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安倍なつみ 『雨上がりの虹のように』インタビュー

安倍なつみ 『雨上がりの虹のように』 インタビュー

 2008年12月リリース『安倍なつみ ~Best Selection~ 15色の似顔絵たち』『スクリーン』タイミング以来、2度目となるインタビューを敢行。舞台女優として凄まじい熱量を放ってきた彼女が、1年9ヶ月ぶりのニューシングル『雨上がりの虹のように』をリリースする。という訳で、大喜びで会いに行ったのだが、話は“最近のアイドルグループ”や“なっちのアイドルプロデューサーとしての素質”にまで飛び火して……。全なっちファン&アイドルファン必見のテキスト、ぜひチェックしてみてくださいっ!

自分の中で情熱が燃え上がってくるのが楽しい

インタビュー写真

--またこうしてお会いすることができて嬉しいです。この1年9ヶ月はなっちにとってどんな期間になりましたか?

安倍なつみ:ミュージカルに出させて頂いたりとか、舞台の期間がすごく長くて、その中で壁にぶつかる瞬間が多くありまして。でもだからこそ自分が成長できる場でもありました。いろんなことを勉強しましたね。

--具体的にはどんな壁にぶつかったんですか?

安倍なつみ:頂く役が普通じゃなくて(笑)。自分の20数年の人生経験の中では、全く経験したことの無い、分からない役ばかりだったので、全くのゼロから役を作っていく感じだったんですよ。自分の中に何を吸収してどう表現していくのか。それをひとつずつ形にしていくんですけど、もう悩んでいる暇がなくて。すべて体当たりでやってきた感じですね。ただ、そんな中でも自分のライブやツアーを定期的に行っていたので、新曲リリースという今回の嬉しい報告も出来たのかなって。

--宮本亜門さんの『三文オペラ』や松村武さんの『リトルショップ・オブ・ホラーズ』に出演されていましたが、今や舞台女優として何かを表現するっていうのは、音楽と同様になっちのライフワークになっているんじゃないですか?

安倍なつみ:そうですね。舞台で歌うナンバーは私が普段歌っている楽曲とは発声法とか、いろいろ違うんですけど、でもそこからもらう刺激が物凄いんです。自分を成長させてくれる。だから舞台の経験がすごく身になっている感じがしますね。その先のリリース作品にもすごく影響を与えるし、レコーディングのスタンスとかも変わってくる。自分のライブに関しても縛り付けるものが無くなってきたというか、表現がよりナチュラルで自由になってきているなって。その自然スタイルがすごく楽しくって。

--なっちが感じている舞台の魅力を教えてもらえますか?

安倍なつみ:舞台って自分と向き合う場なんですよ。例えば、1ヶ月稽古期間があって、その後に1ヶ月ちょっと本番があったとして、その間はずーっとエンドレスに緊張感があって。「自分の役はここで完成した」っていう瞬間がないから、ずっとずっと向き合ってなきゃいけない、すごくストイックで特別な期間なんです。目を背けようとしてもプイッと前を向かなきゃいけなくなるし。共演者の方々は真剣に100%以上のものをぶつけてきますからね。その適当にやり過ごせない期間は、自分にとってすごく大切なものになっています。

インタビュー写真

--ちなみに今まで舞台で演じてきた役で強く印象に残っているのって、どんな役だったりしますか?

安倍なつみ:どれかなぁ?もう全部強烈で凄く濃いんですよ(笑)。でも自分が「舞台ってこんなに楽しいんだ」って何か開けたものがあったのは、やっぱり『トゥーランドット』で演じたリューっていう役。あの舞台で宮本亜門さんと出逢ったんですけど、今まで自分がやってきた表現が何もかも通じなくて。でもそれが強くさせたというか、そういう場に立たせて頂けたことでいろんなことが見えてきて「本当に表現って自由でいいんだな」って思えた。それで、自分の中で情熱が燃え上がってくるのが楽しくて。

--そんな活躍の場を確実に広げているなっちですが、実に1年9ヶ月ぶりのニューシングル『雨上がりの虹のように』をリリースします。

安倍なつみ:作詞作曲を岡村孝子さんが手掛けてくれたんですけど、これほどまでに「そうだよね」って共感した曲は初めてかもしれないです。それは私と同世代の女の子も感じると思う。周りが結婚したりとか、自分の仕事のことをもう一度考えてみたりとか、そうやって一回立ち止まる年代なんですよね。それでも「頑張って行かなきゃね」みたいな。それを「私が代表して歌う」じゃないですけど、みんなの背中を押すことが出来たらなと思って。エールを送るような、そんな気持ちでレコーディングしました。

--岡村孝子さんにはどういう経緯で作詞作曲をして頂けることになったんでしょうか?

安倍なつみ:前にテレビで『夢をあきらめないで』を歌わせて頂いたことがあるんですけど、今回シングルを出す上でいろんな方が書いてくださった曲をスタッフさんと聴いていく中でも「岡村さんの曲が良いんじゃないか」と。

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--なっちのポップで前向きな力と、岡村孝子さんの純粋で前向きな力。これがひとつになったら、それはもう真っ直ぐで美しい曲が生まれるだろうなと思っていたんですが、実際にそういう曲になりましたよね。

安倍なつみ:うん。「一度きりの私というドラマを今生きてる」というフレーズが沁みますよね。「そうそう」って思う。

--で、良い歌を響かせるようになったな。大人になったんだなと今回のシングルを聴いて感じていたら、なんでも29歳になったそうで。ちょっと信じられないんですけど(笑)。

安倍なつみ:私もです。でも29歳になる前からいろんなことを振り返ったりとかしている中で「仕事もプライベートも、今この瞬間を思いっきり楽しんじゃおう!」って思うようになって。いつどうなるか分からないこの世の中で、やりたいことをやらせてもらってる。すごく幸せな仕事をやらせて頂いてて、そんな中で自分は表現者としてみんなに何が出来るかって考えたときに、やっぱり今ここにあるエネルギーとか、この身ひとつでやれることを精一杯やっていきたいなって思う。ライブにしてもその瞬間その空間を大事にしてちゃんと伝えていくことが出来たらなって。「楽しかった!」って言って帰ってもらうのが一番だなって思うし。

--なるほど。

安倍なつみ:だから今はライブを創るにしても、今まで関わったことのない打ち合わせとかにまで出るようにしていて。制作だったりとか、音作りだったとか、そういうことに関わって、スタッフとやり取りしていく中で「自分は何をやりたいのか。どうやって表現したいのか。お客さんとどう向き合いたいのか」っていうことがすごく明確に見えてくるし。そうなると「自分のスタイルはこうであっていいんだ。今これが世の中で受けているけど、それを私がやるのは違うよね」って思える。だから今は29歳の私が出来ることを最大限にやって、最高のパフォーマンスをしたい。それはライブであっても舞台であっても。

--本当に大人になったんだなと今の話からも感じました。でも見た目は変わらないですよね。このまま行くとおばあちゃんになっても、あんまり変わらないんじゃないかと思うほどです。

安倍なつみ:(笑)。

--これも健康的な食品に拘ってきた結果なんですかね?

安倍なつみ:どうなんですかね? 普段大人らしいことをしてないからかもしれない。生活スタイルが昔からあんまり変わんないんですよ。夜更かしとかしようとしても、眠いから帰りたくなっちゃうし(笑)。お酒もたまに友達と「飲みたいね」ってなるときはあるけど、いつもは飲まなくてもいいぐらいで。で、タバコも吸わなければ、大人の夜の遊び? クラブに行ったりとかもしないし。休みの日があっても、自分を高めるために使うところがあるから、基本的に仕事向きの人なのかなって。

--ただ、見た目は変わらずとも、内面は大きく変化してきたと思います。16歳のデビューから13年立つ訳ですが、あの頃の自分はどんな女の子だったと記憶していますか?

安倍なつみ:怖い(笑)。何も知らなさ過ぎて。だから「守られてたな」って思う。よく業界の人とかに「本当になっちは奇跡の人だよね」って言われるんですよ。いろんなこと見て、いろんなこと経験してきてるはずなのに、よくここまで真っ直ぐ変わらずに来れたねって(笑)。デビューしてからずーっとフル回転で仕事してきたから気付かなかったけど、それは周りに守られてきたからなんだろうなって。

--今年はアイドルグループが凄まじい盛り上がりを見せているんですが、なっちのデビュー当時と変わらないぐらいの年齢の女の子たちがアイドルとして頑張っている姿を見ると、どんなことを感じますか?

安倍なつみ:いいよね!

--どういう意味(笑)?

安倍なつみ:いいと思うけど、ウチらがモーニング娘。をやっていた頃よりは厳しくないんだろうなって、すごく思うんですよ。私たちは信じられないくらいみっちりと過酷なレッスンがあたりまえのようにありましたからね。で、それぐらい今頑張ってるんだろうなと思うのは、韓国のアイドルたち。すっごい厳しい環境の中でやってると思うんですよ。それに比べて日本のアイドルグループの子たちは……、楽しい感じがする。跳ねてる感じがするな! だから「いいよね!」みたいな(笑)。

--どれだけ厳しい状況の中で育てられてるとか、見てて分かるものなんですか?

安倍なつみ:分かる。分かる。分かる。

--(笑)。

安倍なつみ:すっごい分かっちゃう。韓国のアイドルの子たちは作品ひとつ観ただけでも「相当厳しくやってるな」って。

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--よくチェックしてるんですね(笑)。

安倍なつみ:いろんなものを聴くし、いろんなものを観るので。YouTubeもしょっちゅう観てるし。

--ただ、モーニング娘。ってなっちがいた頃から他の女性アイドルグループと比べてクオリティが高いですよね。歌、ダンス、表情、チームワーク、どれを取っても群を抜いているというか。

安倍なつみ:それは嬉しいですね~。でもダンスの先生やつんく♂さんが常に現場にいた私たちの頃から比べると、今は自分たちで何とかしなきゃいけないことが多いのかなって。それはそれで大変なんだろうなとは思います。だから今舞台に立っている娘。たちを観ると、いろいろ気付いちゃったことをコソッとアドバイスしたりはするんですけど、中にいなきゃ分からないことも絶対あるんですよ。それは私も経験上分かるから。でも娘。たちの頑張る姿は誰にも負けないものであってほしいなって思うんですよ! やっぱり自分たちが持っている勢いや、歴史を培ってきたことに対してはしっかり誇りを持って活動してほしい。それはどのメンバーに対しても思うんですよね。

--早い話、○○○○○に負けるなと?

安倍なつみ:(笑)。負けてないって思いたい。でもやっぱり歌を頑張ってほしいなって思います。それは娘。もそうだし、ハロー!プロジェクト全体に対しても。

--今日の話を聞いてて思ったんですけど、なっち、アイドルグループのプロデュースしてもいいんじゃないですか?

安倍なつみ:いや、私、出来ると思うんだよね~!

--自信あるんだ(笑)?

安倍なつみ:自信あるっていうか、私のアイドルの見方や考え方って多分普通じゃないと思ってて。中澤裕子や飯田圭織にも「なっちって見てるところが違うよね。すごくシビアな目も持ってるし。何なの?」ってよく言われるし(笑)。

--で、その自らプロデュースするアイドルグループになっちもメンバーとして参加してほしいですね。そこで聞きたいんですが、今までも『恋のテレフォン Goal』のような女の子の限りを尽くしたような曲は歌っていますが、アイドルらしい曲を歌うときってスウィッチが入ったりするもの?

安倍なつみ:自然と入る。ただ、急にオフからオンに切り替わる感じではないですね。徐々にそこへ意識が向かっていく感じです。

--アイドルらしい曲って、どれだけぶりっ子になれるかが重要だと思っていて。それをナチュラルに出来ちゃう人と意識して演技している人がいるんですが、なっちはナチュラル派なんですかね?

安倍なつみ:分かんないですけど「怖い」「なんでそんな風になれんの?」って言われることがある(笑)。それが演技なのか、自然にぶりっ子らしくなってるのか、分かんないんですよ。でもどこか客観的な自分が私にはいつもいて、肩の角度とかよく見てます(笑)。だから完全にナチュラルでやれている人もいるけど、私は違う感じがするなぁ。

--なっちの中で「アイドルはこうあるべきだ」っていう理想のアイドル像みたいなものがあったら聞かせてほしいんですが。

安倍なつみ:いつも笑顔だよね。テレビやステージに立つ人は“夢の人”っていうイメージがあるんですよ。やっぱりそうでなきゃいけないし、そうであってほしいと思うんですよね。どんなに普段の姿がハチャメチャでだらしなくても、ステージに立ったときはやっぱり夢を与えてほしいって思う。そういう意識を持っててほしいなって。お客さんもそういう風に思ってライブ会場に行ったり、テレビを観たりする訳だから。で、やっぱり笑顔がキラーン!って感じが良いですよね、アイドルは。笑った瞬間に輝く感じ。そういう人がやっぱり残っていく気がしますね。

--今日は楽しい話をたくさんありがとうございます。で、そんな魅力的な感性や才能を持っているなっちがどうなっていくのか。今後の目標、今のなっちにとっての夢があったら聞かせてもらえませんか?

安倍なつみ:デビューしたてのアイドルみたいな言葉になっちゃうんですけど(笑)とにかくやり切りたいし、突っ走りたい。とりあえず何でもやってみたいんですよね。25歳過ぎたぐらいから曲や見せ方を「大人っぽくしなきゃいけないんじゃないか」ってしばらく迷っていたんですよ。いろんなことが変化していく中で、そこについて行けない自分がいて。でもこれからは変化を楽しみながら表現していければなって。だから今は「こうじゃなきゃいけない」って思わないから、自然です。

--いろいろやっちゃってください。

安倍なつみ:(笑)。本当に期待しててください。実はもういろいろ決まってて、それはまだ言えないんだけど、ワクワクしちゃう! 本当にヤバイんで、楽しみにしててくださいっ!

安倍なつみ「雨上がりの虹のように」

雨上がりの虹のように

2010/09/15 RELEASE
HKCN-50132 ¥ 1,760(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.雨上がりの虹のように
  2. 02.夢をあきらめないで
  3. 03.雨上がりの虹のように (Instrumental)

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