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BiSH『KiLLER BiSH』特集インタビュー



BiSH『KiLLER BiSH』インタビュー

楽器を持たないパンクバンド、人気沸騰中! 新時代のポップアイコンになるまでの軌跡―――

 2016年、エイベックスからメジャーデビューを飾り、楽器を持たないパンクバンドとして日本中で人気沸騰中のBiSH。様々なジャンルの若者から愛され、ひとつのポップアイコン/ロックアイコンになりつつある今のBiSHは如何にして出来たのか。そして、これからどうなっていくのか。そのストーリーを全メンバー揃い踏みで語ってもらった。あの日あの時あのメンバーは何を想っていたのか?

 結成時に出会った人にも、「BiSH -星が瞬く夜に-」でしかはしゃげない人にも、昨日清掃員(※BiSHファンの総称)になった人にも、今までBiSHに狂わされたすべての人たち、そして今日から狂わされるすべての人たちに贈るロードムービー的インタビュー。全5ページ、ぜひ最後までじっくりとご覧下さい。

インタビュー参加メンバー:
セントチヒロ・チッチ(担当:見た目は真面目、中身は悪女 これでも彼氏は2人まで)
アイナ・ジ・エンド(担当:おくりびと)
モモコグミカンパニー(担当:あまのじゃく)
ハシヤスメ・アツコ(担当:メガネ)
リンリン(担当:無口)
アユニ・D(担当:僕の妹がこんなに可愛いわけがない)

他、主要登場人物:
渡辺淳之介(BiSH所属事務所WACKの社長/プロデューサー)
ハグ・ミィ(あぶない熟女/2016年6月2日脱退)
LSN(The LEGENDARY SIX NINE/ナイトメアRUKAのソロプロジェクト)
プー・ルイ(BiSリーダー兼ヨゴレ担当)
アヤ・エイトプリンス(BiS新メンバー/チッチの同級生)
平賀さん(この記事のインタビュアー)

インタビュータイミング:
2016年10月8日(土)日比谷野外大音楽堂ワンマンライブの4日前

01.BiSH、新時代のポップアイコンへ!「この顔面が渋谷を走るってヤバい!」

--今、渋谷でBiSHのトラックが走っているんですよね。

※BiSH / オーケストラ[OFFICIAL VIDEO]
※BiSH / オーケストラ[OFFICIAL VIDEO]

アイナ:ヤバい! 私の顔面が渋谷の街を走るなんて(笑)!

--新曲「オーケストラ」のPVもめちゃくちゃお金かかってましたし、メジャー感半端ないですけれども、結構売れてる実感はみんなの中にもあるんでしょうか?

チッチ:売れてる実感というか、お金かけてもらってる実感はあります。嬉しい。10月8日の野音ワンマンも聞いてる話では凄いことになりそうです。

アユニ:凄いです……こんなところに私がいていいのかなって思います。

--もう完全に後戻り出来ないところまで来てますよね。元より後戻りするつもりなどなかったとは思いますが、物凄いお金かけてもらってるし、やっぱりインディーズのときとは漂ってるムードが違うんじゃないですか?

チッチ:全然違いますね。エイベックスさんからメジャーデビューしてからは全然雰囲気も変わったし、関わってくれる大人の数がグッと増えたので……身が引き締まる思いです。もう本当に後戻りは出来ないから。

BiSH『KiLLER BiSH』インタビュー
▲アイナ

アイナ:さっきも言ったんですけど、この顔面が渋谷を走るってヤバくないですか! 冷静に考えて下さいよ! 倖田來未さんとかアリアナ・グランデとか普通にトラック走ってますけど、急に大阪出身の変な顔面が渋谷を走り出したんですよ(笑)。考えられない。もし渋谷のヴィジョンにまでこの顔面が流れ出したら恥ずかしくて見れない。

--でもヴィジョンで流れてもおかしくないところまで来てるんじゃないですか?

チッチ:ヤバい。

アイナ:整形しておけばよかった。

チッチ:バレる前にやっておけばよかった。

--もう検索したらいくらでもビリケンの顔が出てきますからね。

アイナ:うるさいわ(笑)!

BiSH『KiLLER BiSH』インタビュー
▲(奥)アイナ、(手前左)アユニ、(右)モモコ

モモコ:でも本当に凄いことになってきた。本物のアーティストみたいな感じが漂ってて……自分では全くそんなつもりがない中、でもその中に自分がいるのが面白い。「なんかいる!」みたいな(笑)。自分だとは思えない。

--リンリンはどう?

リンリン:…………わかんない。

アイナ:でも今日リンリンがトラックと自撮りしてて、その姿をオタクが偶然ムービーで撮ってたんですよ。

リンリン:オタクがトラックの動画を撮ってたら、たまたまそこに私が映り込んでて……

一同:(笑)

アイナ:超シュールだった(笑)。

--今はこの状況を楽しめてる感じですか? それともプレッシャー?

チッチ:いや、楽しいです。前はプレッシャーも感じましたけど、今は楽しい。

BiSH『KiLLER BiSH』インタビュー
▲ハシヤスメ

ハシヤスメ:めっちゃ楽しいです! 憧れだったんですよ、自分のトラックが走るの。東京に来たときからいろんなアーティストのトラックが走っているのを見て「あー、私もやってみたいなー」ってずっと思っていて、そしたら今こうして走るようになって……嬉しいですね。今、すごく楽しいです。

--先日、幕張メッセで行われた【@JAM×ナタリー EXPO2016】でのライブは貫禄みたいなものを感じました。佇まいからして他のガールズグループとは一線を画していたと思います。これは結成以降、ひたすら全国ツアーを畳み掛けてきた効果でもあるんじゃないですか?

チッチ:そう思います。

アイナ:平賀さんも書いて下さってましたよね。「新時代のポップアイコンになりえるライブ」みたいなこと。

--Zepp Tokyoで開催されたフリーワンマンライブ【TOKYO BiSH SHiNE repetition】を観たときも感じたんですが、つい1年前まではハッキリ言って「プロ」とはとても思えないレベルだったじゃないですか。そこは自覚してました?

アイナ:してました。しかも1年前にZepp Tokyoでやったときは「照明のおかげだよね」って平賀さんからも言われたので(笑)。私たちの周りにいる大人の方は褒めるばかりじゃないし、「今回はここがアレだったから次はこうしよう」って言ってくれるから、そう簡単に「私たち、凄くなった」とは思わない。

--そうした意識もあってか、1年前のZepp Tokyoでデビューしたハシヤスメやリンリンも明らかに変わりましたよね。

ハシヤスメ:震えなくなりました。最初、リンリンと2人でZeppの舞台に立つときにめっちゃ震えちゃって。ライブが始まるまでずっとトイレの中に篭ってたんですよ。でも今はそういうことがなくなりましたね。それは自分の中ではでっかい変化。

--リンリンもどんどん前に出ていくようになりましたよね。

リンリン:…………

アイナ:リンリン、めっちゃ鎖骨出てない?

モモコ:今、それ言う(笑)?

アイナ:初めて気付いた! あ、すみません。

チッチ:この1年で一番進化したよね?

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▲リンリン

リンリン:……メンバーとアイコンタクトしたり、曲の間でふざけあったり、そういうことをする余裕ができました。

チッチ:私、遊ばれてます。

--リンリンはよくメンバーをイジりますよね。

チッチ:楽しい。

--あ、イジられて楽しいんだ?

チッチ:この前「最近、あなたで遊ぶのが楽しいの」って言われて、それに喜んでしまった自分がいました(笑)。ヤバい。

--あと、モモコもかなり動けるようになりました。

モモコ:多分、ド下手が普通になったぐらい(笑)。

--その辺は練習しまくった成果ですよね、きっと。

アイナ:練習は結構してるかも。BiSHは振付師さんとか先生がいないから、私が厳しめに教えたりして「……言いすぎた」ってなるのを繰り返してます。

--元々プロのダンス&ボーカルグループを目指してみんなが集められているんだとしたらアレですけど、全体的に人見知り、コミュ障、イジメられっこ気質、ワガママ、嘘つき、自己中、根暗、努力するのが死ぬほど嫌い……ネガティブ要素の集合体だったBiSHが、この1年でなんだかんだ言っても必死に練習を繰り返し、パフォーマンス能力や一体感の強度を高めてみせたのは凄いなと思いました。

アイナ:あんまり褒められてないから困ります(笑)。

--なんでこんなに変われたんでしょうね?

※BiSH / DEADMAN[OFFICIAL VIDEO]
※BiSH / DEADMAN[OFFICIAL VIDEO]

チッチ:LSN(The LEGENDARY SIX NINE/ナイトメアRUKAのソロプロジェクト)さんとの対バンがきっかけだと思います。「ライブでLSNさんに負けたくない」と思って、ひとりひとりが今まで出来なかった煽りとかにも挑戦したりして。そこからライブ前に話し合いをするようになって、それで団結力も強くなったし、全国ツアーでも「今日のライブはこういう会場だからこうしよう」とか「あの子がそう動くなら私はこうしよう」とか考えるようになったから、だいぶ変わったと思います。

アイナ:LSNさんとの対バンで「DEADMAN」って曲を何回も一緒にやったんですよ。で、LSNさんは生バンドで、私たちなんかよりも何倍も煽りが上手いから、あたりまえのようにお客さんをどんどん盛り上げられるんです。でも私たちは何にも出来ない。でも同じ曲を何回もやるから嫌でも何かしなきゃ飽きられてしまう。それで1人ひとつずつ煽るポイントを作ったり、頭おかしくなるぐらいヘドバンしたりしたら、逆に煽らないライブが地味に感じるようになってきて。今までは「ただ曲が流れて踊っていただけなのかもしれない」と思って、そのタイミングからいろいろ考えるようになりました。

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02.BiSH、覚醒「今はこの6人で最強になれたらなって思う」~新メンの苦悩

BiSH『KiLLER BiSH』インタビュー
▲(左から)モモコ、アユニ

--ただ、そうして完成度を高めている輪の中に飛び込む新メンバーのアユニ・Dは大変だったと思います。実際のところはどうですか?

アユニ:まんまその通りで、みんなは殻を破りきった状態。でも自分はまだ殻を破れていないから、煽りとかやりたくても大声を出すことができなくて……

チッチ:でも表情とかは全然変わってきましたよ。

アユニ:最初は笑う余裕が全然なかったみたいで……

--まぁでも最初は隣の人も笑えてなかったですよ。

モモコ:その頃、何をやっていたか記憶がないです(笑)。必死すぎた。

アイナ:立ち位置、大体間違えてた(笑)。

モモコ:記憶に無いです。自分の中で抹消したんだと思います。

--本日は、メジャーデビュー以降のストーリーを振り返りつつ、様々なジャンルの若者から愛され、ひとつのポップアイコン/ロックアイコンになりつつある今のBiSHが如何にして出来たか。これからどうなっていくのか。全メンバー揃い踏みで語って頂ければと思うのですが、まず今のBiSHへの自己評価ってどんな感じなんでしょう?

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▲(左から)チッチ、ハシヤスメ、アイナ

チッチ:今、初期の頃を思い出していたんですけど、全然違うなって。自分も違うし、モモコもアイナも違うし、それは成長できてるってことなのかなって思うし、リンリンとハシヤスメとアユニが入ってきたことによって私の考え方も変わったりしたから、前は自分のことばかり見てるタイプだったけど、ひとりひとりの良さが分かるようになったし、今はこの6人で最強になれたらなって思う。あと、以前に比べてチャートも意識するようになりました。前は1位になれるなんて思えてないから「1位を目指そう」と思えなかったけど、今は「1位になりたい」って思える。これはBiSHが強くなったからだと思う。

ハシヤスメ:今回のツアーを経て「めっちゃ成長してるな」って身に感じてます。チッチも言ったように個々の「この子はこうなんだ!」っていう部分が分かるようになって、私も裏でしか見せてなかった自分を表に出せるようになったし。元々怒りっぽいタイプなんですけど、それを今はステージ上でも見せてる。放送作家の渡辺さん(※BiSH所属事務所WACKの社長/プロデューサー)が「この子はこうした方が良い」っていろいろ考えてくれた結果だと思うんですけど、それで良い具合に自分を出せるようになってきて。そうやって個々が確立されるとグループも更に上に行けるような気がするので、今はそれの駆け出し中。すっごいエンジンがかかった状態で、急発進でガァァァァァァァ!って必死に動いてる。で、まだまだこの勢いで進める自信はすごくある。

アイナ:観点によって評価は違うと思うんですけど、ダンスに関しては「メジャーデビューしてるのに、こんなにヘタクソな人たちはいない(笑)」って思うし、歌もちょっと聴けないレベルの日もあると思うんですよ。そういう部分で見たら評価はマジで10点ぐらい。でもそこをメインに持っていかなくても、私たちは気迫で勝負できるんじゃないかなって最近思えるようになってきて、振り付けもメンバーのカラーが出るようなものにして、ダンスが上手くなくてもその子の個性が出れば十分だなと思ったから、ハシヤシメがメインの曲を作ったり、リンリンがメインの曲を作ったりして、ひとりひとりがキャラクター、アイコンとして成立するものを目指したんです。モモコが無理してダンスがめっちゃ上手くなって、E-girlsさんみたいになっても誰も喜ばないじゃないですか(笑)。

--ちょっと面白いけどね(笑)。

アイナ:でもダンスがめちゃくちゃ踊れたり、腹筋がバキバキにならなくてもいいんじゃないかなって。という風に思えるようになってきたから。前は思えなかったんですけど……

--どうしてそう思えるようになったんですか?

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▲アイナ

アイナ:「ダンスも歌もめっちゃヘタクソだけど、ウチらは負けへんで!」って。私もバンバン怒れるし、怒られるし、上辺だけの関係じゃないから、さっきチッチが言っていた団結力も発揮できる。そこは他のグループには負けないと思うし、そういう意味では90点。もちろん歌もダンスももっと上手くなりたいんですけど、今の私たちの強みはそこかなって思うし、それだったら勝てそう。

リンリン:…………楽器の持たないパンクバンドの感じがだんだん増してきてる。煽りとか、チッチが人の上を歩くようになったりとか。

チッチ:だからライブの度にケガだらけ(笑)。

--アユニ・Dは今のBiSHを見ててどう?

アユニ:私はまだ評価できる次元じゃないというか、私から見たらみんな凄い。自分は足を引っ張ってるというか、ちゃんと出来ていないし、人前で見せられるようなパフォーマンスにもなってないと思うし、やっと最近笑えるようになったぐらいで。こういうインタビューでもなんて言ったらいいのか分からないし、それで黙ったり、でも無口キャラは他にいるから喋んなきゃいけないし……

一同:(笑)

アイナ:喋んないとリンリンが怒る(笑)。

リンリン:このあいだ初めて言ったんですよ、ラジオで。「被ってない?」って。

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▲(左から)モモコ、アユニ

アユニ:被っちゃう。だから頑張って喋ろうと思うんですけど、本当に何を喋っていいか分からなくて、だからこれからキャラをちゃんと……

--すでにキャラが定まった先輩たちから見て、アユニ・Dの個性や魅力はどんなところにあると思いますか?

チッチ:妹感。

アイナ:でも本当は妹キャラじゃないんですよ!

--せっかく譲ったのに?

チッチ:譲ってやったのに。(※チッチは元々「僕の妹がこんなに可愛いわけがない」担当だったが、アユニに譲渡。代わりに「見た目は真面目、中身は悪女 これでも彼氏は2人まで」担当となった)

アイナ:家族といるとお姉さんみたいになるんですよ。

チッチ:でもアユニはイジりやすいですよ。

アユニ:私の喋り方をマネするんです。

--ちょっとやってみてもらえますか?

チッチ:私の喋り方を……(※全く似てないモノマネを披露)

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▲(左から)チッチ、ハシヤスメ、アイナ

--似てないし、ただのイジメじゃないですか(笑)。

チッチ:ヤバいじゃん!

アユニ:チッチはやさしい。

--チッチは?

一同:(笑)

--チッチはやさしいけど、アイナは怖い?

アユニ:いや、怖い。

アイナ:否定しない(笑)!

アユニ:でもそうやって言ってくれる人もいないと成長できないから……有難いです。

--そんなアイナ先輩から見てアユニはどうなんですか?

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▲(左奥)アイナ、(右側手前から)リンリン、アユニ、モモコ

アイナ:まだ引き出しがちょこっとしか開いてないから全然見えない。でもミステリアスではなさそう。

--ある意味、一番キャラの濃いモモコから見てどうですか?

モモコ:アユニが入る前の5人のときはなんか……みんなが強かった(笑)。それまではハグ・ミィがまとめてくれていたから緩和されてたんですけど、5人だけになるとそれぞれに我が強くて。でももしかしたらアユニがまとめてくれるんじゃないかなって。空気が読めそうだから。

チッチ:緩和してくれるかもしれない。

モモコ:5人のとき、どうしようかと思ったもん(笑)。

--エイベックスからのメジャーデビューを発表した今年1月19日 恵比寿リキッドルーム。あの頃はメジャーになることに対してまだ結構ふわふわしてましたよね。実際、どんな感じだったんですか?

※BiSH / IDOL is SHiT@LIQUIDROOMダイジェスト映像[DEADMAN収録]
※BiSH / IDOL is SHiT@LIQUIDROOMダイジェスト映像[DEADMAN収録]

チッチ:いぇーい!って感じでしたね。ただ、リキッドルームで発表される前に私たちは知ってたから。それでいざ発表されたとき、私たちのリアクションが下手過ぎて「やったー」みたいな感じになっちゃったんです(笑)。

ハシヤスメ:今ならもっと出来たかもね!

チッチ:でもめちゃくちゃ嬉しかったのは間違いなくて。天下のエイベックスですからね。

モモコ:私は訳も分からず(エイベックスの)看板持ってた(笑)。でも最近はエイベックスに頻繁に行くようになって、まさかこんなことになろうとは。

チッチ:むしろ渡辺さんよりエイベックスの人たちとのほうが会ってる。

--渡辺さんとあんまり会えないのは寂しいの?

チッチ:寂しいって言ったら嘘になりますけど……

--それだと「寂しくない」という意味になりますが、大丈夫?

チッチ:えっ?

--そのまま続けてください(笑)。

チッチ:かつてのBiSHは自分たちで何も考えられないし、渡辺さんに頼りっぱなしだったんです。もちろん渡辺さんあってのBiSHなんですけど、でも今は自分たちで考えられるところも出てきたので……

--ちょっと独り立ちできた?

チッチ:あ、それです!

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▲(左から)チッチ、ハシヤスメ

--ひとりでお留守番も出来るし、ひとりで買い物できるようにもなった?

チッチ:まだそれぐらいですけど、前は「宅配便の人が来たらこう言っておいてね」って言われないと対応できない感じだったので、いつもめっちゃ不安だった。なので、寂しいは寂しいですけど……今は自分たちで出来ることが増えたから前ほど不安ではない。

ハシヤスメ:やっぱり「明日の公演、渡辺さん来ないよ」って聞くと寂しいんですけど、渡辺さんがいないからって絶対手は抜かないし、いないからこそ「どうしたら良いライブが出来るかな?」って自分たちで考えるし、それは大きな前進だなって思います。

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03.BiSH、最大の危機「みんな病んでた」「キャプテンではいたかったけど……」

--話を戻しますね。エイベックスからのメジャーデビューを発表した日、チッチは「BiSH専用車をエイベックスの人に買ってもらって、毎日家まで迎えに来てもらいたいです」、モモコは「エイベックスの本社の一番上から空を眺めたいです」、ハシヤスメは「高い家に住みたいです。廊下があるマンションに住みたい」、リンリンは「ネズミのランドでライブがしたいです」、アイナは「TRFの新メンバーにBiSHが加わりたいです」と仰っていましたが、どれかひとつでも夢は叶いました?

アイナ:私は叶ってないです。

チッチ:叶う訳がない!

--モモコの「エイベックスの本社の一番上から空を眺めたいです」なんていつでも叶えられそうじゃないですか。

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▲(左から)モモコ、アユニ

モモコ:それ、無理矢理出した答えです。何にも思いつかなくて、今言われて思い出したぐらいですもん(笑)。あと、リンリンの「ネズミのランドでライブ」は無理でしょ? 誰も○ッキーの頭が取れるところとか見たくないもんね。

アイナ:○ッキーに向かって「もっと来ーい!」

--TRFともまだ接触できてないの?

アイナ:DJ KOOさんとはラジオ局で1回お会いして、ご挨拶させていただきました。

チッチ:「いぇーい」って言ってくれました(笑)。

--いつか一緒に【a-nation】とか出れたらいいですよね。

チッチ:【a-nation】出たい。

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▲(手前)モモコ、(奥)アイナ

アイナ:ダンサー時代に【a-nation】のTRFさんのバックで踊ったことがあるんですけど、私はオーディションに落ちたからダンサーとしてしか出れなくて、悔しかったんですよ。私よりも顔が良くてスタイルも良い子ばかりがメインで出てて、そのときに「エイベックス! 見とけよ! 私はめっちゃブサイクやけど、絶対いつかメインで出たる!」って思ったんです。そういう意味で「TRFの新メンバーに加わりたい」って言ったんですよ。そんな私がTRFの新メンバーとして【a-nation】出たら驚かれるだろうなと思って(笑)。

--アユニ・Dは、メジャーデビューしたからには叶えたい夢とかあったりしますか?

アユニ:…………

ハシヤスメ:やりたいこと、したいこと。誰々と共演したいとか。

チッチ:何かをいっぱい食べたいとか。

一同:(笑)

--それ、自分の願望でしょ(笑)?

チッチ:そうやって私に繋げないで下さいよ! めっちゃ食べるから「食欲旺盛なのかな?」と思っただけです!

BiSH『KiLLER BiSH』インタビュー
▲アユニ

アユニ:…………コンビニ?

--コンビニ?

アユニ:コンビニが欲しい。

--コンビニを経営するってこと?

アユニ:部屋に欲しい。

一同:(笑)

モモコ:コンビニ近いところ引っ越したほうが早いんじゃない(笑)?

--メジャーデビュー発表後、3月27日に【IDOL SWiNDLE TOUR FINAL】を品川ステラボールで開催。渡辺淳之介がこれまで手掛けてきた全アーティストのライブにおいて、最もメジャークラス。映像もセットも音も特効もステージ下からメンバーが一人ずつポップアップで飛び出してくる等の演出も、何もかもが予算を惜しまない、かつてないほど豪華な内容でしたが、あのステージに立ったときの心境は今も覚えてますか?

ハシヤスメ:覚えてます。それまではずっとライブハウスだったんですけど、あの日のライブはプシュー!って出るし、パーンッ!て飛ぶし、シュッ!って……

チッチ:擬音ばっか(笑)。

ハシヤスメ:ポップアップで飛び出せるし、本当に楽しかったです! 個人的に今までのライブで一番楽しかった。

--リンリンは?

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(手前から)リンリン、アユニ、モモコ

リンリン:…………銀テープ飛んで、元気になりました。

ハシヤスメ:もうフィナーレじゃん!

チッチ:あれは私もめっちゃ嬉しかったです。メジャー感。

--アイナはあの日のライブにどんな印象を?

アイナ:あの時期、病んでなかったっけ?

チッチ:病んでた。

アイナ:みんな病んでたよね? ちょっと記憶から抹消しちゃってるんですけど……

--あのライブ終演後のインタビューで渡辺さんは、チッチがダイエット企画に失敗してキャプテンを剥奪された件もあって、メンバーたちの意識がまだ低いんじゃないかと言っていましたが、事務所の社長兼プロデューサーからそう言われたことにはどんな気持ちになったりしました?

BiSH『KiLLER BiSH』インタビュー
▲アイナ

アイナ:今振り返れば「こうしておけばよかった」って思えることもあるんですけど、当時はどうすればいいか分かんなくて。チッチもそうだし、チッチ以外の5人のメンバーもどうすればいいのか分かんない。考えすぎちゃって「ヤバい」ってなってる状態。沖縄公演の後にスタッフさんの部屋まで行って「BiSHは今どういう状況ですか?」って相談したりして、それで「おまえらに足りないのはここだよ」って言われた事をリンリンが私にも理解できるように噛み砕いてくれて(笑)。「あたりまえのことが出来てないだけだよ」みたいな。……あんまりよく覚えてないんですけど、結構ツラかったかもしれないですね。

モモコ:ツラかったですね。本当にどうすればいいか分からなくて。

アイナ:ホテルの部屋で初期メンバーだけで集まって、チッチからすごく繊細な相談を受けていたんですけど、そこに渡辺さんが来て! 朝5時ぐらいまで怒られていたんですけど、チッチは「なんか喋れよ」って言われても何も喋らない。

チッチ:私は一言も喋らなかった。「こっち見ろよ!」って言われても見ない。あのときはすべてが反抗心でしかなかったんですよ。

アイナ:だからハグ・ミィも必死で。

BiSH『KiLLER BiSH』インタビュー
▲(手前から)アユニ、モモコ

モモコ:私もチッチのことは心配していたんですけど、そのときは私も遅刻のことですごく怒られてて、でももう朝5時なんですよ!「これ、絶対遅刻するわ!」と思って(笑)もうそのことしか考えられなくなってた!

アイナ:それで本当に遅刻したんですよ!

ハシヤスメ:さすがにイラっとしましたよ!「こいつ、やべーな!」って。

一同:(笑)

モモコ:朝5時まで喋ってたらそりゃ遅刻するじゃないですか?

一同:しないよ!!

モモコ:朝起きて「遅刻した」って分かった時点で手が震え出しちゃって! バッグが締められないんですよ!アタフタし過ぎちゃって。それでエレベーター降りたら同じ状態のハグ・ミィがいて(笑)。

アイナ:ハグ・ミィ、髪の毛ボッサボサで「ごめん、ごめん」って。

BiSH『KiLLER BiSH』インタビュー

モモコ:それでチッチと立場が逆転しちゃって!

チッチ:お腹痛い(笑)。

モモコ:人生のどん底みたいな気分でしたよ(笑)。でもあの日があったからチッチのことをもっと解れたというか……

アイナ:いろいろ誤解してたなって気付けた。

--チッチは、キャプテンじゃなくなってからのほうが生き生きしているように見えるんですけど、今はどうなの?

チッチ:いろいろ気にしなくなったんですよ。何かを捨てたら……楽しくなった。すみません、笑い過ぎて涙が出てきたんですけど……

モモコ:感動して泣いてんのかと思った。

BiSH『KiLLER BiSH』インタビュー
▲(手前から)チッチ、ハシヤスメ、アイナ

アイナ:今の話、感動するポイントなくない(笑)?

チッチ:キャプテンではいたかったし、キャプテン……キャプテンにはなりたいけど、すごくいろんなことを気にしちゃってたから。私も追い詰められるとどうすればいいか分からなくなるタイプだから、何もかもイヤになってしまって……だから渡辺さんへの報告メールを送るのもイヤで。「おまえは毎日送れ」って言われていて、渡辺さんからしたらそれがあたりまえのことだし、やらなきゃダメって分かってるんですけど、それが「あ」の一言でも送るのがイヤな時期があって。……でも何でもかんでも気にし過ぎないようにして、BiSHをとにかく楽しもうと思えたら今の自分になれました。前は「私はこうしなきゃ」「私はこう思ってなきゃ」っていう感じだったんですけど、今はみんなのことが分かって「自分はこうしてればいいんだ」っていうのが分かったから楽しくなった。

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04.BiSH、仲間との別離「もうハグ・ミィが辞めるのは決まってたんで……」

--そんなドタバタ劇があった中、BiSHは99秒のメジャーデビュー曲「DEADMAN」を発表、カップリングには小室哲哉作曲の「earth」収録という豪華メジャーデビューシングルをリリースし、日本中の視聴者が『めざましテレビ』などでBiSHのことを知ることになります。

BiSH『KiLLER BiSH』インタビュー
▲(左から)チッチ、ハシヤスメ、アイナ

ハシヤスメ:『めざましテレビ』に出たときは、全然連絡してなかった地元の友達からも「これ、もしかしてあっちゃん?」って。『めざましテレビ』効果はかなりデカかったです。

--また、メジャーデビューシングルのリリースイベントとして初の24時間イベントも開催。僕も何故かステージに上げて頂いたりして良い思い出になっているんですが(笑)、皆さんの中ではどんな思い出になってますか?

アイナ:嬉しかったです。もちろんツラかったんですけど、アイナは前のグループでどんなに頑張っても40人しか集客がなかったんですよ。でもあのイベントではもっとたくさんの人の前で24回もライブが出来る。しかも夜中もお客さんが来てくれる。私たちがソロで超つまんない話をしてるコーナーも「うんうん」って聞いてくれてたし。

チッチ:私がソロで話していたときは、白目を剥いて倒れそうになってる人がいました。私の話がつまんなすぎて(笑)。

--アユニ・Dもああいうイベントに挑戦したい気持ちはある?

アユニ:やってみたいです。

アイナ:いいよ、そんなこと言わなくて。

モモコ:やめてよ、ウチらもやんなきゃいけなくなる!

BiSH『KiLLER BiSH』インタビュー
▲(左から)チッチ、ハシヤスメ、アイナ

アイナ:「24時間」と「駅伝」は禁句。

アユニ:でもやんないと分かんない、ツラさが。

--そうだよね。アユニ・Dもみんなとツラさを共有したいよね。

チッチ:本当にやりたいの?

アユニ:なんか変わったこと、まだやってないから。

アイナ:じゃあ、ひとりで(笑)。

--と言ってるアイナさんも「こんなんでヘコたれないように、次は40……時間ぐらい出来るように」とグランドフィナーレで仰っていましたが。

アイナ:うわぁ! なんでそんなこと言ったんやろ?

モモコ:今「禁句」って言ってたのに(笑)。

アイナ:声がだんだん出なくなるのが本当に悔しいんですよ。持っていかれるんですよね、すべてが。「私の武器はなんだ? 私は何で売っていくんだ? そんなに上手くないけど、歌とダンスしかない。それなのに歌えないなんて生きてる価値ない」ってすぐ思っちゃうんですよ。そこまで思いつめてしまう。私は「生きる=歌う」だから、それしか受け入れてもらえないのにソレが無くなっちゃったら……って思っちゃうから、そういう意味で「40時間でも歌いきれるようになりたい」って意味で言ったんですけど……そういう意味では、私がひとりでやってもいいです(笑)!

--40時間はやめておきましょう。それで二度と歌えなくなっても困るし。

アイナ:たしかに!

--でもみんなの気持ちをひとつに出来たイベントだったんじゃないですか?

※BiSH/ALL YOU NEED IS LOVE [OFFICIAL VIDEO]
※BiSH/ALL YOU NEED IS LOVE [OFFICIAL VIDEO]

チッチ:最終的には。

アイナ:あのときもうハグ・ミィが辞めるのは決まってたんで、それで最後の最後にアカペラで「ALL YOU NEED IS LOVE」を歌ってるときに「みんなは知らないんだ」と思って……

チッチ:たしかに泣きそうになった。

アイナ:エモかったです。

--ハグ・ミィ脱退。BiSHも落ち着かないグループなんだなと痛感しましたが、6月2日 赤坂BLITZで行われた脱退ライブはどんな気持ちで臨んだんでしょう?

アイナ:信じられなかったよね、いなくなるのが。

チッチ:「なんでそんな平気な顔してんの?」って思ってました。私、めっちゃツラかったから。でも最後だから失敗はしたくない想いが強くて、渋さ知らズオーケストラさんとのツーマンだったし、ライブは楽しもうと思って。

ハシヤスメ:私は、6人のリハも最後だし、本番が始まっちゃえばそのまま特典会でハグ・ミィはいなくなるから「楽屋で話すのもこれが最後なんだろうな」と思っていたら本当にそうだったんですよ。ハグ・ミィの特典会は結局朝まで続いたので。ただ、実感はなかったんですよね。でも明日は来ちゃうし……それでしばらく経ってから実感が湧いた感じでした。

リンリン:ハグ・ミィがいなくなるライブなのに、最後の「BiSH -星が瞬く夜に-」はハグ・ミィ以外の5人でやらされて……それがあったので、それで頭がいっぱいで、悲しんでる余裕も無くて。

--しかもリンリンはハグ・ミィのパートを引き継ぐ形でしたからね。

リンリン:そう、それがもう怖すぎて。しかも大きい会場で、ハグ・ミィの代わりに歌うというのがプレッシャーで……

--でもリンリンは涙のシャウトで歌いきりました。

リンリン:…………。

--ちなみに、今でもハグ・ミィとは連絡取ってたりするの?

チッチ:してます。元気に就活してます。でもまだ決まらず。あと、一緒に焼肉を食べに行きました。めっちゃみんなのこと気にしてて「リンリンはどうなの? モモコちゃんはどうしてるの?」みたいな。お母さんというか、親戚のおばちゃんみたいでした(笑)。

※BiSHキャノンボール2016 Episode 1
※BiSHキャノンボール2016 Episode 1

--メジャー1stアルバム『KiLLER BiSH』の特典DVDにも収録されている【BiSHキャノンボール】。ゲラゲラ笑いながら僕も観させて頂いたんですけど、アイナとハグ・ミィと小川マネージャーのチーム、今ではアイナしかいなくなってて、そこだけ少し切なくなりました。

アイナ:お父さんに深刻な顔で「次、辞めるのアイナだね」って言われました。でも「辞めたらお家入れへんからなー」って(笑)。

--何があろうと突き進んでいくのがBiSHということで、今夏のTIFには5人で出演。前年に2日目出演キャンセルとなったイベントですが、今年は無事に2日間で計9回にわたって「BiSH-星が瞬く夜に-」のみを連発。どんな気分でした?

チッチ:私たちは結構複雑でしたよ。だって、いろんな曲やりたいじゃないですか。

--(笑)

※BiSH/BiSH-星が瞬く夜に- [OFFICIAL VIDEO]
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チッチ:オタクはオタクでつまんなそうな顔してるし。

アイナ:アイナ的にはハシヤスメが変わったステージだったなって思います。この人、あんまり疲れないんですよ。みんなが疲れてるときに一人だけうるさいんです。謎の地球外生物みたいなところがあるんですけど、TIFのときは私やチッチやモモコに「頑張ろう」っていう雰囲気があり過ぎたせいか、リンリンも「頑張んなきゃ」って感じになって、最終的にハシヤスメも苦痛の表情を浮かべながらも「やったるぞ!」感が出まくってて。初めてそういうところが見えて「格好良いな」って思いました。映像で振り返っても「ハシヤスメ、格好良いな」しか思わないぐらい。

ハシヤスメ:ずっと出たかったんで、TIFは。アイドルをやっていれば大体の人が憧れるじゃないですか。私もそうだったんですけど、地下アイドルをやっていたときは出れなくて。で、去年「アーティスットの都合で」BiSHが出れなくなったから! 私はもうそのときメンバーになる情報を得ていたので、「あ、これ、来年も出れないんじゃないか? それで出れないのはマジで悔しい!」と思ってたんですよ。でも蓋を開けたら無事出れることになって……いろんな想いが駆け巡りました。私、いっぱい夢があるんですけど、その中のひとつが叶ったんですよね。だから「やんなきゃ!」と思ったんです。それが表れちゃって、ちょっとお恥ずかしいですね。

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05.BiSH、伝説へ「凄いことや言い伝えられることがBiSHも出来たら」

BiSH『KiLLER BiSH』インタビュー
▲(左から)モモコ、アユニ

--そして、8月24日 Zepp Tokyoで行われた【TOKYO BiSH SHiNE repetition】で新メンバーであるアユニ・Dが加入。あの日はアユニ・Dにとってどんな1日になりました?

アユニ:忘れられない1日。途中で半べそになって……多分みんなは気付いてないと思うんですけど、それで終わった後に結構「わぁ~!」ってなっちゃって。チッチがずっと「よしよし、がんばったね~」みたいな感じで優しくしてくれたんですけど、それが嬉しかった。

--前日はどんなテンションだったんですか?

アユニ:死にそうでした。明日が来ないでほしいとずっと思ってました。

--でもBiSHに入りたくてオーディション受けたんですよね(笑)?

アユニ:そうなんですけど、今でもなんで自分が選ばれたのかあんまり分かんない。

--なんでBiSHに入りたいと思ったんですか?

アユニ:おかしな、普通じゃないことをしたくて。でもそういうことって簡単には出来ないんだなって思い知らされてます。

--新メンバーを受け入れる側はどんな感覚だったんですか?

アイナ:みんなが優しく接していたので「これ、ヤバいな。私がまた鬼になるしかないな」と思って、また鬼アイナがよく登場してます。

BiSH『KiLLER BiSH』インタビュー
▲アイナ

--今、鬼やってんの?

アイナ:鬼やってます(笑)。こんな可愛い子に怒りたくないじゃないですか。でも振り付けが覚えられなくて「ヤバい」みたいな感じになってると「出来るやろ? 出来るやろ!?」って何回も言ったり、汗拭きながらヘロヘロになってるのに「はい、もう1回!」って厳しく言ったりしてます。

--そういうときはどう思ってるんですか?

アユニ:……泣かない。泣きたくないから。でも「出来る」って言われても出来ないから「ちょっと待って」って思う。

--(笑)

アユニ:でも出来たらその倍褒めてくれるんで。

--そんな紆余曲折を経て、音楽シーンを代表するポップアイコン/ロックアイコンに相応しいメジャー1stアルバムも完成/リリースし、今週末10月8日には日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブも開催されます。ここまで一気に振り返ってもらいましたが、どんな日々だったなと感じますか?

アイナ:休みがなかった。

モモコ:なかったー。

--この後もまだまだBiSHのストーリーは続いていくと思うんですけど、こうして振り返ってみると、よくここまで来ましたよね。ハグ・ミィは脱退してしまいましたけど、もしかしたら他のメンバーも抜ける可能性だってあったかもしれない。というか、実際、あったでしょ?

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一同:(笑)

--当然、あの頃はそういうことも考えたでしょ?

チッチ:(黙って頷く)

--でも続けててよかったね。

チッチ:はい。……やっててよかった。本当にそう思います。

--だって、野音ですよ。メジャーデビューから5ヶ月で。10月8日、どんなライブにしたいなと思ってますか?

チッチ:多分初めて来る人もたくさんいると思うんですよ。でも野音はライブハウスみたいに客席に突っ込んでいったりすることも出来ないと思うから、それこそ気迫が大事だし、観に来てくれた人たちに「BiSH、かっけぇなー」って思わせたい。ライブ帰りに居酒屋とかで「かっけぇなー、BiSH」って語ってもらいたい。

ハシヤスメ:ずっと立ちたかったところなんで、マジでうれしいっす。

BiSH『KiLLER BiSH』インタビュー
▲(左から)モモコ、アユニ

モモコ:自分が立てることが夢のようなんですけど、野音でBiSHがちゃんとプラスの方向に向けばいいなと思ってます。もしかしたら「オーケストラ」のPVだけチラッと見て来る人もいるかもしれないし、ウチらに凶暴なイメージがあって「ライブハウスだと怖いけど、野音だったら行ってみようかな」って来る人もいるかもしれない。そういう人たちがもうちょっとBiSHに親近感を湧かせてくれたらその後も来てくれると思うので、離さないようにしたいと思う。

--リンリンは?

リンリン:……後藤まりこさんが雨の野音で歌っている姿が格好良すぎて、ああいう凄いことや言い伝えられることがBiSHも出来たらいいなって。

アイナ:雨、降らないかなー?

チッチ:降ってほしい。

--そこから先のBiSHはどうなっていくんですかね?

アイナ:私、自分に見慣れるようになりたい。

--どういうこと?

アイナ:いつも驚くんですよ! 映像で見ると「こんなにブスだったっけ? こんなにヤバい顔してるんだ?」って思っちゃうんですよ。だから見慣れるようになりたいです。この先、もしどんどんテレビに出れるようになっても驚きの連続だと思うんで(笑)。

BiSH『KiLLER BiSH』インタビュー
▲(左奥)アイナ、(右手前から)リンリン、アユニ、モモコ

--そんなあなたのことが大好きなリンリンみたいな人もいるんですよ? リンリン的にアイナの顔はどうなんですか?

リンリン:顔はそんなに興味ない。

一同:(笑)

リンリン:人間性が好きなんで。

--元々はBiSHの先代グループであったBiSが新体制で復活したり、他にもBiSHをライバル視しているグループはたくさん増えていると思うんですが、この状況にはどんな感慨を持たれていますか?

チッチ:もうBiSHはBiSHだって思ってるんで、BiSはBiSだし、そこを比べるのは違うかなって今は思います。

※BiSBiS / BiS-新生アイドル研究会-
※BiSBiS / BiS-新生アイドル研究会-

モモコ:私は元々BiSさんが好きだったんで、今回も「復活してうれし~!」って感じです(笑)。

アイナ:私が好きだったBiSじゃないからまだ興味ないかな。BiSHに入る前、プー・ルイさんのバンドのバックダンサーになる話をもらっていたぐらいなので、もうプー・ルイさんはバンドのイメージだったんですよね。だから「またやるんだ?」とは思いました。あと、アヤ・エイトプリンスが可愛い。推しです。

--では、最後に、楽器を持たないパンクバンドらしく、音楽シーンの皆さんへ宣戦布告的なメッセージをひとつお願いします。

アイナ:そういうの好きですよね(笑)。

--だって、楽器を持たないパンクバンドって言ってるのに、誰もあんまりパンクらしい発言してないじゃないですか。

アイナ:モモコがいる。『IDOL AND READ』のインタビューで「BiSHは人生の暇つぶしです」「私はダンス上手くなろうと思ったことないし」って言ってたじゃないですか。あれ読んで「コイツ~!」って思いましたよ。

モモコ:聞いてください。そのインタビューの件で、私、アイナに謝ったんですよ。

チッチ:私にも謝ってよ。

モモコ:もうやだぁー! なんで最後にこうなるの?

アイナ:オタクにも気遣われましたよ。「モモコのインタビューは読んでも気にしなくていいから」って(笑)。

--では、そんなモモコさんから音楽シーンの皆さんへメッセージをお願いします。

モモコ:BiSHが殺しにかかってやるぞ。

一同:…………

モモコ:メジャー1stアルバム『KiLLER BiSH』にかけました。

チッチ:かけたんだ(笑)。

モモコ:俺たち殺人鬼をナメんじゃねーよ。……とかですか?

一同:(笑)

モモコ:これ、絶対「とかですか?」まで書かれますよね?

Interviewer:平賀哲雄
Photo:Jumpei Yamada

BiSH『KiLLER BiSH』インタビュー
▲BiSH

◎BiSH Less than SEX TOUR FINAL "帝王切開"
10月8日(土)日比谷野外音楽堂
OPEN 17:00 / START 18:00
問い合わせ:KM MUSIC 045-201-9999
チケット料金
S席¥30,000(税込) ※当日限定SPECIAL LIVE鑑賞権+お土産付き
A席¥10,000(税込) ※お土産付き
B席¥5,000(税込)
※未就学児童入場不可
※当日限定SPECIAL LIVE鑑賞権とは極限までルールを排除した、
100名ちょっとだけで日比谷野音を完全に堪能する星が瞬く夜になライブ
チケット一般発売中
プレイガイド:チケットぴあ http://w.pia.jp/t/bish/

BiSH「KiLLER BiSH」

KiLLER BiSH

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