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キングス・オブ・レオン、最新アルバム『ウォールズ』発売記念特集&インタビューを公開

キングス・オブ・レオン

 米国テネシー州ナッシュビル出身のケイレブ(vo&g)、ネイサン(dr)、ジャレッド(b)の3 人兄弟と、従兄弟のマシュー(g)から成る4人組みバンド=キングス・オブ・レオン。ナッシュビルが生んだサウンドとして世に知られる”サザン・ロック“と”モダン・ロック“が絶妙に融合したその独自のスタイルから“南部のストロークス"とも謳われ、これまでにグラミー賞3冠をはじめ NME アワードやブリット・アワードなど数々の音楽賞を受賞している。そして英グラストン・ベリーや米ロラパルーザといった大型ロック・フェスティバルのヘッドライナーとしても数多く出演してきたキングス・オブ・レオンの 3 年ぶりとなる待望の最新アルバムの国内盤が2016年10月19日に発売決定!最新アルバム発売を前に米ビルボードで掲載されたインタビュー記事がこちら!

家族の絆を再確認
エディ・ヴェダーと新アルバム『ウォールズ』から得た生き残りのための秘訣

 インタビュー当日(8月25日)、キングス・オブ・レオンのフロントマンのケイレブ・フォロウィルは、ナッシュビルにあるお気に入りのレストランで昼食した後、なにか不安な気持ちにさせられる経験に遭遇したという。

ケイレブ:駐車係の子だよ。よく見るんだけど、彼は俺の事を知ってると思ってたんだ。そしたら今日、俺が駐車場を出ようとしたときに、彼が話しかけてきてたんだ。“ヘイ、あなた達ってまだバンド続けてるの?僕が高校にいた頃は、かなり流行ってたけど”って。

 バンド( ケイレブの兄弟でありドラムのネイサンとギターのジャレッドと、従兄弟でベースのマシュー・フォロウィルの4人)メンバー全員が、声を揃えてうなった。

ジャレッド:俺は、全く同じようなシナリオの悪夢を見るよ。

ネイサン:なんて奴だ!

ケイレブ:俺は5ドル札を手にしたまま“ノー”と言ったよ。

 メンバー全員が笑っていると、ケイレブはポケットにそっとお札を戻すマネをしながら、続けた。

ケイレブ:チップを5ドルから1ドルに替えてやったさ。


▲Kings Of Leon - Waste A Moment

 その時はまだ、内密に進めていたため、ケイレブがその駐車係の子に言えなかったことがあった。それはキングス・オブ・レオンは今もまだ確実に音楽を作り続けているということだ。更には、2013年以来、初めてのアルバムのリリースを控えていたのだ。16年間の彼らのキャリアにおいて計7枚のアルバムをリリース、小さなライブハウスからスタジアムまでライブを行い、現代ロック音楽の中でも人気バンドとして飛躍した4人組だ。キングスの最新アルバム『ウォールズ』の制作は、マムフォード・アンド・サンズやアーケイド・ファイアで知られるマーカス・ドラヴスによるプロデュースで再考された野望が示されており、この時まさに『ウォールズ』制作の最終段階の佳境を迎えていたのだ。アルバム制作の早い段階からバンド・メンバーたちは、10月14日のリリース日の2か月前までは自分たちのみが知るプロジェクトにすると決めていた。これは、自分たちにとってアルバム制作のプロセスへのプレッシャーをなくすため、また、LP発売時の大騒ぎを和らげるためでもあった。

ケイレブ:俺たちはドレイクのようなその日限りのものにはならない。確実に全く異なったことをしているつもりだ。

ネイサン:最近は、世間に注目される期間がかなり短くなっているからね。

 この翌日、キングスは郊外の映画制作スタジオに集められ、そのスタジオでアルバムのアートワークを撮影した。ネイサンのぼさぼさの髪、すっきりとして明るい目、“警告”が必要なくらいの量を平らげるという評判を持つビールやウィスキー、高価なワインの代わりに水とコーヒーをすすりながら撮影は行われた。(キングスのメンバー全員、ナッシュビルのレストランと不動産への投資しており、毎年行われるMusic City Food & Wine Festivalを創立した。)4人全員この地域に住んでおり、近くのスタジオをシェアしている。

ケイレブ:音楽以外の生活の面で、前に比べると今の方が格段に良い関係を築けていると思うよ。

 ケイレブの言葉に対し、ネイサン言った。

ネイサン:そのジェムソン(ウィスキー)をあけてくれたら、本当の話を教えてあげるよ。


▲Kings Of Leon - WALLS

 今の彼らの雰囲気は前作の2作品の時の環境とは全く違っていたのだ。ニールセン・ミュージックによると彼らの2008年のアルバム『オンリー・バイ・ザ・ナイト』は「ユーズ・サムバディ」(米ビルボードHOT100で4位)や「セックス・オン・ファイアー」のヒットもあって250万枚の売り上げとなったが、2010年のアルバム『カム・アラウンド・サンダウン』は77万6000枚と一気にセールスが急降下した。当時、ケイレブは今までやってきた全てのサイクルをしっかりと調べた方がいいと主張していたが、結果、ダラスで行っていたショーの途中でステージを降りてしまい、26日間残っていたツアーはキャンセルとなった。メンバーも一時的にばらばらになってしまったのだ。2013年の『メカニカル・ブル』にいたっては34万7000枚という結果だった。

CD
▲『オンリー・バイ・ザ・ナイト』



ケイレブ:ある時に気づいたんだ、今まで自分が持っていた情熱やハングリー精神を失っていたことに。それを取り戻したいから自分自身を鍛え直す。そのためには、“セールスのこと、演奏する会場の規模、その他のことを忘れる”ことが必要だったんだよ。

 バンドにとって必要だったことは、メンバーたちを奮い立たせることだった。それを決定付けたのは今までリリースした6枚のLPをプロデュースしたアンジェロ・ペトラグリアとの関係性に安心しすぎていたことだったのだ。そして、熱情家として知られるマーカス・ドラヴスを捜し出し、ハリウッドのヘンソン・レコーディング・スタジオでアルバム制作に取りかかったのだ。

ケイレブ:みんなで、太陽の光を浴びながら寿司でも食べににロサンゼルスに行こうぜ!って言ったよ。そしたら全ての事が前よりももっとオーガニックで自然に感じたんだ。

 それでもまだ、マーカスは厳しい監督者(プロデューサー)だということは変わらなかった。バンドが奏でる音のひとつひとつやそのルーティーンに疑問を持っていたのだ。

ジャレッド:マーカスは今まで誰も俺たちに言わなかったようなこと、たとえば“その曲は気に入らない、それはダメだ”なんて言ってきたよ。

 マーカスは同じパートを何度も演奏させ、その作業中に集めた詩をまとめさせたり、急に雰囲気を変えたりした。

ジャレッド:マーカスは“オーケー、それじゃあ今のをセックス・ピストルズみたいに弾いてみて”とか言うんだ。それから、スローな曲からアップテンポの曲に移らされたりもしたよ。

 結果的にU2のアンセムのような「ウェイスト・ア・モーメント」と「オーヴァー」の音の波動が合成されたような、光の広がりを見せる仕上がりとなった。

マシュー:ひとつの曲がエレクトロニックに聞こえると、もうひとつは更に壊れたような音に聞こえるんだ。でもその方法にすると全てがひとつフローになるんだ。その時に全員同じことを思ったんだよ、“こいつは天才だ”って。


▲Kings Of Leon - Around The World

 この頃には4人のフォロウィル全員が結婚しており、ジャレッド以外は親にもなっていた。彼らは、この結婚と父親の役目のルーティーンがバンドに良い影響を与えたと言っていた。(ケイレブはヴィクトリア・シークレットのモデルでありテイラー・スウィフトのスクワッドメンバーのリリー・オルドリッジと結婚し、娘が一人いる。)


マシュー:俺たちの子供はいつも一緒にいて、みんな同じ学校に通ってるんだ。

ジャレッド:他の親と絡まない訳を教えてもいいんだぜ。外野席の下で葉っぱを吸ってるってことを。(冗談)

 もしまたキングスがばらばらになりそうになっても、彼らにはいつもアドバイスをくれるボノやエディ・ヴェダーのような人物がいるのだ。

ジャレッド:昔、エディが俺たちに教えてくれたことをまだ覚えてるよ。ヨーロッパでは3週間以上ツアーはするなってね。それがバンドを解散させる原因になるからって。

ケイレブ:あと、世界中の夏を追いかけろとも言ってたよな。

 少し間が空いてから大きな笑みを浮かべ、

ケイレブ:でも、それがクルーピー(熱狂的な女性ファン)についてのことだって全然わかってなかったけどね。(笑)

Text by Jonathan Ringen / 2016年8月25日 Billboard.com掲載

キングス・オブ・レオン「ウォールズ」

ウォールズ

2016/10/19 RELEASE
SICP-5000 ¥ 2,640(税込)

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Disc01
  1. 01.ウェイスト・ア・モーメント
  2. 02.レヴァレンド
  3. 03.アラウンド・ザ・ワールド
  4. 04.ファインド・ミー
  5. 05.オーヴァー
  6. 06.ムチャチョ
  7. 07.コンヴァセーション・ピース
  8. 08.アイズ・オン・ユー
  9. 09.ワイルド
  10. 10.ウォールズ

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