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ÜSA インタビュー
その卓越したダンススキルで人々を魅了しているEXILE ÜSA 。現在は自身が企画するプロジェクト“DANCE EARTH”を中心に活動している。そんなÜSAは、大のヒップホップ好きとしても知られており、70年代ニューヨーク・サウスブロンクスを舞台にヒップ ホップ誕生を描く、Netflixオリジナルドラマ『ゲットダウン』のジャパン・アンバサダーを務めている。この作品を見て、そのストーリーと自身がたどってきた道とに通じるものがあると語る。そこはどんなところなのか。ヒップホップとの出会いやニューヨーク修行時代の話、EXILEのヒットを感じた瞬間まで幅広く話しを聞いた。
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この作品を通して、ヒップホップやダンスの魅力をさらに伝えたいと思っています
−−今回『ゲットダウン』のアンバサダーを引き受けたのはどんな想いででしょうか?
ÜSA:自分が愛しているヒップホップとダンス。この2つがあったから、EXILEというグループが生まれたと言っても過言じゃないくらいの存在なんですね。そのヒップホップというジャンルが誕生する瞬間を描いたドラマということで、喜んでアンバサダーを引き受けさせてもらいました。しかも、本当に細かくリサーチをしてこだわった作品で、舞台の70年代のアメリカのことをドラマという形で知れるということにもとても興味がありました。この作品を通して、ヒップホップやダンスの魅力をさらに伝えたいと思っています。
−−ドラマだと見やすいのでヒップホップの歴史なんかもたくさんの人に知ってもらえますよね。劇中で流れる音楽についてはいかがでしょうか?実在するアーティストの名前もでてきます。
ÜSA:自分は、77年生まれでその時代をリアルタイムでは体験していないんですが、時代を超えていま聞いてもすごくかっこいい曲がたくさん出てきます。元々ヒップホップって、ソウルとかファンク、R&Bの間奏部分を繋げてループしていたことが始まりなんですね。壊して作り上げるというところに感動しました。
−−ÜSAさんのまわりの評判はいかがでしょうか?
ÜSA:やっぱりみんな一緒で「おもしろい」と。感想とか話していて、ドラマの中で「あそこがアフリカ・バンバータの島でこっちがクール・ハークでこっちがグランド・マスター・フラッシュで」というシーンがあるんですが、これはドキっとしたって盛り上がりました(笑)。ドキュメンタリーじゃなくドラマなので感情移入しやすいし、その時代の空気感をリアルに再現しているので見どころがたくさんあります。
−−ÜSAさんは、ニューヨークへダンス修行に行っていたことがあるということですが、それはいつなんでしょうか?
ÜSA:95年です。その頃でもブロンクスのほうは危なかったですね。お店も防弾ガラスだったり、テイクアウトの商品を受け取る窓みたいなところがすごく小さかったり。どんな場所なんだみたいな(笑)。地下鉄で帰ることになった時は、現地のやんちゃな人たちに囲まれたりもしましたけど、でもその危なさもスパイスというか。そんな人たちが集まるところに、見たことがないDJがいたりすごいダンサーがいたりするので、多少の危険をおかしながら遊びに行きましたね。
−−そんなところからNasが出てきたりしていますし、成り上がってやるぞという雰囲気があったのかもしれませんね。ところで、ダンス修行とはどんなことをしていたんでしょうか?
ÜSA:説明してもなかなか伝わりにくいんですよ(笑)。修行といってもダンススクールに通っていたわけではないんですが。昼間はレコード屋とか洋服屋に行ってフライヤーを集めて情報を集めていました。ライブやダンスイベントに毎晩行って、現地の人と踊っていました。すごいダンサーの動きを見たり、本場の空気感を感じて同じグルーブでいられるようになる修行だったかもしれませんね。
−−劇中にあったような女性と踊るということは90年代にもあったんですか?
ÜSA:深夜3~4時だとありましたね。レゲエやマイアミが流れると女性がセクシーな踊りでこっちに来るんですよ。そうするとこっちもコミュニケーション取らないとってなるじゃないですか(笑)。
夢中になっている状態って無敵だなと思います
−−なるほど(笑)『ゲットダウン』で描かれていることとÜSAさんご自身の歴史の中でシンパシーを感じるところってありますか?
ÜSA:“夢を追いかける”という部分でとても感じます。「わかるよー!」みたいな気持ちになっちゃいますね(笑)。ヒップホップに出会った時は、本当に夢中になりました。目覚ましもヒップホップだったし、恥ずかしいんですけどシャワーを浴びる時にラジカセをわざわざ持っていって、それで聞きながらみたいなことをやるくらいハマって(笑)。その夢中になるっていうことが大事なんだなと改めて思います。あとからそのシーンを見ると努力なんですけど、その時は本当に好きで好きでしょうがなくて。好きだからどこまででも行くし、どこまででも練習するし、会いたい人がいたら会いに行くし。そんな夢中になっている状態って無敵だなと思いますし、その時期に成長したと思います。その辺りも『ゲットダウン』と同じですね。女の子のためにあんなに必死になってクラブに行くってことってなかなかないですよ(笑)。
−−レアなレコードまでなんとか手に入れてしまうようなモチベーションですね(笑)。ヒップホップとの出会いはいつ頃だったんですか?
ÜSA:中学生くらいです。80年代後半から90年代にかけて。最初は、MCハマーからだったんですが、ボビー・ブラウンなどのニュージャックスイング全盛期ですね。
−−DJやMCといった選択肢もあったと思いますがなぜダンスの道に?
ÜSA:道具が必要なくて、1番はやく目立てるから(笑)。当時、MCハマーが日本のTV番組に出ていて、ステップレクチャーをしていたんです。それを覚えて次の日に学校で披露したら目立てると思っていたんですけど、もうみんなやっていて(笑)。でも、1週間ぐらいするとみんなは辞めていくんですけど、自分はその火が消えなくて「もっと知りたい!」と思ってハマっていきました。
−−最近、近所のダンススタジオに通う子どもが多くなっています。ダンスが日本に広がっていったのは、EXILEの活動が根付いていったからだと思いますが、ご自身でそんな実感はありますか?
ÜSA:自分たちが「ダンスで飯を食べたい」と言ったときは誰もが「何言ってるの?」って感じで、「不良が聞く音楽でしょ」という風潮でした。ファッション的にもそうですね。でも時が経って、ヒップホップやダンスの魅力がどんどん浸透してきて、いまは子どもたちも踊ってくれます。それはすごくうれしいことですし、踊ってみるということにすんなり入っていけるみたいです。10年前から比べたらダンスに対する壁はないですね。
−−70年代後半のダンスでいまのダンスとどう違うんでしょうか?
ÜSA:『ゲットダウン』の時代は、みんなで同じ動きをして合わせるダンスが主流。それと同じ時期にパンクが生まれているなんてすごい時代ですね。“ヴォーギング”もドラマの中に出てきますけど、多発的にいろいろなダンスが生まれていました。ドラマを見ていると「この動き、いま流行っているあの踊りに近いな」というような元ネタがわかります。
−−ドラマの中では男女が一緒に踊るシーンが多いですね。
ÜSA:今、ペアで踊る“ニュースタイルハッスル”というダンスが流行っているんです。去年、ニューヨークに行ったときクラブでヒップホップが流れている中、あんなダンスをしましたね。基本は男性がリードするものなんですが、日本ではまだ浸透していないのでこれから来るのかなと思っています。
メンバーや後輩グループから教えてもらったりもしますね
−−このドラマは、ヒップホップというジャンルが世の中に広がっていく過程が描かれています。ÜSAさんはEXILEで活動してきた中で、“ヒットしたな” “自分たちの名前が広がっていったな”と実感したときはいつでしたか?
ÜSA:EXILEでデビューして3〜4年経ったタイミングくらいでしょうか。自分たちを好きで来てくれる単独のライブで盛り上がるのは当たり前じゃないですか。でも他のアーティストが出るイベントに出演したときに、初期のころは自分たちを見てくれなかったり、漫画を読みだす人がいたりしたんですよ(笑)踊りながらも見えるので「ちくしょー!」って思いながら怒りのダンスをするっていう状況が結構続いて。3〜4年経ったときに、他のアーティストを見に来た人たちも、自分たちをちゃんと興味を持ってみてくれるようになったなという瞬間はありました。
−−その時期のグループの雰囲気はどうだったんでしょうか?
ÜSA:いきなりそこにワープしたら「とんでもないことが起きた!」という感覚だと思うのですが、自分たちは少し登っては落ちて登っては落ちてという感じだったので、じわじわ体感した感じです。うまくいかない時は「もしも、100万枚売れたらどうする?」みたいな“もしも話”でテンション下がらないようにしていました。「サイン考えなきゃ」とか「外歩けなくなるよ」とか(笑)その時に半分冗談で「東京ドームでやりたい」とか話しをしていたんですけど、それが現実になって。夢っていうのは語っていったほうがいいなと本当に思いますね。
−−“声に出す”ということですと、劇中でも「私、歌いたい!」言って親と喧嘩するシーンがありますね。
ÜSA:家族は夢への初めの壁かもしれませんね。家族をまず納得させるのが最初の一歩。自分で稼げるようになるまでは家族の応援がないと厳しいですし。
−−ÜSAさんはニューヨークでは壁を感じましたか?
ÜSA:壁を感じまくりましたよ(笑)現地のB-BOYたちのかっこよさにヤラれてしまって。彼らに憧れてドレッドにしていたり、日焼けをしたり、いろいろやったんですが、本物を見た瞬間に自分が偽物に思えて(笑)街を歩いているときもそれっぽく歩いているんですけど、ショーウィンドウに写った自分を見ると、頭からつま先まで日本人でいちいち傷つくみたいな(笑)一時期はもう本当に無理だってなって思いました。でも“好き”っていうことが大事で、好きっていう気持ちだったからそこで日本へ帰らず、納得いくまでやれました。
−−ドラマの1話でレコードが大事なアイテムとして出てきますが、当時は音楽と接する機会がいまと比べて少なかったと思います。パソコンがない時代ですし。いまは、音楽の聞き方が多様化していて、新しい音楽と出会える機会も増えていますが、ÜSAさんはどうやって新しい音楽と出会いますか?
ÜSA:サウンドクラウドとかラジオも聞きます。あとメンバーや後輩グループから教えてもらったりもしますね。LINEで「やばいの見つけた」とかしょっちゅうです(笑)
−−ÜSAさんは普段はどんな音楽を聞いているんですか?
ÜSA:自分は、毎日音楽を聞いていて。ダンスミュージックが多いんですが、ヒップホップ、レゲエ、R&B、もちろんJ-POPも聞きます。
−−どうやって音楽を聞いているんでしょうか?
ÜSA:ダウンロードや配信が多いですがジャケ買いするようなCDもあるし。でもやっぱり生の音も聞きたいのでライブにもよく行きますね。
−−いま日本でレコードブームが起きています。2016年にこのブームが来ているのはÜSAさんはどう映りますか?
ÜSA:いまって音楽の聞き方が選べる時代じゃないですか。手軽に聞ける配信なども素晴らしいし、音楽を聞く人口が増えてきたと思います。ただ、やっぱりレコードみたいな良いものは残っていくんだなと思います。自分は、レコードかけるバーにも行くし、あのレコードならではの音は好きです。
EXTREME BEST
2016/09/27 RELEASE
RZCD-86185/7 ¥ 3,850(税込)
Disc01
- 01.Your eyes only ~曖昧なぼくの輪郭~
- 02.Fly Away
- 03.song for you
- 04.We Will ~あの場所で~ -Orchestra Version-
- 05.Together
- 06.Choo Choo TRAIN
- 07.Carry On
- 08.運命のヒト -Orchestra Version-
- 09.real world
- 10.HERO
- 11.EXIT
- 12.ただ…逢いたくて
- 13.SCREAM
- 14.Everything
- 15.Lovers Again
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