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プリンス主演3作、初ブルーレイ化!『プリンス フィルムズ』リリース記念特集
マイケル・ジャクソンと並ぶ80年代のブラック・アイコンであり、ジャンルを超えた永遠のスーパースター、プリンス。去る2016年4月21日に57歳の若さで急逝し、世界中を悲しませた。彼はこれまでに多くのアーティストに多大な影響を与えてきたし、今後も変わらず影響を与え続けていくことだろう。そんなプリンスは、音源だけでなく映画作品も残している。この度、彼が主演した3本の映画作品が初のBlu-ray Discとなって登場。あらためてプリンスの映像作品の魅力について解説しておこう。
(1984年)
プリンスの映画というと、なんといってもこの作品が筆頭に上がるはずだ。人気急上昇中だった彼が世界的に大ブレイクしたきっかけでもあり、アーティスト・イメージを確立した記念碑でもある。自伝的内容のストーリーは、「レッツ・ゴー・クレイジー」のライヴ演奏から始まる。いきなりテンションの高いパフォーマンスが観られるのが嬉しい。キッドという役名はあるがほぼ自分自身なので、ライヴ・シーンは充実している。バラードの傑作「ビューティフル・ワン」やクールな「コンピューター・ブルー」、過激なステージングを見せる「ダーリン・ニッキー」などいずれも彼らしいステージングが見ものだ。
しかし、圧巻はクライマックスで演奏する「パープル・レイン」だろう。プリンスのもっとも美しい瞬間を切り取ったといってもいい。アポロニアとバイクに乗るシーンで流れる「テイク・ミー・ウィズ・ユー」や、イメージショットをつないで聴かせる大ヒット・チューン「ビートに抱かれて」なども含め、とにかくプリンスの音楽に映像が染められている。また、ザ・タイムの「ザ・バード」やアポロニア6の「セックス・シューター」といった、プリンス・ファミリーの楽曲も聴けるのも映画ならでは。
なお、本作はアカデミー賞の歌曲・編曲賞を受賞。サウンドトラックでもあるアルバム『パープル・レイン』も初のビルボード・アルバム・チャートで1位を獲得。5曲の大ヒットシングル・ナンバーも生み出した。ありがちなサクセス・ストーリーでありラブストーリーだが、これほどまでにプリンスの魅力を伝える映像はないかしれない。
(1986年)
プリンスが初監督を務め、本格的に映画界へと進出した作品。『パープル・レイン』とはまったく趣が違い、設定は南仏のリゾート地で金持ちマダムを誘惑するジゴロの役。ラウンジでピアノを弾くミュージシャンではあるが、基本的にはミュージカル的な要素はなく、彼も俳優として演技をしている。唯一、パフォーマンスを見せるのが、でかいラジカセを鳴らしながらピアノの上で「ガールズ&ボーイズ」を踊って歌うパーティーのシーンくらい。それ以外はあくまでも音楽はBGM扱いだ。
とはいえ、全編モノクロのレトロな雰囲気の映像とプリンスの音楽との融合は非常に美しい。「クリストファー・トレイシーのパレード」、「ライフ・キャン・ビー・ソー・ナイス」、「KISS」、「ヴィーナス・ドゥ・ミロ」といった名曲が惜しげもなく使われている。また、エンディングではウェンディ&リサを含むレヴォリューションのメンバーとともに「マウンテンズ」を歌うシーンがあるのも注目だ。そして、これらの楽曲を含むアルバム『パレード』は、彼の80年代における最高傑作との呼び声も高い。音楽映画としては、たしかに肩透かしを食う作品ではあるし、映画そのものは映像美を除くと高く評価できるものでもない。とはいえ、彼が監督した作品であることには間違いなく、プリンスの美学がそこかしこに感じられるため、ファンは必見の映画である。
(1990年)
『パープル・レイン』から6年経った続編として作られた本作は、プリンス自身が監督、脚本、音楽、主演という4役をこなした。グラム・スラムというライブハウスを舞台にしていたり、ひとりの女性をめぐる対立を描くなどは善悪を踏襲してリ、プリンス映画の集大成といってもいい内容になっている。
ここでの見どころは、やはり迫力あるライヴ・シーンだ。オープニングで「ニュー・パワー・ジェネレーション」を披露して勢い付け、ダンサーを交えて歌う「エレファンツ&フラワーズ」や、ストリートで披露する「ティック・ティック・バング」など、いずれもプリンスならではの色が濃厚。加えて本作では豪華なゲストを迎えており、おなじみヒール役のモーリス・デイ率いるザ・タイムが、数曲披露するだけでなく、ジョージ・クリントンが登場する強烈な「ウィ・キャン・ファンク」、まだ幼い顔をしたテヴィン・キャンベルが踊りながら歌う「ラウンド・アンド・ラウンド」、メイヴィス・ステイプルズがど迫力で歌うゴスペル風の「メロディ・クール」など、とにかく贅沢な仕上がりだ。
映画としては不評だった本作だが、やはりプリンスのパフォーマンスを見るには最高の作品だ。結果的に本作以降は映画を作らず、最後の主演映画となってしまった。しかし、翌年から自身のバンドをニュー・パワー・ジェネレーションと名付けることになるなど、90年代以降のプリンスの活動を示唆する作品でもある。彼の音楽世界を深く楽しみたいと思うなら、ぜひ観ていただきたい一作だ。
リリース情報
『プリンス フィルムズ
ブルーレイ メモリアル・エディション』
- 初回仕様3枚組
- [1000629368 / 7,990円(tax out)]
- (c) 1990 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
- 発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
- 詳細・購入はこちらから>>
『パープル・レイン
ブルーレイ メモリアル・エディション』
- 初回仕様
- [1000629369 / 3,990円(tax out)]
- (c) 1990 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
- 発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
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『アンダー・ザ・チェリー・ムーン
ブルーレイ メモリアル・エディション』
- 初回仕様
- [1000629370 / 3,990円(tax out)]
- (c) 1990 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
- 発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
- 詳細・購入はこちらから>>
『グラフィティ・ブリッジ
ブルーレイ メモリアル・エディション』
- 初回仕様
- [1000629375 / 3,990円(tax out)]
- (c) 1990 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.
- 発売・販売元:ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント
- 詳細・購入はこちらから>>
Text: 栗本斉
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