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“新ロックンロールの女王”エル・キング初来日インタビュー

エル・キング初来日インタビュー

 今夏、初来日で初のサマソニ出演を果たしたエル・キング。サマソニ出演(東京)の翌日にインタビューを敢行!「エクシズ・アンド・オーズ」が全米ビルボードシングルチャートで見事トップ10入りし、【第58回グラミー賞】では「最優秀ロック・ソング賞」と「最優秀ロック・パフォーマンス賞」の2部門にノミネートされるなど、新世代ロックンロール・クイーンとして注目を浴び、今まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのあるアーティストだ。国内盤デビュー・アルバム『ラヴ・スタッフ』は6月8日にリリースされ、8月19日に公開された『ゴーストバスターズ』のサントラへの参加もしているエル・キングに、初来日での日本の印象、彼女の音楽のバックグラウンドについて聞いてみた。

日本に恋しちゃったわ!

――今回が初めての来日だと思いますが、日本はどうですか?

エル・キング:日本に恋しちゃったわ!こんなに楽しい時間を過ごせているのはすごく久しぶりよ。私はとてもラッキーで今まで色んな国に行くことができたけど、こんなに一つの国に圧倒されることはなかったわ。日本の文化には前から興味があったんだけど、実際に来てみないとわからないことってたくさんあると思うの。だから日本に来て出来るだけ多くの事を吸収したいと思っているの。サマソニのステージが終わった後、色んな人と話していて「日本の全てのことを知りたいと思わない?(悪い部分も含めて)」って言われたんだけど、私はこの国の美しいと知れたから十分だと言ったわ。

――日本を好きになってくれて嬉しいです。初出演したサマソニですが、東京のステージを観に行きました。あなたのステージはとても良かったのですが、あの曲が聴けず少し残念だったのですが…?

エル・キング:「アメリカズ・スイートハート」のことよね!?

――その通りです。いつ披露するのかな~と待っていたのですが。(笑)

エル・キング:実は、昨日(8月21日)のステージはとっても暑くて、気絶寸前だったの。でも本当にごめんなさい!

写真
2016.08.21 Elle King @ Summer Sonic 2016

――そうゆうことだったんですね。確かにちょうどお昼の時間だったので、すごく暑かったのを覚えています。

エル・キング:私もみんなの前で演奏したかったの。日本のファンは「エクシズ・アンド・オーズ」だけじゃなくて「アメリカズ・スイートハート」も知っていたことに気付いたからよ。だから私自身もすごく楽しみにしていたんだけど、セットの最後の方になってきたときに、暑さで気分が悪くなってしまって。息を吸うのも苦しくて、水を飲んだりしてクールダウンしようと思っても全然ダメで。ステージを観に来てくれたファンの前で倒れることはできないし、すごく悔しいけど「アメリカズ・スイートハート」はやらずにステージを降りたの。でも、東京のステージで披露できなかったことを逆に捉えて、また日本に戻ってきてショーをすればいいだけと思ってるわ!

――ぜひ戻ってきてください!

エル・キング:もちろんよ!次のためにとっておいたってことにしといてね!(笑)でも本当にごめんなさい。

――ちなみに、大阪ステージでは披露したんですよね?

エル・キング:そうなの。大阪で披露したときに、すごく熱狂しているファンも見かけたから東京でも絶対やりたかったんだけど。残念だったわ。

▲Elle King - America's Sweetheart


――再来日が今から楽しみです。また、インスタグラムの写真を見ましたが、カラオケやロボット・レストランにも行って東京を楽しんでいるようでしたね?

エル・キング:あの写真を見たのね!すごく楽しかったわ!あなたも行くべきよ!ロボット・レストランは観光客が行く場所だとみんな言うけど、まあ言ってみれば私も観光客だからね(笑)ロボット・レストランには日本で知り合ったMappyって言う子とその子のお母さんと一緒に行ったの。Mappyは私が今まで出会った中でもかなりクールな子ね。私のお母さんも日本に一緒に来てるから、お母さん2人と娘2人で遊びにいったの。2つの言語と異なった文化だけど、終始笑って楽しく過ごせて、今回は忘れられない旅になったわ。Mappyとお別れするときも寂しくて泣いてしまったし。こんなにもひとつの国の文化に感動したことは今までなかったから、日本についてもっと知りたいと思ったわ。滞在中に何人かの日本在住の外国人と出会って、「日本に住んで何年目?」と質問したら5年とか10年とかの人が多かったの。しかもみんな最初は1週間とか数日間滞在する予定だったけど結果的に何年も住んでるっていうことが共通してて、みんな日本に恋をしてしまったんだ分かったわ。だからもしかしたら私も帰りの飛行機には乗らないかもね。(笑)

※Mappy:Sony Music Artist所属のファッショニスタ/ジャズピアニスト。


――ぜひこのままステイしてください(笑)それでは、あなた自身についてお聞きしたいのですが、父親は俳優で、母親はモデルという環境で、なぜ歌手を目指そうと思ったのですか?

エル・キング:どちらの仕事もつまらないと思ったからよ!(笑)私はモデルになれるようなスキニーな体型でもないし、誰かの役を演じることにも興味をもてなかったの。私は私自身のままでいたいと思って。それに、怖いことに挑戦するのが好きなの。私自身のままでいることってある意味すごく恐ろしいことだと思っているわ。でも自分自身を表現することの方が、女優になって誰かの役を演じるよりか遥かに楽しいと思ってるの。だから音楽をやっている方が楽しいのよ。

――あなたの音楽のスタイルはカントリー、ロック、ソウルなど幅広いですが、影響を受けた人物はいますか?

エル・キング:私が大好きな女性アーティストが4人いるんだけど、それぞれが私に影響を与えてくれたと思っているのよ。だから私の音楽を聴いているときに、その人たちのことを思い出してくれているといいなと思っているの。まず、カントリーはドリー・パートンの影響を受けたわ。ソウルはアレサ・フランクリン、ロックはワンダ・ジャクソン、ドゥーワップはザ・ロネッツのロニー・スペクターからインスパイアされたの。ワンダ・ジャクソンみたいに歌いたくて、ラスプを学んだり、彼女みたいなロックンロールをやってみたかったからよ。あの時代に女性で本格的にロックをやっている人はいなかったわ。エルビスは彼女が唯一ロカビリーを歌える女性のシンガーだとも言っていたわね。だから私も彼女みたいに歌ってみたかったの。そしてドリー・パートンはカントリー・ミュージックのクイーンだからね。アレサ・フランクリンは感動的な歌声の持ち主で、ロニー・スペクターはドゥーワップを極めていた。彼女がいなかったらスパイス・ガールズも存在しなかったと思うわ。彼女たちが女性シンガー・グループの走りだったと思うのよ。私はよく音楽の革命について考えるんだけど、私の音楽性は彼女たちから来ていると思っているの。もしスパイス・ガールズがあの時代に存在していなかったら私は今こういうふうになってないと思うわ。それと、私が影響を受けたアーティストが誰にインスパイアされたのかを深堀していくのも好きなの。その人たちのことを知ることで、もっと良いものを知れるからね。

▲Elle King - Ex's & Oh's


Photo: 堀田 芳香
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――古い音楽が多い気がしますが、昔の音楽を聴くことは自然なことでしたか?

エル・キング:私はラッキーだったと思っているんだけど、小さい頃って両親の聞いている音楽の中で育つでしょ?私はお義父さんから音楽の影響を受けたと思っているの。私がすごく小さかったとき、アバが大好きだったの。それは私の父がアバの『アバ・ゴールド』を買ってきてくれてね。そのCDをもらったときの夜のことを昨日のことのように覚えているわ。初めてアバの曲を聞いて、本当に大好きになった日よ。大きくなっていくにつれてポップ・ミュージックも聞くようになったわ。11歳か12歳のときだったと思うんだけど、あるポップのCDが欲しいとお義父さんにお願いしたのに、お義父さんが買ってくれたのは女の子のロック・グループのCDだったの。自分が欲しかったCDではなかったから、すごく怒って3日間くらい聞かないでいたの。でも3日後にようやく買ってくれたCDを聞いてみたら、「これすごくいいじゃない!」って思ったのよ。その曲の内容が、高校生の女の子が家出したり、男の子にキスしたり、悪いことをしたりっていう内容で、私も同じようなことがしたい!って思ったのよ(笑)それから、お義父さんにオススメのCDは?って聞くようになったわ。だからお義父さんが私の人生(音楽性も含めて)を変えたと言えるわね。彼が私にさっきも言ったようなアーティストを教えてくれたから。それがきっかけで、ザ・ランナウェイズやブロンディも聞くようになったの。


お義父さんは毎週金曜日に家族みんなに新しい曲を送ってくれるのよ。“フライデー・ナイト・ソウル”って呼んでたわ。それに週に3~5回くらい、この曲カバーしたら?って曲を送ってくることもあるわね。彼がいなければ私の音楽の嗜好が築かれなかったと思うの。ちなみに私のフィアンセもお義父さんそっくりなのよ。フィアンセはレコードに目がなくて、10年間レコードショップで働いていたの。女の子は“父親みたいな人と結婚した方がいい”って言われるでしょ?私はお義父さんと一緒に育ってきて、お義父さんがどういうふうに母親のことを気遣ってるかとか近くて見てきて、いつも母に「私もジャスティン(義父)みたいな人を見つけたいわ」って言っていたの。そしたら本当に見つけることができたのよ!スコットランド人バージョンの義父をね。本当に怖いくらいそっくりなのよ(笑)

――ステキなお話ですね。また、あなたはギターだけではなく、バンジョーも弾きますが、なぜ色んな楽器がある中でバンジョーを選んだのでしょうか?

エル・キング:まず始めに覚えておいてもらいたいことは、私のストーリーにはいつもキュートな男の子が出てくるってこと(笑)私は今まで色んな楽器に挑戦したわ。最初はバイオリンから始めて、12歳か13歳のときにギターを弾き始めたの。18歳か19歳のときに実家を出て、フィラデルフィア大学に通いだしたの。そのときに大学内でキュートな男子がバンジョーを弾いているのを見て、「彼すごくキュートだわ」って思ってね。彼に、「私ギター弾けるから、それも弾いてみたいわ」って言ったのよ。それまでバンジョーなんて言葉も聞いたこともなかったけど。実際に弾いてみたらギターと全然違くってビックリしたわ。でもすごく気に入っちゃって、その子からバンジョーを借りたの。しかも2年間も。最終的にその子が「そろそろ僕のバンジョー返してくれない?」って言いに来たわ(笑)。


 でもそれがきっかけでバンジョーにドハマりしちゃって、YouTubeで色んな動画を見て独学で弾き方を学んだのよ。最初の数年は全然うまくいかなかったけど、今はちゃんと弾けるようになったわ。それが伝統的な弾き方じゃないとしても、間違った音を出してるつもりはないし、私の音楽だから私が音を選んでいいってことでしょ?それが音楽の良いところだと思ってるの。それから私は挑戦することが大好きだから、今も新しい楽器にチャレンジしようと思ってアコーディオンに挑戦しているところよ。これもまた今までの楽器とは違って、重いし、まだ上手く弾けているとは言えないけど、アコーディオンを使って作曲もしているわ。曲が作れるようになったら、その楽器も弾けるようになると思ってるの。それって道理にかなってると思わない?私があなたに音楽を聴かせるねと言って、楽器を使って音楽を奏でたらそれが私の音楽になるってことよ。

▲Elle King - Good Girls (from the "Ghostbusters" Original Motion Picture Soundtrack)


――それでは最後の質問ですが、将来の目標やゴールはありますか?

エル・キング:正直まだわからないわね。でもそれがクールなことだとも思っているわ。

――新しいアルバム作りなどは…?

エル・キング:もちろん音楽はずっと作り続けたいと思っているわ。でもツアー中はどうしても曲作りに集中することができないの。ベストなものを作って、それを聴いてもらいたいと思っているからよ。それに曲作りをするときは、誰にも干渉されたくないから、ちゃんと時間を取るようにしているの。今のアルバムのサイクルがもうすぐおわるから、来年はちゃんと時間を取って作曲活動に集中したいと思っているわ。それから、結婚もする予定なの。

――おめでとうございます!!

エル・キング:アリガトウゴザイマス!私がフィアンセと出会うまで、私の世界は音楽だけだったの。でも彼と出会って、自分の時間も大切にしなきゃいけないと考えが変わったわ。それによって音楽も良くなると気づかせてくれたの。これから私の音楽がより良いものになるかはまだわからないけど、もっと良いミュージシャンになって、もっと力強いシンガーソングライターになって、もっと自信をつけたいと思ってるわ。これから先は今までとは違った旅路になると思うけど、それはとても素敵なことだと思ってるわ。

――インタビューに答えて頂き、ありがとうございました!

Photo: 堀田 芳香
エル・キングのサイン入りポラロイド写真を抽選で2名様にプレゼント!

写真

応募〆切:2016年9月6日(火)正午までに、Billboard JAPANの公式twitterアカウント(@Billboard_JAPAN)と洋楽専用アカウント(@BillboardJP_INT)を両方フォロー&ハッシュタグ#ElleKing_PolaJPでツイートした読者の中から抽選で2名様に取材時に撮影したサイン入りポラロイド写真をプレゼント!下記注意事項を必ず確認の上、ふるってご応募下さい!

・写真は選べません。予めご了承ください。
・応募締め切りは、2016年9月6日(火)正午となります。
・当選者の方には、@Billboard_JAPANよりDMを送ります。当選時に@Billboard_JAPAN@BillboardJP_INTをフォローされていない場合、当選は無効となります。
・当選は発送をもって代えさせて頂きます。

エル・キング「ラヴ・スタッフ」

ラヴ・スタッフ

2016/06/08 RELEASE
SICP-4539 ¥ 2,420(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.ホウェア・ザ・デビル・ドント・ゴー
  2. 02.エクシズ・アンド・オーズ
  3. 03.アンダー・ザ・インフルエンス
  4. 04.ラスト・ダム・ナイト
  5. 05.コカイン・カロライナ
  6. 06.ソング・オブ・ソロウ
  7. 07.アメリカズ・スイートハート
  8. 08.アイ・トールド・ユー・アイ・ワズ・ミーン
  9. 09.エイント・ゴナ・ドラウン
  10. 10.ジャクソン
  11. 11.メイク・ユー・スマイル
  12. 12.シー・ユー・アゲイン
  13. 13.プレイング・フォー・キープス <国内盤ボーナス・トラック>
  14. 14.グッド・トゥ・ビー・ア・マン <国内盤ボーナス・トラック>
  15. 15.ノー・ワン・キャン・セイヴ・ユー <国内盤ボーナス・トラック>
  16. 16.マイ・ネック, マイ・バック (ライヴ) <国内盤ボーナス・トラック>

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