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デニス・エドワーズ来日記念!ザ・テンプテーションズ特集~受け継がれるハーモニー、代表曲「マイ・ガール」と不朽の名曲たち&デニス本人が選んだプレイリスト公開
ソウルフルなコーラス・グループの最高峰。そんな言葉が似合うグループを挙げるとなると、ザ・テンプテーションズの名前が真っ先に出てくるのではないだろうか。名門モータウン・レコードを舞台に「マイ・ガール」や「ゲット・レディ」といったヒット曲を量産し、フォー・トップスやスプリームス、ジャクソン5などと並んでドル箱スターの一組として大いに人気を得た。そしてメンバーチェンジを繰り返しながらも、現在もそのハーモニーは今の時代に受け継がれている。
ザ・テンプテーションズの結成は、幼馴染だったエディ・ケンドリックスとポール・ウィリアムスが教会で一緒に歌い始めたことがきっかけ。1950年代なかばからドゥー・ワップのコーラス・グループとしてライヴ活動をする機会が増え、 モータウン・レコードと契約することで、大きく飛躍することとなる。1961年に、エディとポールの他、オーティス・ウィリアムス、メルヴィン・フランクリン、エルブリッジ・ブライアントの5人でモータウンと契約しデビュー。しかししばらくはヒットに恵まれず、地道な活動を続けた。
1964年にエルブリッジが脱退し、デヴィッド・ラフィンが加入。それまでの看板的存在だったエディに加えてデヴィッドが主にリード・ヴォーカリストとしての役割を担うようになり、他のメンバーは厚みのあるコーラスに徹することになった。そんななかで発表されたのが、シングルの「My Girl / マイ・ガール」(1964年)だ。スモーキー・ロビンソンが楽曲を手がけ、5声を生かしたミディアム・ソウルは、瞬く間に全米で1位を獲得する。その後も「It's Growing / イッツ・グロウイング」(1965年)、「Since I Lost My Baby / シンス・アイ・ロスト・マイ・ベイビー」(1965年)、「Get Ready / ゲット・レディ」(1966年)などがヒット。一躍モータウンの看板アーテイストであり、ソウル・シーンのトップ・スターとしての地位を築いた。
ザ・テンプテーションズの魅力といえば、そのコーラスワークであることに異論はないだろう。デヴィッドとエディのハイトーンを主体に、他の3人の卓越した中低域が心地よく、安心してそのハーモニーに身を委ねることができる。また、ドゥー・ワップをベースにしたリズム感やテクニックも抜群で、ブラックミュージックの粋が詰め込まれている。そして彼らの声を最大限に活かすことができたのは、素晴らしいソングライターに恵まれたからだろう。とくに初期のヒット・ナンバーを一手に引き受けたスモーキー・ロビンソンの功績は多大だ。
しかし、60年代も後半に入ると、音楽シーン自体が大きく変動。それまでのポップなものから、ファンクやサイケデリック・ロックなどが主流となる。ザ・テンプテーションズもその波に乗り、デヴィッドに代わってデニス・エドワーズが加入。また、この頃からノーマン・ホイットフィールドが作家やプロデューサーとしてフィーチャーされ始める。ファンク色の強い「Cloud Nine / クラウド・ナイン」(1968年)や「I Can't Get Next To You / 悲しいへだたり」(1969年)、ドリーミーな雰囲気で全米1位となった「Just My Imagination (Running Away With Me) / ジャスト・マイ・イマジネーション」(1971年)などの新しいタイプのソウル・ナンバーが次々とヒット。
そして、エディとポールが脱退し、デーモン・ハリスとリチャード・ストリートを迎えて制作した「Papa Was A Rollin' Stone / パパ・ワズ・ア・ローリン・ストーン」(1972年)で、3度目の全米No.1を獲得する。この曲は、インストゥルメンタル部分も重視したコンセプチュアルでプログレッシヴな楽曲で、シングルで7分弱、アルバムでは12分に及ぶ大作だった。このあたりもノーマン・ホイットフィールドの才気の表れであると同時に、ザ・テンプテーションズが柔軟に時代の空気を取り入れ、そこに流されず個性にしてしまえる度量の深さがあったことを象徴している。この曲だけでも、彼らがいかに稀有な存在なのかがよくわかるのではないだろうか。
その後もいくつかのヒットを飛ばすが、1977年にはモータウンを離れてアトランティックに移籍。ただここは長く続かず、1980年には再びモータウンと再契約する。派手なヒット曲は影をひそめるが、リック・ジェームスをゲストに迎えた「Standing On The Top - Pt. 1 / スタンディング・オン・ザ・ トップ」(1982年)や、アリ・オリ・ウッドソンをメンバーに迎えてからの代表曲「Treat Her Like A Lady / トリート・ハー・ライク・ア・レディー」(1984年)など、佳曲を発表。90年代以降も現在に至るまで、節目でシングルやアルバムをリリース。ツアーも盛んに行い、メンバーチェンジを重ねながらも、今なお精力的に活動を続けている。
このように歴史を振り返ると、ザ・テンプテーションズが歩んできた道のりは、そのまま新たなトライを続けたソウル・グループのお手本であったことがよくわかる。彼らの音楽が今も新鮮に聴こえるのは当然なのだ。まもなくビルボードライブにおいて来日公演が行われるが、ぜひともその唯一無二のコーラスワークを確かめてもらいたい。
デニス・エドワーズが選ぶ「お気に入りのソウル&ファンクソング」20曲
公演情報
THE TEMPTATIONS REVIEW
featuring Dennis Edwards
ビルボードライブ東京:2017/3/20(月・祝)~21(火)
3/20 1stステージ開場15:30 開演16:30 / 2ndステージ開場18:30 開演19:30
3/21 1stステージ開場17:30 開演19:00 / 2ndステージ開場20:45 開演21:30
>>公演詳細はこちら
ビルボードライブ大阪:2017/3/22(水)
1stステージ開場17:30 開演18:30 / 2ndステージ開場20:30 開演21:30
>>公演詳細はこちら
INFO: www.billboard-live.com
BAND MEMBERS
デニス・エドワーズ / Dennis Edwards (Vocals)
デヴィッド・シー / David Sea (Vocals)
マイク・ぺティーロ / Mike Pattillo (Vocals)
クリス・アーノルド / Chris Arnold (Vocals)
ポール・ウィリアムス・ジュニア / Paul Williams Jr (Vocals)
トラヴィス・ミルナー / Travis Milner (Keyboards)
ティモシー・チャンドラー / Timothy Chandler (Keyboards)
リック・アーチャー / Ric Archer (Guitar)
ジェームズ・マッケイ / James McKay (Bass)
ルウェリン・ダン / Llewellyn Dunn (Drums)
レイモンド・ハリス / Raymond Harris (Trombone, Director of Horns)
ルイス・バジェ / Louis Valle (Trumpet)
竹内 悠馬 / Yuma Takeuchi (Trumpet)
アンディ―・ウルフ / Andy Wulf (Tenor Saxophone)
関連リンク
Text: 栗本斉
ベスト・オブ・テンプテーションズ
2016/06/08 RELEASE
UICY-77791 ¥ 1,528(税込)
Disc01
- 01.ザ・ウェイ・ユー・ドゥ
- 02.マイ・ガール
- 03.イッツ・グロウイング
- 04.シンス・アイ・ロスト・マイ・ベイビー
- 05.ドント・ルック・バック
- 06.ゲット・レディ
- 07.エイント・トゥー・プラウド・トゥ・ベッグ
- 08.アイム・ルージング・ユー
- 09.ユアー・マイ・エヴリシング
- 10.雨に願いを
- 11.クラウド・ナイン
- 12.悲しいへだたり
- 13.ボール・オブ・コンフュージョン
- 14.ジャスト・マイ・イマジネーション
- 15.パパ・ウォズ・ア・ローリン・ストーン
- 16.シェイキー・グラウンド
- 17.トリート・ハー・ライク・ア・レイディ
- 18.ステイ
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