Special
ももいろクローバーZ ニューシングルリリース記念特集 8年間の“ ザ・ゴールデン・ヒストリー”
ももいろクローバーZ ニューシングル『ザ・ゴールデン・ヒストリー』のリリースを記念して、彼女たちが歩んできた8年間のヒストリーを注目作と共に紹介! 結成からメジャーデビュー、夢の実現にその先の未来までを、作品年表に沿って解説していきます。
[MV]ももいろクローバーZ - ザ・ゴールデン・ヒストリー
(MOMOIRO CLOVER Z/THE GOLDEN HISTORY )
シングル『ももいろパンチ』2009年8月5日 RELEASE
2008年に結成した“ももいろクローバー”。
今やファン=モノノフの間で伝説となっている代々木公園はNHKホール前をはじめ、週末ヒロインとして土日を中心に路上ライブを繰り返しながら成長を重ね、初のCD音源として翌年リリースした記念すべき1stシングル。
なお、ジャケットに写っているのは百田夏菜子、玉井詩織、佐々木彩夏、高城れに、早見あかりの5人で、有安杏果は本作リリース直前に加入した。
同音源は“無印”と呼ばれるかつての編成の中でも最初期のメンバー構成によるものとなっていたが、2013年にリリースされたインディーズベスト『入口のない出口』では、現在の5名の歌声に差し替えられたバージョンが収録された。
シングル『行くぜっ!怪盗少女』2010年5月5日 RELEASE
この頃になるとコアなアイドルファンの間では口々に話題となっていた彼女たちが、満を持してのメジャーデビュー作品としてリリースした代表曲中の代表曲。
作詞、作曲、編曲は以後ももクロと深い関係性になっていくヒャダインこと前山田健一が担当。今なお一番の代表曲とされることも多々あるが、ハイライトはやはり2012年。初めての紅白歌合戦に“ももいろクローバーZ”として出演した5人が、無印時代、いわゆる早見あかり在籍時に使用していたバージョンで同曲を歌唱し、古くからのファンを号泣させた。
1stアルバム『バトル アンド ロマンス』2011年7月27日 RELEASE
前年末のクリスマスイブに開催したももクロ初のホール単独ライブで大成功を収め、今年こそは夢の紅白に……とファンも気合が入っていた最中、突如発表された早見あかりの脱退。そして春の中野サンプラザ公演を持って5人となった彼女たちは“ももいろクローバーZ”と改名し、夏に初のアルバム作品として本作をリリースした。
メジャーデビュー以降に発表してきたシングル表題曲に加えて、ライブで人気が高かった「オレンジノート」なども初音源化。初期のベスト盤のような作風で、後にCDショップ大賞の第4回大賞を受賞。今なおファンから高い評価を獲得するなど、“Z”時代の幕開け的1枚である。
ちなみに、前述のクリスマスイブ公演の模様はDVD『ももいろクリスマス in 日本青年館 ~脱皮:DAPPI~』に収録されているのだが、幕開けと同時に号泣するメンバーの姿をまだ未見という新しいファンの方々は必見!
Blu-ray&DVD『ももいろクリスマス2011 さいたまスーパーアリーナ大会』2012年4月11日 RELEASE
ももいろクローバーZとしてまい進し始めた彼女たちは、夏によみうりランドにて初の屋外大規模ライブ、秋にはShibuya O-EAST(当時)と品川ステラボールにて初の女性&男性限定ライブと、初モノのライブを次々に実現させていく。
そして年末、1万人を動員する当時史上最大の挑戦ながらチケットは即日完売、プロレスや格闘技へのオマージュを盛り込んだ展開やマーティ・フリードマンら豪華ゲストなど、今のももクロライブに通ずるド派手な演出や舞台装置がふんだんに導入されたステージの模様を収録した映像作品がこれだ。激動の1年を締めくくるに相応しい、感動と興奮のステージになっている。
シングル『サラバ、愛しき悲しみたちよ』2012年11月21日 RELEASE
ももクロ人気は留まることを知らず、楽曲においてもThe Go! Teamのイアン・パートンや大槻ケンヂ(筋肉少女帯)、やくしまるえつこなど国内外の人気アーティストが参加するようになってきたこの頃。
すでに世界的な評価を獲得していた布袋寅泰が作曲と編曲、ギター演奏を担当した同曲で、Billboard JAPAN Hot 100にて初となる初登場1位を獲得(2012/12/03 付け / BillboardJAPAN HOT100)。
翌年春にリリースする2ndアルバム『5TH DIMENSION』でも、上記したシングル参加組からTeddyLoid、いとうせいこう、MUROら一線級のアーティストまで、計13曲の作詞作曲編曲に計25人もの超豪華クリエイターが集結。芸術性の高い作風に賛否が分かれたが、意欲作という点で他の追随を許さぬクオリティだったこともまた確かだ。
Blu-ray&DVD『ももクロ夏のバカ騒ぎ WORLD SUMMER DIVE 2013.8.4 日産スタジアム大会』2014年1月29日 RELEASE
神奈川 日産スタジアムにて、6万人という史上最大規模の動員を集客して開催された真夏のワンマンライブを収めた映像作品。
開催前より「世界的エンターテインメントなライブにします!」と意気込んでいた彼女たちだが、音楽監督の武部聡志らそうそうたるプレイヤーが揃ったダウンタウンももクロバンドの生演奏をはじめ、布袋寅泰や松崎しげる、マーチングバンドといったミュージシャン。猫ひろし、箕輪はるか(ハリセンボン)、武井壮、サッカー元日本代表選手などなど……、ももクロだから揃えられた超豪華ゲスト陣が次々に登場し、約4時間半にも渡った最強のエンターテインメントを大観衆の前で完成させた公演だ。
なお、本作では、ワールドカップにも使用された空撮用カメラ"スパイダーカム"による迫力の映像も注目のポイントだ。
シングル『泣いてもいいんだよ』2014年5月8日 RELEASE
14年春に発足されたキングレコード内の新レーベル EVIL LINE RECORDSからの第1弾リリースとなり、表題曲の作詞作曲はあの中島みゆきが担当。映画『悪夢ちゃん The 夢ovie』主題歌にも起用され、映画のイベントや公開直前のスペシャルドラマにて、女優 北川景子と共演したことも広く報じられた。
また、この年リリースされた音源はシングル2枚に留まったが、夏に発表したシングル『MOON PRIDE』もアニメ『美少女戦士セーラームーンCrystal』のオープニング&エンディングテーマを収録と、両作ともビッグタイアップを獲得。
さらには国立競技場や日産スタジアムで2DAYS公演を行い、年末には3度目の紅白歌合戦出場を果たすなど、その人気は盤石のものとなっていった。
シングル『青春賦』2015年3月11日 RELEASE
日本が世界に誇る劇作家 平田オリザが2012年に発表した処女小説を原作に、『踊る大捜査線』シリーズの本広克行が監督を務め、ももいろクローバーZ主演で贈る青春映画『幕が上がる』。
2015年2月に公開され、40年の歴史で初めてのグループ受賞となった記念報知映画賞 特別賞をはじめ、第39回日本アカデミー賞 話題賞やTSUTAYA映画ファン賞2015などを多数受賞、興業収益も1億を突破と、いわゆるアイドル映画とは一線を画した絶大な評価を獲得した。
こうして映画界にも新たな伝説を残した彼女たちが、その主題歌や挿入歌を収録したシングルとして発表したのが本作。表題曲では稀代のポップ・マエストロ 冨田恵一が、合唱曲調のメロディを極上のサウンドで包み込んだ。結果、ももクロに新たな彩りを加え、映画と合わせて記念碑的な1作に。
3rdアルバム『AMARANTHUS』、4thアルバム『白金の夜明け』2016年2月17日 RELEASE
約3年ぶりのオリジナルアルバムとして、2枚同時にリリース。13年に発表した「GOUNN」から繋がる世界観として、“生と死とファンタジー”をテーマにそれぞれ“起きて見る夢” “寝て見る夢”をコンセプトとし、これまで以上に豪華なクリエイターやミュージシャンが多数参加。日本のアイドルが辿り着ける極点のひとつと、その先の未知の世界を体感できる革新性を提示してみせた2016年の最重要作品といえるだろう。
■ももクロ 3年ぶり新作3rdアルバムは日本のアイドルが辿り着ける極点のひとつ
■未曾有の革新性にあふれたももクロ 4thアルバムは2016年の最重要作品
また、今年3月に高城れにが自身2度目の、6月には有安杏果が自身初のソロライブをそれぞれ開催。百田夏菜子は連続テレビ小説『べっぴんさん』で初のドラマ単独出演が決定するなど、個々の活動も活性化、ネクストステージを予感させるトピックが続いている。
シングル『ザ・ゴールデン・ヒストリー』2016年9月7日 RELEASE
単独名義では2016年 第1弾となるシングル。2月に同時リリースした傑作アルバム『AMARANTHUS』『白金の夜明け』以降の作品とあって、どのようなサウンドを聴かせてくれるのか非常に楽しみにしていたが、やはりというか当然というか、ももクロは素晴らしい楽曲をまたしても用意してくれていた。
表題曲は“さぁ 始めよう”と百田夏菜子がぶち上げる狼煙から、終始笑顔が弾け続けていく超ポジティブなアッパーチューンだ。日本のヒット・パレードを花咲かせて世界と踊ろうとグイグイあげていく展開は、彼女たちがこの秋に控える新たな挑戦、アメリカ横断ウルトラライブに向けてのものとも言えるが、その根底にあるのは根源的なポップミュージックの力。ももクロが結成当初から提唱してきた“笑顔を届けること”を、より広く繋げていこうとする究極のエンターテインメントの形だ。
中でも最大のハイライトになっているのがラスサビ前のフックで、“いくつもの時代を 越えるたびに強くなる”という百田夏菜子のソロパートに始まり、玉井詩織、佐々木彩夏、有安杏果とバトンを繋いで高城れにのロングトーンに連なっていく展開は、神々しいほどの希望に充ち満ちている。常に先へ進もうとする意志が光に連なっていくのだと、ここまでストレートに力強く歌えるのが今のももクロであり、今の日本に最も求められているアイドルの姿と言えるのではないだろうか。
なお、本作のカップリングには、『白金の夜明け』で存在感を示したinvisible mannersによるヒップなダンスナンバー「DECORATION」。さらには初回限定盤Aに自身らも出演したNHK BS時代劇『伝七捕物帳』主題歌「Hanabi」、初回限定盤Bには 柳田悠岐選手の登場曲に使用されている「伸ルカ反ルカ」をそれぞれ収録(通常盤は2曲とも収録)と、各クリエイターがとびっきりの手腕を振るっていて聴きどころは満載だ。
リリース情報
関連リンク
Reviewer:杉岡祐樹
ザ・ゴールデン・ヒストリー
2016/09/07 RELEASE
KICM-91713 ¥ 2,037(税込)
Disc01
- 01.ザ・ゴールデン・ヒストリー
- 02.DECORATION
- 03.伸ルカ反ルカ
- 04.ザ・ゴールデン・ヒストリー (off vocal ver.)
- 05.DECORATION (off vocal ver.)
- 06.伸ルカ反ルカ (off vocal ver.)
関連商品