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DEPAPEPE 特集~世界で評価されるギター・デュオ

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 祝祭的な印象を持つグルーヴィーなサウンドと、ファンキーなカッティングやテクニカルなピッキングで綴る主旋律。アコースティック・ギターの静かなイメージを覆す音楽をクリエイトするDEPAPEPE。ギター2人のユニットはこれまでも多数存在してきたが、彼らほど躍動的で爽快なユニットはいないかもしれない。名実ともに現在実力No.1であり、日本のみならず世界で評価される2人の足取りを追ってみよう。

 2002年11月に結成されたDEPAPEPE。メンバーは、徳岡慶也と三浦拓也。いずれも神戸出身で、地元のライブハウスでのバイト仲間として出会った。それぞれ別のバンドでギターを弾いていたが、梶原順と浅野“ブッチャー”祥之という2人のギタリストによる「JとB」のライヴを観て衝撃を受け、インスト・ユニットとして活動を始める。なお、この一風変わったグループ名の由来は、三浦が出っ歯である事と、徳岡が以前在籍していたバンド、デルペペを合わせたものだという。

 アコースティック・ギター2本という編成を活かしてストリート・ライヴを始めた彼らは、インスト・ユニットとしての面白さもあり、徐々に口コミで話題になっていく。2004年には初のアルバム『ACOUSTIC FRIENDS』をインディーズでリリース。この年には立て続けに『Sky! Sky! Sky!』、『PASSION OF GRADATION』と合計3枚発表。いずれもライヴ同様に口コミで広がっていき、これら3枚のアルバムは、累計で10万枚を超えているというから驚きだ。

CD
▲『HOP! SKIP! JUMP!』

 2005年に満を持してソニー・ミュージックからメジャー・デビュー。すでにインディーズで大きな実績があったことも後押しし、デビュー・アルバム『Let's Go!!!』が15万枚を超える大ヒットを記録。インスト・アーティストのデビュー作としては、史上初のオリコンチャート・ベスト10入りを果たした。間髪を入れずミニ・アルバム『Hi! Mode!!』をリリースし、この年はDEPAPEPE旋風が吹き荒れることとなる。

 翌2006年もその勢いは止まらず、セカンド・アルバム『Ciao! Bravo!!』を発表。アコギ2本での勢いある演奏はもちろんだが、バンド編成によるパワフルな楽曲からしっとりとしたナンバーまでさらに幅を広げることとなった。この年は、サーフィン映画『キャッチ ア ウェーブ』のサントラを手がけて活動の幅をさらに広げ、2007年にはクラシックの名曲を彼ら流にアレンジした企画盤『デパクラ ~DEPAPEPE PLAYS THE CLASSICS~』で懐の深さを見せつけた。そして2008年には壮大な「桜風」を含むサード・アルバム『HOP! SKIP! JUMP!』で、完全に実力派グループとしてのポジションを作り上げている。



 その後も、さらにスケール感が加わった4作目『Do!』(2008年)、クラシック・カヴァーの第2弾『デパクラ2 ~DEPAPEPE PLAYS THE CLASSICS 2~』(2009年)、初の教則映像を特典に付けたことも話題になった『ONE』(2011年)、料理研究家を招いて食とコラボレーションしたという異色作『Acoustic & Dining』(2012年)、CMやテレビ番組のタイアップ曲がキャッチーな『Kiss』(2014年)と、着実にステップアップした作品を発表し続けている。他にも、ゲストやサポート、2人が個別に参加した作品も含めると、とにかく充実していたといえるだろう。そして2015年12月には、メジャー・デビュー10周年記念となる、初のベストアルバムを8つの国と地域(日本、韓国、台湾、香港、中国、タイ、インドネシア、マレーシア)で発売。アルバムは各地のリクエストをもとに作られている。



 DEPAPEPEの歴史をざっとおさらいするには、彼らのYouTubeチャンネルを見るといいかもしれない。20数本とそれほど多くはないが、貴重な映像がアップされている。メジャー・デビュー直後の名曲「哀愁バイオレット」での初々しい姿をはじめ、クラシックの名曲をアレンジしてパイプオルガンの前で撮影した「パッヘルベルのカノン」、海辺での爽快な演奏シーンが似合う映画『キャッチ ア ウェーブ』のメインテーマ「ラハイナ」、1弦だけのギターが続々と現れて合奏していくという趣旨がユニークな「シュプール 295音ver.」などは、耳だけでなく目でも楽しめるはずだ。もちろん、ライヴの映像もあり、アグレッシヴな一面を再確認することもできる。また、笑い飯とDEPAPEPEがコラボしたラジオ番組や、三浦拓也による「アコギ上達トレーニング」なんていうものまでアップされており、こういったひとつひとつの要素が積み重なってDEPAPEPEの世界観が構築されていることがよくわかる。



 そして、彼らの音楽は言葉のないインストの強みを活かし、海外でも高く評価されている。特にアジアでの人気は絶大で、2013年にはタイのワンマンライヴで3000人を動員、翌2014年にインドネシアの音楽フェスに出演したときは、1万人の観客を魅了した。他にも、韓国、台湾など各国でライヴを成功させている。この10月には中国ツアーも大盛況のうちに終了した。もちろん、ZEPP TOKYOや日比谷の野音といった大舞台を始め、様々な場所とスタイルでライヴを行い、シチュエーションごとにベストなパフォーマンスを見せてくれる。今回のビルボードライブという特別な会場では、また違った角度から彼らの魅力が浮き彫りにされそうだ。

 アコースティック・ギター2本が主役のDEPAPEPEサウンドは、人々を元気にさせてくれる。夏だけでなく、この秋冬にも体感しておけば、きっと寒さも明るく乗り越えられそうな気がするのだ。



 

DEPAPEPE「DEPAPEPE ALL TIME BEST~INDIGO BLUE~」

DEPAPEPE ALL TIME BEST~INDIGO BLUE~

2015/12/02 RELEASE
SECL-1815/6 ¥ 3,565(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.START
  2. 02.Sky!Sky!Sky! (’07 ver.)
  3. 03.ラハイナ
  4. 04.恋水
  5. 05.KATANA
  6. 06.Kiss
  7. 07.スミレ
  8. 08.Harvest
  9. 09.さくら舞う
  10. 10.激情メランコリック (情熱MIX)
  11. 11.雨音
  12. 12.MTMM
  13. 13.Snow Dance (winter session)
  14. 14.紫陽花
  15. 15.UNION
  16. 16.FAKE
  17. 17.交響曲第9番~第4楽章~
  18. 18.白い花
  19. 19.SUNNY (Bonus Track)

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