミー・ヘイガー、エリック・マーティンらと活動)が参加。その充実した内容から日本でも紹介され、CTAの国内デビューと相成った(2015年日本発売)。

 これで大いに来日への期待が高まったものの、準レギュラー的ユニットであるため、主要メンバーのスケジュール確保がままならず。結局今年1月に、やはり初期シカゴと縁深いバッキンガムズとのジョイント・コンサート出演を機に、一気に話が進んだらしい。来日メンバーはダニーとビル、マーク・ボニーラを中心に、エドワード・ロス 、トラヴィス・デイヴィス、そしてシンガーには2nd発表後にCTAに加わった元AZ YETのトニー・グラントが。AZ YETはベイビーフェイスを後立てにデビューした5人組R&Bグループで、97年にはピーター・セテラをゲストに迎えて、シカゴの定番バラード「Hard to Say I'm Sorry(素直になれなくて)」をカヴァー。全米トップ10ヒットにしている。そう、彼もまた、シカゴに縁深いヴォーカリストなのだ。



▲ 「Hard To Say I'm Sorry ft. Peter Cetera」MV / Az Yet


 そして今回はさらに、本家2代目ギタリスト:ドニー・デイカスが加わることになった。ドニーは結成メンバー:テリー・キャスの拳銃事故死(1978年1月)を受けてシカゴに加入。それ以前はレア・グルーヴ・シーンで再評価が進んだオデッセイ、スティヴン・スティルスのバンドでプレイし、ボズ・スキャッグスのツアー・バンドに参加したこともあった。シカゴでの参加作は『STREET PLAYER』『CHICAGO 13』2枚と少ないが、ギターのみならずリード・ヴォーカルやソングライティングも担当するなど、意気消沈するバンドに新風を呼び込む重責を担った。ダニーの自伝本(日本未発売)のタイトル「STREET PLAYER」も、ドニー在籍時のヒット曲だ。



▲ 「Saturday in The Park」Danny Seraphine and CTA (Live at Iridium)


 このように、2ndアルバム発売時よりも更にパワー・アップしている現在のCTA。年初めのライヴでも、「25 Or 6 To 4(長い夜)」や「Saturday in The Park」といった代表曲はもちろん、「I’m a Man」「Questions 67 & 68」「Beginnings」「Does Anyone Know What Time It Is」など、シカゴ初期のレパートリーをふんだんに披露している。…となると気になるのは、シカゴの売りであるブラス・セクション。実はCTAはホーン・セクションを持たず、その都度セッション・メンバーを招くのだ。これは、本家の円熟しきったブラスの持ち味とはまた違った一瞬のキラメキ、スポンテイニャスな適応力を求めての方策か!? 今春の日本ツアーでも、吉澤達彦(tr)、鹿打奏(tb)、川島崇史(Sax)という、日本トップ・クラスの若手実力派たちを積極登用することになっている。これは何ともフレッシュでパンチ力のあるブラスが聴けそうだ。

 もちろん、80年代以降のシカゴを牽引したビル・チャンプリンをフィーチャーするコーナーも用意されるだろう。彼のヴォーカルで全米No.1を獲得した「Look Away」をはじめ、「Hard Habit To Break(忘れ得ぬ君に)」や「You're the Inspiration(君こそすべて)」といった名バラード、そして前回ステージでは、ビルがスティーヴ・ルカサーと共作してジョージ・ベンソンに提供し、自身のソロ作でも歌った「Turn Your Love」まで披露したそうだから、これも期待大である。そこにドニー在籍時の「Street Player」や「Alive Again」が加われば、セットは完璧と言えるだろう。



▲ 「Look Away」MV


CD
▲『シックス・ディケイズ
・ライヴ』

 タイミング良く、シカゴ本家も未発表ライヴ音源/映像を収めたボックス・セット『VI DECADES LIVE (THIS IS WHAT WE DO)』を発表する。69年デビュー直後のライヴ音源から、70年代の映像、そしてドニーやビル在籍時のものまで、50余年に渡るシカゴ本家の歩みが楽しめるのだ。既にそこから、69年8月のパリ公演「25 Or 6 To 4(長い夜)」の音源が公開されたので、これは要チェック。

 現在ご本家シカゴはサポート・メンバーを補充し、REOスピードワゴンと共に全米中をツアーしている。対して日本では、“アナザー・シカゴ”たるCTAの来日とボックス・セット発売という2つのパターンで、シカゴ黄金期の名曲を存分に堪能できそう。ファンの一部には、「結成メンバーはダニーだけなのに、初期レパートリーをやられても…」という声があるらしいが、考えてみれば、ビルの在籍期間は現行メンバー4人に次ぐ長さ。それこそダニーやピーターよりも長期間、初期ナンバーを歌ったり演奏しているのだから、とやかく言われる筋合いではない。しかもCTA公演は、本家ではあり得ぬライヴ・ヴェニュー仕様。つまり大迫力のサウンド、力の籠った熱唱を至近距離で楽しめる。シカゴ・ファン、AORファンだけでなく、是非すべてのロック・ファンに足を運んで戴きたいショウなのだ。

 

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CTA来日記念インタビュー

 来日を直前に控えたCTA。シカゴのオリジナルメンバーでドラマーのダニー・セラフィンにメール・インタビューを敢行し、シカゴとの思い出やCTAの魅力まで、様々な質問を投げかけた。


――少し前の話で恐縮ですが、2016年4月の『ロックの殿堂』の受賞セレモニーで、久々にシカゴと共演しましたね。いかがでしたか?

ダニー・セラフィン:あれは私の人生の中で、最高で最悪な夜だったね。しかし彼らと一緒にプレイできたことは素晴らしい気分だった。ただし土曜日のショーではクリックトラックを作成してプレーしなければならなかったということを除いて。なぜなら今であればホーンやボーカル・トラックを使って演奏しているからね。だからとても抑制されていて、ちっとも満足感はなかったと言えるよ。私がバンドにいた時代を思い出すようなものでもなかったね。そういった事情もあったが、昔のバンド仲間と同じステージに立てたことは本当に素晴らしい気分だった。言うまでもないが、決して忘れることのできないエモーショナルな夜になったよ。

―――今年1月には、バッキンガムスと共演したんですよね?そのショーはいかがでしたか?

ダニー:とても楽しかったよ。バッキンガムスとは素晴らしい思い出がたくさんある。お互いに1960年代半ばにシカゴの小さなクラブで音楽活動を始めたんだ。だから私たちには深い繋がりがある。まるで家族と一緒にいる気分だったよ。

――シカゴはホーン・セクションが売りなのに、CTAではホーンのメンバーを固定していません。その意図を教えてください。

ダニー:ホーン隊を連れて全てのツアーに回ることは金銭的になかなか難しくてね。それに、シカゴは大人気で成功をおさめたバンドだったから、どこの都市に行ってもサポートしてくれる素晴らしいホーン隊がいるのさ。

――現在のシンガーは元AZ YETのトニー・グラントですね?彼とはどうやって知り合ったのですか?

ダニー:キーボード奏者のエド・ロスを通じてトニーと知り合ったんだ。エドは様々なプロジェクトでトニーと一緒に仕事をしていたんだよ。

――Az Yetとピーター・セテラの共演で全米トップ10ヒットになった「Hard To Say I’m Sorry」については、どう思っていましたか?

ダニー:あのバージョンは、すごく良いと思った。そのトニーが今、バンドに入っていると思うとアイロニックだが。彼は素晴らしいシンガーで、とても良い人間なんだ。彼との仕事はとても楽しいよ。

――現在、ビル・チャンプリンはCTAの正式メンバーとしてクレジットされていますが、ドニーはパーマネントなメンバーではないのですか?

ダニー:いや、ドニーはスペシャルゲストという契約なんだ。だから彼はCTAのフルタイムのメンバーではないよ。

――あなたの自伝『STREET PLAYER』について教えてください。

ダニー:私の自伝は、シカゴで育った幼少期から始まり、ナイト・クラブで演奏していた時期、シカゴとしての人生の全盛期、そして最終的にバンドから脱退・解雇されたことまで描かれているんだ。

――タイミングよく、シカゴがあなたが在籍した頃の音源を含む『VI Decades Live (This Is What We Do)』を発表しますね?もう音は聴きましたか?よろしければ感想をお聞かせください。

ダニー:いや、彼らはまだ私に音源を共有してくれていないんだ。もしかするとみんなのように自分で買わなくてはいけないかもしれないね。ただ周りからは、私がバンドにいた時代からの曲が多いと聞いている。正直言ってあれ以来、良くもなく悪くもない感じだと思っているよ。

――あなたにとってCTAでプレイすることの意味、魅力とは?また当時のシカゴとは違う点など、教えてください。

ダニー:CTAは私にとってお金目当てではなく好きでやっている仕事といえる。このバントはオリジナルのCTAの精神をもとに結成された。テリー・キャスがいた頃のオリジナルCTA/シカゴは、史上最高なバンドの1つだといえる。音楽的才能、ボーカル能力、ソングライティング、アレンジャーに限れば同等のバンドはいなかった。ただ、CTAはシカゴと非常によく似ているんだ。マーク・ボニーラは世界的に見ても優れたギタリスト。エドワード・ロスは世界級のキーボード奏者。トラヴィス・デイヴィスは実直なベーシストで力強いヴォーカリストでもある。トニー・グラントは素晴らしいシンガー/エンターテイナーだ。そして最後にビル・チャンプリンは、いくつものヒット曲を歌ってきたレジェンド・シンガーで、パワフルなミュージシャンでもありソングライターでもある。だから現在のCTAとオリジナルのCTA(Chicago Transit Authority)には多くの共通点があるのさ。

――日本は約30年ぶりですか?来日公演の抱負などお聞かせください。

ダニー:日本での公演が待ちきれないよ。前回の来日からずいぶん長いこと経ってしまったね。この次の来日は30年後にならないといいけど…なぜならその時には100歳になってしまうからね!!今回の公演に足を運んでくれれば、ファンのみんなが大好きなシカゴのヒット曲思う存分楽しんでもらえると思う。テリー、ピーター、そして私が参加していた頃のオリジナルCTAの音をそのままに、熱い情熱を持って今までに聞いたこともないようなプレイをするつもりだ。それと、私たちの2枚のアルバム『Full Circle』と『Sacred ground』からの曲も披露する予定だよ。

CTAのダニー・セラフィンとビル・チャンプリンからビデオメッセージが到着!


▲CTA Video Message for Billboard Live Tour 2018

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  1. 01.SACRED GROUND
  2. 02.THE REAL WORLD
  3. 03.I LOVE YOU MORE THAN YOU’LL EVER KNOW
  4. 04.OUT OF REASON
  5. 05.PRIMETIME
  6. 06.CONVICTION (SONG FOR RONNIE)
  7. 07.STRIKE
  8. 08.CHORALE
  9. 09.FULL CIRCLE
  10. 10.STARING AT THE SUN
  11. 11.IN THE KITCHEN
  12. 12.TAKE ME BACK TO CHICAGO
  13. 13.GO ON
  14. 14.DAYDREAM LOVER
  15. 15.SEVERAL THOUSAND (日本盤ボーナス・トラック)
  16. 16.HARD HABIT TO BREAK (Live) (日本盤ボーナス・トラック)

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