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桑田佳祐 ソロ活動30周年イヤースタート。
今年、ソロデビュ-30周年を迎える桑田佳祐から目が離せない!スペシャルサイト「ROUND30」が、4月2日にオ-プンした。まず目に飛び込んできたのは、ボウリング場で、一心不乱に投げ続ける彼の姿であった。十代の頃、一度はプロ・ボウラ-を目指したことがある彼のフォ-ムは安定し、きづけば成績は、あわやパ-フェクトに近いハイ・スコア! サイトの公開を2日にしたのは、この偉業がエイプリル・フ-ルと勘違いされないためだったと思われる。この「ROUND30」では、30周年にちなんで取り組むべき30項目におよぶ内容が、順次公開される予定である(現状、3項目のみ公開されている)。想えば昨年、還暦の節目を迎えた桑田だが、その姿勢は「音楽人生を総括する」といったものとは真逆だった。新たな挑戦に満ちていたのだ。まずはそのあたりから…。
2016年は「ヨシ子さん」から「君への手紙」へ
2016年は、前作「
▲「ヨシ子さん」桑田佳祐
前年、サザンオ-ルスタ-ズの『葡萄』、および同名をモチーフにしたツア-において、究極のバンド・サウンドを追求した彼だったが、これは対極である、“打ち込み”やサンプリングを駆使したものだ。スタジオに集まったのも、必要最低限のごく少数の仲間だった。
音に限らず、歌詞に関してもサンプリング的な発想がなされた。桑田が多感な時期を過ごした昭和への憧憬、急逝したデヴィッド・ボウイへの哀悼やディランへの意識、さらにコンプライアンスやポリティカル・コレクトネスが行き過ぎて芸能ダイナミズムが失われることへの警鐘なども交差していた。
テレビ出演の際には、歌詞の中の空想と想われた“ヨシ子さん”が、白無垢にパンダ目の“実写版”として登場し、お茶の間の話題を大いにさらった。
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やがて半袖から長袖の季節へ。「ヨシ子さん」のPVではカンカン帽に浴衣姿だった桑田は、サスペンダ-の似合うダンディな佇まいになっていた。そしてリリ-スされたのが「君への手紙」。
映画『金メダル男』の主題歌として書き下ろされたこの作品は、敢えて分類するなら“アコ-スティック・ロッカ・バラ-ド”と呼ぶべきものであり、そもそも曲作りにおいてイメ-ジされたのは、サザンとしてデビュ-した70年末から80年代にかけて、同時代のなかで親しんだ洋楽だった。
▲「君への手紙」桑田佳祐
MTV華やかなりしあの時代、チャ-トを席巻した楽曲のなかには、60年代的な循環コ-ドが隔世して花開いたかのような、覚えやすいメロディも多かった。それを新たに、まずはギタ-をつま弾くように作り始めたのがこの作品であり、完成後、彼は“アコ-スティック・ロッカ・バラ-ド”と呼んだのだ。
全体を通して伝わる胸キュンな、しかもスッと心に染み込んでくる素直さは、晴れ渡った秋の空のように雑味のない、実に良質なものだった。「ヨシ子さん」がサブ・カルチャ-的だったなら、こちらは文句なく老若男女に訴えるポップの王道というか、この2曲が示す幅広さこそが、桑田佳祐という男の柔軟さであり、盤石さなのだった。
なお、「ヨシ子さん」と「君への手紙」はカップリングの充実ぶりも光った。「大河の一滴」、「愛のプレリュ-ド」、「百万本の赤い薔薇」(以上「ヨシ子さん」カップリング)、「悪戯されて」、「あなたの夢を見ています」、「メンチカツ・ブル-ス」(以上「君への手紙」)と、2016年、桑田は8曲もの新曲を発表したことになり、これらも披露した年末の年越しライブは、まるでニュ-・アルバムのリリ-ス後であるかのごとき新鮮なセットリストとなった。
2017年は、取り組むべき30項目に挑戦
そして2017年。ソロデビュ-30周年を迎える桑田佳祐が、スペシャルサイト「ROUND30」をオ-プンさせて、これから取り組むべき30項目の内容を、順次公開していくことは既にお伝えした。現状、3項目のみ公開されているのだが、ボウリングに準え最初の大きな“STRIKE!”として伝えているのが、新曲「若い広場」が、NHKの朝ドラ『ひよっこ』の主題歌となっていることだ。すでに放送は始まり、耳にした人も多いだろう。
ドラマの設定が東京オリンピックを控えた高度成長期の日本、ということも、多分に意識されたことだろう。まさに番組内容にぴったりの、そんな曲調だ。
かつて水原弘が歌い、ちあきなおみの歌でも知られる「黄昏のビギン」という歌がある。あの作品のオシャレでいて地に足の着いた和洋折衷の佇まいを彷彿させなくもないのが「若い広場」だ。
2016年に桑田は、WOWOW開局25周年記念特別番組として『桑田佳祐「偉大なる歌謡曲に感謝~東京の唄~」』 という番組を制作したが、そのなかで改めて昭和の歌謡曲を温故知新してみたことが、新たな彼のオリジナリティとして噛み砕かれ形になったのが「若い広場」かもしれない。
気になるのが今後の展開だ。ソロデビュ-30周年の今年が、地味に人知れず終わっていくとは考えにくい。気温の上昇とともに、ドドンと様々なことが発表されていくことだろう。昨年から今年にかけ、シングルのカップリングを含めると、多くの新曲が既に発表されているが、さらなる楽曲のレコ-ディングが、着々と行われているかもしれない。
ここ最近の彼の創作に対する旺盛なバイタリティを垣間見るにつけ、それはほぼ確実にも思える。スペシャルサイト「ROUND30」で発表される、さらなる項目から目が離せない。次なる大きな更なる“STRIKE!”が、明日にも伝えられるかもしれない。
http://special.sas-fan.net/special/kuwata2017
▲桑田佳祐【朗報】 ~けいすけの“お楽しみはこれからだ”~
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